ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
前回の最後に会った空也の作戦とは何なんでしょうね? そしてことりの向けて放たれる空也の言葉とは!?
それは悩める彼女たちの様子をご覧ください!
ことりのことを追おうとしていた穂乃果と海未を止めた空也は、
空也「ちょっと待った。すみません。この写真の店ってどこにありますか?」
ことりの写っていた写真を持って近くにいた店員に店の場所を聞いた。
その店員は店の場所を知っていたようで、
店員「それなら………………にありますよ」
簡単な道順を教えてくれる。
店の場所が分かった空也はあることを思い出して、
空也「そうですか。それとこれもください」
その写真を買うことにした。
店員と一緒にレジに向かい、会計をすます。
店員「はい。500円になります。……、ありがとうございました」
戻ってきた空也は穂乃果たちに、
空也「ってことで待ち伏せようか」
ものすごく楽しんでいるような顔でそう宣言した。
そういって空也たちはことりの働く店に向かった。店の中に入って待つとことりがやってきた。
ことり「ふぅ~、何とかまけたかな~」
ことりは安心しきって店に戻ってきた。
そんなことりに空也がこっそりと近づき、
空也「残念。先にきてたから」
ことりの耳元でそうささやいた。
当然ことりは空也たちのことを認識するやいなや、
ことり「空也君!? それにみんなも……」
少し撒けたと思っていただけに落ち込む。
そしてすごくいい笑顔の穂乃果がことりに近づき、
穂乃果「ということで、話を聞かせてよことりちゃん」
空也の反対側の耳でそうささやいた。
それからことりの話をみんなで聞いた。
ことり以外「「「「「「「「「えぇ~!」」」」」」」」」
その内容は驚きのものだった。
それは……、
花陽「ことり先輩がこのアキバで伝説のメイドミナリンスキーさんだったんですか!?」
以前ことりの見ていたアイドル研究部部室内にあるサインの人ミナリンスキーだった。
花陽に言われたことりはいよいよ余裕がなくなったのか、
ことり「そうです……」
力なく肯定した。
そんなことりに穂乃果が声をかける。
穂乃果「ひどいよことりちゃん! そういうことなら教えてよ。言ってくれれば遊びに来てジュースとかごちそうになったのに~」
ことりが落ち込んでいることとは全く違うことを言っていた。
あまりのことに空也が、
空也「そっちかよ!」
思いっきりツッコミを入れる。
そんなやり取りをしていると絵里が疑問に思ったことをことりに聞く。
絵里「じゃあこの写真は?」
その質問にもうあきらめていることりは答えていく。
ことり「店内のイベントで歌わされて。撮影、禁止だったのに……」
本当に残念そうにことりが話す。
そして写真という意単語で空也があることを思い出した。
空也「そうだ。はいこれ、写真」
それは先ほどの店で買ったことりの写真だった。ことりはこの写真をなくしてほしくてあの店に行った。だったらことりに渡してあげたほうがいいのだろうと購入したのだ。
その写真を受け取ったことりは、
ことり「空也君……。ありがとう。よかった~」
その写真を胸に抱いてホッとした感じになった。
その間に考えていた穂乃果が口を開く。
穂乃果「なんだ~。じゃあアイドルってことじゃないんだね」
そのことに関してはすぐに反応して、
ことり「うん! それはもちろん」
穂乃果が言ったことを肯定する。
しかし海未はことりがバイトを始めた理由がわからなかった。もちろんことり以外のメンバーはわかっていない。
海未「でもなぜです?」
代表して海未が聴く。
そのことをことりは話してくれた。
ことり「ちょうど初めてのライブの練習をしてた頃、外で誘われてお洋服がかわいかったから……。そして自分を変えたいなって思って。私は穂乃果ちゃんや海未ちゃん、空也君と違って何もないから……」
どこか悲しそうに言っていることりは少し寂しそうに見えた。
穂乃果はことりが最後に言った言葉が気になった。
穂乃果「何もない?」
穂乃果が気になったことについて聞いてみるとことりは口を開く。
ことり「穂乃果ちゃんみたいにみんなを引っ張っていくこともできないし、海未ちゃんみたいにしっかりもしてない。それに空也君みたいにみんなの事を見れてるわけでもない……」
それがことりが今まで思ってきたこと。そしてきっと誰しもが他人に思ってしまうことだった。
ことりは自分のことを過小評価している。そのことに気が付いた空也はきっと無駄なことだとわかっていても自然と口が開いてしまう。
空也「そんなことはない、っていうか。誰かと比べるのが自分の事じゃないと思うぞ。ことりはなんだかんだでみんなの事をいい意味で抑えてるんだよ」
この言葉でことりの認識が変わればいいと思った。
空也の思惑通りなのかは定かではないが、
ことり「抑えてる?」
ことりが食いついてきた。
そして空也もことりに自分の思っていることりの長所を伝える。
空也「そう。9人もいるんだから全員をまとめるのは難しい。でもことりがいることで普段の練習でみんながまとまり練習がはかどる。要するにみんなの短所を抑え込み長所を最大限にしてるって感じか」
以前からずっと空也はことりに助けられていた。この大人数をまとめるのは難しいが穂乃果がいるおかげでまとまりはしている。しかし1人一人の個性が強いのでうまくかみ合わない場合が多いはずなのだがそれがほとんどないのはことりのおかげだといっていい。
そのことを空也がことりに伝え終わると、
ことり「そう、かな……?」
ことりもなんだか少し考え方が変わったように少し表情が軽くなった。
そして穂乃果も自分が今まで思っていたことを話す。
穂乃果「そうだよ! 私もことりちゃんに助けてもらってるもん」
本当に思っているからこそここまでまっすぐに言えるのだと思う。
その話をし終わるとそろそろいい時間になったので帰ることになった。
穂乃果「じゃあねぇ~」
その言葉とともに穂乃果はことりに手を振る。ことりも穂乃果たちに小さく手を振り返す。
すると突然何かを思い出したかのようにして口を開く。
ことり「あ! このことはママには内緒だから、学校ではシー」
恥ずかしいからなのか急いで穂乃果たちにそう伝えた。
そのことりの願いに穂乃果たちは答えた。
穂乃果「わかった」
そして帰る途中道が同じということもあって空也と穂乃果と海未、そして絵里と一緒に帰っていた。
穂乃果「でも意外だなぁ~。ことりちゃんがそんなこと悩んでたなんて」
その道中に今日あった一番衝撃的なものを思い返す。
穂乃果の言葉に絵里は、
絵里「意外とみんなそうなのかもしれないわね」
優し気にそう答えた。
その絵里の答えを聞くべく穂乃果は聞き返す。
穂乃果「え?」
絵里は続ける。
絵里「自分の事を優れているなんて思ってる人間はほとんどいないってこと。だから努力するのよ。みんな」
絵里の言う通りだ。きっとそれが人間というものなのだ。
穂乃果も絵里の言っていることは理解できる。
穂乃果「そっか……」
それは当然海未も。
海未「確かにそうかもしれません」
空也も。そして空也は絵里の言葉を聞いたうえでの自分の考えを口に出す。
空也「だからみんなが努力して、成長して、それを繰り返すことで自分はまた成長する 友達はライバルでもあるってことかな」
それは意識しなくても自然とみんながやっていることなのかもしれない。一部例外はあるのだが。
絵里は空也の言葉を聞いて、
絵里「そうね。それがいいのかもね」
きっと自分が言おうとしていたことと同じだったのかそれに賛成する。
そんなこれまでのやり取りを見ていた海未は、穂乃果と目を合わせて、
海未「絵里先輩にμ'sに入ってもらって本当によかったです」
きっとそれは自分たちが気が付かないことを教えてくれたから。
しかし急にそんなこと言われたら、
絵里「なっ何よ急に。明日から練習メニュー軽くしてとか言わないでよ。じゃあまた明日」
恥ずかしいのは当たり前。穂乃果たちに背中を向けて答える。ここから帰路が別なので絵里は別方向に歩いていく。
そんな絵里に挨拶を済ませる。
空也 穂乃果 海未「「「また明日です」」」
絵里がいなくなると穂乃果が思いついたように空也たちに話しかけた。
穂乃果「ねぇ海未ちゃん、空也君も私を見てもっと頑張らなきゃって思ったことある?」
きっと先ほどの会話から気になったのだろうすぐに聞いてきた。
その問いに空也と海未は互いに顔を見合わせ、
海未 空也「「数えきれないくらいに」」
笑顔でそう答えた。
その答えを聞いた穂乃果は、
穂乃果「え!? 海未ちゃんも空也君もないをやっても私より上手じゃない!? 私のどこでそう思うの?」
案の定驚いていた。やはり自分のことは自分が一番わかっていないらしい。
穂乃果のリアクションに空也があきれる。
空也「自分で聞いておいてそれかよ……」
そして海未は空也に同調しつつ、
海未「そうですね。それに悔しいから秘密です」
本当に悔しそうに話した。
聞きたかった穂乃果は当然、
穂乃果「え~!?」
不満げになる。
そしてここから海未の、
海未「ことりと穂乃果、それに空也は私の一番のライバルですから」
宣戦布告が始まる。きっとこれは自分にも言い聞かせてるのだろう。
そしてそれは空也も同じだった。
空也「言ったな。まぁそれは俺も一緒だからな」
穂乃果の行動力に海未の冷静さ、そしてことりの周りを取り持つ能力は空也から見て輝いていた。そんな彼女たちに勝ちたいと空也は本気で想っていた。
その言葉を聞いた穂乃果は、
穂乃果「え? 海未ちゃん……。空也君……。そうだね!」
同じ気持ちなようで穂乃果を本気にさせる出来事だった。
side out
絵里side
穂乃果たちと別れた後、あることを思いついた絵里は希の働いている神田明神にやってきた。
希「えりち?」
希に話があると伝えた絵里は、仕事が終わると希をある場所へ連れ出した。
その場所というのが秋葉原だった。
希「どうしたん? また戻ってくるなんて」
絵里の考えていることはいまだよくわかっていない希は絵里に聞いてみる。
聞かれた絵里は考えたことを口にする。
絵里「ちょっと思いついたことがあって。さっき街を歩いて思ったの、次々新しいものを取り入れて毎日めまぐるしく変わっていく。この町はどんなものでも受け入れてくれる。一番ふさわしい場所なのかなって。私たちのステージに」
それは今日の練習の時に絵里自身が言った思い切った手が必要ということ。その場所にふさわしいと絵里は思った。
その後少し希と軽く話し、明日みんなにこのことを言うことにした。
実はボツになったことりに向けた空也の言葉があるのですが少しいやに感じる人がいると思ったのでやめました。
空也はことりの写真を買いましたがちゃんと返しているので問題はないと思っています。
新しくお気に入り登録をしてくださった綯花さん、真玄寺深黒さんありがとうございました!
次回『大胆な作戦』
それでは、次回もお楽しみに!
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