ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
今回でμ'sは全員集合します。もうここで言っちゃいます。でもそれだけがこの話の見どころではないんです。
それでは明らかになる彼らの想いをご覧ください!
幹side
絵里と希が話していたところに幹がやってきた。
幹「ちょっと待てよ! 絵里! 久しぶりだな……。やりたいって言えないだって? んなわけないだろ!! 今までどれだけお前が頑張ってきたことなんてきっとμ'sの子たちだって知ってる。何なら行ってみればいいじゃないか! 絵里なら絶対できるから!」
その場を立ち去ろうとする絵里に幹は大声で叫んだ。
その叫び声がしたほうを絵里と希の2人が見る。
希「幹君……」
絵里「……!」
そこには怒ったような表情をした幹の姿があった。
しかし絵里はそのまま立ち去ろうとしてしまう。
幹「まだ話は終わってないぞ。俺の惚れた女はな、こんなことで弱音を吐くやつじゃないんだよ! 俺の知っている絵里ならきっとやりたいことを笑顔でやりたいって言えるそんな娘なんだよ!」
それでも幹は話すことをやめなかった。そのおかげか話している間は絵里はその場で聞いてくれていた。これが今の幹の気持ち。それほどまでに幹は絵里が好きなのだ。
話が終わると絵里はすごい速さでその場から立ち去ってしまった。
幹は絵里の立ち去る姿を見送ると、
幹「……。希、行こう。絵里を救ってくれる彼女たちのもとに」
希にそう言って屋上へ向かう。
希はそのあとをついてきながら、
希「うん……。でも、よかったん? こんな場所で告白して?」
幹のおこなった行動は告白も同然。いやむしろ告白でしかなかった。そんな大事なことをこの場面でしてよかったのかそう思った希は幹に聞いた。
希が言ったことに幹は簡単に答える。
幹「絵里のためなら俺が恥ずかしいことくらいやってやるさ。俺たちの言葉のきっと絵里には伝わってる。だからつなぐ……いや繋いでもらうんだ。彼女たちに」
絵里のために自分にできることはなんだってする。それが絵里のためになるのなら。それが幹の考えかた。そして自分にはできなかったことはできる人たちに頼むようだ。
幹と希は今の状況をμ'sに伝えるべく急ぎ足で屋上に向かった。
side out
絵里side
絵里は自分の教室の自分の机に向かった。
絵里「私の、やりたい事……。そんなもの……」
先ほどの希と幹のやり取りを思い出して絵里が窓の外を見る。
すると教室に何人もの人がやってきた。
絵里「え!?」
絵里はその人たちのほうを見る。そこには先ほど思いのたけをぶつけ合った希と幹、そしてμ'sの姿があった。
side out
空也side
空也たちは希たちに事情を伝えられ生徒会長のいた教室に来た。
絵里「あなた達……」
急にやってきた空也たちに生徒会長はなぜここにいるのかわからなくなり呆然とする。
代表して穂乃果が生徒会長に話す。
穂乃果「生徒会長。いや、絵里先輩。お願いがあります」
いや、ここは生徒会長と話しに来たんじゃない。絢瀬絵里に話があってきたのだ。
そのことに気が付かない絵里はいつもの生徒会長の雰囲気で、
絵里「練習? なら昨日言った課題を全部こなして……」
μ'sに指示を出す。
だけど話したい内容はそれではない。
空也「まだ何も言ってませんから聞いてください」
空也は絵里が穂乃果の言葉を聞くように話す。
空也からの助けもあり、穂乃果は大きく息を吸い決意を固めて話す。
穂乃果「絵里先輩。μ'sに入ってください!」
その内容は勧誘。
その内容に絵里は、
絵里「え?」
困惑せずにはいられないが、
穂乃果はそれでも話を続ける。
穂乃果「一緒にμ'sで歌ってほしいです。スクールアイドルとして」
穂乃果の目は本気だった。そして周りのメンバーも絵里がμ'sに入ることに不満な顔をする人はいない。むしろ歓迎している。
しかし絵里にも意地がある。
絵里「何言ってるの!? 私がそんなことするわけないでしょ」
簡単にその言葉を受け入れるわけにはいかない。
だけどそれでもμ'sはあきらめない。
海未「さっき希先輩と中居さんから聞きました」
そう、先ほど希と幹がμ'sに話したこと。それは絵里にやりたいことをやらせてほしい。そしてそのやりたいことつまりそれがスクールアイドルだということだった。
その話を聞いて思ったことを各々絵里に伝える。
にこ「やりたいなら素直に言いなさいよ~」
真姫「にこ先輩に言われたくないけど」
それはやはりμ'sに絵里が入ることを歓迎するそれぞれの表現だった。
それを聞いていた絵里は、
絵里「ちょっと待って!? 別にやりたいなんて、だいたい私がアイドルなんておかしいでしょ!?」
慌ててそれを否定するが、
それは親友たちによって止められてしまう。
希「やってみればいいやん。特に理由なんて必要ない。やりたいからやってみる。本当にやりたいことって、そんな感じで始まるんやない?」
幹「お前がそんな顔してたら俺も毎日が楽しくないんでだよ。だから絵里にはやりたいと思えることを笑顔でやってほしいよ」
希と幹の言葉は大きく絵里の心を揺らした。
そして最後の一押しに空也が口を開く。
空也「それに人には向き不向きは合っても、やっちゃダメなんてことないんです」
その言葉が終わるともう一度穂乃果は絵里に手を差し伸べる。
結果絵里は穂乃果の手を取った。
穂乃果「絵里さん……」
その内容はμ'sに入るということ。
やっと入ってくれた絵里にことりは喜び、
ことり「これで8人……」
今のメンバーの数を言う。
しかしそれは間違えだった。
空也「まだだ。ねぇ希先輩」
幹「それはまだなんじゃないか?」
空也と幹の声が重なりことりの間違えをただす。
ことり「え?」
しかしことりは間違えに気が付くはずもない。
最後は当人が話す。
希「9人や。うちを入れて」
μ's最後のメンバーは希だった。
そして穂乃果の予想以上のことが起こり驚く。
穂乃果「え? 希先輩も!?」
そして希は話を続ける。
希「占いで出てたんや。このグループは9人になった時、未来が開けるって」
空也「だからこの名前にしたんでしょう」
空也と希が今までのことを種明かしのように伝える。
そして最後に入り、
希「そう。だから9人の歌の女神『μ's』って」
希がみんなの知らない真実を口にした。
希の言葉を聞いたみんなは、
穂乃果「じゃっじゃあ、あの名前付けてくれたのって……。希先輩だったんですか!?」
事実を知ってより驚いた。
そして穂乃果の問いにかえってきたのは、
希「うふふふふ」
肯定を意味するほほえみだった。
その様子を見ていた絵里と幹は、
絵里「希……。全く……あきれるわ……」
幹「本当に希は……。どれだけ先を見てるんだか……」
相変わらずの希の様子により笑顔になった。絵里はそう言いながらも教室のドアに近づく。
急に行動した絵里に、
海未「え!? どこへ?」
海未はそう聞いた。
そしてそこから帰ってきた言葉は、今までの生徒会長からきけない大事な言葉だった。
絵里「決まってるでしょ。練習よ!」
やる気があるのかすぐに屋上に向かおうとした。
しかし途中で立ち止まり、
絵里「あ……。ごめんなさい。すぐ終わるから先に言っててくれないかしら?」
何かを思い出したかのようにみんなにそう言った。
急な変化に穂乃果をはじめとするみんなが疑問に思った。
穂乃果「え? 何かあるんですか?」
しかし事情の分かっている希は、
希「ええよ。みんな、行こっか」
少しでも早く絵里の要望をかなえるためにほかのみんなを屋上に連れていくのだった。
希が屋上に言ったため慌てて穂乃果たちもついていく。
穂乃果「希先輩!? 待ってくださいよ!?」
そして絵里は小さな声で、
絵里「幹は残ってね? あの事だから」
幹のことを呼び止めた。
幹もその内容は理解しているようで、
幹「あ……。あぁ」
絵里に従い教室に残った。
そうしてみんなが言った後の教室で、
絵里「さっきのことだけど……、その……。本気、なの?」
さっきのこととは幹のした告白のことだ。
聞かれた幹は、
幹「あ、あぁ。本当の俺の気持ちだ」
恥ずかしがりながらも自分の本心を告げる。
そしてそのことが分かった絵里は、一度目をつぶり大きく深呼吸をした後、
絵里「そう……。じゃあ答えるわね。私もあなたが好きよ。幹。付き合いたいと思ってる。だけど……」
今の自分の思っていることを素直に幹に伝える。幹と絵里は両思いだったようだ。
しかし絵里のそのあとの言葉は幹にはわかっていた。
幹「その言葉が聞けただけでうれしいよ。わかってる。じゃあいつまでも待ってるからアイドル活動頑張って来い!」
だから絵里を安心させるようにエールを送ることにした。
そのエールはしっかりと絵里に届いた。
絵里「幹……。えぇ、じゃあずっと見ててね? 私が頑張ってるところを!」
より一層やる気を出した絵里は幹との約束を果たすためにそのまま屋上へ向かいμ'sの練習に参加した。
side out
空也side
それからいろいろな練習をした。今までやってきた練習にリズム力をつけるトレーニングなどやったことのない練習をいろいろとした。
その間に幹と空也が何やら話をしていたが、生徒会の仕事を手伝っていたらしい。
そしてオープンキャンパスのライブが始まった。
穂乃果「皆さんこんにちは 私たちは音ノ木坂学院のスクールアイドルμ'sです。私たちはこの音ノ木坂学院が大好きです! この学校だからこのメンバーと出会いこの9人と1人の作曲者が集まったんだと思います。これからやる曲はこのメンバーが9人になって初めてできた曲です! 私たちのスタートの曲です!」
見に来てくれている人たちに代表してリーダーの穂乃果が話す。
そして曲紹介でみんなが声をそろえる。
9人「「「「「「「聞いてください歌μ's 作曲者時坂空也君で『僕らのlive 君とのlife』」」」」」」」」
この時の話し合いでみんながぜひ空也の名前を出したいということでこういう内容になった。
そして穂乃果たちはそれぞれのスタート位置に移動してイントロが流れ出す。
そのライブは大きなミスもなく安定したまましっかりとやり遂げることができた。
パチパチパチパチ
拍手が鳴りやまない中で穂乃果は、
穂乃果「できた……」
絵里「えぇ」
疲れてはいるがそれでもできたことをうれしがった。
そうしてこの時間はみんなが笑顔になったのだった。
side out
空也side
ライブを終えるとそのライブを見ていた空也に声がかかる。
???「あ、時坂じゃん。ちょっとこっちで話そうぜ!」
中学校の時の同級生の
空也はそんな彼にいやな顔をせずについていった。
空也「あぁ……、じゃあ行くか」
そのとき空也は気が付いていた。話しているときに勝手がニヤついていたことに。
同級生についていき体育館裏というべたなところに連れてこられた。
勝手「お前さ? 化け物のくせに高坂たちのこと手伝ってるんだってな? お前がいたんじゃ彼女たちも迷惑だろうから俺が変わってやるよ」
それは空也の過去を大きくえぐることになる言葉。しかし今の空也にはそんなことは乗り越えられていた。
厭味ったらしくいってくる男に空也は、
空也「お前の言うことなんて聞くメリットなんてこっちにないんでね。お断りだ」
きっぱりとその要望を拒否する。
その言葉を聞いたクズは
勝手「化け物のくせに人間様にたてつくっていうのか? 生意気だな~。ったく……、殺しちまうぞ?」
そう言って勝手は、カバンの中からナイフを取り出す。
空也「化け物って言ってるのだってお前らが勝手に言ってるだけだろ? 俺は正真正銘の人間だ。それ以上でも以下でもねぇよ」
空也は先ほど以上に相手をあおる。
あおられた勝手は我を忘れ、
勝手「じゃあ死ねよ。化け物が!」
空也に向かって駆け出し容赦なくナイフを振り下ろす。
……がそれが空也に届くことはなかった。
それは空也が触っていないのにもかかわらず勝手が急に吹っ飛んでいったからだ。空也の変化はただ少し太めの棒を握っているだけ。関係があるとは思えなかった。
しかし相手は打撲をしている。
勝手「これでお前もおしまいだな。他校の生徒を傷つけたって知ったら退学になっちまうかもな」
そう言って大声で笑う勝手は、空也にとって滑稽でしかなかった。
空也は先ほどから開けなかった口を開く。
空也「さて終わるのはどっちかな? ナイフを持っているお前とこの棒を持っている俺。どっちが危険視されるかな? それに……。幹先輩、出てきていいですよ!」
空也が大声でそう叫ぶ。
そして出てきたのはビデオカメラを持った幹だった。
幹「本当に来るとは思えなかったぞ。しかもこんな小物だったなんてな」
屑を軽蔑するような目で見る。
空也「今のやり取りはすべて録画させてもらった。さてこれをお前の学校に送ったらどうなるのかね? それが嫌なら二度と穂乃果たちに近寄るんじゃねぇ! じゃないと今度は消すぞ」
今までに見たことのない本気の怒りで相手に怒鳴りつける。その眼は本当に消されてしまうと思うほどに怒りに満ちていた。
空也の本気の怒りに恐怖したのか勝手はその場から即座に逃げ出した。その際幹に足を引っかけられナイフを落としていったがそれを拾わずにすぐに逃げ帰っていった。
先ほどのやり取りを見ていた幹がナイフを拾いながら気になったことを空也に聞く。
幹「まったく。お前本当に何者なんだよ?」
聞かれた空也は何かを考えるようにしたのち、
空也「絶対に言いふらさないでくださいね。実は俺、が使えるんですよ。さっきのも全部それです」
手伝ってもらった以上話さないわけにはいかないと思った空也は幹に真実を教える。
真実を知った幹は、
幹「……ねぇ。信じられないがそれはあれを見てないときだけだな、こりゃ。わかった。なんとなくだが知られちゃまずいのもわかった」
空也の言葉とそして自分の目で見たものを信じることにした。そして空也のその真剣な様子で簡単に人に話してはいけないということも幹は察することができた。
空也「ありがとうございます。幹先輩」
空也もあの場所以外で信じられるのは初めてだったため本当にうれしかった。
幹「じゃあ早く彼女たちのもとに行きな。あとは俺が何とかするから」
幹はそう言って空也をμ'sのもとへと送り出した。
その後空也は穂乃果たちのもとに向かいオープンキャンパスは一応大成功のうちに終わった。
今回の話でしたかったこと
・幹の告白
・μ'sのメンバーがそろう
・空也に本気で怒ってもらう
でした。これから次々に明かされる謎をお楽しみください!
次回『目に見える成長』
それでは、次回もお楽しみに!
Twitter始めました。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!