ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回は主に絵里の過去についての話になります。

それでは今回も悩む彼女を見守ってあげてください!


絵里の過去

 学校の正門前で出会った海未と絵里、そして亜里沙は近くの公園で話をしていた。

亜里沙「お待たせしました!」

 絵里のお願いで自動販売機で飲み物を買って渡してくる亜里沙だが、

 

 亜里沙の持ってきたものはおでん缶だった。

海未「ありがとう。おでん……?」

 あまりのことに戸惑ってしまう。

 

 そんな海未の感情を理解したのか、

絵里「ごめんなさい。向こうの暮らしが長かったからまだ日本に慣れてないところがあって」

 亜里沙の代わりに謝ってくる。こういうことをする分姉としてしっかりとしているところはあるのだろう。

 

 しかし、海未には新しい疑問が生まれた。

海未「向こう?」

 生徒会長の言う向こうというのがどこなのか海未には見当がつかなかった。

 

 海未のその疑問に生徒会長が答える。

絵里「えぇ、祖母がロシア人なの。亜里沙、それは飲み物じゃないの」

 それと同時に亜里沙に間違えを指摘する。

 

 生徒会長に言われた亜里沙は、

亜里沙「え? ハラショー」

 自分の持ってきた缶を見つめながら驚きの表情でそう言った。

 

 そして生徒会長は優しい声で、

絵里「べつなの買ってきてくれる?」

 亜里沙をこの場から少しでも遠ざけようときっかけを作ることにした。

 

 生徒会長に言われた亜里沙は、

亜里沙「はい!」

 すぐにさきほどの自動販売機で飲み物を買いに戻った。

 

 亜里沙がいなくなったことにより生徒会長が本題に入る。

絵里「それにしてもあなたに見つかってしまうとはね」

 それはライブの様子を撮影したのは自分であると明かしたことになる。

 

 そして海未は続ける。

海未「前から穂乃果達と話していたんです”誰が撮影してネットにアップしてくれたんだろう”って。でも生徒会長だったなんて。あの映像がなければ私たちは今こうしてなかったと思うんです。あれがあったから見てくれる人も増えたし、だから…」

 その先の言葉は生徒会長が望んでいた言葉ではなかった。

 

 声を絞り出すようにして生徒会長が話す。

絵里「やめて…」

 本当にお願いするように海未の言葉を止める生徒会長。

 

 あまりのことに驚きを隠せない海未は、

海未「え!?」

 聞き間違いだと思い生徒会長のほうを見返した。

 

 そんな海未の考えはすぐさま打ち砕かれてしまう。

絵里「別にあなたたちのためにやったわけじゃないから。むしろ逆。あなた達のダンスや歌がいかに人を惹きつけられないか、活動を続けても意味がないか知ってもらおうと思って。だから、今のこの状況は想定外。なくなるどころか人数が増えるなんて。でも私は認めない。人に見せられるようなものになってるとは思わない。そんな状態で学校の名前を背負って活動してほしくないの。話はそれだけ」

 それが今までの生徒会長の考えだった。その考えは海未からしたら屈辱的だったものなのだろう。何の感情も感じないような言葉に海未は悔しくなった。

 

 でも、海未はあきらめない。

海未「待ってください! じゃあ私たちがうまくいったら、人を惹きつけられるようになったら、認めてくれますか」

 帰ろうとする生徒会長に向けて自分も立ち上がり言葉を交わす。

 

 そんな海未の頑張りもむなしく、

絵里「無理よ」

 短い生徒会長の言葉で否定されてしまう。

 

 あまりに悔しくなった海未がその言葉の真意を訊ねる。

海未「どうしてです」

 

 生徒会長は一度目を深く閉じ口を開いた。

絵里「私にとってはスクールアイドル全部が素人にしか見えない。一番実力のあるというA-RISEも素人にしか見えない」

 自分の本心を隠さずに素直に言った生徒会長の言葉は重かった。

 

 自分たちのやっている活動そのものを否定されてそのままでいられるほど海未は強くはない。

海未「そんな……」

 あまりのことでその場で立ち尽くしてしまう。

 

 そこへ自動販売機から帰ってきた亜里沙がやってくる。

亜里沙「お姉ちゃんごめんね~」

 その手には3つの缶があったのだが、

 

 それは生徒会長の一言で無意味になってしまう。

絵里「話は終わったからいいわ」

 

 あまりに急なことで、

亜里沙「え?」

 亜里沙は生徒会長の向こうにいる海未のことを見た。

 

 亜里沙の目線の先にいる海未は真剣な表情で生徒会長に告げる。

海未「あなたに…、あなたに私たちの事をそんな風に言われたくありません!」

 これだけは今のうちに言っておかなければならないそう思った海未は生徒会長だということを忘れ自分の考えを口に出した。

 

 しかし生徒会長は振り返ることもせずにそのまま歩き出した。その間に海未のところに来て、

亜里沙「飲みますか?」

 自分の買ってきたものを海未に渡した。

 

 それはおしるこではあったが今の海未にはとてもうれしいものではあった。

海未「ありがとう」

 

 そして渡した後何か決意したような目をした亜里沙は、

亜里沙「あの亜里沙。μ's、海未さんたちの事大好きです」

 そう海未に告げ笑顔で生徒会長のほうに走って行った。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里side

 

 海未のもとから走ってやってきた亜里沙は少し照れたようでそしてうれしような表情をしていた。

亜里沙「言っちゃった……」

 顔を赤くした亜里沙がそう言った。

 

 あまりに小さい声だったため生徒会長は、

絵里「え?」

 亜里沙の声を聞き逃してしまった。

 

 しかし亜里沙はその言葉を続ける。

亜里沙「亜里沙ね。来年音ノ木坂入学したら……」

 きっと海未と話したからだろうかそんな話を持ち出すのは、そしてその話をしている亜里沙はとてもうれしそうだった。

 

 亜里沙のその言葉の続きが気になる生徒会長は、

絵里「ん?」

 亜里沙に聞き返すが、

 

 亜里沙は何かを考えたようで、

亜里沙「ううん。なんでもない」

 その言葉の続きを告げずにごまかした。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 ファーストフード店で勉強しているにこと希と空也。

にこ「にっこにっこに~」

 しかし、にこは相も変わらずこのようなテンションで勉強をしていた。

 

 そんな様子のにこに希は両手を掲げ攻撃の姿勢をとる。

希「だから次ふざけたらワシワシMAXいったはずやん」

 

 しかしここは店の中。あまりうるさくさせるわけにはいかない。

空也「希先輩。さすがにここじゃまずいですからこうしますか。にこ先輩がふざけたら 次の曲のパートを減らすってことで」

 そこで取った空也の行動はにこのソロパートを減らすというものだった。

 

 そのことを出された瞬間にこの目が尋常じゃないくらいに変わった。

にこ「待って違う。ふざけてるんじゃなくて、こうすると答えが思いつくの」

 苦しいと感じるこの言葉もにこは必死に2人にそう告げた。

 

 言われた2人は顔を見合わせ、

希 空也「「本当に?」」

 そのことをにこに問い詰める。

 

 にこはその調子で問題に向き合った。ここまではいい。

にこ「そっそうなの。キャラチェンジをすると脳が活性化するっていうの? にこで~す。よーし今日はこの問題を解いちゃおうかな~。え~っとここにこれを代入して……」

 しかし、そこで止まってしまう。途中まではしっかりと解けてるし見えている部分もしっかりとしている。

 

 止まってしまったにこを希がにやにやしながら見ている。

希「して?」

 

 頑張ったにこもここで止まってしまい訳が分からなくなってしまった。

にこ「それでこうだから…。にこわかんないよ」

 諦めたのかにこは笑顔でギブアップを宣言する。

 

 しかし本当に惜しいところまではいっている。にこが今悩んでいるところは階差数列の計算の部分なのだから。

空也「途中までは合ってますよ。あとはそこから∑を分解して計算すればいいってことを覚えればここは簡単ですよ。って海未?」

 にこに教えていると海未が店に入ってきたのが見えた。空也はすぐに海未に話しかける。

 

 にこと希は空也が言ってから気が付いたようで、

にこ 希「「え?」」

 驚きながら海未のことを見ていた。

 

 その海未の表情は真剣そのものだった。

海未「聞きたいことがあるのですが」

 

 それからにこの勉強を終わらせて神田神社に向かった。

希「そう。えりちのそんなこと言われたんや」

 そしてその間に海未が希に生徒会長から言われた話を話した。

 

海未「はい。A-RISEのダンスや歌を見て素人みたいだって言うのはいくらなんでも」

 海未は自分の思うことを言った。

 

 しかし、空也はその話を聞いてただ単に生徒会長がスクールアイドルを嫌っているわけではないことが分かった。

空也「それって、そういえる何かを絢瀬生徒会長が持ってるってことなんじゃないのか?」

 何を持っているのかはわからないけど、確かにそう言えるほどの力はきっと持っているのだと空也は感じていた。

 

 そんな考えに至るのは簡単ではない。

海未「どういうことですか?」

 言われた海未もわからずに空也に訊ねる。

 

 しかしそれは空也には分らないこと。

空也「それは希先輩が応えてくれんだろ」

 だからそれは希に任せて自分も話を聞こうと思った。

 

 希は2人に確認を取るように、

希「知りたい?」

 と聞いてきた。

 

 答えはもちろん決まっていた。

海未「はい」

 希に渡されたものを見てみるとそこには楽しそうに踊っている絢瀬絵里の姿があった。その踊りに海未も空也も何も言えなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日

 

 屋上で真近に迫った夏を穂乃果たちは感じていた。

穂乃果「すごい太陽だね」

 ギラギラと照り付ける太陽を見てほのぼのする穂乃果。

 

 そしてこれから訪れる季節を感じて伸びをする凛。

凛「夏、かぁ~」

 

 そしてこれから運動する気満々のにこ。

にこ「よ~し。限界まで行くわよ~」

 

 しかしそれを見過ごさないのが希と空也だった。

希「何やってるん?」

空也「昼休みは部室で勉強だって約束だったんだけど」

 屋上のドアから急に現れた2人は、穂乃果たちをじっくりと見ていた。

 

 空也と希ににらまれた穂乃果は怯えていた。

穂乃果「いっいっいっいや、それはわかってるんです。わかってるんですけど」

 

 穂乃果に便乗して凛が、

凛「なんかちょっと体動かしたほうが頭にもいいかなぁ~って」

 自分の思っていたことを自由に言った。

 

 そんな中にこだけが、

にこ「私は2人に誘われただけよ」

 自分には非がないことを主張した。

 

 それを聞いた穂乃果たちは、

穂乃果「うわ~、嘘。にこ先輩が最初に誘ってきたくせに~」

 きっと空也たちに本当のことを伝えたいのかそんなことを言っている。

 

 穂乃果に続いて凛も、

凛「そうだよ~。希先輩と空也先輩の目にビビってるようじゃアイドルは務まらないとか何とかいって~」

 恐らくにこが言ってたであろう言葉を大声で叫ぶ。

 

 しかしそれをにこは認めない。

にこ「でたらめいうんじゃないわよ」

 穂乃果と凛に向けてそう言って怒鳴りつけた。

 

 しかし、そんなことは今の希と空也には関係なかった。

空也 希「「そう」」

 短くそう伝えて目をつぶる希と空也。

 

 そのままの体制で空也は希に話しかける。

空也「希先輩。これは最大のお仕置きが必要みたいですね」

 その話している空也の顔はこれでもかというくらい笑顔だった。

 

 その話しかけられている希も空也と同じくらいの悪い笑顔で、

希「そうやな。みんなにワシワシMAXや」

 にこにとっては死刑宣告と同義の言葉を言い放った。

 

 そしてそれに便乗した空也は同じく、

空也「俺はみんなにくすぐり地獄に行ってもらいますか」

 穂乃果にとってはにこと同じくらいの宣告を受けてしまう。

 

 にこもそれだけは回避しようと、

にこ「ワシワシだけはやめて~」

 両手を振って希が来ないようにしているがそんな行動は意味がなかった。

 

 穂乃果も空也が来ないように、

穂乃果「空也君のくすぐりはほんっとにやめて~。死んじゃうよ~」

 無駄な抵抗はなかったが何とか説得しようと試みた。

 

 しかし、穂乃果の言葉も無意味に終わり、

空也「死にはしない。ただ死にかけるだけだ」

 空也はその言葉を残し行動を開始した。

 

 その様子を見ていた凛はただただ今の希と空也に恐怖していた。

凛「先輩たち怖いにゃー」

 

 そうして希のワシワシと空也のくすぐり地獄を受けた後におとなしく3人は部室に向かった。

 

 3人が行った後。

希「ちょっとショックが強すぎたかな」

 昨日の動画を見せたせいで俯いている海未を見て少し後悔していた。

 

 しかし、希のその心配は空也にとっては無意味だった。

空也「心配ないですよ。あんなことで挫けるような奴じゃないので」

 長い時間を共にしていたからこそ生まれた決して崩れることのない信頼はこういう時にこそ発揮する。

 

 そんな様子の空也を見て希は憧れた。

希「ずいぶん信頼してるんやな」

 

 希に言われたことは、

空也「幼馴染ですから。それより部室に戻りましょう」

 この一言で済まされる。そう、ただ幼馴染だったからここまでの信頼を得られたし信頼することができた。

 

希「そうやね」

 空也に言われた希は屋上に海未を残し、部室に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部室に戻り先ほどの3人に向けてプリントを山のように積み上げ、

希「今日のノルマはこれね」

 希がそう宣言した。

 

 1日で終わらせるのはあまりに難しいその量に、

にこりんほの「「「鬼……」」」

 3人は希と空也にぼそりとつぶやいた。

 

 そのつぶやきを空也は聞き逃さない。

空也「まだお仕置きがたんないのか」

 両手を構えて先ほどそれを受けた3人はおびえて、

 

 素直に今回のノルマを受け入れた。

にこりんほの「「「まっさか~」」」

 

 そんな中重い表情をしていた海未が口を開く。

海未「空也、ことり。穂乃果の勉強をお願いします」

 それは今からどこかに行くということ。それを告げ部室を出ていく。

 

 あまりに突然のことで、

ことり「え……? うん」

 ことりも反応するのが精いっぱいだった。

 

 海未の行動には真姫も不思議に思ったらしく、

真姫「海未先輩、どうしたんですか?」

 ことりに海未の様子を聞くが、答えを知っているのはことりでも穂乃果でもなく、この場は空也と希しかいなかった。

 

 ことりは事情を知らないため、

ことり「さぁ~」

 曖昧に返すしかなかった。

 

 そんな中今回は自分がやることは勉強を教えることだとしっかりと理解している空也は、

空也「希先輩。にこ先輩のほうは見ときますんで、海未のとこに行ってきてくれませんか?」ボソッ

 こっそりと希に海未のことを頼んだ。それが空也が海未たちを信頼していることがすぐにわかるようにそして自分の役目をしっかりと果たせるように。

 

 空也の真剣さが伝わったのか希はあっさりと、

希「わかった。じゃあよろしゅうな、空也君」

 空也の言葉を受け入れ、部室を後にし海未のことを追った。

 




初めて絵里のことを絵里として描いた気がしますが、それもきっともうすぐ当然のことになるでしょう。

次回でテスト回は終わりになります。

そしてことり、誕生日おめでとう! 合宿回にはできないけど新学期始まったらすぐにやるからそれまで待っていてください!

次回『加速する物語』

それでは、次回もお楽しみに!



Twitter始めました。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!

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