ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回アニメ第5話分が終わります。

区切りがいいので今回は少し短いですが、楽しんでいただければ幸いです。

それでは、ようやく時間が動き出すにこを見守ってあげてください!


完成しつつある女神

 にことの初めての対話をした次の日の放課後。授業が終わりクラスのみんなが部活やら帰宅をしている。いつからだろうかこんなに放課後が苦痛になっていたのは……。部員のいない部室に顔を出すことが何よりもつらいにこ。抜けた部員と顔を合わせるのがつらいにこ。

 

にこside

 

 にこは今日も誰も待っていない暗いアイドル研究部の部室へと重い足を運んでいた。しかし、ドアを開けた瞬間。

 

 ガチャッ

 

 暗闇が突然明るくなりそこから今まで聞いたことのないような明るい声が部室の中から聞こえてくる。

7人「「「「「「「お疲れさまで~す」」」」」」」

 その声の原因は昨日追い返したμ'sであった。

 

 突然のことに驚いたにこは、

にこ「なぁ!?」

 少し後ずさりをしながらアイドルモードではない声を出す。

 

 驚いているにこをよそに、

穂乃果「お茶です部長」

 穂乃果はにこのことを部長と呼びお茶を差し出した。

 

にこ「部長!?」

 にこは自分のことを呼ばれ方に驚く。先ほどから驚いてばかりである。

 

 穂乃果に続きことりもにこに向かって口を開く。

ことり「今年の予算表になります部長!」

 ことりも穂乃果と同じようににこののことを部長と呼ぶ。

 

 にこのことを部長と呼ぶのは2年生たちだけではなかった。

凛「部長。ここにあったグッツ邪魔だったので棚に移動しておきました~」

 凛はにこのことを呼びながら机をたたいて事後報告をする。

 

 勝手に自分のものを触られたら怒るのは当然である。

にこ「こら! 勝手に!」

 だからにこは怒ろうとはしたが、

 

 それは真姫の言葉で遮られてしまう。

真姫「さっ参考にちょっと貸して部長のおすすめの曲」

 少し照れながらにこのことを部長と呼び話す。

 

 そして花陽の手には昨日見つけられなかったアイドルファンにとって特別なものを取り出し、

花陽「なっなら迷わずこれを」

 今日見つけたら先ほどまでずっと『伝伝伝』について長々と語っていた。ものすごくレアなものということしかわからなかったが。

 

 にこは自分のコレクションを勝手に触られてかなり焦る。

にこ「あ~。それは~!?」

 昨日は見つからずに心のどこかで安心していたにこは肩を落とす。

 

 空也はそんなにこのことよりも作戦を続けることにした。

空也「ところで次の曲の相談をしたいのですが部長」

 にこのことも空也は部長と呼び、アイドルにとっての心臓部分ともいえる曲の話に出る。

 

 真面目な海未は空也にサポートとはいえ作詞を手掛けているのだからさらに話を発展させる。

海未「やはり次はさらにアイドルを意識したほうがいいかと思いまして」

 恥ずかしがり屋の海未とは思えないほどの積極さをアピールする。

 

 そして海未に続いてことりは、

ことり「それと~振り付けも何かいいのがあったら」

 甘い声でにこに話しかけた。ことりが言ったことはアイドル活動をするうえで2,3番目に重要なことだった。

 

 そして調子に乗った穂乃果は、

穂乃果「歌のパートわけもお願いします」

 センスが一番問われるところまでにこに任せようとしていた。

 

 昨日と態度が全く違う様子を不審に思ったにこは、

にこ「こんなことで押し切れると思ってるの」

 この状況で相手が考えていることを口にする。たぶん今のにこは心が凍っている。

 

 しかし空也たちが行っているのは部活動に関する説得ではなかった。

空也「押し切る?」

 穂乃果の提案で始まった海未のときの過去を参考にしたこの計画は……。

 

 その計画は穂乃果によってにこに伝えられる。

穂乃果「私たちはただ相談しているだけです音ノ木坂アイドル研究部所属のμ'sのメンバー7人が歌う次の曲を」

 憧れているなら誘えばいい。そんな簡単な考えだ。これで海未が救われた。こういう簡単なようで難しい答えを導き出す穂乃果はやはりすごいと思う。

 

 しかし、穂乃果の言葉を聞いて、

にこ「7人…」

 にこは空也のほうを見た。まさかだがここまで来て自分が選ばれていることに気が付いていないのだろうか?

 

 空也はにこが何を思っているのかはわかってはいたが、

空也「そうです。にこ先輩、あなたがμ'sの7人目のメンバーです」

 その前ににこに真実を伝えるのだった。

 

 空也の言葉に自然に頬が緩むが、

にこ「厳しいわよ」

 このにこの一言でにこもそしてほかのメンバーも気を引き締めた。そしてその一言はにこの加入を肯定するものだった。ようやくここでにこの心が穂乃果の太陽のような光に当てられ溶けだした。

 

 穂乃果はその問いにガッツポーズをして答える。

穂乃果「わかってますアイドルへの道が厳しいことぐらい!」

 穂乃果は明るく答える。

 

 しかし穂乃果の言葉にかえってきたのは、

にこ「わかってない。あんたは甘々。あんたも、あんたも、あんたたちも。そして男のあんたも! いいアイドルっていうのは笑顔を見せる仕事じゃないの。笑顔にさせる仕事なの。それをよ~く自覚しなさい。そして作詞はそんなアイドルを最大限に輝かせる命にも等しいものなの。あんたもそれをしっかりと理解しておきなさい!」

 にこのアイドルへの想いであり、いまだにこの中ではμ'sはアイドルというものをしならないようだった。

 それにしても作詞のことまでわかってるとはさすがはアイドルに厳しい部長だ。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

希side

 

 生徒会室でふと空を見上げた希がある変化に気が付く。

希「えりち」

 その変化を自分の親友へと伝える。

 

 希に言われ外を見たアイドル研究部の部員名簿を見ていた生徒会長は、

絵里「ん?」

 その変化にすぐに気が付いた。

 

 その変化を希は口で言う。

希「見てみ。雨、止んでる」

 今朝の天気予報では雨は夜まで止まないということだったが、今はその雲から光が差し込んできている。人の想いが起きるはずだったことを凌駕して見せたかのように。その光は窓から見ていてもとても暖かかった。

 

 ちょうど生徒会室の窓からにこたちが練習しているところが見えた。にこの顔も同時に。希はにこが笑顔でいるのを見てとてもうれしくなっていたのは希の心の中に秘められていた。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 にこがアイドルについて叩き込んでくれるということで雨の上がった屋上に来ていた。なんだか今日はもう雨は降らなそうだ。

 

 集合しているほかのμ'sメンバーを前ににこが胸を張って、

にこ「いい。やると決めた以上、ちゃんと魂込めてアイドルになりきってもらうわよ。わかった!」

 にこのほうを見ている6人に向かって指をさす。その声はどこか楽しそうだった。

 

 そして空也は並んでいるメンバー全員を代表して

空也「にこ先輩よろしくお願いします」

 頭を下げるが、

 

 それと同時にほかの6人が、

6人「「「「「「はい!」」」」」」

 大きな声でにこの言葉に返事をした。

 

 しかし、その程度の声量ではにこは満足しなかった。

にこ「声が小さい!」

 こうなったにこはもう遠慮はしない。バシバシと気になったことを次々と言う。

 

 そんなにこの強い言葉にくじけるメンバーではない。

6人「「「「「「はい!」」」」」」

 もちろんしっかりとさっき以上の声を出して返事をする。

 

 その返事を聞いたにこは満足したのか今からやろうということの本題へと入る。

にこ「行くわよ~。にっこにっこに~。はい」

 自分の持ち前のコールをみんなにやらせることにした。

 

 にこのポーズをまねしてやってみる。

6人「「「「「「にっこにっこに~」」」」」」

 いまだやったことのない事のチャレンジで少しためらってしまう。

 

 そんな様子はにこの目からしたらはっきりとわかりきっていしまうこと。

にこ「全然ダメ。もう一回。にっこにっこに~。はい!」

 にこの持つやさしさか自分がもう一度やってお手本を見せる。

 

 そのお手本を見てさっき以上に堂々とやろうとする6人。

6人「「「「「「にっこにっこに~」」」」」」

 そんな中一人笑顔が不自然なメンバーがいた。

 

 当然にこはそのことに気が付く。

にこ「つり目のあんた。気合い入れて!」

 全員の名前をはっきりと覚えているわけではないため体の特徴で呼ぶがしっかりと全員が見えているにこはすごいと思う。

 

 真姫は自分の名前を言われなかったことに半ばやけになりながら答える。

真姫「真姫よ~!」

 考えてみれば初めてにこに名前を言ったのは真姫ということになる。

 

 注意を受けながらやっていると声がはっきりと出るようになってきた。

6人「「「「「「「にっこにっこに~」」」」」」

 

 だんだんと堂々とできるようになってきた様子を見てにこはだんだんうれしくなった。

にこ「はい。ラスト一回」

 

 にこの言葉に最後ということでさらに気合を入れて、

6人「「「「「「にっこにっこに~」」」」」」

 今持てる最高の声で答える。

 

 そんな様子を外から見ているとにこが本当に楽しそうだった。

空也「うれしそうですね。にこ先輩」

 空也はにこにそう言ってみる。

 

 年下に自分の感情を見透かされたのが恥ずかしかったのか、

にこ「うるさいわね。全然ダメ。あと30回」

 顔を赤くして空也に反論する。そしてそれはμ'sの6人への八つ当たりになってしまう。

 

 最後と聞いていたから精いっぱいやった凛は、

凛「えぇ~」

 当然反論するが、

 

 スイッチの入った穂乃果はだれにも止められない。

穂乃果「何言ってんの。まだまだこれからだよ。にこ先輩お願いします」

 にこの練習をやる気になってにこにそう言った。

 

 穂乃果の言葉が今のにこにはうれしくないわけがなかった。

にこ「よ~し。頭から、いっくよー」

 しかしそれでも年上のプライドなのか出てきた涙をふき取り堂々とにこ式発声法の始まりを行った。

 

 

 

 

 

 ようやくにこは手に入れたのだ。自分と同じ目標を持った最高のメンバーを。だからもうにこは一人じゃない。きっとこれからは今までよりまぶしい自然な笑顔が見れるだろう。それがきっと本当のにこの正体なのだから。

 

 

 

 

 ともあれ9人の女神と呼ばれる名前のグループに7人目のグループができた。残りの2人がどうなるのかはわかっていないが、きっと来るだろう。そう…夢見たのだから。

あれは予知夢なのはわかっている。だから絶対に実現させて見せる。

 

 そう、空也は誓ったのだった。

 




にこ加入しました! そしてサラッと全開で出せなかった伝伝伝が登場。花陽の見せ場奪ってごめんよ…。

まぁ、5話が完結しまして次回から『センターは誰だ!』回に入ります。この話の内容は覚えておくともしかしたら私が何をしようとしているのかが分かるかもしれませんね。

次回『取材される女神』まさかの女神関係、2話連続のサブタイ⁉

それでは、次回もお楽しみに!



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