ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
今回から、『にこ襲来』回になります。さらにようやくこの作品でしか見れない掛け合いも出てくるので後々楽しみにしていてください。
それでは、成長を重ねる女神たちの物語が今回も始まります!
空也side
毎朝の習慣になったμ'sの朝練に空也は到着した。どうやら先客がいたようだ。
ことり「よいしょ。うんしょ」
ことりは息を吐きながらストレッチをしていた。
空也は先に来ている幼馴染に声をかける。
空也「早いなことり」
空也は極力1番最初に来ようと思っていたのだがここ最近はそれができないでいる。それほどまでに頑張ろうと思っているから早いのだろうからそれはそれでうれしいことだ。
空也に声をかけられたことりはこちらに向かって返事はするが、
ことり「うん……。え?」
なぜか急に後ろを振り返る。
ことりの不可解な行動を疑問に思う空也は、
空也「どうした。ことり」
手っ取り早くことりに聞くことにした。
空也に聞かれたことりは、
ことり「なんでもないと思う」
そう言いながら不安げに空也の顔を向けた。
すると階段のほうから穂乃果が走ってやってくる。
穂乃果「ごめんごめん。まった~?」
少し遅れてはいるがそれでも集合時間より早く来た穂乃果はそう言って、空也たちに話しかける。
穂乃果の言葉に、
ことり「ううん。私もさっき来たところだから」
空也「俺も今さっき来たとこだから。海未は弓道の朝練だってさ」
ことりと空也はいつも通りの受け答えをした。そして、海未は掛け持ちをしている弓道部の朝練へと向かっていた。
海未のことを今日初めて知った穂乃果は、
穂乃果「そっか~」
そう言いながら頑張っている海未を尊敬していた。
そんな話をしているとまたもやことりが後ろを振り向く。
穂乃果「ことりちゃん?」
その動作に空也同様疑問に思った穂乃果はことりに聞く。
同じようなことが2度あったことからことりは自分の考えていたことを空也たちに口にする。
ことり「穂乃果ちゃん、空也君。さっき後ろに誰かいなかった」
ことりは後ろに視線を感じたらしい。それは女の子にとっては恐怖以外の何物でもない。
ことりのことを心配した空也は、
空也「ちょっと待ってろ」
ことりを1人にしないため穂乃果を残し、視線を感じたというところへと急いで向かった。
そこにいたのは季節外れのコートにサングラスにマスクをつけた。完全に不審者と言っていいような恰好をした女性だった。
空也「そこで何やってんだ!」
大事な幼馴染を怖がらせたということで少し頭に来ている空也は声を荒げて聞いた。
しかしその空也の問いは、
にこ「あんたたち、解散しなさい!」
マスクを取ってそう答えるが全く回答になってなかった。
そこにツッコミを入れる空也だがそこであることに気が付く。
空也「答えになってないだろ。ってあなたは音ノ木坂の三年生ですか?」
その人の顔が海未がチラシを配っているときに初めて勇気を出して渡そうとして受け取ってもらえなかった人だったと。その人の学年は3年生であったことですぐに敬語をつけて話すことにした。
空也にそう聞かれたにこは、
にこ「そうよ。あの子たちに伝えなさい。解散しなさいって」
もう一度空也にそう伝え走り去っていってしまった。
それから穂乃果とことりのもとへ向かい言われたことを伝えたが、それでも2人のやる気は落ちなかった。
それから放課後。μ'sの練習が始まる。
穂乃果はメンバー表と練習メニューが書いてあるボードを持ち、
穂乃果「それではメンバーを新たに加えた新生スクールアイドルμ'sの練習を始めたいと思います」
胸を張りそう宣言をした。
しかし、それは空也たちからしたら、かなり聞き飽きたものだった。
空也「いつまで言ってんだよ。もう2週間もたってるんだぞ」
μ'sが6人になってからもう2週間がたとうとしていた。
空也にそう言われた穂乃果はそれでも興奮した様子で、
穂乃果「だって! うれしいんだもん!」
本当にうれしそうに空也に言った。
ここまで嬉しそうは穂乃果を微笑ましく思った空也は、
空也「ふぅ」
溜息を吐きながらも自然と頬が緩んでしまう。
一通り空也との会話が終わった穂乃果は、
穂乃果「なのでいつも恒例の、1!」
毎日やっている番号で点呼を取っていた。
そして次にいうのは、次に始めると言い出したことり。
ことり「2!」
そしてことりに背中を押されて始めることを決意した海未。
海未「3!」
その次は好きに順番を決めていいといった時にすぐに4番を取った真姫。どうやら4に思いれがあるようだった。
真姫「4!」
次にいうのは花陽が最後がいいということだったので残った凛がとることになったが番号を言う。
凛「5!」
そして最後がいいといった花陽で最後を飾る。
花陽「6!」
花陽が言い終わると空也は、
空也「6人か……」
μ'sのメンバーが6人になったことを再確認していた。
しかしそんな空也に不満を持った穂乃果が、
穂乃果「ちょっと空也君?」
頬を膨らましながら空也に話しかけた。
穂乃果に話しかけられた理由がわからない空也は、
空也「なんだ?」
なぜ穂乃果が不機嫌になったのか理解ができなかった。
自分の伝えたいことを理解してくれない空也にさらに不機嫌になった穂乃果は、
穂乃果「なんだじゃないよ! なんで番号言わないの⁉」
どうやら空也が番号を言わなかったことに不満があったようだ。
しかし、いくら穂乃果に言われてもなぜか空也は番号をいうことをしなかった。
空也「俺はμ'sじゃなく、μ's専属の作詞家だ。そのうち機会があったら言わせてもらうよ」
それらしい理由を言ったが実は他に理由があった。夢で見た穂乃果たちは9人だった。そして”μ's”という名前。なぜかそれらの一致は偶然とは思えなかった。
空也の言葉に何とか納得した穂乃果は、
穂乃果「約束だからね」
空也の言っていたことは絶対に言わないということではなかったためそう約束取り付けた。
その約束を空也は守りたいと思った。
空也「あぁ」
だから力強くそう返事をした。
穂乃果は空也の目をじっと見て安心したのか話題を変える。
穂乃果「でもメンバーか6人ってアイドルみたいだよね~! いつかこの6人が神シックスだとか仏シックスだとか言われるのかな~!」
穂乃果はそんな理想を思い描いていた。しかしネーミングが微妙だ。
花陽「仏だと死んじゃってるみたいだけど」
すると花陽は穂乃果の発言にツッコミを入れる。
そしていつもとほぼ変わらないやり取りを見ている凛は、
凛「毎日同じことで感動できるなんて、うらやましいにゃー」
褒めているのか貶しているのかわからないセリフを言ってのける。
穂乃果はそんなことを気にせずに喜びの中に入り込んでしまっていた。
穂乃果「私賑やかなのだいすきでしょ。それにたくさんいれば歌が下手でも目立たないでしょ。あとダンスを失敗しても……」
穂乃果がしょうもないことを言うのでそれを聞いた海未と空也は、
空也 海未「「穂乃果?」」
トーンの低い声で穂乃果に問いかける。
穂乃果も2人がまとっている雰囲気を察し、
穂乃果「うぐっ。冗談冗談」
すぐに訂正してへらへらと笑うが……。
ことりがそのことを今朝のことと一緒に注意をする。
ことり「そうだよ。ちゃんとやらないと、今朝言われたみたいに怒られちゃうよ」
解散しろと言われたということはこちらに何か不満な点があるということだ。それを変えるためにμ'sは活動していかなければならない。
そしてその場にいなかった海未は、
海未「確か、解散しろっといわれたんですよね」
話に聞いていたことを改めてその事実を確認する。
空也は、まだ言っていない情報をみんなに伝えた。
空也「あぁ、海未がチラシを渡そうとしていらないって言われた先輩にな」
その情報は穂乃果とことりと海未にしかわからないことだったがそれでも誰かが分かるだけ安心できるだろう。
その言われた言葉に対して凛は、
凛「でもそれだけ有名になったってことだよね」
そうポジティブに考える。ものの考え方はこの考え方か言われたことに落ち込むかと2通りしかないだろう。
廊下でこんな話をしていると今までしゃべらなかった真姫が口を開く。
真姫「それより練習。どんどん時間なくなるわよ」
これは珍しい。真姫がやる気のある言葉を言って練習を始めようと催促してくる。
その真姫の様子を見て空也は、
空也「お! 真姫はやる気だな」
真姫のやる気に感動した。少しは真姫が素直になり始めていることだ。うれしい以外の感情はなかった。
それは凛も一緒なようで、
凛「やる気満々だにゃー」
真姫の変化をうれしく思っていた。
でもまだ完全には素直になれない真姫は、
真姫「わっ私はただとっととやって早く帰りたいの」
顔を赤くしてそう答えても説得力はない。
それに気が付く凛もさらに真姫を追い詰める。
凛「またまた~。お昼休み見たよ~。1人でこっそり練習しているの」
凛の話を聞いて真姫はさらに顔が赤くなる。
しかし、真姫の恥ずかしさが頂点に達し、
真姫「あっあれはただ、この前やったステップがカッコ悪かったから、変えようとしてたのよ。あまりにもひど過ぎるから!」
そっぽを向きながらそう答えるが、それはメンバーのうちの一人を傷つける言葉だった。
海未が必死になって考えた振付について言われたため……。
海未「そうですか」
かなり落ち込んだような声を発していた。
海未の声がした途端真姫は、海未のほうへと向いた。
真姫「ん?」
真姫の視線の先には、髪をいじりながら落ち込んでいる海未の姿があった。
海未「あのステップ私が考えたのですが……」
そう言いながらさらに落ち込む海未。
その様子を見ていた凛は、
凛「気にすることないにゃー。真姫ちゃんは照れくさいだけだよね」
自覚がないがフォローを入れた。その際に階段に上って言ったためほかのメンバーからは階段の上の窓から今の外の天気がわかる。
そう…わかってしまうのだ。
6人「「「「「「あ……」」」」」」
凛以外の6人が理解した外の天気。それは…。
空也「雨だ……」
空也の言った通り雨が降っていた。屋上に行くまでに止むかと淡い期待をしていて屋上へと向かう。
しかしそんな都合のいいことは起こらず、雨は降り続いていた。
穂乃果「土砂降り~」
しかも、先ほどよりも強く……。
外の天気を見てことりが思い出したかのように、
ことり「梅雨入りしたって言ってたもんね」
今朝天気予報で言っていたことを思い出していた。
梅雨入りしたことに不満がある穂乃果は、
穂乃果「それにしても降りすぎだよー! 降水確率60%って言ってたのに」
外の天気に向かってそんな不満を吐き出しながらがっくりとうなだれる。
真姫「60%なら降ってもおかしくないんじゃない」
真姫はもっともなことを言う。
それに空也も真姫の言葉に同調する。
空也「そうだな」
穂乃果はそれを聞いてもお菓子をねだる子供のように駄々をこねる。
穂乃果「でもっ! 昨日も一昨日も60%だったのに降らなかったよ」
穂乃果は数学でやった確率を覚えていないのか? そう思う空也だった。
そんなことを考えながら外を見ていた。そうしたら外の状況が少し変化した。
空也「お、雨が少し弱まったぞ」
さきほどまで音を立ててまで降っていた雨が小雨まで弱まってきた。
空也の言葉を聞き外を見た穂乃果は、
穂乃果「ほんとだ」
そう言いながら屋上へつながるドアを開けた。
弱まった雨に喜ぶ外に飛び出す穂乃果。
穂乃果「やっぱり確率だよ~! よかった~」
その穂乃果の顔は練習ができるということがうれしくてたまらないという表情だった。
そしてそれは凛も同じだった。
凛「この位なら練習できるよ~」
体を動かすことが好きな凛は穂乃果同様かなり喜んでいた。
しかし外の状況はいいものとは言えなかった。
空也「けど、足場は滑りやすいぞ」
今まで雨が降っていた足場に弱くなったとはいえ、今も雨が降り続いている。ところどころには水たまりもできて危ないんじゃないかと空也は判断した。
海未も空也の言っていることを理解して穂乃果と凛を止めようとする。
海未「それにまたいつ降り出すかもって あ!」
それでも海未が話している最中に運動をしたくてうずうずしていた2人は走り出す。
走ってみて思ったことを穂乃果が口にする。
穂乃果「大丈夫大丈夫。練習できるよ~」
そうはいってもピチャピチャ音を立てている状況では、説得力はないに等しい。
それでも凛は動きたくてしょうがなかったようだ。
凛「う~、テンション上がるにゃー!」
凛が自分で言った通りテンションが上がっているようで、凛はその場で持ち前の運動神経を使ってアクロバティックな動きをして見せる。そして最後に少々回転をしてポーズを決める。
しかし、最後のポーズをとった瞬間さらに雨がまた強く降り出した。
真姫「私帰る」
その様子を見た真姫は短くそう残し階段を下りて行った。しかしその下りた先で一番残念そうな顔をしていたのはこのメンバーは知らないでいた。
去っていく真姫に少し残念に思う海未は、
海未「あ……」
止めようと声をかけようと思ったのだが……、
アイドルが好きな花陽まで、
花陽「私も今日は……」
帰ると言い出す。まぁ、それは仕方のないことだろう。
空也はそれに気が付き、
空也「そうだな。風邪ひいたりすると困るし」
残っている人にそう伝えた。これから活動していのに部活動でもない活動で風邪をひいたとなってはμ'sの評判にも影響しかねないためだ。
空也の考えを知ってかそれとも常識的に考えたのか、
ことり「そうだね。また明日にしようか」
ことりは空也の意見に賛成した。
空也たちが話していることが聞こえた穂乃果たちは屋内に入ってきて、
穂乃果「え~!? 帰っちゃうの~?」
そう言って抗議してきた。
穂乃果に続きさきほどまで出ていた凛も穂乃果の味方をする。
凛「それじゃあ凛たちがバカみたいじゃん」
しかし凛の行動を見てもそして穂乃果の行動を見ても凛の言葉を否定できない状況であった。
空也 海未「「バカなんだろ(なんです)」」
そのため海未と空也からツッコミをもらってしまった。
それを聞いて少し落ち込んだ穂乃果と凛だったが海未はさらに言葉を続ける。
海未「ですが、これからずっと雨が続くとなると、練習場所を何とかしないといけませんね」
そう、梅雨入りしたということはこのままでは練習できなくなる可能性があるということだった。そのため何か手を打たないと活動ができないのだ。
そこで花陽は無難な考えを空也たちに伝える。
花陽「体育館とかはダメなんですか?」
活動当初も真っ先に出た案がもう一度出てくるが時間が何とかしてくれることではないので
空也も前に言われたことを花陽に伝えることしかできなかった。
空也「体育館も講堂もほかの部活が使ってるから無理なんだ」
体育館の次に挙がるであろう講堂を付け加えながら。でも、そうなったらまじめに何かを考えなければならない。さて、どうすることがいいのだろうか?
side out
希side
階段のそばの壁に隠れて下りてくる真姫のことを確認した希は、後ろにいる小柄な少女に向かって、
希「どうやらあの子ら、やめるつもりはないようやで、にこっち」
そう伝える。μ'sは今朝解散しろと言われても放課後に活動をしている。それが彼女たちの答えなのだろう。
それを伝えられたにこは目を細め不機嫌になりながら、
にこ「ふん」
そう言ってその場を後にした。そう言って彼女が向かった先は誰も待っていない部室だった。
今回も読んでいただきありがとうございました。
真姫の点呼の理由が4月生まれだからじゃないかと書いてて気が付いた自分です。
そして夢の話が今回少し出てきましたね。これは反省会の回で最後に出たところとあらすじにも書いてあることです。
次回『にこの気持ち』
それでは、次回もお楽しみに!
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