ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回で『まきりんぱな』回は終わりになります。

前回の花陽の決意は、今回どのようになるのでしょうか?

それでは、悩める彼女たちの選択をしっかりとみてあげてください。


6人になった女神

 授業で失敗してしまった花陽は中庭で一人でいた。

 

 失敗してしまったタイミングが悪かったためなかなか立ち直れずにいた花陽。

花陽「はぁ~」

 そうやって溜息をしていると誰かから声をかけられる。

 

 それは昨日応援をしてくれると言ってくれた真姫だった。

真姫「何してるの?」

 少し呆れながらも心配してくれていることのわかる声に花陽は顔を上げる。

 

 花陽は声をかけてくれた人の名前を呼ぶ。

花陽「西木野さん」

 誰かが聞いてくれるということはうれしいことだった。

 

 さらにそこで真姫は少しアドバイスをする。

真姫「あなたは声はきれいなんだから、あとはちゃんと大きな声を出す練習すればいいだけでしょ」

 声を出すことに関しては真姫はかなりのアドバイスをすることができる。そして花陽の声はとてもきれいな声なのだ。ただ少し大きな声の出し方が分からず出せないだけだ。

 

 それでも先ほどの失敗はそんな自信をすべてなくしてしまうには十分すぎたのだ。

花陽「でも……」

 だから花陽は今の自分が信じられない。

 

 もう言葉だけではダメだと察した真姫は、

真姫「ふぅ~。あ~あ~あ~あ~あ~。はい」

 簡単な発声練習を行い花陽の自信につなげることにした。

 

 急に発声練習を始めた真姫に戸惑う花陽。

花陽「え?」

 

 そして発声練習を始めた真姫のスイッチは入っているので、

真姫「やって」

 短くそう伝える。

 

 真姫に言われ花陽も発声練習をすることにした。

花陽「え? あ、うん…。ぁ~ぁ~ぁ~ぁ~ぁ~」

 しかし花陽から出た声は小さく真姫にはそれほど聞こえなかった。

 

 花陽の声を聴いた真姫は、

真姫「もっと大きく。はい立って」

 大きい声が出るように座っていた花陽を立つように指示する。

 

 今まで真姫のそんな一面を見たことがないため戸惑いながらも指示に従う花陽。

花陽「はい!」

 

 先に真姫がやり始め、

真姫「あ~あ~あ~あ~あ~」

 

 そのあとを花陽が追う。

花陽「あ~あ~あ~あ~あ~」

 

 そして花陽が言い終わったと同時に

真姫「一緒に」

 今度は2人で一緒にやるように指示をする。

 

 指示された花陽は、今までと同じまでやることができ、

真姫 花陽「「あ~あ~あ~あ~あ~」」

 真姫とずれることなくきれいなハモりを奏でて見せた。

 

 きれいな音を奏でることのできた花陽は、

花陽「は!」

 その達成感から自然と笑顔になった。

 

 キレイにハモることができた真姫は、

真姫「ね、気持ちいいでしょ」

 歌うことの楽しさを花陽に伝えたかったのだ。

 

 それが花陽に通じて、

花陽「うん。楽しい」

 さきほどまでの自信のない花陽はすっかりいなくなっていた。

 

 その間に少し間があいたことで、真姫は恥ずかしくなってしまい、

真姫「……。はい、もう一回」

 もう一度、練習をしようと思ったのだが……

 

 ちょうど凛が花陽に話しかけてきた。

凛「かーよち~ん。西木野さん? どうしてここに?」

 普段一緒にいるところを見ない真姫と一緒にいるとが珍しく凛は疑問に思っていた。

 

 花陽は幼馴染で自分のことを心配してくれた凛に事情を話す。

花陽「励ましてもらってたんだ」

 昨日話をしたのがきっかえで話しかけてくれた真姫には今は感謝しかない。

 

 それでも真姫の性格が少し花陽の感謝を受け取るのに躊躇する。

真姫「私は別に……」

 顔を赤くしてそういう真姫はことごとく損な性格なんだと思う。

 

 恥ずかしがっている真姫をよそに凛は凛の思う花陽にとっての最善の行動ををする。

凛「それより、今日こそ先輩のところに行ってアイドルになりますって言わなきゃ」

 引っ込み思案の花陽は半ば無理やり入れてあげた方がいいという凛の考えだ。最初からやろうとは思っているのだからモチベーションにはさほど関係がない。だから花陽の手を取った。

 

 それをわかっている花陽は、

花陽「うっうん……」

 凛の手を離さないではいたが花陽はその場少し戸惑ってしまう。

 

 そんな花陽を見た真姫は花陽のことを心配して、

真姫「そんなに急かさないほうがいいわ。もう少し自信を付けてからでも」

 安全な方法を凛に告げる。

 

 しかし、凛は知り合って間もない真姫に花陽のことを言われ、

凛「なんで、西木野さんが凛とかよちんの話に入ってくるの!」

 少し感情的に真姫に言った。

 

 やや強めに言われた真姫は向きになって、

真姫「……! 別に歌うならそっちのほうがいいって言っただけ」

 凛に向かって口論を始める。

 

 真姫の言葉がきっかけでさらに口論は激しくなる。

凛「かよちんはいつも迷ってばかりだからパッて決めてあげたほうがいいの」

 花陽のことを誰より知っている凛は花陽の性格から最善策を真姫へと告げる。

 

 しかしそれでも真姫は少し話しただけだが花陽のことを少しは理解はしている。

真姫「そう? 昨日話した感じだとそうは思わなかったけど」

 確かにはっきりとした意志は花陽の心の中にはっきりと存在している。

 

 そんな口論を見ている花陽は2人のことが心配になって、

花陽「あっあの、喧嘩は……」

 仲裁に入る。が、しかしその瞬間真姫と凛は目線で火花を散らしていた。

 

 その仲裁が聞いたのか口論は自然になくなった。

凛「かよちん行こう。先輩たち帰っちゃうよ」

 ここからは口論ではなく行動に移そうとした凛は花陽の腕を両手でつかむ。

 

 それでも今までアドバイスをしてくれた真姫を置いていくのは気が引けた花陽は、

花陽「え!? でも……」

 少し凛の動くスピードを緩めた。

 

 その間に真姫が花陽のもう片方の手首をつかむ。

真姫「待って!どうしてもっていうなら私が連れていくわ。音楽に関しては私のほうがアドバイスできるし、μ'sの曲は私が作ったんだから」

 そこで宣言したのは今まで頑なにごまかしてきた事実。それほどまでに真姫は本気だった。

 

 そして知られざる真実を知った花陽は、

花陽「え!? そうなの!」

 真姫のすごさに今まで以上に驚く。

 

 花陽の言葉で少し冷静になった真姫は、

真姫「え! いや、えっと……。ん、とにかく行くわよ」

 もうどうにもならないことを悟り凛の前に出るべく歩き出した。

 

 それに対抗して凛も真姫の前に出るべく歩き出す。

凛「待って。連れてくのは凛が!」

 

 凛が動き出したのを見た真姫はさらに歩くスピードを上げる。

真姫「私が!」

 

 以下何回か繰り返し続けるが、

花陽「だっ誰か助けて~!」

 ずっと引っ張られ続ける花陽はそう叫ばざるを得なかった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 もう日が暮れ始めた時間帯に花陽を連れた真姫と凛が3人で屋上にやってきた。

 

 凛と真姫の話を聞く限りだと……

空也「要するにμ'sのメンバーになるってことか?」

 そうとしか聞こえなかった。

 

 どうやら空也の考えは間違ってはいなかったらしい。

凛「はい。かよちんはずっとずっと前からアイドルやってみたいと思ってたんです」

 凛は知っている。どれだけ花陽がアイドルになりたかったかを。

 

 それに続き真姫は、

真姫「そんなことはどうでもよくて、この子は結構歌唱力があるんです」

 真姫は知っている。花陽のきれいな声が歌になると最大限に発揮されることを。

 

 真姫の言葉を聞いた凛は少し気に障ったようで、

凛「どうでもいいってどういうこと!」

 また真姫に言いかかる。

 

 言いかかってきた凛に真姫は、

真姫「言葉どうりの意味よ」

 顔をそむけてそう言った。

 

 半ば無理やり連れてこられた花陽は、

花陽「私は、まだ…。なんて言うか…」

 まだ決心がついていない。だからはっきりと言えない様子だった。

 

 ここまで優柔不断な花陽ももう見ていられなくなった凛は、

凛「もぅ、いつまで迷ってるの! 絶対やったほうがいいの」

 もう一度花陽に語り掛けた。

 

 今まで反発していなかった真姫も、同じ気持ちだった。

真姫「それには賛成。やってみたい気持ちがあるんだったらやってみたほうがいいわ」

 だから真姫は花陽の背中を押す。

 

 2人に応援されても性格はそんなに早くは変わらない。

花陽「でっでも……」

 だからいつまでもやりたいとは言えない。

 

 いつまでも悩んでいる花陽にしびれを切らせた真姫は先ほどのエールと一緒に

真姫「さっきも言ったでしょ声出すなんて簡単。あなただったらできるわ」

 アドバイスを与えた。

 

 そしてそれに負けじと凛も花陽に語り掛ける。

凛「凜は知ってるよ。かよちんがずっとずっとアイドルになりたいって思ってたこと」

 幼馴染でずっと見ていたからわかる。どれだけ花陽が本気でアイドルになりたがっていたかを。

 

 2人の言葉にようやく決心がつき始めた花陽は、

花陽「凛ちゃん……西木野さん……」

 もう一度凛と真姫の顔を見た。その2人の目は本気で花陽のことを応援していた。

 

凛「頑張って凜がずっとついててあげるから」

真姫「私も少しは応援してあげるって言ったでしょ」

 2人は花陽のことを応援したいと思っている。だからこんなに世話を焼くし優しく微笑むことができる。

 

 その顔を見た花陽は完全に決心が固まる。

花陽「えっと……。私……、こっ小泉」

 ただもし断られた場合を考えると声がはっきりとは出ない。

 

 そんな花陽の心情を察したのか凛と真姫は花陽の背中をやさしく押した。

花陽「私、小泉花陽といいます。1年生で背も小さくて、声も小さくて、人見知りで、得意なものも何もないです。でも、でもアイドルへの思いは誰のも負けないつもりです。だから、μ'sのメンバーにしてください!」

 背中を押されたことで先ほどの不安はなくなりハキハキと伝える花陽。深く頭を下げてるため空也たちのことは見えてはいないがこちらに歩いてくる足音が聞こえた。

 

 やがてその足音が聞こえなくなると穂乃果が、

穂乃果「こちらこそ。よろしく」

 そういって花陽に手を差し伸べた。そして互いに握手をする。これでもう花陽は立派なμ'sのメンバーになった。

 

 その様子を見ていた凛と真姫は、

凛「かよちん。えらいよ~」

 

真姫「何泣いてるのよ」

 

凛「だって~、西木野さんも泣いてる?」

 

真姫「誰が泣いてなんかないわよ」

 感動し涙していた。

 

 しかし、空也たちはそれで終わらせる気がなかった。

空也「それで2人はどうするのかなー」

 わざとらしくそういう空也に真姫と凛はもう一度μ'sの方を向く。

 

 空也が言ったことに合わせことりも、

ことり「そうだよ。2人はどうするの?」

 真姫と凛を勧誘しようと思った。

 

 その質問の意味が分かった2人は、

真姫 凛「「どうするって、え!?」」

 自分のことも勧誘されるとは思わなかったためとても驚く。

 

 最後に海未が手を差し伸べて

海未「まだまだメンバーは募集中ですよ」

 そう言った。それはのちに2人を救う言葉になったのは今はまだ誰も知らない。

 

 海未の言葉に合わせ、

ことり「うん!」

 ことりも2人に手を差し伸べる。

 

 誘われていることにうれしくなり先ほどまで喧嘩していた2人は互いに顔を見合わせ、海未とことりの手を取った。

 

 これで真姫も凛もμ'sのメンバーになったわけだ。

 

 

 

 

 

 次の日

 

 朝早くに神田明神に集合していた。それは昨日新メンバーになった1年生たちも一緒だった。

 空也は一番に来るようにしていたのだがどうやら先客がいたようだ。

 

 その後ろ姿を見た空也はそれが誰なのかを分かった。

空也「小泉さん。早いねって、メガネ取ったんだ」

 挨拶をしたのと同時に振り返った花陽を見て昨日とは違う様子にすぐに気が付く。

 

 花陽は空也に聞かれたことをこたえる。

花陽「はい。それで、私の事……。名前で呼んでくれませんか?」

 そして顔を赤らめへ空也にお願いをする。

 

 確かに同じグループのメンバーになったからには心の距離を縮めなければならないが奥手な花陽がそう提案してくるとは思わなかった。

空也「え? 名前で呼んでいいの?」

 

 空也に言われた花陽は、 

花陽「はい。お願いします」

 はっきりと空也にお願いをする。

 

 そこまで言われたからには空也も断る理由がない。

空也「そっか、じゃあこれからよろしくな。花陽。俺の事も空也でいいから」

 だから了承するし、自分のことも名前で呼んでもらおうとする。

 

 自分から言い出したことだから素直に空也のことを名前で呼ぶ。

花陽「はい。わかりました。空也先輩」

 まぁ、だからと言って先輩後輩の関係が壊れるわけではないから先輩が付くのだが……。

 

 花陽とそういう話をしていると階段から真姫と凛がやってくる。

凛「かよちーん。時坂先輩~」

 それにしても新しく入ったから気合いが入っているようで穂乃果たちが来る前に1年生が全員集合した。

 

 花陽と空也はきた2人へとあいさつをする。

花陽「おはよう」

空也「おはよう」

 花陽は凛たちに背中を向けていたので振り返りざまに挨拶をする。

 

 振り返った花陽を見ると凛はいつもとは違う点にすぐ気が付いた。

凛「あっあれ、メガネ取った?」

 今までメガネを取ることなんて滅多になかったことから凛はびっくりする。

 

 空也に聞かれたことをもう一度凛に聞かれた花陽は

花陽「コンタクトにしてみたの。変、かな?」

 空也には聞けなかったことを凛たちに聞いた。男の空也には聞けなかったようだ。

 

 花陽のその質問に凛はすぐに答えた。

凛「ううん。全然可愛いよ。すっごく」

 凛は素直に花陽に言った。

 

 それと同時に真姫も花陽に向かって感想を言う。

真姫「へぇ、いいじゃない」

 なかなか素直になれない真姫が素直にほめるというのはかなりの高評価である。

 

 感想をくれた真姫のほうを向き、名前を呼ぶ。

花陽「ん、西木野さん」

 

 しかし名前を呼ばれた瞬間に少し顔を赤らめながら、

真姫「……ねぇ、メガネ取ったついでに名前で呼んでよ」

 真姫にしてはかなり踏み込んだところまで行く。

 

 突然のことっで少し反応が鈍くなるが、

花陽 凛 空也「「「え?」」」

 

 真姫が3人のことを名前で呼ぶ。

真姫「私も名前で呼ぶから。花陽、凛、空也先輩」

 そのことから空也たちもうれしくなった。

 

 だから空也はすぐに真姫のことを普通に呼んだ。

空也「おう、よろしくな真姫」

 呼び捨てになるのは基本名字以外では呼び捨てだという空也なりのルールだ。

 

 凛は真姫にはもう許可されいたためまだ許可されていない空也にまずは挨拶をしようとした。

凛「じゃあ凛も名前でお願いします。空也先輩」

 空也に先に挨拶をしたのは、凛也にこれからやりたいことがあったためだ。

 

 空也も凛に挨拶を返す。

空也「あぁ、わかった。凛」

 これで空也はμ'sのメンバーは全員名前で呼ぶことになった。

 

 そして挨拶を終わった凛は真姫のほうを向き、

凛「挨拶が終わったところで、真姫ちゃ~ん。真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん」

 照れていた真姫のことをひたすら呼んだ。

 

 案の定凛に名前を呼ばれ続けた真姫は顔を赤くして、

真姫「何よ~!」

 顔をそらそうとするが……

 

 凛は真姫がそんな態度をとってもただひたすら名前を呼び続けた。

凛「真姫ちゃん、真姫ちゃ~ん」

 真姫の頬に凛の頬をこすったりしたりかなり凛は真姫になついたようだ。

 

 恥ずかしさがもう頂点まで来た真姫は、

真姫「うっうるさい」

 顔を真っ赤にしてそれでも嬉しそうにそういった。

 

 そして花陽も初めて真姫にちゃんと名前で呼んだ。

花陽「よろしくね。真姫ちゃん」

 

 凛は初めて見る真姫の様子に、

凛「照れてる照れてる」

 うれしくなってまた抱き着く強さを強くした。

 

 しかしそれを認めるほど真姫は素直ではない。

真姫「照れてない!」

 だから否定をする。

 

 その様子を見ていた空也は抱き着きすぎてだんだん顔が赤い真姫の顔は青くなってきていた。

空也「そこまでにしとけよ……」

 さすがに止めないわけにはいかないのですぐさま止めに入る。

 

 これからμ'sはかなり騒がしくなりそうだ。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にこside

 

 その一方音ノ木坂学院にあるある一室では、μ'sの6人が写った写真が張り付けてあるサイトを見ていたにこは、

にこ「アイドルって……」

 自分の目指しているアイドルではないことから…

 

 前にあるパソコンのμ'sのページに、『アイドルなんて10年早い』という文面を送信した。

にこ「フッ」

 その行動をしたにこは、かなりの達成感を見ることのできる顔で笑った。

 

 これからまた物語は加速するようだ。

 

side out

 




今回かなり長くなりました。プロローグなんて4000文字言ってないんですよ!?

まぁ、それはさておき次回からは『にこ襲来』の回に入ります。そこではなんとこの作品のオリジナル要素が強く発揮される回になります。

次回『ストーカー?』

それでは、次回もお楽しみに!



Twitter始めました。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!

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