ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回は、D.C.キャラクターの一人がオリジナル設定で登場します。

登場キャラクターは設定集で出してますがこの話を見ていただければ大丈夫です。

それでは、悩める彼女たちの想いをどうか見届けてください。


ささやかなアドバイス

空也side

 

 昼休みに勧誘できなかった分放課後に勧誘に来た空也が凛と花陽に話しかけていた。

空也「うーん。スクールアイドルになりたいけどなれないって人3人をスカウトに来た」

 そう。なかなか自分の気持ちに素直になれない彼女達に直接勧誘しに来たのだ。

 

 3人という人数に疑問を持った花陽は空也に聞いてみることにした。

花陽「3人ですか?」

 

 その数字を聞いた凛は先ほどからそのことを話していたこともあってすぐに1人の名前を言い当てる。

凛「1人はかよちんだにゃ」

 空也が呼びに行ったとはいえ大急ぎで講堂に向かった様子からしてアイドルが好きなのは空也にもわかっていた。

 

 それと空也には一つ初めて分かったことがあった。

空也「にゃ、か。で、もう1人は西木野さん。最後が、君だよ。星空さん」

 凛が語尾に”にゃ”をつけることだった。そして続けて残りの2人の名前を口にする。

 

 自分の名前を出された瞬間に動揺する凛は、

凛「なっなんでですかにゃ⁉」

 言葉が詰まりながらも空也に理由を尋ねた。

 

 勧誘するときに必要なことなので空也はその理由を凛へと伝えた。

空也「ライブに行ったとき君の目から少しだけどなってみたいっていう目をしてたからね」

 空也にも経験があった。あの目は憧れているときにする目だ。その根を見た瞬間にこの娘は勧誘するべきだと空也は決めていた。

 

 ライブ中はステージに集中していた花陽はそんなことは気が付かない。

花陽「そうなの? 凛ちゃん?」

 純粋に自分の知らない幼馴染の一面が気になる花陽は凛に本当かどうかを訊ねる。

 

 しかしりんはそのことを肯定する勇気はなかった。

凛「そっそんなことないよ」

 そういう凛の言う言葉はわずかに震えていた。

 

 それに気が付いた空也は今回は誘いに来たことだけを伝えに来たことを伝える。

空也「でも無理にってわけじゃない。やりたいならいつでも放課後の屋上にきて。練習してるから。それと西木野さんはいるかな」

 そして今回この教室に来た本命を花陽たちに尋ねた。

 

 まだかなり教室に生徒がいたが真姫の姿はなかった。

花陽「いえ、たぶん音楽室、だと思います」

 もう教室にいなかったら音楽室に行けば会えると思っても仕方ないと思うぐらい真姫は音楽室にかなりの頻度で行っていた。

 

 それを聞いた空也は早速牧野元へと向かうことにした。

空也「OK。ありがとう」

 むろん花陽たちに対しての感謝は忘れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 花陽たちに真姫のいるところを聞いた空也は音楽室に向かった。

 

 コンコン

 

 一応女の子が入っていることがわかっているのでノックをする。

真姫「なんですか。時坂先輩」

 ノックをした瞬間ドアから空也の姿が見えたようですぐに空也の名前を呼んだ。

 

 名前を呼ばれたことにより音楽室内へと空也が入る。

空也「スカウトに来たんだ。アイドルをやろうって」

 すると空也は単刀直入に要件を真姫へと伝えた。

 

 それでも作曲をしてくれるのにも拒否をし続けた彼女にはやはり受け入れることができない。

真姫「昨日。高坂先輩も来たけど、お断りです」

 穂乃果がスカウトに来ていたのは本当のようで断られたのも残念ながら本当のようだった。

 

 それを聞いた空也は先日作曲の件にときに聞いたことを思い出した。

空也「また音楽は終わってるっていうのかい」

 

 ”音楽が終わっている。”終わっているならこの場所でピアノを弾いているわけがない。終わっているなら作曲なんて絶対にしてくれない。終わっているならそもそも悲しそうな顔でそんなことは言わない。

 そのことが分かった空也は生徒会長と同じく無理をしていることを理解した。

 

 しかしそんなことを考えているとは思っていない真姫は短く空也の問いに答える。

真姫「そうです」

 まただ……。真姫はそういうとかなり暗い顔をする。

 

 そんな暗い顔をしている真姫に空也の知っていることを伝える。

空也「俺の知り合いは看護師でプロのアイドルやってるぞ。それに比べたらスクールアイドルにはなってもいいんじゃないかな?」

 事実その知り合いは存在する。初音島であって交流もした。プロのアイドルができているんだ。スクールアイドルぐらい何とかなる。

 

 しかし一学生がアイドルの知り合いがいるケースなんてそれほどないため空也を疑う真姫。

真姫「嘘、ですよね?」

 確かにただでさえアイドルの知り合いというだけで珍しいのにそれが看護師をやっているというのならかなり珍しいのだから疑うのも無理はない。

 

 真姫のその反応はある程度予測できた空也はそれほど間をあけずに、

空也「いや、本当だ。それに、やりたいならやらないと、後悔しちゃう。それにそのまま無理を続けたらいつか壊れてしまう。それだけだから。気が向いたら今度は放課後に屋上にきて。待ってるから」

 まっすぐ真姫のことを見て答える。その目は全く嘘をついていないことが見て取れた。

空也はいつかの生徒会長に言ったアドバイスを真姫にへと伝える。

 

 もう諦めてしまったことに改めて可能性が見えてきた真姫はこれからの進路に迷うように黙り込んでしまった。

真姫「…………」

 真姫が何か真剣に考えているようだったので空也は邪魔しないように穂乃果たちの練習を見に屋上へと向かった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽side

 

 空也に真姫の居場所を聞かれた後花陽は陸上部へ行った凛とは別れ1人で帰ろうと教室を出ようとしたがそこで1人の少女を見つける。

花陽(あれは西木野さん?)

 そこには教室の少し先に貼ってあるスクールアイドルのポスターを見ている真姫の姿があった。

 

 周りに誰もいないことを確認した真姫は素早くチラシを手に取りその場を去って行った。

 

 詳しいことはわからないがそれでも真姫がなぜポスターの前にいたのか疑問に思った花陽は先ほどまで真姫の立っていた場所に向かった歩く。するとそこには誰かの生徒手帳があった。

 中を見ているとそれはどうやら真姫のもののようで書いてあった住所に届けようと花陽は学校を出た。

 

 真姫に手帳を返すべく真姫の自宅へとやってきた花陽は真姫の家の前で立ち止まってしまう。それも無理はない。なぜなら普段は見ないような大きな建物だったのだから。

花陽「ほっほぇ~。すっすごいなぁ~」

 あまりに大きすぎるため簡単な感想しか出てこないがこれほどまでの家はテレビの中でしか見たことはなかった。

 

 花陽はようやく自分のやるべきことを思い出しインターホンを鳴らす。

ピンポーン

西木野ママ「はーい」

 するとインターホンから声が聞こえてくる。落ち着きのある大人らしい声だった。

 

 すぐに反応され心の準備をしていなかったので少し慌てながら

花陽「あっあっあの。真姫さんと同じクラスの小泉…です」

 初めて真姫のことを名前で呼んだが自分の名前を言うのに少々つっかえてしまう。

 それでも用件を伝え待つなら上がってと言われた花陽は言われたと通りに西木野邸に上がった。

 

 家に上がった花陽に真姫の母親は真姫が今家にいないことを花陽に伝える。

西木野ママ「ちょっと待ってて。病院のほうに顔出してるところだから」

 簡潔に言ったそのことは少し花陽のことを不安にさせた。

 

 普通の人なら何か病気にかかっているのかと考えるような言い方に少し疑問を持った花陽は、

花陽「病院?」

 素直に聞いてみることにした。

 

 するとその疑問が理解できたようですぐさま補足をする。

西木野ママ「あぁ、うち病院を経営していてあの子が継ぐことになってるの」

 家が病院ならこの家の大きさだって納得がいった。

 

 自分とは違う次元の話に少しついていけなくなる花陽だが、

花陽「そう、なんですか……」

 すごいということだけはわかるので声が小さくなるがそう答える。

 

 なんとなく花陽の性格を理解することができた真姫の母親は、話題を変えることにする。

西木野ママ「よかったわ。高校に入ってから友達一人遊びに来ないからちょっと心配してて」

 花陽にそう話しているとやがて玄関の扉が開いた。

 

 玄関から入ってくるのは花陽が待っていた人物。真姫だった。

真姫「ただいま。誰か来てるの?」

 知らない靴があったため廊下にいる自分の母親に聞く真姫。

 

 すると帰ってきたのは、

西木野ママ「ふふ」

 嬉しそうなほほえみだけだった。

 

 やがて扉の前まで来た真姫は、意外な客人に驚く。

真姫「……!」

 自分のクラスメイトが家に来ているとは思わなかった。そもそも家の場所を押していないためどうやってきたのがも少し疑問に残った。どうやら今日はずっと悩んでいる1日のようだ。

 

 今まであまり話したことのない真姫に自分から勇気を出して声をかける花陽。

花陽「こっこんにちは」

 少し緊張してはいるが先ほどよりもリラックスできているようだった。知っている人物が来て心が落ち着いたのだろう。

 

 真姫と花陽が話しているところに真姫の母親が真姫と花陽を二人にするべく行動する。

西木野ママ「お茶入れてくるわね」

 そう言って部屋から出ていく真姫の母。

 

 第三者がいなくなったことによりただのクラスメイトとして話しかけられるようになった花陽は、真姫に話しかける。

花陽「ごめんなさい。急に……」

 何も言っていないのに知っている人が急に自分の家にいたらそれは驚くだろう。

 

 それでもそんなリアクションを見せない真姫は、

真姫「何の用?」

 短く花陽に家に来た理由を聞く。

 

 すると花陽は、自分のポケットから真姫の手帳を取り出す。

花陽「これ、落ちてたから。西木野さんの、だよね」

 それを真姫へと見せながら渡す。

 

 手帳を持っていることが意外だった真姫は、

真姫「なっなんであなたが?」

 花陽に聞いてみることにした。

 

 すると花陽から帰ってきた言葉は意外なものだった。

花陽「ごめんなさい……」

 小さな声で帰ってきた謝罪は今聞くとは思えなかったものだった。

 

 生徒手帳を返すためだけにわざわざ自分の家に来てくれたクラスメイトがいることがとてつもなくうれしかった真姫は

真姫「なんで謝るのよ? あ、ありがとう……」

 普段道理を装いつつも少々恥ずかしいようで顔を赤らめて花陽に感謝する。

 

 花陽は真姫にとって都合の悪いことをいう。

花陽「μ'sのポスター、見てた、よね」

 今までμ’sに入ることを拒否してきた真姫には肯定することのできない質問だった。

 

 当然この問いに関する真姫の回答は、

真姫「私が? 知らないわ。人違いじゃないの」

 否定しかなかった。

 

 しかし花陽は疑問に思うところがあった。

花陽「でも、手帳もそこに落ちてたし……」

 生徒手帳が落ちていた場所はポスターの前。たまたまかもしれないし、本当に見ていたのかもしれない。まぁ、花陽は真姫が見ていたところを見ているのだからとぼけられるわけではないが。

 

 見られていたことを理解したところで焦りが走る真姫だがそのせいで慌てて、

真姫「ちっ違うの。ちがっ」

 

 ガタン

 

 立ち上がったのと同時にその真姫の足がテーブルに当たった。

 

 その痛みのせいで片足重心になった真姫は、

真姫「いった~い。うわー」

 そのまま後ろの椅子へと倒れこんだ。

 

 とっさのことで何もできなかった花陽は、ようやく現状を理解しま真姫に話しかける。

花陽「だっ大丈夫?」

 

 転んでしまった真姫は、少し恥ずかしいようで顔を赤らめて、

真姫「へっ平気よ。全く変なこと言うから~」

 

 今まであまり話したことのない真姫にこんな一面があったことを知った花陽は、

花陽「ふふふふふ」

 そのことがうれしくて思わず笑ってしまった。

 

 笑われたことでよけい恥ずかしくなった真姫は

真姫「笑わない!」

 余計に顔を赤くし花陽に言った。

 

 それから数分後

 

 今まで少々雑談をしていた花陽は今一番奇異になっていることを聞いてみることにした。

真姫「私がスクールアイドルに?」

 おそらく花陽自身が知っている中で一番アイドルに近い存在なのだろう。だから花陽は真姫にやるかどうかを聞いてみた。

 

 そして真姫に聞かれた内容を真姫に伝える。

花陽「うん。私放課後いつも音楽室の近くにいってたの。西木野さんの歌、聞きたくて」

 今まで真姫が音楽室でピアノを弾いていたのだがまさか花陽が聞いているとは思っていなかった。

 

 クラスメイトに自分のピアノを聞かれていたことが信じられない真姫は、

真姫「私の?」

 

 自分が聞いていたことを打ち明けた花陽は、

花陽「うん。ずっと聞いていたいくらい好きで、だから……」

 真姫が引いていたピアノは花陽からしたら美しいものだった。

 

 花陽の言葉を聞いた真姫は自分にかけられた期待を感じた。

真姫「私ね、大学は医学部って決まっているの」

 そこで自分の今置かれている状況を花陽に打ち明ける。

 

 まさかそんな状況に真姫がいるとは思っていなかった花陽は、

花陽「そうなんだ……」

 自分の行動を後悔した。

 

 そしてさらに追い打ちをかけるつもりはなかった真姫だったが結果として追い打ちをかけることになってしまった。

真姫「ふぅ、だから私の音楽はもう終わってるってわけ……。それよりあなた、アイドル、やりたいんでしょ」

 それでも真姫は花陽の気持ちに少しだけ気が付いていた。

 

花陽「え?」

 まさかあまり話したことがない真姫に自分の性格がわかっていることに驚く花陽。

 

 そこで真姫は自分がそう思う理由を花陽に言う。

真姫「この前のライブの時、夢中で見てたじゃない」

 空也に無理やり講堂内に入れられた真姫は花陽のことを見ていた。

 

 しかし花陽は真姫の言った通りライブを夢中で見ていたため周りには気が付かなかった。

花陽「え? 西木野さんもいたんだ」

 よって真姫のことも気が付かずにいた。

 

 しかしライブを見ていたことを見られてしまうと何かわからないが恥ずかしくなってしまう真姫は、

真姫「うぁ、私はたまたまとうりかかっただけだけど。やりたいならやればいいじゃな い。そしたら少しは応援してあげるから」

 かなり無理な言い訳をしながらも花陽の背中を少し押した。

 

花陽「ありがとう」

 そのことを自覚した花陽は素直に感謝する。

 

 

 そして真姫はそんな花陽に気になっていたことを聞いてみることにした。

真姫「そうだ。あなた、アイドルは好きなんでしょ? 一つ聞きたいことがあるんだけど…」

 空也に聞いたアイドルのこと。それが本当なら自分にもできるのではないかと少しだけ考えていた。

 

 そして花陽は、好きなアイドルを聞いてくれるクラスメイトが聞いてくれることがうれしい花陽は、

花陽「なんですか⁉」

 先ほどと打って変わって敬語で迫ってくるように聞いてくる。

 

 真姫が気になることはただ一つ。

真姫「……看護師をしているアイドルって知ってる?」

 看護師をしているアイドル。普通に考えて不可能に近い職業の両立。それが本当なのかとても気になっていた。

 

 真姫が聞いてきたことに心当たりがすぐに出てきた花陽は間をあけずに真姫にその情報を伝える。

花陽「はい! 白川ななか。初音島といわれるところが出身で、そこにある病院で勤務しながら活動を続けています」

 

 すらすらと少しの詳細を入れて話す花陽の言葉を聞きながら、

真姫「本当にいたんだ……」ボソッ

 空也が言っていたことが本当だったことを理解する。

 

 しかし、アイドルに疎い人には知りえない人のことを聞いてきた真姫にその質問の意味が分からない花陽は

花陽「それがどうしたの?」

 それを言葉にして聞いてみる。

 

 しかしそれを話してもよくはわかってくれないのとただ恥ずかしいということで

真姫「いや何でもないわ。ただ少し気になってたのよ。ありがとう」

 感謝をしながら理由は話さなかった。

 

 それでも自分を頼ってくれたことがうれしい花陽は、自分の背中を押してくれた真姫に

花陽「ううん。こちらこそ」

 改めて感謝をした。

 

 きっとこれで真姫は終わったかもしれない音楽が続けられるかもしれない可能性が出てきたことに少しうれしくなっていた。

 その可能性をつかむかどうかは真姫の今後の行動次第だろう。

 

 

 

 




アイドルの看護師…かなり設定には無理があると思いますが、それでもこれからの都合上こういった設定の方法をとりました。

どうかお許しください。

それでは次回は4話が終わるかな?って感じですが楽しみにしていてください。

お気に入り登録をしてくださったゼロックスさんありがとうございます!

次回『壊れる決意』

それでは次回もお楽しみに!



Twitter始めました。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!

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