ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回から『まきりんぱな』回に入ります。

それでは、今回も彼女たちが紡ぎだす世界を楽しんでいってください。


地道なスカウト

花陽side

 

 花陽は今授業中なのだが今だけは授業に集中できていない。なぜなら……

花陽「どうしよう……」

 そこには『μ'sメンバー募集のお知らせ』と書かれたチラシがあったからだ。

 

 確かに私の夢は昔も今もアイドルになることだ。だけど今まではアイドルを見ることしかしていない。

先生「じゃあここを小泉。読んで」

 そんな花陽だが今は授業中。教師に指名されることなんて当たり前だった。

 

 幸いどこを読めばいいのかわかっていた花陽だが……

花陽「あ! はっはい! He can ……」

 すらすらとは読めてはいるが声量が足りない。

 

 それを感じた先生が花陽に注意をする。

先生「もう少し声出して」

 

 そのアドバイスを受けた花陽だが、注意されたという事実が余計に声を小さくしてしまい、

花陽「はっはい……。…………」

 先ほどよりも声が出なくなってしまった。

 

 もうこれ以上続けてもほかの生徒に聞こえないと判断した先生は、

先生「はい。そこまで」

 読んでる途中でやめさせてしまう。

 

 それは今まさに悩んでいたことを打ち砕くには十分だった。

花陽(無理だよね。こんなんじゃ)

 もとより自信がない花陽がさらになくなってしまった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 部員を増やすために昼休みに募集のチラシを早めに配ろうと外に出てきたのだが、

空也「おい、ことり。いくらなんでも……。って聞いてないし」

 ことりがこちらの言うことを聞いていないのには理由があった。

 

 アルパカにはまってしまい、アルパカ小屋で夢中になって白いアルパカをみているからなのだ。

ことり「ほぁ~」

 眼をキラキラさせ頬を赤らめながら見ている姿は、十分に夢中になっていることを理解させる。

 

 そんなことりを見ているとことりのことが話題になる。

穂乃果「ことりちゃん最近毎日来るよね」

 最近では、昼休みに放課後。そして外恵移動する授業の間など暇さえあればこの小屋に来ているのだ。

 

 はたから見てもはまっていることに気が付かないことなどあり得ない様子のことりを見ながら海未も穂乃果と一緒にことりの話題で話す。

海未「急にはまった見たいです」

 急に何かにはまることは不思議ではないがそれでも短期間ではまったとは思えないほど夢中になっていることりはすごいものだと空也たち3人はことりのことを見ていた。

 

 しかしそろそろ次の授業があるため時間が無くなってくる。

空也「おい。早くチラシ配りに行くぞ」

 空也はそのため早めに行動するようにことりに話しかけそこを穂乃果が引っ張るが、

 

 ほとんど聞いていない様子で

ことり「あとちょっと~」

 気の抜けたような声で返事をする。

 

 この様子のことりにだんだん無理だということを悟った穂乃果は、

穂乃果「もぉ~」

 ことりを引っ張るのをやめ、少し溜息を吐いた。

 

 そこで海未は部員を増やさなければならない理由を改めて口にする。

海未「5人にして部として認めてもらわなければちゃんとした部活はできないのですよ」

 部活動にするにはあと1人が必要。そのために行動しようとしたのだが…

 

 ことりが海未の言葉に反応してはいるが……

ことり「うん。そうだよね~」

 やっぱり覇気がない答えだった。

 

 アルパカにはまったからには理由があるのだが、それでもその理由を空也が理解することができなかった。

空也「可愛いのか……?」

 どうやら理解するのには人を選ぶようだった。

 

 空也が疑問に思っていると言葉が通じたのか、

アルパカ(茶)「……!」

 ことりが見ているほうではないアルパカがこちらを威嚇してくる。

 

 急に威嚇してきたため穂乃果と海未は驚き後ずさる。

ほのうみ「「うっ!」」

 やはり好きになる人は限られるようだった。

 

 ことりの後ろでそんなことを話していると今までの話を聞いていないような話し方ではなく、はっきりとした声で、

ことり「え! 可愛いと思うけどなぁ~。首の回りとかふさふさしてるし~。はぁ、幸せ~」

 心の底から幸せそうなことりはそう言いながらさらにアルパカに近づきアルパカに触っていった。

 

 さすがにこれほどまでに大きな動物を触って不機嫌になられたら危ないと思った穂乃果は、

穂乃果「ことりちゃん、だめだよ~」

 さすがにことりを止めようとする。

 

 海未も穂乃果に続き注意をするが

海未「危ないですよ」

 全く効果がなかった。

 

 なぜ効果がなかったのかというと……

ことり「大丈夫だよ~」

 っという根拠のない自信がことりを突き動かしたためであった。それほどまでにアルパカに触りたかったらしい。

 

 その瞬間アルパカ(白)がことりの頬をなめた。

ことり「わ! わぁ!」

 突然のことで何が起きたか理解できなかったことりは、後ろへと倒れてしまう。

 

 急に倒れたことりに驚き、

穂乃果「ことりちゃん!」

 穂乃果がことりの元へ駆け寄る。

 

 さらに海未に関しては、

海未「どっどうすれば、は! ここはひとつ弓で!」

 動物愛護団体に訴えられても文句の言えない行動をとろうとする。さらにその海未の言葉が通じたのか茶色のアルパカがこちらを威嚇してきた。

 

 流石に止めななければならない海未の発言に驚きながら空也は海未に話しかける。

空也「ダメだろ! それに今のは単なる愛情表現だ気にすんな」

 今のアルパカの行動はことりの頬を舐めただけだ。それは動物特有の愛情表現にままならない。

 

 段々と自分にされたこと理解したことりも海未を止めにかかる。

ことり「うん。ちょっと驚いちゃっただけだから」

 そう言ったことりは不安な顔をしていた。

 

 すると人影が飼育小屋へと近寄ってくる。

花陽「よしよし」

 花陽が多少あらぶっているアルパカをなだめに入る。

 

 ことりはアルパカになめられたところをこすりながら気の抜けたような声を出す。

ことり「へへへぇ~」

 その声は少し元気がなかった。先ほどまであんなに元気だったのに……。

 

 倒れたことりに空也が駆け寄る。

空也「大丈夫か? ことり」

 自分の心配よりもアルパカの心配をしたことりにはすごいとは思うがそれでも倒れたままのことりを空也は手を差し伸べる。

 

 ことりは空也の手を取り、

ことり「うっうん。嫌われちゃったかな?」

 先ほどの空也の言葉を聞いていなかったようでかなり不安げに空也たちに話しかける。

 

 それを聞いていた花陽はことりを安心させるように自分の思ったことをことりに伝えた。

花陽「あ! 平気です。楽しくて遊んでただけだと思うから。あ、お水」

 そして水がないことに気が付いた花陽は、ペットボトルを交換する。花陽の言葉と先ほど空也の言っていたことを思い出したことりは次第に元気になっていった。

 

 水交換をしている花陽を見て穂乃果が思ったことを言う。

穂乃果「アルパカ使いだね~」

 そう、あのアルパカをなだめているときだってかなり扱いに慣れていた。

 

 するとその原因が花陽の口から語られる。

花陽「わっ私、飼育委員なので」

 それを聞いた4人はそのスムーズな行動に納得した。

 

 それを言葉に出しながら空也はあることを思い出した。

空也「そうなんだ。あ! あの時はありがとね。ライブにきてくれて」

 空也が言うと少し変かもしれないがあのファーストライブの時一番に駆けつけてくれたのは花陽だった。

 まぁ、時間内に間に合ったのは空也の功績が大きいのではあるが。それでも来てくれたことに変わりはなかった。

 

 空也の言葉を聞き穂乃果たちも次第に当時の映像を思い出す。

穂乃果「あ! ほんとだ。ライブにきてくれた花陽ちゃんじゃない」

 穂乃果は、完全に名前まで思い出した。

 

 急に名前を呼ばれたり感謝されたりして驚いている花陽は、

花陽「あ、いえ……」

 少しおびえながら答える。

 

 ことりは来てくれたことを知っていても花陽の名前までは知らなかったため

ことり「そうなんだ~」

 笑顔で花陽に話しかける。

 

 海未も当時のことを思い出しながら、

海未「あの時はありがとうございます」

 今この活動を続けていけている原因を作ってくれたことに感謝する。

 

 急に感謝さえたことに戸惑いながら

花陽「あ、はい……」

 感謝されたことには悪い気がしない用で答えてくれた。

 

 空也はそんな彼女を見て、そしてライブに来てくれた時の目を思い出して花陽にあることを提案する。

空也「ねぇ、小泉さん。君、アイドルやらないかい?」

 そうそれは勧誘すること。ライブを見ているときの花陽の目はかなり輝いていた。それは近くにいなくても見てれば分かることだった。

 

 これまた急に勧誘されたことに戸惑う。

花陽「え…」

 花陽は誰が聞いても戸惑っていることが分かるような声で空也に聞き返す。

 

 空也と花陽のやり取りを見ていたことりは戸惑っている花陽の声を聴きいったん止めに入る。

ことり「空也君。いきなりすぎない?」

 かなり唐突に始まった勧誘に驚きながら空也に伝える。

 

 しかし空也にはそんなことは関係なかった。

空也「そんなことないって。あのチラシ配りの時とか、君アイドル好きでしょ? やりたいと思っているなら、今じゃなくていい。放課後は屋上で練習してるから、来てほしいな」

 空也は花陽の行動から彼女の本心を見抜いていた。それも急かしているわけではない。それは花陽にとっても安心できることだった。

 

 それでも今の自分に自信がない花陽は自分の思うもっともアイドルに向いている少女を空也たちに伝える。

花陽「西木野さん……。西木野さんがいいと思います。すごく歌上手なんです」

 きっと花陽も真姫の歌声に惚れているのだろう。だからここですぐに名前が上がる。

 

 花陽の提案に穂乃果も賛成する。

穂乃果「そうだよね! 私も大好きなんだあの子の歌声」

 初めて曲を聞いた時から穂乃果は初めて歌を聞いて感動した。それゆえに真姫への執着は激しい。

 

 穂乃果の言葉もあり海未は1つ疑問を持った。

海未「だったらスカウトに行けばいいじゃないですか」

 スカウトしに行けばいい確かにそうなのだがそれは穂乃果にだってわかっていたことだった。

 

 それを海未とことりにも伝える。

穂乃果「行ったよ~。でも絶対嫌だって」

 穂乃果は少し不機嫌になりながら答える。

 

 その答えを聞いた花陽は真姫の名前を出したことを後悔した。

花陽「あ! すいません。私、余計なことを……」

 花陽は申し訳なさそうに謝るが、

 

 そんなことは全く空也たちは気にしていなかった。

空也「気にしない。もしかしたら恥ずかしがってるだけかもしれないし、それに……」

 それに、きっと彼女の進路のことが関係してるのだろう。そう空也は思っていた。

 

 せっかく意見を言ってくれた花陽に穂乃果は感謝しかなかった。

穂乃果「ありがと!」

 だから穂乃果は花陽の手を取り感謝した。

 

 穂乃果が花陽にそう言うと校舎の方から1人の女学生がこちらへ走ってくる。

凛「かよち~ん。早くしないと体育遅れちゃうよ~」

 凛は大きく手を振って花陽に呼びかける。

 

 それに気が付いた花陽は空也たちに別れを告げる。

花陽「は! 失礼します。いこ?」

 穂乃果たちにお辞儀をして凛のもとへ走って行った。凛は空也たちに会釈してからすぐに花陽の後を追った。

 

 それを見届けた4人も時間を確認して

海未「私たちも早く戻りましょう」

 海未は教室に戻ることを提案する。

 

 それに伴い空也たちも時間がそろそろだということに気が付いて

ことり「そうだね」

空也「あぁ」

穂乃果「うん」

 教室に戻るのだった……。

 

 チラシ配りはどうなったのだろうか……?

 

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花陽side

 

 今日もやっと学校が終わり帰り支度をしていると先に終わった凛が話しかけてきた。

凛「かーよちん。決まった? 部活。今日までに決めるって昨日言ってたよ」

 確かに昨日言ったのだがまだ決心がついていない。やるのか諦めるのかどっちにするのかを。

 

 そこで花陽はとぼけることにする。

花陽「え……。あ、そうだっけ……。明日決めようかな」

 まだ決まっていないから先延ばしにする。

 

 しかしその答えは凛には予想できたことだった。

凛「そろそろ決めないとみんな部活始めてるよ?」

 新入生なだけに初めて入る部活で出遅れてしまうのは避けたいことではあった。なぜなら部活内での交友関係にかかわるからだった。

 

 そのことについて花陽もわかっているため焦りはある。

花陽「うっうん。え、えっと。凛ちゃんはどこはいるの?」

 だから花陽は凛の入ろうとしている部活を聞いた。

 

 花陽に聞かれた凛は少し悩みながらも自分の考えを花陽に言う。

凛「凛は陸上部かな~」

 体験入部で凛が真っ先に行った先が陸上部だった。体を動かすことが好きな彼女なら一番向いている部活だろう。

 

 花陽はもしかしたらアイドルのことを言ってくれるのではないかと淡い期待をしていたがそれはもろく崩れ去ってしまう。

花陽「陸上……かぁ~」

 凛と対照的に運動が苦手な花陽は陸上部には入ろうとは思えなかった。きっと凛の入る部で自分に合っているものだったら少し考えたのかもしれない。

 

 すると凛は花陽が悩んでいることに心当たりがあることに気が付いた。

凛「あ! もしかしてスクールアイドルに入ろうと思ってたり?」

 昔から好きだったアイドルになることを目指すのかを聞いてくる。

 

 急に核心を突かれた花陽は、

花陽「え! そっそんなことない……」

 と人差し指を合わせながら凛に応える。

 

 その癖を見た瞬間に花陽の本心が分かった凛は、

凛「ふ~ん。やっぱりそうだったんだね~」

 そう言いながら納得する。

 

 しかし自分の癖を理解していない花陽は否定しようとするが、

花陽「そんなこと!」

 

 長い時間を共にした凛はわかっている癖を花陽に打ち明けることにした。

凛「だめだよかよちん。嘘つくとき必ず指合わせるから、すぐわかっちゃうよ~」

 

 そうして凛と花陽が話しているところに1人の少年がやってきた。

空也「へぇ~、いいこと聞いたなぁ~」

 そう空也だ。なぜこの場所に来たのかはわからないが、全く来たことに気が付かなかった。

 

凛「……!」

 あまりに不意な出来事だったため凛も驚く。

 

 先ほどまで驚きの連続だった花陽はもうさっそく慣れ始めているようで凛より先に空也に話しかけた。

花陽「えっと時坂先輩? なぜここに」

 2年生の彼がここに来た理由はなんとなく想像がついてはいるがなんとなく聞いてみることにした。

 

side out

 




前書きにも書きましたが今回から4話『まきりんぱな』に入りますが、少しオリジナルを入れてもあと2、3話で終わりそうです。

次回はその少しのオリジナル部分の話が入ってきます。

そして空也が真姫のことを言っているときの『それに…』が気になった方はいるのでしょうか? 結構それが重要だったりもしますので少し考えてみるとこの先が面白く感じると思います。(面白く書けるように努力します)

次回『ささやかなアドバイス』

それでは、次回をお楽しみに。



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