ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回は遂に卒業式! ってことはサブタイを見ればわかりますよね? 前回話にあったことは起きるのでしょうか? そして起こるなら一体どんなことが起こるのでしょうか!?

それでは、今回も旅立つ彼女たちをご覧ください!


卒業式

 いよいよ、今日のメインイベントが始まる。

 

 3年生を見送る卒業式。在校生は旅立っていく先輩を見送り、卒業生は卒業の証をもらう別名、卒業証書授与式。この日は卒業生に対しても、残る在校生に対しても、卒業生の保護者にとっても大切な式である。

 

 卒業生入場からこの式は始まった。

 

 大事な式だからだろうか、卒業生の入場するときの表情が強張っている。それでも体育館の入場口から元生徒会長と副会長の絵里と希を先頭に入場していた。

 3年生を迎え入れるたくさんの拍手。もうすでに卒業生の成長を実感したのかうっすら涙を浮かべている。

 

 卒業生の入場をきっかけに卒業式が始まった。

 

 司会をする空也の言葉でプログラムは進められていく。開式の言葉から理事長の言葉と式のプログラムは問題なく進んでいく。

南ママ「音ノ木坂学院は皆さんのおかげで来年度も新入生を迎えることができます。心よりお礼と感謝を述べるとともに卒業生のみなさんが輝かしい未来に向けて羽ばたくことを祝福し挨拶とさせていただきます。おめでとう」

 理事長は長い話をするわけでもなく、来賓の人たちに媚びを売るわけでもなく話をする。多くは語らない。けどこの学校を残せるように頑張ってくれた自分の学校の生徒たちを送り出すように言葉を綴る。実際、廃校阻止に一番力を注いだ絵里、希、にこの3人に対しても同じように言葉をかけているのだろう。

 

 話し終わった理事長は降壇し、次のプログラムが始まる。

 

 来賓紹介、卒業証書授与とプログラムは進んでいく。μ'sのみんなは絵里と希、そしてにこが卒業証書を受け取るところをまるで親のように、そしてかけがえのない親友を見送るように優しく3人のことを見つめていた。

 

 そして次のプログラムが空也の口から告げられる。

空也「続きまして送辞、在校生代表高坂穂乃果」

 在校生代表が卒業生に対して送り出す言葉を贈るプログラム。ほぼ唯一この卒業式で在校生がするようなプログラムだ。今回の在校生代表は生徒会長である穂乃果。

 

 空也に名前を呼ばれた穂乃果は自分の座っている席から立ち上がる。

穂乃果「はい!」

 隣にいた海未とことりを見送られながら、穂乃果はステージ上に向かって歩みを進める。今から立つ場所はスクールアイドルとして自分たちのために立ったステージとは違う。在校生代表として、卒業生を送り出すための登壇だ。自分じゃない誰かの人生にかかわるこの登壇で台無しにするようなことはあってはならない。自分がやろうとしていることはわかっていたとしてももしかしたら失敗してしまうかもしれない。そんな不安を穂乃果は感じながら穂乃果は登壇した。

 

 ステージ中央にたどり着いた穂乃果は一度大きく礼をして卒業生を見渡すように一人一人の顔を見た。そしてマイクを通して穂乃果は送辞を先ほど空也たちに見てもらった髪を見ながら読み上げる。けど、その紙に対して難しいことは書かれていなかった。

穂乃果「送辞。在校生代表高坂穂乃果。ご先輩方ご卒業おめでとうございます。実は昨日までここでは何を話そうか、ずっと悩んでいました。どうしても今思ってる気持ちや届けたい感謝の気持ちが言葉にならなくて、何度書き直してもうまくかけなくて……。それで気づきました! 私、そういうのが苦手だったんだって」

 穂乃果の送辞は送辞らしくなく、むしろ卒業生を送り出す言葉のはずなのに話していることは自分の事ばかりだった。

 

 そんな穂乃果の送辞に戸惑う者、その内容に笑う者がいる。けどその中でも穂乃果は送辞を続けていく。ここまでの話はただの前置きだ。そしてその前置きはまだまだ続いていく。

穂乃果「子供のころから言葉より先に行動しちゃう方で、時々周りに迷惑もかけたりして……自分をうまく表現することが本当に苦手で、不器用で。でもそんなとき、私は歌と出会いました。歌は気持ちを素直に伝えられます。歌うことでみんなと同じ気持ちになれます。歌うことで心が通じ合えます。私はそんな歌が好きです歌うことが大好きです! 先輩皆様方への感謝とこれからのご活躍を心からお祝いしこれを送ります」

 穂乃果はもともと言葉を紡ぐことが苦手だった。だから作詞をする人を決めるときに自分を真っ先に選択肢から外した。それは今でも変わっているわけでもない。だからこそ出逢った歌に頼る。歌なら穂乃果は想いを届けることができるから。

 

 その穂乃果の言葉の後にステージ袖から真姫がやってきた。でもそれは勝手に真姫がやったことではない。打ち合わせ通りのことだった。真姫はそのまま近くのピアノに座り鍵盤に手を掛ける。そして穂乃果が歌いだすのを待っていた。

 

 穂乃果が一度目を閉じると大きく息を吸い込む。次の瞬間穂乃果は1つの歌を歌いだした。歌ったのは『愛してるばんざーい!』始まりのワンフレーズを穂乃果が歌い終わるとピアノを弾いていた真姫が在校生として座っている海未とことりに合図を出すかのように歌いだす。

真姫「さぁ!」

 けど真姫はピアノに集中するため歌うのはこの一言だけ。けどそれが合図となり続きを海未とことりはバトンタッチする。

 

 そのあとのフレーズを次は凛と花陽が歌う。

穂乃果「ねぇ みんな一緒に!」

 凛たちが歌い終わるのと同時に次は穂乃果がマイクを通してみんなに歌うように呼び掛ける。すると在校生も卒業生も周りを顔を見合わせ、時には涙を流しながら一緒に歌い始める。と言ってもただのハミング程度だけど、最後に在校生と卒業生が一体になって作り上げた歌はとても心に残る歌になった。

 

 みんなで歌っている最中、穂乃果の後ろにあるスクリーンにはみんなの思い出の場所、思い出の瞬間が映し出されている。ただ、それはカメラで撮ったものを映しているよりみんなの記憶が映し出されているように感じる。それが影響でまた涙を誘われてしまう人もちらほらと。見た人が見たままの光景。それが映像になっている。それもそのはず。これは空也がみんなの記憶を読み込み映し出しているものだから。学校生活での記憶。休みの日に友達と一緒に遊びに行った記憶。本人も忘れかけてた記憶がだんだんと蘇ってくる。

 

 でも、それだけでは終わらない。司会をしていた空也はいた場所から移動し、卒業生たちが入場してきた入り口のほうにいた。手にはワンド。卒業生も在校生も来賓の人たちや先生、保護者でさえステージのほうを見ているため後ろにいる空也には気がつかない。どんな空也のことが見えるのは穂乃果とピアノを弾いている真姫くらいだろう。

 穂乃果が誰にも気がつかないくらい少しだけ頷くと空也は三度ほどワンドを振るう。するとワンドの先からピンク色の花びらが無数に発生し体育館の天井を覆いつくす。その花びらはだんだんと地上へと落ちてくる。ひらひらと時間をかけて地へと落ちて行く。地に落ちれば雪のようになくなり、ただただ宙に舞う花びらが落ちていく光景が広がっていた。そのことにみんなは不思議がっている。ピンク色に発光した花びらがどこも開いていないのに振ってくるのだからそれは当然の事。だけどみんなでハミングをしながら生の映像を見ている卒業生の目にはその光景が幻想的で、美しくてただただ感動する光景にしか見えなかった。

 

 この光景を見た卒業生たちは涙を流し、それでもなお歌うことを止めなかった。少しでもここにいる在校生のみんなとの一体感を感じたいと想っていたから。

 

 穂乃果と空也による卒業生へのサプライズは見事成功した。涙を流して感動してくれている。この結果を見れば穂乃果の目論見は大成功だろう。送辞が終わった穂乃果はピアノを弾いてくれていた真姫と一緒に降壇し、清々しい顔で自分の席へを戻っていった。

 

 そのまま卒業式は終了し、涙ながらに退場していく卒業生を見送った後、穂乃果たちも体育館を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 卒業式が終わった後、各クラスでやることも終わりμ'sはアイドル研究部に集まっていた。どうやら3年生はやること自体少なかったようで一足早くこの部室に来ていたようだ。そして今までの部室からガラリと変わっている様子にやってきた凛たちは驚いていた。

凛「すごいにゃ! ほとんど空っぽ」

 にこが広げている段ボールには今まで部室に飾ってあったDVDやCDがどっさり移動している。棚の中には置いていくのであろう数枚の映像作品くらいしかなかった。

 

 実際ににことにこの母親との会話を聞いていた真姫は今片づけているものがにこの私物だということが分かる。

真姫「じゃあここにあったのって、本当ににこちゃんの私物だったってこと?」

 その数はあまりにも多く、正直ここまでそろえるのには数十万単位は必要だと感じるほどだった。その数がどっさり消えれば本当ににこのものだと受け入れるのは少し難しかった。

 

 そんな真姫の問いににこはすぐに答える。

にこ「違うわよ。私が特別に貸し出していたの」

 貸し出していたということは実際にここにある物はにこの私物だったということになる。

 

 その事を受けた真姫はにこの私物であるということに関しては素直に受け入れるものの、気になる部分があった。

真姫「貸し出し……?」

 きっと真姫の目からは家に置いておくスペースがない分を部室に置いていると思っていたのだろう。実際にここにある映像作品とかはμ'sの活動でほとんど使ったことがない。

 

凛「物は言いようにゃー」

 どうやら凛も真姫の考えていることとおんなじことを想像していたみたいで毒気のある凛の言葉がにこを攻撃していた。

 

 そんなやり取りを聴きながらだんだんスカスカになっていく部室を見ていた花陽は感傷的な気持ちになってしまう。

花陽「でも……ここに何もなくなっちゃ、ちょっと寂しくなるね」

 今まであったものがなくなるというのは使った使ってないにかかわらず寂しくなってしまうものだ。

 

 でもにこ自身はそんなことを気にしているわけではなかった。

にこ「アイドル研究部なんだから次の部長が家にあるものを資料として持ってくればいいでしょ」

 そう。にこは今まで部長だったからこそ、ここまで資料を提供していた。中身はどうであれ、そういうことになっているのだ。今寂しいと思うのであれば次の部長がこの部室をいっぱいにするだけの資料を持ってくればいいだけの話。それで解決する話なのだ。

 

 けどこの話題になってしまうとアイドル研究部で未だに決めていないことが出てくる。

凛「次の部長?」

 次の部長。ラブライブに集中していたため時期部長を選ぶことをせずに今までやってきた。ラブライブが終わった後もそんなに日を開けることなく今日を迎えたためになかなか次の部長を決めるということが出てこなかった。

 

 だから今になってようやく次の部長がいないことに気がつく。

真姫「そういえば決めてなかったわね」

 

 真姫がそう言うと少しだけにこは考えるそぶりを見せた。

にこ「…………花陽、頼んだわよ!」

 その後に振り向きざまに花陽にそう言った。

 

 この場合、何が頼まれたのかなんて聞くのも野暮というものだ。

花陽「え? ……え!? えぇ~!?」

 次の部長は花陽がやる。それは部長であるにこが最後に言う部長命令。

 

 にこに賄賂のように『伝伝伝』を渡された花陽。しかも空也の悪乗りが発生し、マントを羽織り頭には王冠をかぶった姿になっている。後ろには大きく部長と書かれており、満場一致で花陽が部長であることに異論はなかった。

花陽「無理無理無理~! 誰か助けて~!」

 しかし、部長というリーダーのように前に出るということをやったことのない花陽にとってそれはとても緊張することだった。だから口癖のような助けを乞いてしまう。

 

 そんな花陽の言葉を打ち消すかのようににこは言葉をつづけた。

にこ「まさか生徒会役員を兼任させるわけにはいかないでしょ。あなた以上にアイドルに詳しい人はほかにいないんだし」

 にこの言うように部長になるのに一番適任な2年生は生徒会に所属しており、部活に出れないときだって多くなっている。それなのに部活動の指揮を取る部長には向いていないだろう。そうすれば後は1年生だけだ。以前凛はμ'sのリーダーをやったことがある。それなら部長もと言いたくなるのも分からなくはないが凛はあくまで人を引っ張っていくことができるだけだ。部長のやることはそれだけではない。部費の管理など部に関係することをしっかりと決めていかないといけない。そうなってしまえば凛だと不安が残ってしまう。

 

 結果、花陽と真姫の2択になるのだが、アイドル研究部という名前を付けている以上アイドルに詳しい人でなければ部として部員を引っ張っていくのは難しい。よって一番部長にふさわしいのは花陽ということになる。

 

 だけど急に言われた花陽にとって理由よりも驚きと恥ずかしさのほうが今は勝っているようだ。

花陽「でっでも……部長だなんで……」

 今までにやったことのないこと。そして1人でやらないといけないというプレッシャーが花陽に襲い掛かる。

 

 けどそんなプレッシャーを取り除いたのは凛の言葉だった。

凛「凛だってμ'sのリーダーやったんだよ! かよちんならできる!」

 凛がリーダーになるといわれた時も穂乃果たちが修学旅行に行っているときに急に決まったことだ。それなのに凛はしっかりとやり遂げた。その事実が花陽をゆっくりとその気にさせる。

 

 真姫は凛の言葉を支えるように、にこの言ったことを納得させるように優しく呟いた。

真姫「そうよ。一番適任でしょ?」

 ここにいる全員が花陽が部長をすることに反対していない。にこの言った理由もみんなが分かっている。だからきっと部長は花陽がなるべきなのだ。

 

 それでもなかなか決心がつかない。

花陽「でも……」

 きっと今花陽の中ではもし失敗してしまったらどうしようとか、新入生にどんな反応をされるのだろうとか不安がまだまだ残っていた。

 

 そんな花陽に部長としてにこがアドバイスをする。

にこ「できるわよ、あなたなら。こんなにたくさん助けてくれる仲間がいるんだから」

 そう。部長は一人だったとしても部員は、支えてくれる人たちがいる。もし失敗したときはみんなで解決すればいい。生徒会として予算案を通した時のように。緊張してしまうなら誰かが一緒にいればいい。凛が初めてリーダーをやった時に緊張を解いたように。

 

 にこの言葉がゆっくりと花陽の中に入ってくる。

花陽「にこちゃん……」

 これでもう決まりだろう。花陽の声からは不安の色が見られない。もう不安はない。そんな風に見える。

 

 今にも泣きそうな花陽をいつものように戻すため、にこはそっぽを向きながら口を開いた。

にこ「もっともっとにぎやかな部にしておいてよね。また遊びに来るから!」

 これで、花陽はにこが次に遊びに来る時までににぎやかにさせておかないといけないというある種の宿題だった。

 

 この言葉を皮切りにみんなが花陽のことを呼ぶ。

真姫「花陽!」

 

凛「かよちん!」

 

穂乃果「花陽ちゃん!」

 

空也「花陽!」

 

 みんなの声が届いたようで花陽はうっすらと涙を浮かべながら笑顔になった。

花陽「………うん!」

 その笑顔は一切曇ることなく、不安は一切ない。そんな優しい笑顔だった。

 

 これで新部長が決まった。

凛「やったにゃー!」

 おそらく花陽が成長したことが嬉しいのだろう。凛はその場で飛んで跳ねて喜んだ。

 

 しかしこの話はこれで終わりではなかった。

花陽「じゃあ真姫ちゃんが副部長ね」

 それは花陽の口からにこと同じように呟かれる唐突な指名。

 

 急に副部長に任命された真姫は何が何だかわからなくなる。

真姫「え!? なんで私!?」

 おそらく真姫はこの話は花陽が部長になって終わりだと思っていたのだろう。しかし、部長が決まっても花陽の言うように副部長は決まっていない。だからこの話もまだ終わっているわけではなかった。

 

 どうして花陽は真姫を選んだのだろうか? その答えが花陽自身の口から告げられる。

花陽「私が部長だったら、凛ちゃんがリーダー。だから真姫ちゃんは副部長だよ!」

 凛は過去にリーダーを経験した。そして花陽は部長としてこの部を引っ張っていく。そうなればリーダーでも部長でもない、それでいて2人をサポートできるのは誰がいいかと考えた結果真姫が思い浮かんだようだ。

 

 花陽の案に今度は凛が言葉を挟む。

凛「それいいにゃー!」

 花陽の意見は先ほどと同じくみんな異論はないようで拍手をする。

 

 それは卒業生である絵里と希、にこも同じだ。旅立っていく者たちが納得している。

絵里「みんな頼んだわよ」

 これからのアイドル研究部の活動にもう絵里たちは口を出せない。だからあとは花陽と凛と真姫が率いるみんなに任せることしかできない。

 

 絵里の言葉を聞いた真姫は自分がまだ納得していないことを告げようとする。

真姫「まっまって、私はまだ! ……もう、別にいいけど!」

 けどみんなが納得していてさっきの花陽と同じように自分が選ばれた理由がはっきりしている。これだけの判断材料があって、反発ばかりするような子供ではない。一種の照れ隠しだろうか、真姫は頬を赤く上気させそっぽを向いている。これが本気で嫌がっていたのならみんなは他の案を出したのかもしれない。でも、今の真姫はまんざらでもない様子だった。だからみんなも受け入れることができたのだ。

 

 もうこれでアイドル研究部としてやり残したことはない。にこの片付けも終わった今、このアイドル研究部部室にいる理由もなくなった。

希「さぁ、これでもう必要なことは終わったね。じゃあうちらはそろそろいこっか」

 きっかけは希の言葉だった。絵里とにこにはこれから希たちがやることが分かっているようだった。

 

 けどそれは卒業生の中でだけわかっていたことで、穂乃果たちは知らされていなかったこと。

穂乃果「え!? もう行っちゃうの?」

 本当ならもう少しここでただただ他愛もない話をして名残惜しくも思い出に残そうと思っていただけに穂乃果たちの衝撃はそこそこ大きかった。

 

 驚いている穂乃果たちをよそに絵里はこれからやろうとしていることをみんなに伝える。

絵里「せっかくだし、校舎を見て回ろうと思って」

 そう。絵里たちはアイドル研究部の部員であるとともに、音ノ木坂学院の生徒だ。3年間通った校舎には各々の思い出が眠っている。そんな小さな思い出巡りをしようとしていたようだ。

 

 でも穂乃果はまだ10人で一緒にいることをあきらめきれない。

穂乃果「じゃあ私たちも行くよ」

 だから、邪魔にならないのだったらみんなで一緒に思い出巡りに行きたいと思う。その後にどうやら穂乃果は何かを言おうとしていた。

 

 しかし、穂乃果の言葉が口から出てくるよりも早く、空也が口を開いた。

空也「俺も行くぞ。この学校での思い出は、これが最後だしな」

 そう。これが最後。みんなで学校にいられるのは今日で最後なのだ。だからみんなで一緒にいたいと思うのは当たり前の事。

 

 当たり前の事……なのだが、空也がそう口にした瞬間にここにいる全員が空也のことを驚いた眼で見つめていた。

凛「……言ったにゃー!」

 μ'sには今日限定で決めたルールがあった。今空也はそれを犯したのだ。だからみんなが空也のことを見つめていた。

 

 凛の指摘に空也はわざとらしい反応をする。

空也「……は! シマッター」

 今思い出したかのような、それでいて狙って決まり事を破ったのかそんなどっちつかずの反応。

 

 今日限定のルール。それは……。

ことり「最後っていったらジュース一本って約束だよ」

 "最後"というワードを言わないこと。最後ということで感傷的にならないようにと決めたルール。絵里たちが旅立つところを笑顔で見送るためにとみんなで決めたことだ。

 

 こうなってしまっては空也もそのルールに従うほかない。

空也「わかったよ……。じゃあみんなのリクエストは?」

 ジュースを奢るためにはみんなの飲みたいものを聞かなくてはいけない。肩を落としながらやれやれといった様子の空也はスマホを起動しメモの用意をする。

 

 しかし出てきたジュースの種類は2種類だけだった。イチゴオレとリンゴジュースそれも近くの自販機にある物ばかり。さりげない優しさからのリクエストを聞いた空也はメモ帳にジュースの名前と本数を入力した内に部室のドアノブに手を掛けた。

 

 その直後、出ていこうとする空也を止める声がする。

穂乃果「あ! 穂乃果も付いていくよ。さすがに9人分は無理でしょ?」

 何か他に言いたそうにしている穂乃果が空也の手伝いを名乗り出た。

 

 穂乃果が何を言いたいのか、空也にはわかっている。

空也「そうだな。じゃあ頼むわ」

 だから話す時間を作るために空也は穂乃果の申し出を受けた。

 

 穂乃果と空也は罰ゲームのジュースを買いに行くために部室を後にした。他のみんなも自販機が近い中庭に移動していった。

 

 




穂乃果! 誕生日おめでとう!!

実は昨日、スクフェス感謝祭に行ってきたのですがその閉会式で穂乃果の誕生日を祝えたことが本当に嬉しかったです。スクフェスシリーズに関係することがどんどん明らかになってきた今、一体これからどんな光景が見れるのか、今から楽しみです!

さてさて、物語のほうになりますが終わってしまいましたね。卒業式……。TVパートも残すところ後2話です。

突っ走りますよ!

次回『想い出』

それでは、次回もお楽しみに!



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