ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回は多分、サブタイでどんな話か分かるんじゃないでしょうか? つまり、そういう回です。ただ、ようやく声に出して宣言する場面もありますので今までの話を呼んできてくれた人にはちょっと嬉しくなることがあるのではないでしょうか?

それでは、今回も胸の中にある想いを打ち明けた彼をご覧ください!


交渉と願掛け

空也side

 

 陽も傾き始めあたりにはオレンジ色の空がまぶしく見えているなか、穂乃果たちは明日に向けて体を休めるために帰路に着こうとしていた。

凛「あぁ~……。もう練習終わりなのか~」

 本当ならまだまだ練習はできる。少しだけ不完全燃焼気味の凛は昇降口から正門までを歩いてる中中、肩を落としていた。

 

 けど、この早い時間に練習を切り上げたのには理由がある。

絵里「本番に疲れを残すわけにはいかないしね」

 そう。絵里の言うように明日がラブライブの本番であるというのに遅くまで練習をして無理をしてしまっては失敗を引き起こしてしまうかもしれない。実際に穂乃果は文化祭の時にそう言った失敗をしているからこの状況であの時のようなことが起こらないように配慮して今日の練習スケジュールを決めていた。

 

 まぁ、それはみんなが納得して決めたことだから凛も当然知っているわけで、ただただ不完全燃焼だということを嘆きたかっただけのようだ。

ことり「そうだよね」

 そんな中、みんなの正門に向かう足がやけに重いような気がする。きっと頭では理解していなくても本能がこの練習が終わったことがどういうことなのかを感じ取っているようだ。

 

 それでも穂乃果たちは歩みを止めることはなかった。練習の時に前を見るようにと考え方を確かに持った穂乃果たちは当然、けどそれは穂乃果たちだけではなかったようだ。いつもと比較しては遅い歩みの中みんなは校門前までたどり着いた。

絵里「じゃあ明日、みんな時間間違えないようにね。各自朝連絡を取り合いましょう」

 そして正門をくぐるとそれぞれの帰路に着く。けどその前に明日のことを話しておこうと絵里が口を開いた。もうすでに明日の予定はみんなで話し合って決めている。その予定を今さら確認するほどでもないが、現地集合ということもあり一度軽く確認しておく必要があった。

 

 それに、この中には遅刻の可能性が高い人物もいないわけではないのだから、確認しておくことに越したことはなかった。

海未「はい。穂乃果のところには私が連絡しますね」

 そう。穂乃果は明日のことが楽しみすぎて寝れなくなってしまうということだってあるし、何より日常生活で遅刻寸前の場面が多いことから言い逃れをすることはできない。

 

 が、海未の言葉を聞いた穂乃果は少しだけ不機嫌になりながら抗議を始めた。

穂乃果「遅刻なんてしないよ~!」

 楽しみなことが待っているときの穂乃果の様子は両極端で楽しみで眠ることができず寝坊して遅刻するのと、楽しみすぎるから朝早くに目が覚めてしまう可能性。今回はどっちに転ぶかなんとなくわかるが念には念を入れておいた方がいいだろう。

 

 そんな話をしていると、正門前にある信号が青になった。その信号を渡ろうとしたときにふと花陽が何かを思い出したようで進もうとしていた足が止まった。

花陽「あ……」

 足を止めた後、後ろにある音ノ木坂学院を見上げて少し切なげな表情を見せた。今までの練習がどんな意味を含んでいたのか理解したようだ。

 

 けど、まだ穂乃果たちは気が付いていない。

穂乃果「ん?」

 だから不思議な行動をした花陽に疑問を覚え、それが連鎖していき結局信号を渡ることはなかった。

 

 やがて信号は赤になり、花陽が今気が付いたことを口にする。

花陽「もしかしてみんなで練習するのってこれが最後なんじゃ……」

 今日で最後。実際その通りでラブライブが終われば絵里たちは練習をする意味がなくなる。それに明日は直接現地に集合する予定だったから音ノ木坂学院にみんなで足を運ぶつもりはなかった。つまり、この場所で練習ができるのは今日が最後だったということだ。

 

 思い返してみれば、それは当然のように当たり前のことだった。

希「…………そうやね」

 明日は本番でここに来る予定はない。そして明日が終わればスクールアイドルとしてのμ'sが終わりを迎える。考えれば当然のように分かることだ。けど、人は無意識のうちに認識したくないものを排除する傾向にある。そのため、みんなは気が付かなかったのだろう。

 

 けど、このスケジュールを考えた人はどうだろうか? スケジュールを組んだ人は次に練習がないということをわかっていないとおかしい。ということは最初から分かっていた人は数人いる。

真姫「って気づいてなのに言わなかったんでしょ。絵里と空也は」

 そう。真姫の言うように絵里と空也はこうなることが分かっていた。絵里はみんなが気が付かないように明日の予定について話すことで気をそらそうとしていたし、屋上から出るとき空也が物寂し気に屋上を見ていたのもそれが理由。こうしてみんなが練習する場がなくなるという寂しさがあったからだ。本番前にこんな気持ちになってはいけないと思っていたから言わなかった、悟られないようにしていたがそれももう終わりのようだ。

 

 気が付いていて言わなかったと、真姫が言うと花陽も他のみんなもなんで言わなかったのかなんとなくわかってくる。

花陽「……そっか。ごめんなさい……」

 だから寂しい気分を思い出させてしまったことへの謝罪を花陽は言った。

 

 ただ、今日が最後の練習だと知っていて練習をしていた絵里にもこの気持ちは芽生えていた。

絵里「ううん。実は私も少し考えちゃってたから」

 結局、このことを考えないようにするというのは無理だったのだ。分かっているからこそみんなよりも早く終わりなんだと悲しくなってしまう。その気持ちは遅かれ早かれみんなに伝染したことだろう。

 

 そんな落ち込む空気の中、この雰囲気の中では勇ましいとさえ思える声が小さいからだから発せられた。

にこ「……だめよ! ラブライブに集中!」

 そう。なんでこのことを話さなかったのか。それはにこの言うように明日に集中してもらうため。いくら春が近づいてきたとはいえ、日が落ちれば気温も低くなり風邪をひいてしまう恐れもある。そうなっては今日はやめに練習を終わらせて事、そして練習が最後であることを言わなかったことの意味がなくなってしまう。

 

 もちろん、いくら寂しがっていたってにこが言ったことはよくわかっている。

絵里「わかってるわ!」

 だから寂しさをぬぐって絵里は前を向いた。そう。今は前を向いて進んでいかないといけない。それだけ明日が大事な日だから。

 

 けど、そんな前を向いているμ'sとは違い、後ろに駆け出していく人もいた。

空也「……あ! ごめん学校に忘れ物したから取ってくる」

 それが空也だ。こういう場面で後ろに向かって走り出すということは未練があるととられてもおかしくないのだが、その表情は寂しがって我慢しきれなく手の行動をしているようなものではなかった。笑顔。それも悪戯をしようとしている少年のような笑顔だった。

 

 けど所詮は忘れ物。すぐに戻ってくると思った穂乃果は少しの時間なら待っている方がいいと判断し、空也に声をかける。

穂乃果「じゃあ待ってようかー?」

 もうすでに30mほど離れてしまっているから穂乃果は口元を両手で覆い、声が通るように大きく声を上げた。

 

 それに応えるように走りながら穂乃果たちに向けて言葉を返した。

空也「いや、帰っててくれ。それじゃあな!」

 手を大きく振りながら昇降口に空也は戻っていく。その時も表情は変わることはなく笑顔のままやがて穂乃果たちの視界から消えていった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果side

 

 空也がみんなの前から走り去っていくのを見届けた後もなかなか歩みを進めない穂乃果たち。そんな彼女たちにしびれを切らしたのかにこが振り返り口を開いた。

にこ「じゃあ行くわよ」

 空也は先に帰ってくれと言った。それを守るというものそうだが、いつまでのここにいたのでは埒が明かない。

 

 それでもみんな学校には未練があるようだった。みんなと出会ったのも、こうやってみんなと生活できたのもこの音ノ木坂学院があったから。それがそのきっかけとでもいうべきの練習が今日で終わりとなっては未練を感じないわけがない。けど、ずっとここにいることはできない。

 

 だから、その代わりにとにこがある提案をする。穂乃果たちが練習をしていた場所に言って最後のお願いをしに行こうと。

 何も穂乃果たちが練習していたのは音ノ木坂学院の屋上だけではない。希のバイト先でもあり、穂乃果たちの練習場所。『神田明神』そこにお参りに行けばきっと未練もなくなっていくだろう。

 

 にこの提案をみんなは聞き入れ、空也を除いて穂乃果たちは神田明神へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神田明神。初詣の時は人が賑わっていた光景はあったが、もう3月となっては参拝客も少なくなってくる。今この瞬間の神田明神には穂乃果たち9人しかおらず、9人が並んで参拝をしていた。

 10秒、20秒。どれくらい手を合わせてお願いをしていたのかよくわからないが、みんなは長い間心からそのお願いが叶いますようにと一生懸命だった。そして次第に満足した彼女たちは一斉に顔を上げた。

 

 おそらくは初詣の時とそんなにお願いすることは変わっていないのだろう。けど、今回の場合はこのお参りすることに意味がある。

にこ「これでやり残したことはないわね」

 そう。心からお参りをすることで明日への気持ちが高まり、自然と未練がなくなっていく。ここに来た理由が未練をなくすためだから。

 

 ここにきて明日への気持ちを再確認した花陽たちは何の曇りもない笑顔になった。

花陽「うん!」

 元々明日のことは楽しみではあったし、学校を離れたことから練習への未練は薄くなっていたのかもしれない。それに、今自分たちがしたことは明日のため。それであれば前を向かない道理はなかった。

 

 ただ、そんな中で1つだけ気になることがある。初詣の時もそうだったが、この人数だ。神様にお願いすることが多かったらきっと叶わないのではないだろうかと少しだけ不安になってしまう。

凛「こんなにいっぺんにいろいろお願いして大丈夫だったかな?」

 凛が心配しているのにも理由は当然ある。それは初詣の時よりも人数が増えているという点。人数が増えれば願いが叶う可能性も低くなる。それを凛は危惧していた。

 

 だけど、こんなに大勢でお願いしている状況であったとしても穂乃果には絶対に大丈夫と言えるだけの自信が確かに芽生えていた。

穂乃果「平気だよ! だってお願いしてることは1つでしょ? 言葉は違ったかもしれないけどみんなのお願いって1つだった気がするよ!」

 そう。この場所に来た理由はみんな同じ。明日のための優勝祈願。直前にこんなことをしても気休めにしかならないということはわかっていても、やっぱり心づくりとしては十分すぎることだ。

 しかも穂乃果の言うようにみんなのお願いしたことはただ1つ。それぞれの言葉に置き換わっていたとしてもその本質は1ミリも変わらない。

 

 だからきっと叶う。そう思った。

絵里「そうね」

 

希「じゃあもう一度」

 そして念には念を入れて今度はみんな同時にお願いをしようとする。

 

 希が声をかけるのと同時にみんなは手を合わせて最後のお参りをする。

μ's『よろしくお願いします!』

 今度は声を揃える。特に理由はないがみんなが一体感を得るという目的の中ではこれ以上にないお参りの仕方だったのかもしれない。

 

 そうしてお参りを終えた絵里たちは踵を返して帰路へ着こうとする。

絵里「さ、今度こそ帰りましょう」

 明日は大事な日。だから早く帰らないといけなかった。それがようやく果たされる。

 

 みんなも学校の前にいた時のような暗い寂しそうな表情ではなくなったから大丈夫だと思う。

穂乃果「うん! 明日!」

 穂乃果だってみんなだって笑顔だ。これなら絵里の言った通り早く家に帰ることもできるだろう。

 

 それに真姫も同調する。

真姫「そうね」

 早く帰らないといけないことに変わりはないのだ。ここにいる意味ももうなくなったのであれば早々に立ち去るほかない。

 

 けど人間なんてものはそんなに簡単に気持ちを切り替えることはできない。みんなは言葉では早く帰ろうとしているのだが、みんなの足が動いていない。

 それに気が付いた花陽はまだ寂しい気持ちが残っているのだとわかってしまった。わかってしまったからこそ、また寂しくなってしまう。

真姫「もう。きりがないでしょ」

 けど、ずっとこうしているわけにもいかず、それでも言っている真姫の足は動いていない。

 

 言っていることとやっていることが矛盾していた。それは例外なくここにいる全員が。

にこ「そうよ。帰るわよ」

 そういうにこだって一歩も歩みを進めることはなかった。この言葉を言い終わるまでは。

 

 帰らないといけないのに帰りたくない。そんな気持ちを抱えた彼女たちにやってきた1つのメール。それは意味深なものでも内容が分からないものでもなかった。たった1つの報告のメール。

 

 それを見た穂乃果たちは駆け足気味に自宅へと駆けていった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのメールの件は時間を少しだけさかのぼらないといけない。これは穂乃果たちと別れた後の空也のやったことだった。

 

空也side

 

 穂乃果たちと別れる口実として使った『忘れ物』というのは空也には存在しなかった。……いや、確かに物として忘れたものはなかったが、やることを忘れていたというのならきっとそれは『忘れ物』というくくりにしてもいいのだろう。

 空也の忘れ物。それはみんなと一緒にいるためにやることを忘れていたという意味だった。

 その空也が向かった先は理事長室。昇降口からずっと駆け足でこの部屋に向かったため空也の意気は上がっている。それでも空也のやることは1つ。少しだけ理事長室の前で息を整えてから、ドアをノックした。

 

 甲高いノックオンが空也の周りに響き渡る。おそらく部屋の中にもこの音は響いているのだろう。

南ママ「どうぞ」

 ノックの後、部屋の中から理事長がそう言った。

 

 理事長の返答を聞いて手にかけていたドアノブを捻り、理事長室の扉を開けた。

空也「失礼します」

 静かに理事長室に入っていく。この室内には空也と理事長の2人しかいなかった。どうやら理事長は書類作業中だったようで手を止めて入り口付近にいる空也のことを見ている。

 

 ノックの後に返事をしたときドアの向こうに誰がいるのかわからなかった。箱を開けてみれば見知った顔だったため理事長は何のようなのかわからず首をかしげていた。

南ママ「あら、空也君。どうしたの?」

 明日はラブライブ。練習ももう終わる時間であることはことりの母であれば知っていてもおかしくない。早々に家に帰ると思われた空也がここにいるのは保護者として少しおかしいのでは無いのかと思ってもおかしくなかった。

 

 最もな問いを聞いた空也は、ここで長話をして本題に入れなくなるとこれからの動きにかかわってくると判断した。

空也「そうですね。単刀直入に言いますとアイドル研究部の校内1日合宿を許可していただきたくて」

 そのためすぐに本題に入った。それはこの学校内で合宿をさせてほしいというもの。もちろん絶対にできないわけではない。学校には合宿が可能であるということが明らかになっている。

 

 ただし無条件にできるというわけでは当然なかった。本当であれば事前に申請をしていないとできないことである。

南ママ「……本当は2週間前に書類を提出しなければならないのだけど。……私が見忘れてしまったという可能性があるわね。このことを内緒にしてくれるならいいわよ」

 実際に空也たちはそんな書類を提出していた覚えはない。これは嘘なのだ。理事長から学校を救ってくれたμ'sに対しての優しい嘘。何故合宿をしたいのか理由を理解しているからこそ答えることができるものだったのかもしれない。

 

 もちろん、空也は理事長が嘘をついていることが分かった。でも、これは優しさから来たもので、好意には答えたい。

空也「……わかりました。生徒には口外しません」

 だから嘘だと思っても話の流れに身を任せ、穂乃果たちがここで合宿することを許可するということになった。

 

 これで、空也がここにやってきた意味は果たされた。が、これだけで話が終わるというのは空也の甘い考えだったのかもしれない。

南ママ「そう。なら許可しますけど。あなた以外みんな女の子なんですから、節度は守ってもらいますからね」

 そう。アイドル研究部は女子が9人であるのと同時に男子が1人だけ。教職員としてそんな状態をただただ見過ごすわけにはいかない。

 まぁ、だからと言って空也だけを許可しないとかそういうことはしない。ただただ忠告として空也に聞かせるだけに過ぎない。

 

 当然空也も大事な日が控えているというのに欲に身を任せるわけにはいかない。

空也「もちろんですよ。理性には自信がありますから」

 そして空也には自信があった。それは何度も合宿で同じ場所で寝ているということも含まれているがそれよりも前に理性に自信があると言える状況に遭遇していたからにままならない。

 

 自信満々に答える空也にそれが嘘ではないということが伝わったようで理事長は納得してくれていた。

南ママ「言うわね。……ここからはことりの母として話をしましょうか。どうしてそんなに理性に自信があるのかしら?」

 そして一人の母親として今度は空也に話しかける。空也が理性に自信がある理由なんてことりの口から聞けるわけもなく、はたまた察することなんて夢のまた夢だ。

 

 少しだけ悩んだ末、若干の頬の赤みを浮かべた空也は口を開いた。

空也「小学校のころから穂乃果にことり、そして海未と今まで一緒にいました。今の彼女たちは十分美少女です。そんな中で何年も一緒にいれば男一人なんて慣れてますよ。それに風見学園に転校したときに入った部活も7人いて男子は俺を入れて2人でした。しかもかなり学園内で知名度のある子でしたのでそれなりに女の子の中にいる時でも冷静でいられるようになったんです」

 今まで触れ合ってきた美少女の数が普通の人よりも多く、また男子が少ない状況に居合わせることが多かったから。最初はもちろんドキドキだってした。だけどそれは長い時間を経て慣れとなり、こうして日常生活が送れるようになったのだ。たとえそれが人数が増えたところで変わることはなかった。

 

 その空也の言葉に嘘はないと判断した南ママは安心した様子を見せた。

南ママ「そう。……これからもことりをよろしくね」

 ことりのためを思っての言葉。幼馴染としてもう少し先の関係になることができるのではないかと思った南ママはそんなことを空也に言った。

 

 聴いた言葉の意図に空也は気が付いた。けど、それを受け入れるわけにはいかなかった。

空也「えぇ、幼馴染として最大限手を差し伸べますよ」

 ことりとはこれからもずっと幼馴染。この関係が変わることは絶対にない。

 

 直接南ママの言葉を断ったわけではないが、空也が伝えたいことは確かに伝わった。

南ママ「……そう。ねぇ空也君、あなたに好きな人いるの?」

 だからこそのこの質問。好きな人がいるから断ったのではないかという単純な理由から出てきたものだ。

 

 ここまで直球に聞いてくればもうお茶を濁すことは出来ない。今までことりや海未にはごまかしてきたけど、あの日に認めた時からごまかすのはやめにした。

空也「…………いますよ。それもμ'sの中に……」

 そう。空也の想い人はμ'sの中にいる。短く空也はそう答えた。

 

 そのことを聞いた瞬間に、雰囲気が南ママから理事長へと戻った。

南ママ「そう。でもさっき言ったことは守ってちょうだいね」

 確かに好きな人がいると聞けば理性に自信があったとしても若気の至りで間違いがあるかもしれない。そう思えば念を押すこの言葉にも納得がいく。

 

 その忠告にもう一度大きく首を縦に振って答える。

空也「わかってます。じゃあみんなに連絡してきます」

 何が何でも明日のために事件は起こさない。そう空也は心に決めて理事長室のドアを出ようとドアノブに手をかけた。

 

 そんな空也の後姿を優しく見守る理事長。

南ママ「行ってらっしゃい。空也君」

 その言葉を背中から聞いて空也は理事長室を出る。今空也にあるのは1つの達成感。これでみんなが笑顔のまま明日を迎えることができるということが嬉しくなりすぐに携帯を取り出した。

 

 完璧な了承も得られた。そのことを報告してみんなを集めるために、すぐにメールを起動した。

空也「合宿の件も取り付けられたしメールするか。じゃあ『今すぐに家に帰って着替えなどの一晩過ごせるような準備をして学校前集合!』っと。送信!」

 このメールが神田明神にいる穂乃果たちに届き、急いで帰宅へと向かった理由になる。

 

 メールを送信した後、空也も支給自宅に戻り準備を済ませてきたとか。

 




アニメではことりがお願いしていたようですが、今作では空也の仕事になりました。オリジナル要素では初めて既存キャラに好きな人がいると打ち明けた空也ですがこれからどうなることやら……。

次回はもちろんこの続き! 

新しくお気に入り登録をしてくださった黒野舞亜さん、Tiyaさん、さすらいのエージェントさんありがとうございます!

次回『学校合宿』

それでは、次回もお楽しみに!



Twitterやってます。
https://twitter.com/kuuya_soranari
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