ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回から『ラストライブ』回……。TVアニメ分もとうとう終わりが見えてきました。

それでは、今回も最後に向けて気を引き締める彼女たちをご覧ください!


第10章 ラブライブ!
練習


 ラブライブの本戦を明日へと控えたμ'sは他の出場するスクールアイドル達と一緒にとある場所に来ていた。この場所で行うこと。それは……。

 

穂乃果side

 

 明日のラブライブでパフォーマンスをする順番を決めるものだった。何故前日にやるのか気になるところだが、ライブの構成がある程度自由になっている分、順番を考慮してのパフォーマンスにならないようにということを考えてのことなのだろう。どの順番でも素晴らしいパフォーマンスができるのなら問題はないはずだから。

 

 そして北海道のスクールアイドルから順々に呼ばれていた中でとうとうμ'sの順番になった。

司会「エントリーナンバー11! 音ノ木坂学院スクールアイドル『μ's』!」

 東京地区代表のμ'sは今もなお『A-RISE』を倒したグループとしてスクールアイドルのあこがれの的になっていた。だからだろうμ'sが呼ばれた瞬間にほかのエントリーしているグループからも歓声があった。それも黄色い歓声だ。憧れていなければ、好きでなければこんな歓声は出てこないだろう。

 

 μ'sが呼ばれ、穂乃果はくじを引くために壇上へと昇る。そしてくじの入っているハコに手を入れようとしたのだが、それをやめ他のメンバーがいるほうを向いて口を開いた。

穂乃果「にこちゃん、くじを引くのはにこちゃんだよ!」

 確かに、くじを引く者としてこれ以上適任な人はいないだろう。穂乃果はμ'sのリーダーではあるが来年もこの場所に立てる可能性がある。それに加え、にこはアイドル研究部部長で今年度卒業してしまう。アイドル関係では絵里や希以上にやる気に満ち溢れ、ちゃんとメンバーを導いてきた。

 そしてあの文化祭の時のリベンジという点でもこの場でくじを引くのは穂乃果以上に他のメンバー以上ににこが適任だった。

 

 ステージの上から穂乃果に名指しされたにこは驚きのあまり座っていた席から立ち上がってしまう。

にこ「え!? わっ私!?」

 本当であればこのまま穂乃果がくじを引くはずで、それでみんなが納得したはずなのにここにきて急に名前を上げられれば驚くのは当然。

 

 が、穂乃果がやったことは今この瞬間に決めたことであっても、にこの名指しに関しては反対するようなことでもなく、むしろにこ以外全員が納得することができた。

真姫「卒業するまでは部長でしょ」

 そう。真姫の言うように卒業するまではにこが部長だ。学校を背負って活動をしているμ'sはアイドル研究部という部活動の中にある物。だからこういった学校が前面に推し出てくる場所では部長であるにこのほうが立場的には上になるのかもしれない。

 

 だから、みんなが賛成しているからにこの後ろに座っていた凛はにこの背中を押した。

凛「そうにゃ! 最後はビシッと決めるにゃ!」

 このままでは穂乃果はずっとくじを引くことはないだろう。それにみんながにこにくじを引いてもらいたいと思っている。

 

 凛に背中を押されたにこは一度後ろを向いてみんなの表情を見た。みんなはにこを見送るかのように笑顔を浮かべていた。

にこ「わかったわよ!」

 みんなが本気であることがそれで十分伝わってくる。その想いに答えにこは穂乃果のいる壇上に向かって歩き出す。その表情もみんなと同じ笑顔。

 

 穂乃果はにこの隣で立ち止まる。そして多くのスクールアイドルがいる後ろを振り向くとようやく自分たちがここまで来たんだと実感がわいてきた。

にこ「……いよいよ来たのね」

 にこにとってはこの舞台は憧れの場所。他のみんなよりも人一倍も。だから他の誰もが言うよりもにこの言葉は重い。

 

 けど、にこに勝ることは決してないが穂乃果も想いは同じ。

穂乃果「……うん。ラブライブ……」

 憧れて、夢に見て……。立ちたいと強く想った場所。ラブライブ。この9人でステージに立てるのがこれが最後なのだから。

 

 そんな風に穂乃果たちがこの場所に立てた事に感動していると司会の人が穂乃果たちを呼んだ。

司会「代表者、どうぞ前へ」

 にこは司会にそう言われ前に出た。目の前には当然ながらくじ箱。ここで少しだけあの時のことが思い浮かんでしまう。トラウマといっても過言ではないであろう文化祭の時の抽選会の時のことを。

 くじ箱に向かうにこの手が震えていく。外れることはないとわかっていたとしてももし良くない番号だったら? 穂乃果が引いた方がいい番号になるのではないか? 確証は一切ないそんな予想。

 けど、一度くじ箱に向かうにこの手が止まる。一度大きな深呼吸をすることで落ち着こうとした。大丈夫。どんな数字を引いてもμ'sは大丈夫。にこがそう心の中で唱えた。

するとにこのくじ箱に進む手が震えることはなくなった。それどころか十分な勢いでいつものにこに戻ったことがわかる。

 

 

 そしてにこはくじを引いた。そこに書かれていた数字は……

 

 にこの引いたくじの結果を手見上げに空也が待つ音ノ木坂学院に戻るのだった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空也side

 

 ラブライブの順番を決める場所はステージに出る人たちにしか行くことができなかった。だからたとえ穂乃果たちが空也がμ'sの一員であると言ったとしても、空也ですら除外される。

にこ「ふっふ~ん!」

 初めてこのアイドル研究部の部室で空也はにこが引いた数字を知った。その番号は47番。各都道府県のスクールアイドルから1組ずつ出てくるということはその番号は……。

 

 最後。つまり、ラブライブという大きな舞台でトリを務めるということになる。

凛「にこちゃんすごいにゃー!」

 中途半端な数字ではなくこうして最後の数字を引けたのもにこが引いたからなのだろう。最後となればやれることが増えてくる。

 

 凛に褒められたにこはいつもより偉そうに胸を張るにこ。

にこ「あっ当たり前でしょ私を誰だと思ってるの!? 大銀河宇宙ナンバー1アイドル! にこにーにこちゃんよ。……はぁ、緊張した……」

 けどそれは、少し無理をしていたようだ。多くのスクールアイドルがいて、そしてそこはあこがれの場所。そんな場所に立って重大なくじ引きを任せられたら緊張するだろう。ようやく落ち着く場所に戻ってきて落ち着きを取り戻してきた。

 

 ただ、よく考えれば最後にやるというのは今までのすべてのスクールアイドルと比較されてしまうということで、放送を最後まで見る人もなかなかいないだろう。

真姫「でも、一番最後……。それはそれでプレッシャーね」

 それに……。最後にパフォーマンスをするということは人間として避けたいと思ってしまう。

 

 が、起きてしまったのは直らない。

絵里「そこは開き直るしかないわね」

 そう。だから開き直るしか道はない。どのみち時間は残されていないのだしやれることをやるしかなかった。

 

 最後ということに委縮してしまう人もいれば、その反対もいる。

穂乃果「でも私はこれでよかったと思う! 念願のラブライブに出場できてしかもその最後に歌えるんだよ!」

 それは穂乃果にように最後でよかったと心から思う人。最後というのはかなり自由なライブ構成ができる。

 

 だからこれがプラスに思えるのもおかしいことではない。

希「そうやね。そのパワーをμ'sが持ってたんだと思う」

 なるべくしてなった。それが希の考えで、にこだから引けたものでもある。その結果が最後の数字。今から何をしようかと少しだけ考えてしまう。

 

 くじを引いたのは何度でも言うが、にこだ。それをμ'sの手柄として話されている今、あの緊張感の中でくじを引いたことが薄れるのではないかと思ったにこは反論をする。

にこ「ちょっと~、引いたのは私なんだけど」

 けどそれはどこか意地になっているだけのような、本心から言っていることではないというのがなんとなく穂乃果たちには伝わってきた。

 

 それに、矢澤にこはμ'sの一員。それはどんなことをしたって変わることのないものだ。

空也「にこだってμ'sだろ。一緒だよ。さ! トリに決まったことだし、練習するか!」

 空也の言葉でみんなのムードが練習へと変わっていく。最後となるこの9人でステージに立つ明日のために今できる最高のパフォーマンスをすると心に決めて。

 

 みんなが笑顔のまま屋上に向かって駆け足気味に走っていく。ただ、その中で数人だけ笑顔の中に少しだけ寂しそうな色が混ざっているような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明日にラブライブ本戦を控え、練習をする為に穂乃果たちは屋上に来ていた。

 

 穂乃果たちが修学旅行に行った時から少しずつ練習していた凛のカウントでラブライブで披露する予定の『KiRa-KiRa Sensation!』のダンスをしていた。踊りながらカウントをとるのは難しいはずなのにそれをやれるくらい凛は上達していたようだ。

 そんな中空也は誰にも気づかれないようにバランスを見ながらある曲の作詩をしていた。

 今までμ'sの出した曲は『START:DASH!!』、『これからのSomeday』、『僕らのLIVE 君とのLIFE』、『Wonder zone』、『夏色えがおで1,2,Jump!』、『ユメノトビラ』、『どんなときもずっと』『Dancing stars on me!』、『snow halation』、『KiRa-KiRa Sensation!』、そして3学期の初めに披露した『僕らは今の中で』、『愛してるばんざーい』の12曲。公開しているのはこの曲だけだが、穂乃果と空也だけの秘密である『もうひとりじゃないよ』も作詞はしている。

 ただ、空也はこれまでの合計13曲のほかに9つの曲を作詞しようとしていた。ちょっと前からずっとコツコツ書き続けた結果、7つの詩が完成させることができた。

 

 しかし、残り2曲のテーマが決まらない。明日がラブライブの中こんなことをしていると言われれば少し気が抜けていると思われてしまうだろう。だけど、空也はもう残りの時間が少ないことからやれることをやれるのは穂乃果たちだけだと思っているのだ。これからはもう、空也ができることはない。だからそんな余裕が空也にはあるのだ。

 

 そんなことを空也が考えてると休憩時間に入っていた。陽の光がさんさんと照っている中休むために日陰に移動した。

穂乃果「空也君! どうだった!?」

 その中、先ほどのダンスに関して完成度を訪ねてくる穂乃果。笑顔のまま、目をキラキラと輝かせている穂乃果はある程度うまくいった自信があるらしい。空也がこの目を見るのは何度目だろうか? 今を想えば穂乃果がスクールアイドルを始めようといったときもこんな目をしていたように感じる。が、少しだけベクトルが違うようにも感じた。好奇心や興味から始まったスクールアイドルの気持ちが高まって今はただただ上達したいという熱が強くなっていた。

 初めてスクールアイドルになろうと言い出した時とはベクトルが違っても同じくらいより強い心の熱さだった。

 

 ずっと見ていた空也はさっきの練習を見ていて思ったことを言葉にする。

空也「あぁ、大きなミスはもうないしタイミングもあってるから大丈夫だぞ」

 そう。見ていた時になんでいろんなことを考えることができたのか。それは完成度が高いから十分すぎる完成度は空也にそんな余裕を生み出した。慢心をしているわけではない。できることをやっている。それが空也の余裕に繋がっていた。

 

 空也がそう言った感想を言っていると一緒に聞いていたことりと海未も喜びだした。それはそうだ。何かしら改善点を出していた空也がミスがないと言ってくれたことが今は何よりうれしい言葉で自信が付くものだった。

海未「そうですか。それにしても今日は暖かいですね」

 そんな嬉しさを少しだけ恥ずかしく思った海未は話を少しだけ変える。確かに今日は3月だというのに暖かく運動するのに適した気温だろう。厚着をした冬を過ごしていた穂乃果たちにとってこの気温はとても心地のいいものだった。

 

 青く澄んだ空を見ていた海未が今から自分が何をしようとしていたのかを思い出し、スポーツドリンクを穂乃果と空也に渡した。先に渡されていたことりは額に汗をたらしながらごくごくと飲み物を飲んでいた。

穂乃果「ありがとう」

 

空也「サンキュー」

 海未から受け取った2人は海未にお礼を言って一口二口を飲み、上がっていた息を整えた。

 

 思いっきり運動した後の飲み物というのはとても心地のいいもので、さらにそれに暖かな陽が加わるとそれはもう犯罪的にすがすがしい気分になった。

穂乃果「お昼寝したくなっちゃうね~」

 暖かな陽は穂乃果の眠気を誘い、近くの壁に背を預けた。

 

 もう3月も近くなってきてだんだんと陽の温かさが戻ってきたこの季節、明日が大事な日であることは変わらないのだが、それでもリラックスしながら練習できるほどにこの気候は穂乃果たちの気分を和らげていた。

ことり「いよいよ春って感じだね。桜の開花も今年は早いって言ってたし」

 3月というのは確かにもう春のようなもの。それに穂乃果たちにとって特別な存在である桜の話が出ると少しだけ嬉しくなるような気がした。それも普通のこの場所で早く見れると聞けば余計に嬉しくなるだろう。

 

 ことりの言葉を聞いた空也たちは蕾が付き始めているであろう街に植えてある桜の木々を見つめた。

空也「そうだったな……」

 けど、思い出すのはやはり、初音島にある枯れない桜。穂乃果たちがプロとして進むきっかけになったもの。だから少しだけ感慨深くなってしまうのも当然なわけで、早く桜が見たいと強く思ってしまったりもした。

 

 温暖な気候、青い空、運動した後の飲み物。それは十分に体を落ち着かせるのに十分だった。

穂乃果「なんか気持ちいいね~」

 けど、落ち着いているからこそ見えてくるものもあるわけで、あの日にあの砂浜で打ち明けた答え。その答えの根本にある理由。絵里たち3年生の卒業。それが近づいているということが今もなお穂乃果たちに実感を与えさせていた。

 

 でも、今はそのことを気にしている時ではない。確かに寂しくなるのは変わることのない。あと数日で絵里たちが卒業するのだって変わらない。ただ、そのことに沈んでいたのではこれからにつながらない。

空也「穂乃果、今は寂しがってるときじゃない。前向いてけ」

 今はただ前を向いて目先のラブライブだけのことを考えるしかない。そのあとは一度の別れがあるだけでずっと離れ離れになるわけではない。

 

 もちろん空也の考えはみんなが持っているもの。だから今話に出さないこともあったりするわけで集中しようとみんなが考えて活動をしていた。

海未「そうですよ」

 だから海未も寂しそうにしている穂乃果に向かってそう言った。寂しがっている時間の余裕はない。今を楽しむことが先決で、何よりも優先すること。だって明日はラブライブ。最後のライブをすると決めた大会なのだから。

 

 最後の大会で優勝を目指して最高の結果を目指しているのに、寂しがって楽しむ余裕がなく過ぎてしまうのは悲しいことだ。

穂乃果「……わかってるよ。ただ……」

 もちろん、そのことは穂乃果も重々承知。けど、寂しい気持ちになるなというのも無理な話だ。一緒に過ごしていた時間が長いから、こんな気持ちになってしまう。

 

 穂乃果が最後に意味深な言葉を残したためその後が気になったことりは後の言葉を尋ねる。

ことり「ただ……?」

 だけど穂乃果はことりの問いに答えるのではなく立上がり両隣にいたことりと海見に抱き付いた。頬をくっつけあうくらい思いっきり。

 急に抱き着かれた海未とことりは穂乃果の行動に混乱して何が何だかよく分かっていない様子。けれど、穂乃果は抱きしめることをやめない。

 

 ギュッと抱きしめられている海未は数秒の間フリーズしていたのだが、そのあとは頬を赤くしてこのような行動をとった穂乃果に何事か尋ねる。

海未「なんですか一体!」

 確かに急に抱き着かれたら、それも今まで話していたことが普通の会話だったら驚くのも無理はない。

 

 ただ、そんな行動をとった穂乃果にも何の理由もないわけではない。

穂乃果「急に抱き付きたくなった! 空也君は後でね」

 でも、本能でやりたいと思ったからやっているというだけ。きっと穂乃果は近くに人を感じたかったのかもしれない。だってこれから短い間とはいえお別れをしなくてはいけないのだから。その悲しさを埋められるのは人のぬくもりだけ。

 

 後で抱きしめると宣言した穂乃果にそっぽを向きながら空也は答える。

空也「…………。遠慮しておく……」

 軽いスキンシップ程度であれば空也も穂乃果たちにすることはあるし、腕を組むくらいなら普通にやっていた。しかし、抱きしめるとなれば話は別で、特別な時しかやっていない。それも身近に知り合いがいない時だけでこのような場所でやったことは1度もなかった。だけどそっぽを向いているはずなのに目線がちらちらと穂乃果たちのほうを見ていることから何かを我慢しているように感じなくもなかった。

 

 穂乃果の行動に当てられ抱きしめられていることりはきっと穂乃果と同じような気持ちになったのだろう。

ことり「私も~。ぎゅー!」

 穂乃果と一緒になって海未と穂乃果に抱き着くことり。

 

 女の子の仲睦まじい光景が広がる中で、その中にいる海未も不思議と嫌とは思わなかった。

海未「もぅ……。苦しいですよ。ことり、穂乃果」

 むしろ笑顔のまま、されるがままに穂乃果たちに抱き着かれていた。最後に至っては一緒になって抱き着いていた。

 女の子が3人、仲睦まじい様子で抱き合っている姿は男の空也にとって見ていて恥ずかしいと思ってしまうことだったのかもしれない。けど、空也本人は微笑まし気に3人のことを見つめていた。その視線はいやらしいものではなく、子供を見るかのような優しげな視線。

 きっと穂乃果がどうしてこの行動にとったのか、3人が今どんな気持ちで抱き合っているのかが分かるからできることで、きっと想い自体は空也も同じ。だから、暖かな目で穂乃果たちを見ていたのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことをしていると時間が過ぎていき、再び練習を再開する。と言ってもやることは休憩前と変わらない最初から最後までを通して踊るだけ。だけど練習前とは違う部分が1つだけあった。それが今回の場合は空也がカウントを取り凛には踊りに集中してもらうというもの。本番になると歌いながら踊らないといけないが、それはみんなも同じ。凛だけカウントしながらだと条件が異なってしまうからだ。

 しかし、ダンスに集中してもらったおかげか、先ほどまでよりも踊りのタイミングはばっちり合っていた。

空也「まだ上達するのかよ……。って今更か……」

 ダンスに関して休憩の時もそうだったように、空也が言うことはもう存在していなかった。が、それは才能とかそんなもとからあったものではない。このμ'sが息の合ったダンスができるのはそれだけ一緒にいたから。そしてみんなで努力をしてきたから。

 確かな成長を確認することができ、ラブライブで優勝する自信もついたこの練習は最後に歌とダンスを合わせて終わりとなった。

 

 そしてダンスが終わると少しだけ上がった息を整えながらずっと見ていた空也の言葉を待っていた。

空也「よっし。問題はなし。だけど、本番はこれ以上を目指すように!」

 今日の練習の締めの言葉。実際に穂乃果たちのダンスはケチのつけようがないほどに、それも歌を合わせても完成度に変わりはなかった。歌のほうも本当に動いて歌っているのかと思わせるくらいに乱れることなく最初から最後まで歌い続けることができていた。

 本当ならこれ以上を望むのは傲慢なのかもしれない。けど、本番にこれと同じものをやろうとするよりも上を目指したほうがいいというのは穂乃果たちがみんなで決めたこと。

 

 だから、空也の言葉を聞いたみんなはきちんと姿勢を正して空也に向かって返事をする。

μ's『はい!』

 けどこれは空也に向けてだけの返事ではなかった。自分たちに言い聞かせるために、誠心誠意心を込めて返事でもあった。

 

 これで今日の練習が終わった。あとは明日に向けて体を休めるだけ。穂乃果たちは着替えるために空也より先に屋上を後にした。

 

 そんなみんなの背中を追うようにして空也も屋上から出ようとする。が屋上前の踊り場で扉を閉める前に空也は一度、屋上のほうを名残惜しそうに見つめた。今日の練習がどんなものだったのか、それを想っているから目尻には少しの雫が出てきてしまう。

 

 けど、休憩の時に言ったように前を向いていないといけない。前を向いて、前に前に進まないといけない。ゴールは目の前なのだ。そう空也は心に誓い、ゆっくりと屋上に繋がる扉を閉めてみんなの待つ部室に向かった。

 

 




2期編に入ってからの合宿前には空也がやろうとしていることはもうすでに明るみに出ていたわけですが、それがどんな場面でみんなに渡されるのか、それはこの先をお楽しみに!

けど、もうここまで来たのかって思うくらいには進んできましたね。『ラストライブ』この話ではこの作品でしかできないこともやっています。そこもどんな風になるのかを予想しながら楽しんでみてください!

新しくお気に入り登録をしてくださったKOTORIchanさん、影行さんありがとうございます!

次回『交渉と願掛け』

それでは、次回もお楽しみに!



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