ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
今回の話は、前回の続き! いよいよアニメ本編と異なる動きを見せたこの世界の結末がどうなるのかお楽しみに!
それでは、彼の覚悟をご覧ください!
穂乃果たちがグラウンドで練習をしに向かうと別行動をした空也は生徒会室に向かった。空也たちにスカウトが来たある種特別な場所。その場所で空也自身が答えを出そうとやってきたのだ。
さくら『もしもし空也君? どうしたの?』
最初に空也が電話をかけたところは芳乃さくらのもと。中高一貫の私立校の風見学園の学園長をしているさくらに連絡を取ったのには理由があった。
そのためにかけたという空也はさくらが電話に出るとすぐに話始める。
空也「さくら、学園長で大変だと思うが、ちょっと……いやお願いというより我儘だな。聞いてくれるか」
それは先ほどμ'sで話し合ったことをに関係すること。医学の博士号を持っているさくらに真姫のことを頼もうと空也が連絡を取ったということだ。それにさくらは先生を着ていることから物を教えること自体は苦手ではない。むしろ、空也に魔法を教えたさくらは人に教えることが得意だといえる。……日本語の読み書きは苦手で全く読めないんだけど。
まだ空也自身がやるべきがその我儘の内容を言っていないため話が見えていない状況のさくらだけどその答えは……。
さくら『いいよ。それで何?』
すぐに了承の意を示す。そもそも空也が我儘を言う時はいつも誰かのためだということは知っている。だから内容が分からなくてもすぐに答えが出せる。
さくらがそう答えてくれた言葉を聞いた空也は早速その内容を言葉にする。たった1つの単純な願い。難しくもない、そんなお願い。
空也「真姫に、脳医学に関しての事を教えてあげてほしい」
真姫がアイドルという全力で楽しめることができるように、μ'sという存在が欠けることのないようにと願って、真姫本人の答えを聞いたときに導き出した1つの道筋。
それを聞いたさくらは真姫がどういう道を目指していたのかを知っている。だからどうして空也がその答えを出したのかも検討が付いている。
さくら『あ~医学の勉強がしたいんだっけ? いいよ。それに僕もそろそろ定年だしね。でもあと2年我慢してもらえる?』
さくらの中ではもう答えが出ていた。教えることができるのという簡単な答え。けどこの2年という数字はきっと葵の卒業のタイミングを待ってのことなのだろう。
けどその数字は空也にとってもかなり都合のいい時間だった。
空也「あぁ。っていうかベストタイミングだな。ちょうど卒業した後だから」
そう。葵の卒業のタイミングであるということは真姫の卒業というタイミングでもある。空也が真姫に勉強を教えてほしいと思ったタイミングはまさにそのタイミングだった。
ただ、内容は誰かのためだということが分かってもなぜにその話になったのかということは十分気になってしまう。
さくら『それでいきなりこんなこと言ってきた理由を教えてくれないかな』
だから空也にさくらがどんなことがきっかけでこの話になったのかを尋ねる。
教えてもらう側の空也はさくらに聞かれたきっかけを話す。さっきあったことを少しずつ思い出すようにして。
空也「実は俺とμ'sがプロにスカウトされて、真姫は家が病院だからってそっちの知識と免許を取らなくちゃいけないんだって。プロになりたいけど家の事情でできない。そんな状態なんだ。だからそういうことならさくらや水越先生に頼んでだめだったら俺が教えて免許を取らせればいいって思ったんだ。……子供の意見だよな」
そう。これはただの子供の意見。どんなことをしてでもμ'sが離れ離れにならないように試行錯誤で周りを巻き込んだ迷惑な事。けど、わかっていたとしても自分ができることを最大に生かしたことが恥だとは思わない。確かな覚悟の下空也は1つ1つの答えを導き出したのだ。
確かな覚悟というものは誰もができることではない。妥協、諦め。そんな人の弱い部分が邪魔をしてしまう。故にできない。それができるのは決まったことをやり遂げようとする者だけ。
さくら『そんなことないよ。子供とか大人とか関係ない、相手にとって一番いい方法で解決することは大人にでも難しいんだから。それをやってる空也君はすごいと思うよ』
けどそれはさくらの言うように大人でもやることが難しい。その選択をすることで周りからどう思われるのか、リスクリターンはどうなのかそこまで考えて結局は諦めてしまう。
だからその選択をできたこと自体空也は誇るべきなのだ。誰もが幸せになることなんてできないけど、全員が全員この選択をしてよかったと思えるくらいのことくらいならできるどのだから。
そのさくらの言葉が空也にとって十分な救いになった。
空也「……ありがとな。このあとななかにも連絡しなきゃいけないから。じゃあな」
だから次に話をしないといけない人に電話を掛けるべくさくらに別れの挨拶をする空也。
だけど、さくらは1つだけ言わないといけないことがあった。
さくら『あ、ちょっと待って。実は達矢君の進路の進路が決まったんだけど、もしかしたら今回の話がなしになるかもしれないよ?』
初音島にいた時友人としてずっと一緒にいた達矢の進路が決まったということ。夏休みの時は進路に悩んで学校に来ていたのに。そして気になるのは最後の言葉。さくらは達矢の想い人のことを知っている。それは空也も。
なぜ今話しに上がったのか。それを考えると達矢の進路がどうなったのか。それは達矢の選択した道が答えを持っている。
空也「あ~、そういえばあいつ医学関係に進むんだっけか。けど志望校に進めるのか?」
空也は最後の中学3年生の時の成績だけ。それだけを見てみるとどうも進学できるとも思えない成績だった。悪くない成績なだけで医学に関する知識は0に等しい。
その成績は高校2年間でもさして上がるわけでもなく下がるわけでもなかった。が、それは夏前半までの話。
さくら『多分前のままだったら成績だけよくて知識が追い付いていない感じだったと思うけど夏休みが終わったころから常に学年1位。余程進みたいんだろうね』
夏休みが終わった後、毎日毎日勉強に励んで、さくらに勉強を教わるまでには本気の達矢の様子を空也に伝える。そして成績は学年トップになるまでよくなっていた。話によればテストの点数が全教科満点、医学の知識まで十分に得ている。さくらの予想では絶対に合格できると言えるくらいにはなってるらしい。
でも、空也たちが達矢のためにできることはない。だから出来て見守ることぐらい。
空也「けど、あいつのことはあいつに任せないと。こっちから何かをするつもりはないさ。特に真姫にはな」
達矢の恋の行方は達矢自身で何とかしないといけない。そのために手を貸すことはあっても直接干渉するわけではない。
それは空也もさくらも同じ考えで、どうするのかは全部達矢に一任するしかないのだ。
さくら『そうだね。じゃあボクが言いたいことはこれだけだから。じゃあね空也君』
今度こそ話が終わったさくらは電話を切って自分の仕事に戻る。空也も話すべき内容は話せたから満足気味に次の連絡先に電話を掛ける。
次に電話をかけるのはななか。ここでスカウトの電話をしたアイドルの1人。その答えを告げるために今空也は携帯の通話ボタンを押した。
ななか『もしもし空也君? どうしたの?』
数コールした後ななかとの電話がつながる。少しだけ早口の様子のななかが内容を尋ねてくる。
そしてその問いに唐突に話を持ち出す。あの時の答えを言うために。
空也「俺たちのプロデビューに関して答えが出たから連絡しようと思って」
デビューの話。この場で空也とμ'sに対してななかがしたこと。その答えがこれから空也の口から告げられる。
けどななかもアイドル。すべての時間にすぐに対応できるわけではない。だから空也の答えを聴きたいと思ったななかでもゆっくりと話をするわけにはいかないのだ。
ななか『……わかった。でもごめんね。今収録入ってるから手短にお願い』
どうやら収録中なようでななかの言うように話を手短に進めようと空也は思った。
その結果がこうなる。
空也「俺たちはななかの所属する事務所に入ることに決めた」
ラブライブに優勝しないと最終的な所属にはならないけど、1つの道を決めた空也はその答えを言う。
答えを聞いたななかは当然喜んだ。
ななか『ほんと! ありがとう! 社長も喜ぶよ』
嬉しそうに話しているのが分かるその声色が空也に聞こえてきた。
その中で穂乃果に言ったことを実現すべくななかに話を付けようとする。
空也「その代り俺をμ'sのマネージャーにしてほしい」
μ'sのマネージャーをしたいという申し出。それをななかに伝える。
少しの沈黙の後ななかが口を開く。
ななか『……わかった。社長に聞いてみる。それで話は終わり?』
掛け合ってみるということを空也に告げた後、次に話したいことがあるのかを尋ねるななか。
他に話すこそがない空也は一言今の時間を作ってくれたななかに謝りを入れる。
空也「あぁ、わるいな。忙しいのに……」
ななかだって暇人じゃない。むしろ今は仕事中でこの時間の間にも周りに迷惑をかけているのかもしれない。いろんな人を巻き込んで出した答え。でもそれはこうした周りに影響を与えているということを理解していないといけない。
けど話自体はななかが早く聞きたかったこと。条件にラブライブの優勝がかかわっているとはいえ、早めの答えを聴けることは十分にうれしいことなのだ。それにもしかしたら自分の所属している事務所に好きな人が所属するとなればうれしくないはずがないのだ。
ななか『ううん。大事な話だったから問題ないよ。じゃあね、がんばって空也君』
だから、一緒に仕事をしたいとそう思う。そしてファンだからこそ優勝してほしいと心から願っていた。その言葉をエールとして空也に送る。
その言葉を受け取った空也は長話をしている時間はないということを理解していることから一言話してから電話を切る。
空也「あぁ、じゃあな」
これで、μ'sの今後が少しだけ決まった。このことでμ'sの心持が変わるのであれば空也のやったことは十分な結果を出してくれる。そして将来が決まりかけたことが嬉しく思っている空也は軽い足取りで穂乃果たちが練習をしているグラウンドに向かった。
時刻は夕方。グラウンドでランニングをしていると穂乃果の顔が部活が始まった時のような難しい顔になっていく。μ'sとしてこれからみんなが一緒にいられるかもしれないという嬉しいことがあったというのになぜ……?
海未「穂乃果、何かあったんですか?」
そしていつも穂乃果を見ているからこそ、走っているときであろうとその変化に気が付くことができる。海未は今まで話していた内容のほかに何か困っていることがあるような穂乃果に話しかける。
けど、急に話をかけられた穂乃果はバレたことが意外なのか驚きの声が漏れる。
穂乃果「え?」
しかし意外にしているのは穂乃果だけでことりも空也も走っている穂乃果に近づいて並んで走る。
ことり「顔見たらわかるよ」
ずっと見てきたから、幼馴染だからわかる。それが深刻そうな表情をしているならなおさら。
そんな中、空也だけはどうにもそうなっている原因が分かっているようだ。それは昨日の出来事。
空也「昨日の雪穂のいってたことか?」
そう。雪穂が言っていた言葉は今の穂乃果にかなりの影響を与えていた。
無視することができないこれからのこと。それはプロになるということが叶うかもしれないということが分かっていても決めないといけない将来のこと。
穂乃果「うん。あのね、3年生卒業したらどうするのって聞かれちゃって……」
3年生の卒業。スクールアイドルとして活動を続けて、亜里沙のようなμ'sに憧れて、μ'sになりたくてこの学校にくるのかもしれない。それに3年生がいなくなったμ'sというのを考えてもイメージができないということも影響しているのだろう。
穂乃果の言葉を聞いて、悩んでいることが分かってことりも同じように悩み始めてしまう。
ことり「そっか……」
だってそれはすぐに答えを出すことのできないこと。
一番最初に悩んでいて、考える時間が一番長かった穂乃果自身にどこまで答えが出ているのかを尋ねてみる。
海未「穂乃果はどう思うんですか?」
海未に聞かれた穂乃果は自分の中で答えが出ていることを考えて言葉にする。
穂乃果「スクールアイドルは続けていくよ。歌は好きだしライブも続けたい。でも……」
スクールアイドルは穂乃果にとって大事なもの。それがプロになるということが決まっていても、大切なものであることは変わりない。たとえμ'sじゃなくなってもかけがえのないものであるということは穂乃果の中に芽生えたこの気持ちは変わることはないのだ。
だから今悩んでいることは自分のことではなく、自分たちμ'sのこと。μ'sの今後。
空也「μ'sとしていけばいいのか。名前は変えるべきなのか迷ってるってことかな」
3年生がいなくなったμ's。μ'sという名前、存在をどうするのかを決めないといけない。
空也の言ったことは穂乃果が考えていたことそのもの。
穂乃果「うん……」
悩みの種が分かった穂乃果はより一層肩を落として悩んでしまう。
けどその穂乃果の悩みは海未もことりも同じ。
海未「私も同じです。3人が抜けたμ'sをμ'sといっていいものなのか」
μ'sという存在概念がどういうものなのか、それを考えるとどうしても3年生がいなくなったスクールアイドルをμ'sと呼びたくないと思ってしまうことは無理のないことだ。
ことり「そうだよね」
なぜこんなことに悩まないといけないのだろうか? どうして……
穂乃果「なんで卒業なんてあるんだろう……」
卒業なんて、別れなんて、脱退だなんてあるのだろうか? 悩んで悩んで心が苦しくなるほど痛くなるほど考えないといけないのだろうか?
それが仕方のないことだということくらいはわかっている。けど、確かにそこにある物がなくなるということは虚無感を感じてしまう。
空也「そんなこと言ってもしょうがないだろ。それにプロになるんだ。どのみちいつかはスクールアイドルじゃなくなる」
そう。結局いつかはスクールアイドルではなくなるのだ。であればなくしてしまった方がいいのではないのだろうか?
そんな話をしていると穂乃果たちの前から減速してくるにこがいた。
にこ「続けなさいよ」
短く呟く穂乃果たちへのメッセージ。
でも、その言葉を聞いた穂乃果たちは意外な一言に困惑をしてしまう。
4人『え?』
けどその答えを出したのにも理由がある。だってアイドルというものはそういうものだから。
にこ「メンバーの卒業や脱退があっても名前は変えずに続けていく。それがアイドルよ」
そう。アイドルというものは名前を残して受け継いでいくもの。
にこがどういう意図をしてこの答えを出したのかが分かった。
ことり「アイドル……」
アイドルという概念だからそういう選択をした。にことしては当然のことでアイドルに憧れているからこそすぐに出せた答え。にこのアイドルへのプライドが出した答えだった。
脱退した、卒業したメンバーのために。
にこ「そ。そうやって名前を残していってもらえるほうが卒業していく私たちだって嬉しいの。だから……」
名前を残してくれることは後輩のことをずっと見ていてあげられるということでもある。だから名前を残して続けてほしい。それが残る穂乃果たちに向けてにこが言った願い。
しかし、話しながら走っていたにこは大きな2つの山の間に激突することになった。
希「その話はさっき終わったやろ?」
きっと今までにこたちが話していたことを聴いていたのだろう。そして、その大本の話は先ほどの空也の話したプロの話で決着が付いたと思われている。
けど、希がそう思っているだけで決まっていないことだって存在するのだ。それはμ'sが続くことが可能となったことだけで、今いる全員がプロになる決意をしたというだけで空也の出した条件には"増減"とあった。
空也「でも、まだ一つだけ決めてないことがあるんだよな」
だからスクールアイドルμ'sとして一緒に活動をすることになったから一緒にプロになるということ自体は可能なのだ。だから、話はまだ終わっていない。
が、そのことまで気が回っていない希には何を決めないといけないのかが分からない。
希「それは何なの?」
だからその答えを空也に尋ねる。
希にそう聞かれた空也はその答えをみんなに向けて話す。そう、みんなに向けて。希たちと話をしているうちに絵里や花陽達も集まっていた。
空也「メンバーの増減……いやこの場合は増加だけか」
これはμ'sに関係することでみんなで決めないといけないこと。1人ではなく、全員で決めないといけないことなのだ。なぜなら話すことというのがメンバーに関係することだからだ。
いつも親しくしていた娘たちの入学のきっかげがμ'sであること。そしてその娘たちがやりたいと願っていることはμ'sへの加入。
花陽「亜里沙ちゃんも雪穂ちゃんもμ'sに入るつもりでいるんでしょ? ちゃんと答えてあげなくていいのかな? もし私が同じ立場ならつらいと思う」
もしμ'sを終わりにするのであれば彼女たちへの裏切り行為に等しい。やりたいと思ったことができないという辛さは花陽はよく知っている。
そんな答えを出した花陽はこれからどうするべきなのか、どうしたいのかを凛が尋ねる。
凛「かよちんはどう思うの?」
まだ答えが出ていない状況で一体どんな答えを出そうとしているのか凛は単純に気になっているようだ。けどまだ答えを出していない凛にとっては参考にしたいという考えもあるみたい。
凛にどうしたいのかを聞かれた花陽は少しだけ驚いてしまう。
花陽「え?」
その後に凛が聴きたいことについて少しだけ詳しく話す。
凛「スクールアイドルμ'sとして続けていきたいの?」
プロを目指すのは凛たちの中でもう決まったこと。残るはスクールアイドルとしてどうするか。その答えを凛は聴きたい。
けど、先ほど亜里沙たちに対してどう思っているのかを話していた花陽でさえ、どういう考えをしているのか自分のことが分かっていない。
花陽「それは……」
だって自分たちとしてはここにいるみんながμ'sで、だけどそのμ'sに入りたいと思ている人たちを無碍にしたくないとも思っているのだから。これこそどちらかしか選べないジレンマ。
だけど自分の答えをしっかりと持っているにこにはその悩みなどない。
にこ「何遠慮してるのよ。続けなさいよ。メンバー全員が入れ替わるならともかくあなた達7人は残るんだから」
そう、にこの言うように半分以上が残るのであればμ'sのままでもいいのだという考え。それも一つの答え。
けどにこの出した答えが間違いではないように、答えが出せないことも今ではまた一つの答え。
花陽「遠慮してるわけじゃないよ。ただ私にとってのμ'sはこの10人で、一人欠けても違うんじゃないかって……」
その悩む過程で出た自分の考えを言葉にする花陽。メンバーが入れ替わるとはいえ、1人でもいなくなったμ'sをどういう風に捉えているのか。それが答えだ。
それが答えになってしまうように、2つの考えがみんなの中を駆け巡る。
真姫「私も花陽と同じ。でもにこちゃんのいうことも分かる」
だから真姫だって、そして言葉にはしなくても凛だってそう思っている。けど、にこの考えもどうしても捨てきれない。それほどまでにみんなの中にあるμ'sという存在そのものが大きいものになっていたのだとここにきて痛いほど実感する。
にこの答えに共感してくれたということでそれが答えでいいかのように言葉を発する。
にこ「でしょ。それでいいのよ」
確かにアイドルとしてはそれが完ぺきな答え。
そんな中、希が今までずっと話を聞いていただけの絵里に話を振る。
希「えりちは?」
けど絵里は目をつむったまま希に聞かれたことに対しての答えを言葉にする。
絵里「私は決められない。それを決めるのは穂乃果達なんじゃないかって。私たちは必ず卒業するの。スクールアイドルを続けていくことはできない。だからその後の事を言ってはいけない。私はそう思ってる。決めるのは穂乃果達。それが私の考え」
確かに、穂乃果たちが決めないといけないことなのだろう。それを言っている絵里もまた正しいのかもしれない。
その絵里の考えに同調するようにみんなは絵里を見つめる。
にこ「絵里……」
希「そうやね」
にこも希も異論はないようだ。穂乃果たちも特に何かを言うことはない。
けどただ1人。空也だけは絵里の言ったことに否定の言葉をかけた。
空也「でもさ。意見は言ってもいいんじゃないか?」
そう。絵里は穂乃果たちが決めることだからと言って自分の意見を言おうとしなかった。けど、これはμ'sの問題で、たとえこれから残るのが穂乃果たちだけで絵里たちが卒業するとはいえ、意見を出さないのはおかしいという空也の考え。
予想外の言葉に絵里は少しだけ首をかしげる。
絵里「え?」
その後に、なぜその答えにたどり着いたのかを空也がみんなに向けて説明する。
空也「確かに決めるのは俺たちかもしれないけど、その過程での話し合いには参加してもいんじゃないか?」
最終的に決めるのは残っている穂乃果たちであるのは変わらない。けど結論を出す前の話し合いに参加しなくていいわけではない。
そんな空也の考えに絵里は少しだけ正しいと思ってしまう。
絵里「それは……」
だから言葉が詰まってそのあとの言葉が出てこない。
だから今の話し合いに絵里に参加させるために空也は1つの質問を絵里に投げかける。
空也「じゃあ聞くぞ。3人はスクールアイドルμ'sは3人がいなくなって他のメンバーがいる状態でもいいのか?」
けど絵里だけではなく、希やにこにも同じことを。
そして各々の答えを言葉にしてみんなに伝える。
にこ「いいに決まってるじゃない。それが普通なんだから……」
最初から答えが変わらないにこ、だけどどこか寂しそうにしているように感じる。
希「うちは、まだ考えてない……」
そして希は考えても答えが出ない模様。
絵里「……だから私は何も言えない」
けど絵里だけはかたくなに自分の答えを言おうとしない。
そんな絵里の答えを聞いた空也は少しだけ肩を落とす。少しでも空也の話を正しいと思ったのであれば、答えを言ってみてもいいはず。なのに答えないというのはおかしい。
空也「にこと希はいいとして、あのな絵里。聞くだけだよ。それを俺たちの意見にする気はない」
だから、直接的な答えにはしないということを告げ、絵里にも自分の考えていることを言ってもらおうと空也は言葉を紡いだ。
これはμ's全体のなんとかしないといけないことで、それに残る残らないということは関係ない。最後に決めるのが残る側のメンバーであるというだけで、話し合いに参加市内くてもいいというわけではないのだ。
絵里「……。出来るなら私だってみんなと居たい。プロになるまでみんなと練習だってライブだってしたいわよ! でもそんなの私のわがまま、聞かなかったことにしてくれないかしら」
ようやくそのことが通じたのか絵里は一度穂乃果たちの全員の顔を見てからそう答える。時の流れを無視した、ひどく独善的で自分たちのことしか考えていない醜い答え。けど、だからこそそれを聞きたかったという考えも空也の中にはあった。
絵里は今の言葉を聞かなかったことにしてほしいといったけど空也にはもちろんそのつもりもなく、それは穂乃果たちだって同じこと。
空也「却下」
今までも困った時はみんなで相談してきたように、これからもそうであるように。穂乃果たちは絵里たちの考えをもとに自分たちなりの答えを見つけていく。そのために絵里の言葉を受け入れるわけにはいかなかった。
その空也の答えに納得がいっていない絵里は少しだけ反論をする。
絵里「なんでよ」
我儘をそのままにはしていられないという絵里の正義感からくる言葉だったのだろう。けど、そんなことは関係ない。今この答えを聞いて答えを出せるのは、この後に介入できるのはこれから残るメンバーだけ。
絵里の心からの言葉はこれからのことを考えるうえでとても大事なものになってくる。自分たちがどうしたいのか、どうするべきなのかという答えを出すのに絶対に必要なもの。
空也「だから聞いたことを反映するわけじゃないんだからいいだろ」
だから聞かなかったことになんてできない。これもまたただの我儘なのだ。空也たちだってまだまだ子供だ。我儘を言ったって許される。そしてこの我儘はこれから絶対に大事になってくる。
結局そのあとは特にこの話題について話すことはなく練習が終わり解散となった。
少しだけ3年生とは離れて相談をしようということになり、絵里たちを除いた7人で帰路に就く。
ことり「なんか結局話すことになっちゃったね」
重苦しい雰囲気の中、ことりが言葉を発する。そしてこれからの未来について話すことになってしまったと、弱弱しい笑顔でみんなに向けて話しかけた。
けど、結局はこの話をしないといけない状況には陥ってたのだと思う。それが予想外の時期だったというだけ。
海未「でも、仕方がなかった気がします。曖昧な気持ちのまま大会に挑むのはよくなかったですから」
優勝を目指している穂乃果たちにとって雑念が入ってしまえば今日のように練習に身が入らなくなってしまうかもしれない。そうすれば練習をすることができなくなり、結果自分たちが優勝できる可能性がつぶれてしまう。だから意を決して話し合うことを選んだことは消して間違いではない。
が、今の状況が間違いかどうかなんてことは関係のないことだ。今答えを出さないといけないのはμ'sの今後について。
真姫「どうするつもり?」
ずっと考えても答えが出ない真姫は今みんながどう考えているのかを尋ねる。
そしてこれはみんなが考えないといけないこと。そして空也以外の直接的なメンバーが決めないといけない道。
花陽「私たちで決めなきぃけないんだよね……」
けど、みんな真姫と同じようにどうすればいいのかが見えない中答えを出すのかが決まらない。見えてこないのだ。
凛「難しすぎるよ……」
だからため息交じりにそんな言葉が出てしまうのだ。
けど、空也だけはどうしたいのか、どうすればいいのかが見えている。どんなμ'sを見ていきたいのかと自問自答した結果出した空也なりの答え。
空也「簡単すぎて難しいのか……。たぶんみんなはもう決まってるんだと思う。ただ見えてないだけだよ。それに……」
でもそれはきっとみんなが分かっていること。簡単だからこそ難しい。μ'sというものが身近になったからこそ見えないμ'sという概念そのもの。穂乃果たちにとってμ'sというものはどういうものなのか、存在なのかを認識すれば自ずと出てくる1つの揺るぐことのない答え。それを見つけてもらうために空也は1つの行動を決意した。
そのことをみんなに告げるために言葉を発した空也。けどその前に穂乃果がどんなことを言うのかが気になったようだ。
穂乃果「それに?」
少しの沈黙の後、穂乃果が尋ねた答えが空也の口から出てくる。
空也「俺はμ's専属の作詞家をやめることにした」
穂乃果たちがスクールアイドルを始めた時から名乗っていた専属の称号。それを捨てるという空也の選択。
それを聞いた穂乃果たちは何を想ったのか。
真姫「……! それってもしかして……」
きっと真姫の反応を見ればわかる通り、自分たちが見捨てられるとでも思ったのではないだろうか?
けど、空也の狙った答えはそういうことではない。これからの活動をするうえで専属という言葉が邪魔になっただけで穂乃果たちの歌を書くつもりはないということではない。
空也「μ'sに手を貸さなくなるわけじゃない。ただμ'sの曲だけを書くことはなくなるということだ」
プロになるということを決意したからこそ、出さないといけなかった答え。けど、この答えは今穂乃果たちの中にしっかりと植え付けることができた。
が、なぜ空也がその選択をしたのかということはみんなにはわかっていない。
穂乃果「なんだ~。でもなんで?」
プロになれることがきっかけなのかもしれないし、そうではないのかもしれない。ここで発言したということは少なからず穂乃果たちに影響があると思っての発言だということが分かっている穂乃果はその真意を尋ねた。
そんな穂乃果の質問も空也には答えることができない。
空也「それは俺なりの答えだからだ。それ以外は何も言わない」
だって自分たちで答えを出さないといけないのだから。これから去る人たちの考えを含めて、自分が納得する答えを。
ここまで読んでいただきありがとうございます。これから、穂乃果たちはアニメ本編とは違った道を歩くことがあります。それは前回の話からも分かるように、プロとしての道を。
さぁ、気になる続きはまた来週! みんながどういった答えを出すのか、μ'sという存在はどんな意味があるのか、どういう願いの下名付けられたのか。思い返せば簡単に出せる答え。その答えをお楽しみに!
新しくお気に入り登録をしてくださったぴんころさんありがとうございます!
次回『μ's』
それでは、次回もお楽しみに!
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