ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回は前回の続き! 前回は『言葉より強く』からイメージを持ってきた話で、今回はデート本番。……難しかったです。過去に経験したことを幾つかちりばめてあとえみつん関係のものもちりばめてみました。
あ~あのこと言ってんな~って表現が見つけられたら、あなたは恵海人ですね!

それでは、今回も初々しい2人をご覧ください!


クリスマスイブの2人

 手をつないで穂乃果といつもは歩かないような場所を歩いていた。アキバのようなキラキラ光るような場所でも神田のように静かな場所でもなく程よい感じに明かりが灯る大きなビル街に。

 

穂乃果「ねぇ。どこに向かってるの?」

 

 あまり見ない光景が広がっていると思ったのだろう穂乃果は俺にそう聞いてくる。

 

空也「それは……」

 

 でもそれは口で説明するよりももっといい方法があった。俺は立ち止まり横にある大きなビル……ホテルのほうを指さした。

 

空也「ここだよ」

 

 この場所は明らかに高級そうなホテル。確実にただの一高校生が出入りできるような場所ではなかった。

 

穂乃果「え……? ホテルって……え!?」

 

 ただ穂乃果はホテルということを理解して頬を赤くして何か恥ずかしそうにしている。恥ずかしいからか俺の手を放そうとしたがそうはいくか。

 

空也「勘違いしてそうだから行っておくけど用があるのはここのレストランだぞ」

 

 それに穂乃果の考えているような恥ずかしいことは起こさないし、起こらない。まぁ目的はここに入っているレストランだからな。俺たちはここに食事に来たのだ。ちょっと豪勢で特別なディナーとでもいえばいいのかな?

 

穂乃果「ほぇ? あ……あ、そうだよね! うんうん! それしかないよね!」

 

 勘違いをしていた穂乃果は首をキョトンと傾げ、そのあとに慌てた様子で手をワタワタさせている。……すごい勢いで手をほどかれたんだけど。どんだけ恥ずかしいことを想像してたんだ……? ホテル……男女……デート……。……っ!? なんてこと想像してるんだよ!?

 

空也「とにかく行くぞ」

 

 あ~! まずは平常心! ……。よし、とにかくここからは手をつないではいられないからこのまま進むとしよう。俺がホテルに向かうとその後ろをトテトテと穂乃果が付いてくる。明らかに緊張しているな。周りを節操なしに見渡して……。まぁ仕方ないか。こんな場所に慣れてるのはμ'sの中だと真姫くらいだもんな。

 

 しっかりと俺がサポートしておかないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ホテルに入ると真っ先にエレベーターに向かいレストランのある上階を選択する。

 

穂乃果「なんかすごいね。ここ」

 

 今はエスカレーターの中に俺と穂乃果の2人きり。そのおかげか穂乃果の緊張も少しはほぐれたようだ。感心したようにエスカレーターの中を観察している。……でもあまりきょろきょろはしないで欲しいかな。

 

空也「そりゃ高級ホテルだしな。あまり来れないしそう思うのも無理ないだろ」

 

 穂乃果の感想はもっともだ。外観からして高級なことはわかるが中に入るとよりいっそうそれが感じられる。完全に場違いな年齢の男女がここに来ればそれなりに目立ちはするだろう。でもこんな場所に来れる機会はそうそうない。だから穂乃果にはこの空気感も楽しんで欲しかった。

 

穂乃果「これ、空也君が?」

 

 俺の話を聞いて高校生が高級ホテルのレストランを予約できるなんて予想できなかったんだろう。まぁ、幼馴染とはいえその親が何の仕事をしているかなんてさすがに知っているわけないもんな。

 

空也「あぁ、予約から何から何まで俺一人でやったよ」

 

 そう。今回のこの予約からこれから出てくる食事の料理の指定まで全部俺が選んだ。もちろん自分のポケットマネーで。

 

穂乃果「ありがと! ……でもこんな服でいいのかな?」

 

 穂乃果はエレベーターの後ろが一面ガラス張りになっていることに気が付き、その景色を見ると俺のほうに振り向いてそう言った。けど今自分の着ている服を見て途端に不安になってしまった。

 

 確かに今の穂乃果の服は赤を基調としたスカートに茶色いコートを羽織っている。首元には赤のチェック柄のマフラー、頭にはニット帽といった一般的にこの場所にいるのには違和感を感じるような服装だった。

 

 けどそれは俺も同じ。ジーパンに黒のジャケットを着ている俺でさえ、この場所にあった服装であるとは言えなかった。でも知っている俺がこんな服装で来たということは2つの可能性を意味する。

 

 1つ目はこのような服装でも問題ないような場所、例えば個室とかが用意されている可能性。そしてもう一つが……

 

空也「大丈夫。服もしっかり用意してある」

 

 俺がこの場所に穂乃果と自分の着る服を用意してあるという可能性だ。今回は場所が場所だけに用意するほうを選んだがまさかそういうことを告げた瞬間に目的の階に到着するとは思わなかった。

 

 扉が開くとそこには静かに明かりの灯る1つのレストランの入り口があった。そしてその近くに従業員さんがいる。

 

 俺はその従業員さんに少しだけお辞儀をするとすぐにその脇から薄いオレンジを基調にしたドレスが出される。

 

穂乃果「空也君……言ってくれれば自分で用意したよ?」

 

 明らかに準備をしていたことに驚いているのだろう穂乃果は少しあきれ気味にそういった。

 

 けど……

 

空也「ドレスが穂乃果に用意できるのか?」

 

 まぁ、そうなんだよな……。家が和菓子屋で和風のものだったら簡単に用意できるんだろうけどドレスとなると、なかなか準備は難しいだろう。

 

穂乃果「それは……できないけど……」

 

 俺の考えていた通り穂乃果は準備ができないことを告げる。普通は準備できないからな。だから準備したわけなんだけど。

 

空也「これはことりに頼んでサイズを合わせてもらったんだ。きっとぴったりだよ」

 

 それにただのレンタルのドレスでもないんだ。このドレスはいわばオーダーメイド。デザインは俺が決めてあとはことりにサイズを合わせてもらって完成したもの。お願いするところは『time world』一択で頼んだんだけど今はどうでもいい話か。

 

穂乃果「それって……空也君も知ってるの?」

 

 あ……。今の説明じゃ穂乃果の3サイズを俺が知っているってことになるのか。そんなまどろっこしい方法をしてまで聞き出すような失礼なことはしないんだけど。

 

空也「その辺はことりに丸投げだ。安心しろ」

 

 本人に聞くのもどうかとは思うが大事な個人情報を他人から手に入れようとは思わない。だからもうことりに任せるところは完全にことりに任せて俺は全くの不干渉を貫いた。

 

穂乃果「ほっ……。じゃあ着替えてくるね」

 

 俺のその言葉にほっと胸をなでおろす穂乃果。恥ずかしい情報だし、わからないこともない。それに女性が一番気にするのが体型のことなんだし、知られているのかどうかを気にするのも仕方ないか。穂乃果はスタッフの案内でドレスに着替えに行く。

 

空也「あぁ、俺も着替えてくるからレストラン前で待ち合わせな」

 

 それを見送って俺も着替えるべくあらかじめ聞かされていた場所に向かう。さて、これからは少しだけ背伸びをしていきますか。こんな場所だし、少しでも穂乃果が安心できるように……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒いタキシードに着替えた俺は穂乃果を待っている。

 

 少しだけ待つと俺の目の前には薄いオレンジ色のドレスを身にまとった穂乃果がいた。スカートがふわりと舞い、適度にメイクされた穂乃果の姿にドキリとしてしまうがこれからがメインなのにこんな場所で止まっているわけにはいかない。

 

空也「似合ってるじゃん。じゃあ、行こうか」

 

 でも、感じたことは素直に口にする。そしてこれからは高校生らしくない少しだけ背伸びをしたディナーが始まる。俺は穂乃果に手を差し出す。

 

穂乃果「うん!」

 

 もう今日何度目にもなるこの光景に穂乃果は俺の手を取って隣に寄り添う。穂乃果にはなれない服装で慣れない場所なのにこの場所に来た時に緊張していたとは思えないほどリラックスした様子だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けど食事が始まると、1品ずつ出てくる料理、そして皿の横に広がる食器にいろいろと戸惑い始める穂乃果。

 

穂乃果「なんか落ち着かないね……」

 

 肩を上げ下げしているのはやっぱ落ち着かないってことなんだな。さっきまでいつも通りに堂々としてじゃないかよ……。

 

空也「はぁ……選んでおいてなんだけどさ。そこまで気負いする必要ないぞ。楽しんで食事をすることが最大のマナーなんだから」

 

 急に緊張が戻り始めた穂乃果に少しだけ呆れる。いつも通りにしておけばいいのに。食事自体確かにマナーを守ることが大事だ。けど、がちがちに固められた場所で食事をしてても楽しくはない。最低限周りが不快に思わない食べ方ができればいいと言うそこそこ気楽な気持ちで食事を楽しむということを重要視するのが大事なのだ。

 

穂乃果「そうなの? じゃあいつも通りでいいのかな?」

 

 ようやくそのことに気が付いた穂乃果は俺に沿う尋ねてくる。

 

空也「いいんじゃないか? 別に穂乃果行儀が悪いわけでもないし。食べた後は別だけど」

 

 穂乃果は、食べるときは普通に行儀がいいんだけど食べ終わるとな……。初めて合宿したときにその片鱗が見えたと思うけど、すぐに寝っ転がって雪穂にお茶を任せる。そんな光景を何度も見ていた俺はただただこの後が心配だった。……っていうのは建前で本当は。

 

穂乃果「む……。じゃあしっかり食べるもん!」

 

 穂乃果に挑発らしい言葉をかけてやる気にさせるのが目的だった。そうすればいつもの調子で何も気にせずにこの空間を楽しめると思ったから。そしてその思惑は成功し穂乃果はいつもの調子を取り戻した。

 

 そこから他愛もない話を続け、そのおかげか穂乃果は慣れた様子で食事ができるようになっていた。

 

空也「慣れたようで何より。それで、どうだ? ここの料理」

 

 メイン料理を食べ終わると少しだけ時間が空いてくるためその時間にこのレストランの料理について聞いてみる。前菜にスープ、魚料理に肉料理。そして主食がパンであることに感動しながら職を進めていた穂乃果は笑顔になっていた。

 

穂乃果「うん! すごくおいしい!」

 

 全く……先ほど緊張していたのは何のその今度は逆戻りすることなく、常にいつもの穂乃果のままだった。でもその感想は実際に作ったのが俺じゃなくてもうれしいものだった。

 

空也「よかった……。もうそろそろデザートだからな」

 

 考えに考え抜いてこの場所を選んで正解だったみたいだ。穂乃果の口にもあったみたいだし、満足もしてくれている。今日は嬉しいことが多いな。って、俺が穂乃果にそう伝えると目に見えて目が輝き始めた。

 

穂乃果「デザート!」

 

 やはり女の子というものはデザートという単語に弱いのだろう。今回のデザートは穂乃果の好きな一護が入っているものというわけではないがきっと喜んでくれる。そういう確信が俺の中にはあった。こういう場所でしか食べられない特別なものを選んだつもりだ。

 

 そんな話をしているとデザートが運ばれてくる。

 

穂乃果「わぁ!! ガトーショコラだ!」

 

 そう。今回のデザートはガトーショコラ。普通のケーキ屋に売っているような形ではなく小さな円柱のような、ゼリーのような形をしている。穂乃果がガトーショコラを食べようとナイフを入れるとその切り口からチョコソースが流れ出てくる。それと同時にチョコレートの甘い香りが広がり食べる前に穂乃果に感動を与えていた。

 

穂乃果「すごーい!!」

 

 普段見ない光景、しかもそれは普段見られるもので起きている。そんな不可思議なことを目の当たりにした穂乃果は本当に楽しそうに、興奮気味に呟いた。

 

穂乃果「おいしーい!!」

 

 そして一口ソースをからめてガトーショコラを食べると幸せそうなまぶしい笑顔を浮かべていた。そんなほほえみを見せられると俺まで笑顔になっちゃうじゃないか。

 

 結局、このデザートの後は俺も穂乃果も終始幸せそうな笑顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レストランでの食事が終わり店を出た。ホテルからも離脱し、あとは帰るだけだ。

 

穂乃果「今日はありがとう! 空也君」

 

 けどホテルから出ると穂乃果は中では言えなかったのかかなり興奮気味にそう言ってくる。その様子から満足してくれたのはよくわかった。ここまで喜んでくれると選んだかいがあったな。

 

空也「気に入ってくれたようで何よりだ。じゃあ帰ろうか」

 

 もう夜も遅い時間。これ以上遅くなってしまえば穂乃果も危険な目に遭う可能性が高まる。だから今日最後になるであろうということを噛みしめて穂乃果に手を差し伸べた。

 

穂乃果「うん! ……あ、でもちょっと空也君の家に寄りたいな」

 

 穂乃果も帰ることには反対ではないみたい。……けど俺の家に寄りたいっていったい何なんだ?

 

空也「俺の? まぁ、別にいいけど……」

 

 まぁ、断る理由はあまりないか。長居はしないだろうし、送っていけば大丈夫だろう。長くなるなら止まってもらえばいいし。

 

穂乃果「じゃあ行こ!」

 

 穂乃果が俺の手を取り俺の家のほうに向かう。なんだか既視感を感じるな……。あ! おいちょっと待ってよ! 走るなんて聞いてないんだけど!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 穂乃果が走ったおかげで少し息が上がりながらも俺の家にやってきた。……なんで穂乃果が俺の家に来たいと言い出したのかは来るまでの間ではわからなかった。……いったい何なんだ? 大事そうに激安ジャングルで買ったものを持ってるけど、まさかプレゼントってわけではないよな……ここまで秘密にする理由はないし。

 

空也「ただいまー」

 

 そんなことを考えながら玄関に入る。いつもの光景。"おかえり"が聞けることのない俺が帰ってくるまで誰もいなかった家。

 

穂乃果「お邪魔しまーす」

 

 この家に、自分以外の誰かがやってきたことは少なからず心躍っている俺がいる。雪の時もそうだったけどやっぱまだまだ子供なんだな……。

 

穂乃果「じゃあ空也君はリビングで待ってて! ちょっと脱衣所借りるね!」

 

 そんな感傷に浸っていると穂乃果がいち早く靴を脱ぎ、中へと入っていく。……脱衣所? 着替えるのか? お風呂……? いやまだ準備してないし、もしお風呂が目的なら『お風呂借りるね』がベストな表現になる。……疑問が尽きないぞ?

 

 もうすでに穂乃果は脱衣所のほうに行ってしまい、聞くこともできない。穂乃果が来るまでわからずじまいか。じゃあ言われた通りリビングで待っていますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言えばこのリビング……最近は一人だと広く感じるな。希の提案でラブソングの話をしたのもここだったし、その前は穂乃果と2人で1週間だけだけど暮らしていた。何かある度に穂乃果と海未とことりを招き入れ、一緒にご飯を食べた。いろんなことをここでしたけど、ラブソングを作って以降その機会が訪れることはなかった。……今日までは。

 

穂乃果「お待たせ! 空也君」

 

 広く感じるリビングに少しだけ悲しい気持ちになっていた俺のの目の前には……赤と白の服装をしたこの時期の主役に扮した穂乃果の姿があった。……はい? これって……さんた? サンタだよね? ……ちょっと待ってくれよー!!

 

穂乃果「どう……かな?」

 

 恥ずかしそうに右手の人差し指で頬を書く穂乃果。その頬もわずかに赤みがかっていて照れているようなそんな感じがした。肩出しのサンタコスチュームは長そででもこもこしている分きっとあたたかいだろう。……けど若干お腹が見えてるのはサイズミスか、それともわざとなのか……。あ、でも袖は少し長いんだ。萌袖見たくなってる。スカートは短く健康的な太ももがチラリと覗かしているし、……白ニーソで絶対領域作ってる。

 

空也「に、似合ってるんじゃないかな? ……かなり」

 

 うん! 可愛すぎだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!! なんなの穂乃果!? 俺を殺しに来てるの!? 確実に萌え殺そうとしてるよね!? 今気を抜いたら吐血する自信あるよ!

 

穂乃果「そう! 良かった~。じゃあ穂乃果サンタから空也君にクリスマスプレゼント!」

 

 俺の感想にほっと胸をなでおろす穂乃果。……撫でおろす? っ!? ちょっと穂乃果! 肩出しのその衣装で胸をなでおろすとその……谷間が見えてしまうんですけど!?

 

 そんなことを俺が思っているなんてことは知らないであろう穂乃果がずっと隠していた左手から小さい白のリボンで装飾をした赤い箱を渡してくる。クリスマスプレゼント……?

 

空也「これは……?」

 

 このシチュエーションですらもう完全にご褒美なのに、急に出されたプレゼントに思考が追い付かない……。もしかして……俺は天使サンタ穂乃果にプレゼントをされている……?

 

穂乃果「だから言ったでしょ? クリスマスプレゼント!」

 

 やっぱりそうだ! でもここで食い気味に受け取るわけにはいかない。自然に……自然に……。って駄目だー! 手が震えてるー。

 

空也「開けても?」

 

 なんとかして受け取った俺は中身が気になるため穂乃果に聞く。

 

穂乃果「……いいよ」

 

 穂乃果は少しだけ間をおいて答えてくれた。さて……中身は何だろう?

 

空也「これって……」

 

 箱を開けてみると中に入っていたのは金色に輝くハート形のロケットのペンダントだった。

 

穂乃果「何がいいかなーって思ったらふと目に入ってね。いいなって思ったからプレゼントにしてみたんだ」

 

 本当に……良いチョイスをしてくるよ。穂乃果は。前にもらったブローチも今日あのタキシードについてたこと気が付いてたかな? 俺の好みを確実についてくるし、なかなかないものを選んでくる分より印象が強くなる。

 

空也「……この中は?」

 

 ロケット。これだけを聞くと宇宙関連のものを想像する人が多いだろう。けどこの場合は……金属のケースに写真を入れて身につけるもの。だからこのプレゼントは外側だけでは完成しない。中身があってこそ真価を発揮する。

 

穂乃果「何にしようか迷ったから、穂乃果と海未ちゃん、ことりちゃんと空也君の4人が写ってる写真にしてみたんだ。どう?」

 

 ……穂乃果はなんでこういいチョイスばかりするんだよ。確かに俺は穂乃果が好きだ。でも、海未もことりも大事に想っている。そう考えるとこのプレゼントは穂乃果だけがうつている写真よりも大切なものになるだろう。

 

空也「うん。いいと思う。ありがとう穂乃果」

 

 だから俺はそう感想を言う。俺の言葉にうれしくなった穂乃果は今日一番の笑顔を見せて俺の手の中にある箱からペンダントを取り出し、俺につける。

 

穂乃果「あ、もし恥ずかしいって思ったらキーホルダーにもなるみたいだからどっちにするかは空也君の気分次第だね!」

 

 何この天使!? プレゼントするだけじゃなくてそのあとのことまで気をつかってるの!? 本当に穂乃果はいろいろ考えすぎだよ……。

 

空也「……このさくらにもらったペンダントと一緒につけておくよ」

 

 俺にとって大事なものが増えた。あの時、空間移動をしている時にさくらがこのペンダントから現れなかったら今の俺たちはない。多分夢に見た光景よりもひどいことになっていたと思う。でも今回もらった穂乃果のプレゼントはそれと同等、いやもしかしたらそれ以上かもしれない。だって想っている3人の写真が入っているのだから。

 

穂乃果「ありがと!」

 

 俺が喜んでいると穂乃果も自分のことのように喜ぶ。……プレゼントをしたんだから当たり前か。幸せな空気感がこのリビング内に充満していた。それからほんの少しだけ沈黙の時間ができる。けど不思議と嫌じゃなかった。むしろこの時間がこの空気感を満喫させてくれる。

 

 

 

 

 

 でもそんな時間も長くは続かない。時間は有限だ。だから自然に終わりがある。

 

穂乃果「じゃあ渡したいものも渡せたし、穂乃果は帰るね! 明日はμ'sのみんなとクリスマスパーティーだからね! 忘れちゃだめだよ」

 

 満足できた穂乃果はそろそろ帰らないといけない時間になっていたことに気が付いたみたい。って、穂乃果よ。それを俺に言うのか?

 

空也「俺は穂乃果じゃないんだから大丈夫だよ。送ってく」

 

 女性の一人歩きはもう時間的に危ない。だから俺は穂乃果を送っていくことを申し出る。

 

穂乃果「うん。ありがと……って空也君! 今のどういうこと!?」

 

 それを快く受け入れる穂乃果だけど、俺の最初に言ってたことに気が付いて反論してくる。……言葉通りの意味なんだけどな。

 

空也「ほら、早くいくぞ。おじさんたち心配しちゃうだろ」

 

 まぁ、このやり取りもいつものことだし、今は穂乃果のことを安全に届けるのが最優先だ。だから俺は玄関に向かう。

 

穂乃果「あ~! 空也君ちょっと待ってよー! 穂乃果まだ着替えてないよー!」

 

 あ、忘れてた。振り返って穂乃果のことを見ているとまだサンタコスをしている。あ、慣れてきてたのに……鼻血が……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結果から言いますと……何とか我慢して穂乃果の着替えるのを待ってから送り届けました。それで大晦日、高坂家で年を越すことになりました。めでたしめでたし。

 

 ……穂乃果のあの格好は俺には刺激が強すぎた……。

 

 




最後のあいさつの前に……『ROCKET HEART!! Oh,yeah!!』
これがやりたかったです!

今年もやりました。大晦日投稿。皆さんこの時間は何をやってるんでしょうかね? あと数時間で今年も終わりです。大切な人、家族、友達。いろんな人と過ごしていると思います。そんな人たちと今年起きたことを思い返すのもいいかもしれませんね。

私の1年はいろいろありました。えみつん楽曲ベース回ができたり、企画小説に参加させていただいたり、オリジナルの作品を投稿したり。作家活動に関係のないものだったらえみつんのイベントにいっぱい行きました。

来年からは少し、活動が変わりますがこれからも楽しみにしていただけると幸いです。楽しかった今年ももう最後。来年は今年以上に楽しい1年にしたいですね!

それでは今年のこの作品はこれにて終わり。皆さん良いお年を! 来年もよろしくお願いします!

次回『通過したのは』

それでは、次回もお楽しみに!




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https://twitter.com/kuuya_soranari
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