ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

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どうも、そらなりです。

今回は少し長いですが、楽しんでいただければ幸いです。

今回は、真姫がメインの回です。それでは楽しんでいってください。


真姫の小さなウソと本当の想い

 グループ名が決まった後、もう一度作曲をお願いしようと穂乃果と空也は一緒に1年生の教室に向かった。

 

 帰る支度をしている花陽は、後ろから

花陽「…………」

 幼馴染である凛が話しかけてきた。

 

凛「かよちん帰るにゃー」

 いつものように自分の支度が終わった凛が花陽に話しかけてくる。

 

花陽「うっうん。あ!」

 凛に返事をしながら誰かが自分のクラスにやってくることに気が付いた。

 

 それは朝に西木野真姫を探しに来ていた2年生のうち2人が来ていた。

 

穂乃果「あれ、だれもいないや~」

 穂乃果のその言葉から、また真姫を探しているのだと花陽は理解した。

 

空也「やっぱ帰っちまったのかな」

 空也が言い終わると同時に凛は空也たちに話しかけていた。

 

凛「にゃッ」

 小声で言ったその言葉に穂乃果が反応し、その反応で空也も反応した。

 

穂乃果「ねぇ、あの子は」

 穂乃果がここに来た目的を凛に尋ねるが、

 

凛「あの子?」

 誰のことかが分からないようだった凛は首をかしげる。

 

 説明が足りない穂乃果の説明を空也が補足するように

空也「西木野さんだよ。ここのクラスでしょ?」

 凛と花陽に説明した。

 

 探している人物が分かったことで花陽が話しかけてくる。

花陽「はい。えっと、西木野さんですね。歌のうまい」

 少し小さめに声だがしっかり聞こえるきれいな声で返してくれた。

 

 自分の訪ねたいことを理解してくれたようで、

穂乃果「そうそう。その西木野さん!」

 はっきりと同意する。

 

花陽「はい……」

 少し自信のないような返事をする。

 

空也「ちょっと用があったんだけど、さすがに帰っちゃったかな」

 空也は真姫を探している理由を少し説明するが、何もヒントもない状態であきらめ気味にいる。

 

 すると居場所に心当たりがあるようで

凛「音楽室じゃないですか?」

 居場所を教えてくれた。

 

穂乃果「音楽室?」

 空也たちが初めて出会った場所。考えて見ればそこに行けば会える可能性はあったのかもしれない。

 

凛「あの子、あまりみんなと話さないんです。休み時間はいつも図書館だし、放課後は音楽室だし」

 意外と真姫のことを見ているようで、彼女のよくいる場所を教えてくれた。

 

 彼女を説得に行くうえで大事な情報を教えてくれた凛に感謝するが

空也「そうなんだ。ありがと。行ってみるよ。えっと……」

 空也は凛の名前を知らなかった。

 

 そのことを察した凛が自分の名前を教えるが、

凛「あ! 星空凛です。えっと……」

 また、凛も空也の名前を知らなかった。

 

空也「時坂空也、よろしくね、星空さん。こっちが」

 改まって自分の自己紹介をする空也、そして話を穂乃果に振る。

 

穂乃果「私は、高坂穂乃果。よろしくね」

 穂乃果も自分の名前を相手側へと教える。

 

 これであと名前が分からないのはあと一人。

空也「君は?」

 空也が最後の一人に声をかける。

 

花陽「こっ小泉花陽です……。がんばってください。アイドル」

 声を出すのが苦手なようでかすれるような声で、それでいてきれいな声で花陽は、自己紹介と同時に穂乃果たちを応援する。

 この応援が今穂乃果たちには大事になるものでやる気を大きくするものだった。

 

穂乃果「うん! がんばる!」

 彼女の声援を受けて穂乃果はガッツポーズをしながらそれにこたえる。

 

空也「小泉さんね。ありがとう。それじゃあまたね」

 空也はそう言いながらその場を後にする。

 

凛「はい、さようなら」

 凛はそんな2人に大きく手を振りながら挨拶をする。

 

花陽「…………(はい…さようなら)」

 さすがに離れた距離では、花陽の声は聞こえなかったが、その口の動きから空也は、何と言ったのか何となく想像がついたのだった。

 

 

 

 そして花陽と凛に教えてもらった音楽室に行くとまたもや初めて会った時と同じ歌を歌っている彼女がいた。

 何度聞いてもその歌声は美しく聞き入ってしまうほどだった。

 演奏が終わりまた感動した2人は、音楽室の外で拍手をする。

 

 パチパチパチパチ

 

 それと同時に2人は音楽室の中へと入る。

 

 突然拍手されたことに驚き椅子から落ちそうになる真姫だが、

真姫「え!? なんのようですか」

 何とか落ちることなく本題へと話題をすり替えた。

 

穂乃果「うん。やっぱりもう1回お願いしようと思って」

 本題に入ったことで穂乃果は、さっそく作曲のお願いをした。でもそれは今までのままで彼女の心を動かすまでにはいかなかった。

 

真姫「しつこいですね」

 案の定穂乃果の言葉は真姫の一言で一蹴されてしまう。

 

空也「まぁ、俺もだがこいつもいろいろそういわれるよ」

 確かに断られたのにお願いに行くのはしつこい行為なのかもしれない。だけどそれは、穂乃果のいいところでもあり、彼女に救われる人はみんな彼女のそういう部分に心を動かされるのだ。

 

 真姫はそんな空也の言葉を聞いてもう駄目だと断る理由を話そうとした。

真姫「私、ああいう曲一切聞かないから。聞くのはクラシックとかジャズとか……」

 確かに全く聞いていないとしたら作曲はできてもアイドルにあった曲調にはならないだろう。

 

 穂乃果は、そういう曲を聞かないのか気になったようですぐに真姫に尋ねた。

穂乃果「へぇ~、どうして?」

 何の考えもない単純な疑問を真姫にぶつけた。

 

真姫「軽いからよ! なんか薄っぺらくてただ遊んでるみたいで」

 穂乃果に質問された瞬間に真姫は少し不機嫌になりながらそれでいて少し怒ったように言った。

 

空也「まぁ気になるとこは後で聞くとして」

 空也は今まで真姫の言ってたこと、そして自分が聞いた音楽を照らしあらせて矛盾点があったことに気が付いたが今はそのことよりこの場は、穂乃果に任せようとした。

 

穂乃果「まぁその通りなんだけどねぇ~」

 穂乃果が言った言葉は、少し意外なものだった。

 

 穂乃果が真姫の考えを肯定するとは思っていなかったようで

真姫「え!」

 驚いてしまった。

 

 確かに最初は簡単なものだと考えて始めたことだろうけどやってみると大変なのが分かる。

穂乃果「私もそう思ってたんだ~。なんかこう、お祭りみたいにパーっと盛り上がって楽しく歌っていればいいのかなって。……でもね結構大変なの。ね! 腕立て伏せできる?」

 穂乃果は、昨日海未に言われたことを真姫にもやってもらおうとする。

 

 真姫は突然何の脈絡もない穂乃果の言葉に真姫は驚く。

真姫「はぁ?」

 

 すると、穂乃果は今朝のように真姫を挑発する。

穂乃果「できないんだぁ~」

 

 穂乃果の挑発にいとも簡単に乗る真姫は、

真姫「うぇ!? 出来ますよ、そのくらい」

 ピアノの前で腕立て伏せをする。その動きはかなりスムーズで次々と回数を重ねていった。

 

真姫「これでいいんでしょう」

 真姫は少しやってやったという顔をしながら空也たちを見る。

 

 腕立て伏せをしている真姫を見て意外だと思った2人は、驚きながら見ていた。

空也「おぉ、すごいじゃないか」

穂乃果「うん、私よりできる」

 穂乃果の言う通り真姫は、穂乃果より腕立てができていた。

 

真姫「当たり前よ。私はこう見えても……」

 その言葉を聞いた真姫は、自慢げに答えようとするが

 

 穂乃果によってさえぎられてしまう。

穂乃果「ねぇ、それで笑ってみて」

 

 その穂乃果の提案に何を言っているのかわからなくなった真姫は、訪ねるが、

真姫「え? なんで?」

 

 空也の一言でやってみることになった。

空也「いいからやってみな」

 何かを隠しているような言い方にその先が気になる真姫は、やるしかなかった。しかし、腕立てをしてみると数回なら何とかできるみたいだが笑顔が崩れたり、そしてしまいには体勢が崩れてしまった。

 

 そんな真姫の様子を見て穂乃果は、

穂乃果「ね? アイドルって大変でしょ」

 と伝えたいことを伝えたと思った。

 

 しかし真紀には何の意味があったのかはわからずに先輩であるはずの穂乃果に食い気味に聞いてくる。

真姫「なんの事よ」

 

 真姫の言葉を聞いて、穂乃果の伝えたいことを空也が言い直そうとする。

空也「穂乃果。今のじゃ何が何だか分かんないだろ。ちゃんと笑いながらずっと動き続けられるかってことを言っとかないと」

 真姫は、空也の言ったことを聞いて、そして体験してみて、簡単にだが大変さぐらいなら分かった。

 

 穂乃果は空也の注意に自分の頭をなでながら

穂乃果「あはは、そうだったね」

 受け入れた。

 

 そんな穂乃果と空也の様子を見ていると先ほど体験して知ったことも薄くなってしまう。

真姫「まったく」

 そう言いながら真姫は、空也と穂乃果の様子を見ていた。

 

空也「なぁ、穂乃果。ちょっと2人にしてくれないか。やりたいことがあるから」

 すると、空也は、穂乃果に提案をする。

 

 その空也の提案を何か勘違いしながら穂乃果はとらえた。

穂乃果「え! まさか、告白するの!」

 話したいことではなくやりたいことと言ったのにもかかわらず告白に持っていく穂乃果は少し人の話を間違ってとらえてしまうようだ。

 

 穂乃果がそんなことを言うので真姫が顔を赤くしながら空也のほうを見ていた。

真姫「え!?」

 

 しかし穂乃果のその一言をあっさりと否定し、穂乃果に指示を出す。

空也「な訳あるか。いいから、海未たちのとこ行って来い」

 

 空也にそう言われた穂乃果は、ジト目で空也を見ながら

穂乃果「わかった……。告白じゃないんだよね」

出口のほうへと向かう。

 

 空也は、いつものように穂乃果のことを見てまっすぐに、

空也「あぁそうだよ。しないから行って来い」

 穂乃果を安心させるように言った。

 

穂乃果「うん、じゃあまたね」

 空也の言葉で不安がなくなりすぐに音楽室を出て行った。

 

 穂乃果が音楽室を出て行ったと同時に真姫は、気になったことを聞いてみることにした。

真姫「で、なんですか」

 さっきよりトーンの低くなった真姫の声に空也は少し驚く。

 

 しかしそれを感じさせないほど冷静さを装って空也は話しかけることにした。

空也「まずは、なんでさっき嘘ついたのかなって」

 空也が気になったのは、彼女が嘘をついていたこと。それは話を聞いて感じた矛盾点と同じだった。

 

真姫「嘘って何よ!」

 自分が嘘をついていないといわんばかりに怒鳴りながら聞いてくる。

 

空也「ジャズとかしか聞かないって言ってたけど、昨日聞いていた曲は全然違うものだった。そうだな、アイドルが歌っていてもおかしくない曲だったな」

 彼女が弾き語りをしていた曲には、アイドルらしさが感じられていた。

 

 いきなり核心と浮いてきた空也の言葉に

真姫「あっあれは自分で作った曲だから……」

 詰まりながらも答える。

 

 しかしそんなことは空也も想定していた。

空也「でも聞いてないと作れないよな」

 そう、よほどの天才でも何も知らない状態で作詞作曲をできるなんてできない。新しいものでも今までにないものでも、どことなく元にしたものの特徴が表れる。

 

真姫「…………」

 図星をつかれて黙ってしまう真姫。

 

空也「まぁいいや。それとなんでそんなにかたくなに断るのか教えてくれないかな」

 そして空也が一番気になった点はそこだった。ここまで言われればしつこさの限界で協力してくれてもおかしくない。

 確かにそんな協力でいい曲は生まれないがここまでかたくなに拒否するのは、何かしら理由があるはずだと空也は考えた。

 

真姫「私大学は医学部って決まってるんです。家が病院なので、家を継がなくちゃいけないんです。だから私の音楽はもう終わってるんです」

 すると俯いた彼女から出たのは、あきらめている言葉。もう割り切ってしまっている。そう感じた空也は、自分の考えていることを伝える。

 

空也「そうか。でも1つ聞いていい?」

 空也が気になったのは、仕方ないと割り切っているのに俯いている彼女が不思議だった。

 

真姫「なんですか……?」

 無意識のうちにやってしまっていた行動のようでなぜそんなことを言われるのかっといった顔をして空也を見つめる。

 

空也「いや、さっきの君の言葉には、キミの意思がないように思えるんだけど、キミのやりたいことって何? 確かにしょうがないことなんだろうし他人の俺が口出しできることでもない、けどそれは君が今一番やりたいことなのかな? それに、これだけは覚えておいて。どんな選択をとってもそれを選んだことに後悔してはいけない。それは、君が今後生きていくうえで大事になってくる」

 空也が感じたこと思ったことはこれがすべてだ。絶対に真姫は音楽が好きなのは空也にもわかっていた。むしろ終わったと言っているのにこの場所で歌っていること自体が音楽に未練のある証拠になっている。

 

 今までそこまで深く聞かれたことがなかった真姫は、関係ないとは言えず、ただただその言葉に聞き入ってしまっていた。

真姫「え……?」

 その結果口がら出たのはたった一言。

 

空也「それと、これ俺のつくった詩、1回読んでみてよ。読むだけでいいから、キミが良ければ。曲を付けてほしい」

 空也はもう言葉は必要ないと判断し、スクールアイドルの歌としてではなく、時坂空也として詩に曲をつけてくれるように頼んだ。

 

真姫「……。わかりました……」

 今回の真姫のわかりましたは、読んでみることだけのものだった。そんなのは空也も態度から察するが、今までそんなこと言ってくれなかった真姫がこうして話を受け入れてくれるのはものすごくうれしかった。

 

空也「そう。あと、朝と放課後に神社の階段でトレーニングしてるからよかったら見に来て。最後に、また今度君の歌聞かせてくれ、幼馴染たちと一緒に。俺と穂乃果だけ知ってるのも悪いし、俺は君の歌が好きだからいろいろな人に知ってもらいたいって思ってるから」

 さっきの対応からして真姫は、少し興味を持ってくれたのだろうと判断した空也は、彼女たちの本気を見せるべく提案してみた。

 それに曲をつけてもらうもらわないに限らずにこんなきれいで美しい歌は、きっとことりと海未にも絶対にいい影響を与える。そう確信できた。

 空也は、真姫に答えを聞かずに音楽室を後にした。

 




今日のテスト完全に終わりました…。ネットワークアーキテクチャってなんだよぉ!?
まぁ知ってるんですけどね?

さてこんな変な話は置いといて今回も勝手な自分の考えが入ってしましました。

真姫も、アイドルまではいかなくても普通の曲を聞くことはあると思ったのでそういう設定にしてみました。

お気に入り登録してくれたkyoheiさん、y-maさんありがとうございます!

次回『小さくて大きな一歩』

それでは次回もお楽しみに。



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https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかよろしくお願いします!

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