ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~   作:そらなり

118 / 145
どうも、そらなりです。

今回はアニメで言うところの会場に向かい始めるところになります。ただ、空也がいていろいろと原作と違うところが出てきた中で、どんなことが起こるのか。今回も楽しみにしていてください!

それでは、今回も慣れない足場の中走り出す彼たちの物語をご覧ください!


会場に向けて

空也side

 

 入学希望者説明会が遅れて始まるということが決定され、参加予定者が集まると予定していた1時間を少しだけ過ぎて始まることになった。雪かきをしていた空也も講堂へ戻ってきて、理事長からの言葉や学校の成果発表などが行われた。

 

 そして次のプログラムが生徒会長挨拶と副会長の挨拶だった。

穂乃果「皆さんこんにちは。私、生徒会長の高坂穂乃果です。…………生徒会会長、高坂穂乃果」

 穂乃果は本当に今まで生徒会長をしたことがなかったのかというほど堂々としている様子でやり遂げた。穂乃果の言葉が終わるとともに拍手が講堂内を駆け巡った。

 

 これで穂乃果の出番は終わり。あとは空也の番だ。音ノ木坂に数少ない男子生徒として話す……ということではないがこうして男子生徒がいるということもアピールしていきたいという。前年は幹が担っていた役割だ。

空也「どうも。皆さん今回はこの大雪の中来てくださりありがとうございます。副会長でμ'sの作詩を担当しています。時坂空也です」

 

空也「皆さんはこの学校のスクールアイドル『μ's』に憧れ、入学を希望したのだと思います。実際この学校は今年から新入生が入ることはなく、あと数年で廃校になってしまうところでした」

 穂乃果の説明では学校のこれからについてと生徒会として、入学してほしいという旨を伝えた。そして空也が話すことは今までの音ノ木坂の状況をもうすでに分かっているかもしれないけど説明する。

 

 だってここにいる人のほとんどがμ'sに憧れた希望者たち。その誕生の経緯にもなることだ。興味を引くには十分すぎる話題になる。

空也「そこで先ほどの生徒会長の高坂穂乃果はスクールアイドルで生徒を集めようとしまし、結果は見ての通り大成功。そしてこの学校はスクールアイドルだけではありません。皆さんはμ'sでこの学校を知ったのだと思います」

 

空也「ですから次はこの学校の特色を見てほしいと思います。あえてここでは特色は説明いたしません。それは自分で見て感じ取ってください。それではこの後のラブライブ最終予選のμ'sの活躍を応援しするとともにこの学校の良さを感じてください。生徒会副生徒会長、時坂空也」

 ここで興味を持ってもらえばあとは視野を広げてもらうように学校の特色がいろいろあるということを伝えて自分から手を出してもらうようにする。そうすれば自分が感じた特色が人それぞれにできるから。だから音ノ木坂学院自体に興味を与え、第一希望にしたいと思うほどの印象を与えたかった。

 

 空也がそう話し終わると穂乃果の時と同等の拍手が会場に駆け巡った。穂乃果の場合はμ'sのリーダーという補正があったのかもしれないけど空也は純粋に話していた言葉が聞いている人たちに本当に届いたのだろう。

 

 その結果、より興味を持ってくれる人が増え説明会は見事に成功した。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵里side

 

 いよいよライブが間近に迫ってきた状況で会場にいる6人が外の景色を見上げる。そこには天気予報では止むと言っていた雪も強さが変わらずに降り続けている状況があった。

希「雪、止まないね」

 深々と次々に振ってくる雪の結晶は地面に降り積もり足を奪っていく。

 

 予報とは真逆の状況が目の前に広がっている。

真姫「晴れるっていってたのに……」

 晴れていれば太陽光で雪が溶けたかもしれないし、晴れなくても雪がやめば雪かきをすれば進む道が安全になったかもしれない。だけど雪は降り続け足元には深い雪が積もっていた。

 

 この状況。交通機関も乱れていることは間違いないし、走ってくるにしても脛まで積もっている雪を見れば難しいことはわかるだろう。

にこ「で、穂乃果達は?」

 だからこそ、今穂乃果たちがどこにいるのかが気になる。間に合うのか間に合わない以前に大丈夫なのかどうかという心配も込めて。

 

 この状況だと事故に遭ってしまう可能性だって存在する。

絵里「え!? 動けない!?」

 それを心配した絵里が連絡を取ってみるとそこから信じられないことが告げられたようだ。

 

 絵里の電話の先にいるのはことり。そのことりが音ノ木坂学院での現状を絵里たちに伝えている。

ことり『そうなの。電車が止まっちゃったらしくて』

 電車が止まってしまった。この場所から1駅分行かないといけないはずの距離なのに電車が止まってしまっては間に合わない可能性が出てくる。

 

 絵里もだが、ことりたちも焦りの色が見えてくる。

絵里「そんな……間に合うの?」

 一番気になること。間に合うのかどうかということ。走れば間に合わないことはないほどの距離だが、心配はある。車が出せればいいけど雪の時は普通の車では走ることは難しいし、いくら除雪システムが発達していたとしても足が埋まるほどの雪を取り除くのは難しい。

 

 ことりたちは少しだけ考えていた。自分たちが死なない方法を空也に負担をかけずに見つけ出すために。走っているところを交通事故でという話はあれから聞かされていたためなら走って行かなければいいと言う考えになったのだろう。

ことり『今穂乃果ちゃんのお父さんに、車出してもらおうと……』

 だからこそ、今穂乃果に車が出せるかどうかを聞いてもらっているのだ。

 

 しかし、未来予知の整合性だろうか。穂乃果が尋ねてみた結果……。

穂乃果『ダメ……。道路も全然動かないって』

 このようなことが告げられた。道路も動かないこの状況では完全に手詰まり状態になっていた。

 

 つまり、移動手段がないということになり、時間に間にあうか以前に会場にたどり着けるのかすら怪しくなってしまった。ただ普通に走るだけでギリギリの距離。だけど雪が積もっているこの状況だと足を取られ通常より遅くついてしまうのは火を見るよりも明らか。

海未『えぇ!? それでは移動手段が……』

 だからこそ、移動手段が欲しかった。安全に安定し素早い行動を可能にするから。でも、もうすでに使える交通機関は存在せず、あと残るは自分の足のみとなっていた。

 

 これが意味することは間に合うか間に合わないかギリギリの博打に近いものをしなければならないということ。

真姫「こられないの?」

 一定の不安がこの場所にいるみんなに芽生える。だけど早く行動に移さなければ余計間に合わなくなってしまうと思った絵里は移動に専念してもらうために通話を切った。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果side

 

 もう、すでにやることは決まっている。交通機関が機能せず、頼れるのは自分の足だけ。リスクだって存在するその手段に穂乃果は迷いもなく突き進む。

穂乃果「走っていくしかない」

 走って行くしかないのだ。空也の夢に見た光景通りに。そうすれば死さえも見えているのに迷うこともなくただただ真っ直ぐにそう提案した。

 

 穂乃果の言葉を聞いた海未たちはそういうであろうことはわかっていてもやはり驚いてしまう。

海未「…………!」

 もしかしたら死んでしまうかもしれない。空也がどんな方法を取るのかはわからないけどその方法を取る前に事故が起こってしまうかもしれない。幾多の可能性が海未の脳裏をよぎる。それは自分の身を安全に保ちたいという本能のようなものだった。

 

 それは海未だけではなくことりもおなじ。

ことり「穂乃果ちゃん!?」

 死が見えている道をそのまま進むのか。あれだけ空也に負担をかけないように考えたのにそれも打ち砕かれてもなおなお前向きに突き進むのかと驚きは大きかった。

 

 しかし、それでこそ高坂穂乃果。人の力を借りる勇気、ただひたすらに前に進もうとする考え。何より空也なら大丈夫だという圧倒的な信頼。すべてがあるからこそ即決することができたのだ。

穂乃果「開演までまだ1時間ある。急げば間に合うよ」

 それに、こんな大事な舞台を降りるなんてことは穂乃果の選択肢にはなかった。

 

 ただ、それがことりや海未にも通じるかと言えばそうでもない。穂乃果のは穂乃果だからできる考えで他の人にはまねしてもまねできない完全な個性なのだから。

ことり「でも……。外は! それに空也君が言ってたことも……」

 だから不安になることりだって間違いではない。むしろ自分の命がかかっているのだとしたら"安全になるまで待つ"が正しい判断だろう。

 

 確かにそれは正しい判断なのかもしれない。けど、穂乃果の言葉で、穂乃果の態度で考えが変わった者がいる。

海未「今考えてる時間はありません。空也の事は空也に任せましょう」

 それが海未だ。幼いころ木から落ちそうになった時だって助けてくれた。今までもμ'sのことを支えてくれた。信頼してくれたから空也は秘密を教えてくれた。ここまでしてもらって、長い時間を一緒に過ごしてきた空也に対して不安に感じることはあまりいい行動ではない。

 

 その海未の言葉を聞いたことりも一瞬にして目が変わった。否、その瞳に闘志が宿った。静かながらもまっすぐに走ることを覚悟に決めた者の目になっていた。

 

 今の話の間、空也は一言も話さなかった。これから起こることがなんとなく予想がついている……いや、見たからこそ分かるこの後の出来事に回避できるのか緊張をしているのだろう。

空也「じゃあみんな移動準備しろ」

 でも、みんなを不安にさせないためにその感情は心の内へと隠す。予知夢を見たとしても正確な時間、場所までは完全に特定できるわけではない。だからどこで事故が起こってしまうのかそれは不安材料として確かに残っていた。

 だけどこうして信頼してくれている幼馴染がいて、手を貸してくれた恩人もいる。ならば何としてでもやり遂げるのが空也の役割だった。

 

 外は大雪。入学希望者説明会までの間に雪かきをしたというのに今の積雪量は足首まで埋まるほどのものになっていた。

穂乃果「雪かきしたのに、もうこんなに!?」

 例を見ないほどの雪の量にさっきまでやる気だった穂乃果も少しだけうろたえる。

 

 それに天気予報では止むということになていた雪は朝よりも……

ことり「しかも激しくなってる!」

 激しくなっていた。横殴りに正面からやってくる雪の粒が穂乃果たちの体温を奪っていく。さらには視界までよくないと来た。こうなれば事故に遭う確率だってうんと高まる。

 

 予想よりも多い積雪量に現在降っている雪の状態を考えると……、

海未「これではたとえ向かったとしても間に合うかどうか……」

 時間に間に合うかどうか不安になってくる。足は取られるし、空也の見た夢もある。もしかしたらそれ以外のアクシデントだってあるかもしれない。

 

 けど……

空也「おい、諦めんのか? 俺はまだあきらめてないんだが?」

 ここにいる空也は3人の命という大きいものを背負った空也はあきらめずに真っ直ぐに会場へと向かおうとしていた。

 

 でも、それは空也だけではなかったみたい。

ことり「…………。行こう穂乃果ちゃん!」

 ことりの瞳にはまだ闘志が残っている。だからこそ、歩みを進めていた。

 

 今まで引っ込み思案で、さっきまで本当に大丈夫なのか不安に感じていたことりのその行動は周りを動かすのに十分すぎるものだった。

穂乃果「ことりちゃん……」

 

 もうことりに迷いはない。ただ真っ直ぐに会場に向かうだけ。

ことり「死ぬ気でやれば怖くないよ。行こう!」

 だから、たとえどんな危険があったとしてもことりは進む足を止めないだろう。やる気になって、それに真剣な人はどんなことがあっても負けないのだから。

 

 その言葉が穂乃果を、

 

穂乃果「…………」

 

 海未を動かす。

 

 ここまでやってきたのは確かな目標があったから。最高の結果を目指してみんなで手を取り合って頑張ってきたから。それをただの天気で台無しにされてたまるもんか。そんな雪をも溶かしかねない熱気がことりの中からあふれ出してくる。

ことり「この日のために頑張ってきたんだよ! やれるよ!」

 少しずつ歩みを進め、穂乃果の隣にことりは並び立ちそのまま進んでいく。

 

 今まで支え続けてくれていたことりが自分の目の前にいる。

穂乃果「……!」

 それが穂乃果にとってどんなことを意味するのか。今目の前にはことり。引っ込み思案でどんなことも不安に感じてあまり動けなかった彼女がその闘志のあらん限りを尽くし進んでいる。

 それが穂乃果にとってやる気に進む気にさせる。だから穂乃果も決意を決めた目で真っ直ぐと歩むべき方を見ていた。

 

海未「ことり……」

 でもそれは穂乃果だけではない。少し恐怖心が残っている海未も進む決意を固める。

 

 一番前を歩くことりは、今もなお歩みを止めようとしない。少しずつ少しずつ歩いていく。

ことり「うん! みんなが待ってる」

 ことりの言葉を聞いた瞬間に穂乃果のアクセルが火を噴いた。思いっきり地面を踏みしめ駆けていく。

 

 穂乃果の行方を見た海未は足場の悪い雪の場所を駆けている穂乃果が心配になる。

海未「穂乃果!」

 案の定というべきか思いっきり走っていた穂乃果は強風を受けて転んでしまう。地面に思いっきりしりもちをついてしまっているが皮肉にも雪のおかげであまり穂乃果に怪我はなかったみたい。

 

 転んでいる穂乃果に向けてことりは歩み寄る。

ことり「穂乃果ちゃん!」

 でもそのおかげかことりは元居た場所よりも前に進むことができていた。

 

 逆に空也は穂乃果のことを心配しながらもその場に残り、

空也「穂乃果!」

 穂乃果のことを心配しながらもなかなか前に進めない海未を後押しする。

 

 雪の積もった場所を歩けば当然雪が沈み込み、歩みの速度を緩める。

海未「雪が足にまとわりついて」

 故に進みづらい現状になかなか海未は前に進めないでいた。

 

 けど、そんなことで歩みを止める海未じゃないことは空也がよく知っている。

空也「海未、お前ならいけんだろ。大丈夫俺もサポートする」

 それは勝手な押し付けじゃなく、自分がサポートするからという確かな理由があったうえでのもの。

 空也は始めるときに誓ったことがある。どんなに頑張っていても穂乃果たちは女の子。諦めてしまう時だってあるだろう。だから、立ち向かう勇気があるのなら逃げないように最大限サポートするのが空也のやることで、やりたいことだった。

 

 穂乃果に似た熱意を空也の瞳の中に見た海未は、自然と大丈夫な気がしてきた。

海未「空也……」

 これから歩いていかないといけない。そんなのはわかっていることで、最初から止まってしまえばこの先なんてとても進めない。けどここで立ち止まることなんて出来ない。

だから海未は再び歩き出す。たった1つの目標を胸にただただ真っ直ぐに。

 

 ようやく海未と空也がもといた場所から動き始めたというのに天候は一向に味方にならない。強く冷たい風がようやく進み始めた4人に厳しく当たっていく。

ことり「諦めちゃダメ! せっかく……せっかくここまで来たんだから!」

 でも……ことりは歩みを止めない。少しずつ、少しずつでも足を動かし前に進む。

 

 その隣を先ほどの迷いはどこへ言ったのかと思えるほど堂々と歩いていく海未。

海未「私だってそうです! 3人の背中を追いかけてるだけじゃない。やりたいんです! 私だって、誰よりもラブライブに出たい! 10人で最高の結果を残したいのです! 行きましょう!」

 そう。ここにいるみんなはラブライブのために頑張ってきたんだ。結成したときは廃校を阻止するためにその手段として出場しようとしていた。だけど、廃校が無くなりただただ純粋に出場を目指すようになって変わったものもある。それが各メンバーのラブライブ、ライブに対しての想いだった。

 それは注目されたいという廃坑阻止のための想いではなく、最高の結果を残して自分たちがここにいたのだという確かな証拠を作りたかったのだ。

 

 それはステージに上ることのない空也も同じ。最高の結果が欲しい。だから優勝を目指して新曲まで作って努力して……。でも、これまでの間で一番負担が多かったのは間違いなく穂乃果だ。

空也「いつまでも穂乃果に任せていられるかよ。俺は絶対に穂乃果の隣で走るんだぁー!」

 いつもメンバーの前を歩き、道なき道を歩んできた。その道を歩いてきていた空也にとってそれは不安で、不満でもあった。一人で何でもやろうとする。かつての自分を見ているみたいで。でも穂乃果は支えてくれる人の存在をしっかりと認識していた。だから強く言えなかった。

 でも……今なら言える。少しでも穂乃果に追いつくんだと。前にいる人に追いつくことは難しいのに、それを感じさせないほど確かな決意のもと言葉を言い放った。

 

 ことりの言葉が、海未の言葉が、そして空也の言葉が穂乃果を後押しする。4人の気持ちが何の疑いもなく真っ直ぐに前に向かってる。

穂乃果「……! うん!」

それが天に通じたのか先ほどよりも風は止み、雪も弱くなってきていた。

 

 これはチャンスだと穂乃果が少しだけ、でも確実に進むスピードを上げる。学校の正門を出てこれから会場に向かうぞと意気込むと同時に目の前に広がっていた光景は……、見事に雪かきがされた道がだった。

穂乃果「……何?」

 何が何だかわからない。学校内の雪があれだけあったのに今目の前にはうっすらとしか雪が積もっていない地面がはっきりと見えるくらいに雪かきがされてある。

 

 穂乃果たちが戸惑っていると右側から声がかかる。

ヒデコ「遅いわよ」

 その声は説明会が始まる前に学校内を雪かきしてくれていた少女。ヒデコだった。

 

 そして反対方向からもまた聞き覚えのある声が。

ミカ「また少し積もっちゃったじゃない」

 ミカもヒデコも雪かきをしてくれていた友人が必死になって雪かきをしてくれたんだとそう感じだ。

 

 でも、先が見えないほど雪かきされている道路を見るととても3人だけでできる仕事量ではないことが簡単にわかる。……ということは。

穂乃果「もしかして、これみんなが?」

 ヒデコたちが人を集めてくれたということが簡単に推測できる。

 

 穂乃果の言葉にヒデコは首を縦に振った。

ヒデコ「まぁね。でも今年の雪はさすがに男の子がいてもきつくて3分の1までしか終わってないの。だから急いで穂乃果! みんな!」

 今日の雪は例年に見ない大雪で足が簡単に埋まるほどの量だった。それを会場までの道のり全部で雪かきが住むとは到底思わない。

 でもそれが無駄だというわけでもなく、とても助けになるものだ。

 

 そしてフミコはさらに助けになるものを取り出す。

フミコ「はい、スノーブーツ。サイズ合わなくても大目に見てね」

 雪が積もる地面を滑らないようにという考えからの用意だろう。サイズが合わないなんてことは気にする必要はない。ただただ助かっていた。

 

 後ろを見ればミカもいる。

ミカ「心配しないで」

 安心させるようにささやくその声は穂乃果たちの心を安定させる。

 

 勢いだけで何とかしようとしていたけど、ここまでのサポートがあればなんとかなりそうだと明るい兆しが見え始める。

フミコ「会場までの道はできる限り私たちがサポートするよ」

 全ての場所を雪かきできているわけではないから途中までのサポートになるけどそれでも、何も気にせずに走ればいいだけならかなりのスピードアップにつながる。

 

 でも、なぜこんなに準備が整っているのだろうか? そう考えたのは穂乃果だけでなく空也を含めた4人全員が思っていた。

ヒデコ「電車が止まったっていうから皆に呼びかけたの。穂乃果達のために集まってって。そしたら来たよ。全校生徒が。それに風見学園の生徒だっていう人も来て手伝ってもらっちゃった」

 その疑問を解決するためにヒデコが今までに起きたことを説明してくれる。音ノ木坂学院の全校生徒がこの現象を起こした……。しかも別の学校で、東京ですらない場所にある風見学園の生徒まで来たという。

 

 いろんな人に支えられて、応援されているということがひしひしと伝わってくる。

空也「そうか……。ありがとう。みんなの気持ちは無駄にできないな。なぁ、穂乃果」

 であれば、時間内につかなくてダメでしたなんて結果は出してはならない。だからこそ空也たちのやる気が一層上がる。

 

 とにかく今は、会場につくことを考えて足を動かすだけ。

穂乃果「うん。ありがとう!」

 ひとまずここまでしてくれたヒデコたちに感謝をしつつ、前に前に走り出し始める。

 

 そんな穂乃果たちを後押しするかのように、周りに響き渡るような大声が後ろから聞こえてくる。

ヒデコ「いっけ~!!!」

 それが始まりとなり、また一人また一人と声援が広がっていく。その声援が確かに穂乃果たちの力になり駆ける足の勢いがより一層強くなる。

 

 今日を大切に想ってくれていたのは自分たちだけじゃないんだということに気づかされながらも穂乃果たちは前に前に駆ける。雪かきのおかげでスムーズに走ることができ会場までの距離がだんだんと短くなってくる。音ノ木坂の制服を着た生徒がところどころ見える中をただひたすらに走って行く。少しでも早く会場につけるようにして。

 

 




次回、いよいよ山場になります。初音島で見た夢が現実になってしまうのか、それとも空也の考え通り回避することができるのでしょうか……。

本島であまり強い魔法が使えない中空也がどれだけのことができるのか……そもそも魔法が使えるのか。それは次回のお楽しみ。

新しくお気に入り登録をしてくださった関飛さんありがとうございます!

次回『未来は変わる』……これがいい方向に転ぶのかそれとも……?

それでは、次回もお楽しみに!



Twitterやってます。
https://twitter.com/kuuya_soranari
どうかフォローよろしくお願いします!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。