ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
今回で『なんとかしなきゃ!』回は終わりとなります。……また5話も使ってしまいました。今回物語の最後のほうで結構この話に重要な部分の一端が見え隠れしてきます。そこらへんもお楽しみに!
それでは、ミスを取り返そうと奮闘した彼女たちの物語をとくとご覧あれ!
生徒会でのミスを取り返そうと遅くまで仕事をしていた穂乃果に空也が一週間空也の家に泊まれということが告げられた。
何の脈絡もなく突然に告げられたその言葉に当然ながら穂乃果は驚く。
穂乃果「えぇ!? なんで!?」
いくら幼馴染といえ、異性であることは確かなことで。しかも今まで生徒会の仕事で集中していたのに家に泊まれなんて言われてしまえば意識しないほうが無理な話だ。
でも、生徒会の不祥事が起きたからといって今までやってたことを忘れてはいけない。
空也「忘れてないとは思うがお前はまだダイエット中だろ。つまみ食いがなくなるまで俺の家で生活してもらう」
そう。現在穂乃果はダイエット中で成果発表の今日、データを取ってみれば変化なしという驚きの結果。その原因を理解しているからこそ空也はそういう提案をしたのだ。
原因がつまみ食い。それを直すには空也の提案は穂乃果にとってプラスになること。実際そういう方法をとるのは異論する理由もない。
海未「そうですね。でも2人で大丈夫ですか?」
ただ問題なのが空也と穂乃果が異性同士であるということ。いくら幼馴染であったとしてもやっていいこととまずいことは確かに存在する。
間違いがあってはならない学生だということもそうだし、穂乃果自身がアイドルであるこの状況でそんな間違いが起こるのはまずい。だからこそ、海未はその心配をして空也に尋ねる。その言葉は何かあれば自分たちも手を貸しますよといいだしそうな言葉で。
でも、問題があるというのなら解決案がないなら提案はしない。
空也「内側からしか開けられない部屋が3つくらいある。鍵もないから心配しなくていいよ。それに知ってるだろ。俺の家には今は俺一人だけだってこと」
それに空也の両親は現在家にいない。一人暮らしであるということがこの場合有利に働く。……なぜならそれは、普通に他の過程の迷惑にならないからという単純な理由だ。
空也の出した解決案は完全に安心できるものだった。鍵はない、内側からしか鍵をかけることができない。それに空也の今までの行動を考えれば安心だと判断することができる。
空也がそういうのを聞いたことりは笑顔のまま海未に一言入れる。
ことり「いいんじゃないかな。空也君は安全だし」
そう、笑顔だったのだ。何の曇りもなく、楽しい、面白い、嬉しい。そんな感情があふれ出てくるような最高の笑顔でことりは話していた。これがどんなことを意味するのか、それを知るのはことりだけ。
そんな表情で言ったからか海未もそれならと了承の反応をしている。そして、ことりの笑顔が海未にもうつったようで同じような表情をしていた。
でも、ことりの言葉で動かされたのは海未だけではなかった。
穂乃果「そうだね。じゃあよろしくね?」
それはこの件の渦中にいる人物の賛成を引き出していたみたい。首をキョトンと横に倒しながら空也にお願いをする穂乃果。
そんな穂乃果に空也は反応を示し、これ方の行動を伝える。
空也「あぁ。じゃあ穂乃果はいったん家に戻って着替え等持ってからだから……。まずは2人を送っていくよ」
今はもう夜も遅い時間だ。だから夜の独り歩きを防ぐために空也は送っていくことを提案する。ここまで遅くに家に帰るのは、おそらくあのファーストライブの前日以来だろう。
その後帰り支度を済ませ、空也はことりと海未を家に送り届け、穂乃果の家で準備が終わるのを待ってから自宅へと戻った。
これからの一週間、家では空也の手料理を穂乃果に食べさせて余った時間は予算についての話し合い。その他もろもろ済ませ、時は過ぎ去り予算会議当日となった。
今は生徒会室に全部活動の部長が集まり、ピリピリした様子で予算会議が始まるのを待っていた。それもそのはずこれからの1年、その予算でやりくりをしないといけないのだからより多くもらえるようにしたいという考えを持っているのだから。
穂乃果「…………。空気が重い……。ってにこちゃん!? どうしてここに?」
ただそれゆえに空気が重くなり穂乃果たちの緊張感も増していた。そんな中でなぜかいる見知った顔に驚きをあらわにする穂乃果。でもそのおかげでほんの少しだけ緊張感が紛れたようだ。
まぁ、その見知った顔というのがアイドル研究部部長の矢澤にこだからいたとしても何の不思議もない。……むしろいてもらわないと困る。
にこ「当たり前でしょ。アイドル研究部の部長よ私は」
ただ、μ'sとしての活動では穂乃果がリーダーを務めているということもあってにこが部長であるということ自体だんだんと薄れてきているようだった。
にこの言葉で納得をし始める穂乃果。
穂乃果「そっか……」
そんな穂乃果に向かってにこは知り合いが生徒会長であることを利用してあることをお願いする。
にこ「それよりわかってるんでしょうね。部費アップ頼むわよ」
それは全部活動の部長が願っていること。前年度よりも部費を上げてほしいとそう願っている。
でもそれはあまりにも露骨すぎる媚びだ。
空也「にこ……」
この重苦しい空気感でそんなことを軽々しく言えるにこにあきれながらやれやれと言った様子で会話のやり取りを見ていた空也は肩をすくめる。でも。正直できない話ではない。
でも、それができるかどうかはまだわからない。だから断言はできないし、この場にはほかの部活の部長もいることから立場上、簡単に言えるものでもなかった。
穂乃果「頑張るよ……」
だからこそ曖昧な返事でごまかす。
そしてその話題はあまりこの場で話すことでもないため空也が助け船を出す。開始時間も迫っているみたいだし全部活動の生徒がそろったという条件が整ったということもあって。
海未「それより穂乃果、そろそろ」
だから会議を始める。この生徒会が発足してから初めての大きな、そして大事な会議が。
でも緊張からか時間を全く見ていなかった穂乃果は空也の言葉でようやく始まる時間だということに気が付いた。
穂乃果「え? あ! では、各部の代表もそろったようなのでこれより予算会議を始めたいと思います。まず初めに私から……」
そして会議の始まりを宣言して、あることを話そうとするのだが、それはとある生徒によってさえぎられる。
それは今回の騒動である意味一番被害を受けた部活の部長。
美術部員「はい! その前にまず、美術部の部費の件について説明してもらえますか」
美術部。予算が会議前に通ってしまった唯一の部活。一体どうなってこのようなことが起こってしまったのか、説明を要求する言葉だった。
他の部活の部長も賛成のようでパチパチと拍手が生徒会室の中に響き渡った。
ことり「え……、えっと……」
司会進行は生徒会が行おうということでこの会議の予定を組んでいたためかことりがうろたえ始める。
それに続いて予定を狂わされていしまったせいで海未のペースも乱れ、
海未「それは……」
ことり同様にどうしたらいいのかが分からなくなり戸惑いをあらわにする。
でもそんな中穂乃果は堂々とした様子で真っ直ぐ前を見て答える。
穂乃果「無い袖は振れません!」
ないものは与えることができない。そんな意味を表す言葉をこの場にいる全員に聞かせた。確かにそうなのだが……
急な穂乃果の言葉にみんなが混乱する。あまりにも唐突で説明にも何もなっていない言葉だったのだから仕方がない。
空也「確かにそうなんだけど、言い方を考えろ」
だからこそ説明の方法を変えろと空也は穂乃果に言う。こんなやり取りをしているおかげか、海未もことりもいつものペースを取り戻し始めてきた。今は周りがただ困惑しているが、生徒会のメンバーが平常を取り戻したということは大きかった。これで穂乃果も自分のことだけに集中して話を進められる。
空也の言葉に首をかしげる穂乃果。言い方を考えろと言われた穂乃果は少しだけ考える穂ぶりをしながら口を開く。
穂乃果「え? だめかな? じゃあ、それでは説明させていただきます」
これから、本当の説明が入る。どうしてこのようなことが起きてしまったのか。という根本的な部分を。
今回の件はどうして起きてしまったのか事態が発生した時点でもうすでに分かっていたことだ。
穂乃果「美術部の件に関しては完全に生徒会のミスです。承認の書類箱に間違って入れたものに、判を押してしまったもので弁解のしようもありません」
完全に生徒会のミス。穂乃果の言う通りのことで、その事の成り行きも丁寧に説明していく。やってしまったことだから何を言われても反論ができない。そのことを認めたうえで話をしていく。
ただし、この予算を認めるかといわれれば答えはノーだ。話し合いもなし、考える余地すら入り込まなかった今回の件が流れれば、穂乃果の世代の生徒会だけではなく、その後の生徒会の運営にもかかわってくる。
穂乃果「ですが、予算会議前に承認することはやっぱりあってはならないと思います。ですので、謝罪とともに取り消しをお願いしたいと思います。それで予算ですが、音ノ木坂学院は今年廃校をまのがれた状況です。生徒の数も去年に比べて少ないのが現状です。そこで、勝手ながら生徒会で予算案を作成させていただきました。副会長、お願いします」
だからこそそれを取り消してほしいと頭を下げてお願いをした。生徒会長である穂乃果が、である。そして、今までの一週間で考えて考え抜いた各部の予算案があることを告げた。
そしてその説明はすべての予算を把握している空也に委ねられる。
空也「あぁ」
穂乃果に呼ばれた空也は説明を頑張った穂乃果に笑顔で返事をし、説明を始める。その間に海未とことりはそれぞれの列に予算案を配って行った。
そこに書かれていることこそ、穂乃果が先ほど言っていた生徒会が作成した予算案だった。空也はこの予算に至った理由について話す。
空也「それでは、各部の去年の予算と本年度提出されている希望額から暫定ですが、振り分けてみました。各部の要求額には届いていませんが、活動に支障をきたさずに活動できると考えます」
予算を考えるときに参考にしたものが前年の渡された予算と現在残っている備品の消耗度、そしてどれだけの希望額を提示しているかを考慮したうえで、予算として渡せる額を紙にまとめて提示した。
ただ、全部活動を希望額通りに予算を渡せるかといわれればできないのだ。それは今までの音ノ木坂がどうであったかということを考えれば自ずとわかってくる。
穂乃果「来年度、生徒が増えることを信じ今年はこれでご理解いただければと思います」
音ノ木坂学院はやっと廃校を待逃れた現状では苦しい運営をしてる。だからこそ、これからの未来を考えたうえでこのように予算を設定した。
こんなことをやるのは初めてだった。経験なんてあるわけがない。本当に手探りの状態で、それでいていろんな先生に質問してまで作った予算案だ。現状の誠意を示すために穂乃果たち生徒会の面々が立ち上がる。
穂乃果「生徒会として、精一杯考えました」
考えて考えていろいろ動いた一週間だった。
初めてだからこそ、いろいろと不安なところがあると思う。
空也「至らぬ点もあると思いますが」
それは生徒会である穂乃果たちも思っていることで、今ここで話を聞いている部長たちだって同じだろう。
でも、人は成長する生き物だ。その集合体である組織もまた、成長をする。
海未「どうか……」
今回起こってしまったことは消せないが、糧にして成長することができる。
でもそのためにはまずは部長たちの賛同が必要だ。
ことり「どうか、お願いします!」
今回の件で一番責任を感じていることりが誰よりも深くお辞儀をする。
同じくして空也たちも深々と部長たちに頭を下げた。
4人『お願いします!』
誠心誠意、心を込めて相手に信じてもらえるように。
急な生徒会のお辞儀に部長たちは困惑してしまう。でもそれは今何をすればいいのかわかっていないというものだ。
にこ「ふぅ、予算案に賛成の人」
そんな部長たちをリードするかのように、この場にいる唯一の最上級生であるにこがこれから行動を誘導する。にこが最初に手を挙げたことでそれは周りに広がっていった。
結果、予算案に反対の人はいなく。予算は通った。
予算会議は終わりさらには部活も終わりの時間になってきた。
身体に疲れが残らないようにクールダウンをしていた花陽たちにさっきまであった予算会議に事についた話す。
花陽「それで予算通っちゃったの!?」
会議自体は基本的に滞りなく過ぎていったのだが、自分たちが言い方が悪いようにはなるが勝手に作った予算案が不通に通ったということに驚いている花陽。
でも、その反応は正しい。自分たちが勝手に決めた予算案なのだ。いろいろなことを考慮したとはいえ何の相談もなく作ったもので反論が出る確率はとても高かった。
穂乃果「ほんと危なかった~」
場の空気を支配できたからできたことで、予算が通ったという事実はかなり危ない橋を渡った結果といえるだろう。
予算会議が終わってから、生徒会役員である穂乃果たちは本当にほっとした様子になっていた。
ことり「ほんとうまくいってよかったね」
それもそのはず、一週間考え抜いて出した案が通ったのだ安心しないはずがない。それにうまくいったといううれしい事実もあったからそれはなおさらに感じていた。
でもあの空気を生み出せたのは穂乃果たちだけの手柄ではなかった。
にこ「私のおかげよ。感謝しなさい」
あの時にどうすればいいのか部長たちに道しるべを提示したにこの活躍もかなり大きなものだった。
にこのおかげであの予算が通ったと言っても過言ではない。空也たちだけでは絶対にできなかったことの後押しをしてくれたのだから。
空也「そうだな。じゃあこの借り、いつか返すよ」
だから、生徒会はにこに仮ができたということになる。それを空也は返すと、そういった。
その言葉を聞いたにこは嬉しそうにニッコリとした笑顔を見せ、でも少しだけ意地悪な笑みを含んで、
にこ「言ったわね。じゃあ楽しみにしてるわよ」
空也に、生徒会にできた貸しが返ってくるのを心待ちにした。一体どんなことが起こるのだろうという純粋な興味を持ちながら。
そのにこの言葉に空也はうなずきながら返事を返した。
予算の件がひと段落したということもあってこの後はみんな帰るだけなのだが、もう1つだけ確認しておかないといけないことがある。
海未「それで、穂乃果。ダイエットのほうはどうなりました?」
一週間、空也の家で寝食を共にしていたため停滞も悪化もしていない状態だといいと思っていた海未は穂乃果に直接訪ねる。なんだかんだで一番穂乃果のダイエットの結果を気にしていたのは海未だったから。
海未に質問された穂乃果は自分でしっかりと嘘偽りのない結果をここにいる全員に告げる。
穂乃果「うん! 戻ったよ!」
それはダイエットの成功を伝える言葉。つまり、穂乃果のダイエットは無地終了したのだ。
ただ、海未とことり以外はどうして体重が戻ったのか理由が分からないためより大きなリアクションをとる。
生徒会メンバー以外『えぇ!?』
別に隠していたわけではないが穂乃果たち生徒会の4人はこの一週間練習に参加していなかったため帰りはみんなより遅いという理由で伝えるタイミングがなかったのだ。
でもそんなリアクションには気にせずに、今は穂乃果の言葉が本当であるかどうかを確かめるほうが先決だ。
ことり「ほんと?」
空也と同じ時間を過ごしていたのだから、そこまで嘘である可能性があるわけではないが、目を話している隙に、なんてことがないとも限らない。生徒会の仕事をしている時の夜食に……的な感じで。
そんなことりの不安を打ち消すかのように最高の笑顔で穂乃果は答える。
穂乃果「うん。4人で一生懸命頑張って、空也君の料理食べてたら戻っちゃった」
空也が穂乃果の食べる食事を用意して寝るまでしっかりと見張ってた。もちろん穂乃果が寝ている部屋にはお菓子などの食べ物は持ち込ませなかったし、夜に廊下を出歩いたりなんて形跡も存在しなかった。
それに、穂乃果の真っ直ぐな瞳がその言葉が嘘ではないということを裏付けていた。
でも、穂乃果の言葉が他のメンバーに戸惑いを増やす。
凛「えぇ!? 空也君の料理って?」
なぜなら空也が作った料理をずっと食べていたと言ったのだから夜も同じだったということが簡単に推測できる。
そんな疑問に空也が特に隠すこともないので素直にカミングアウトする。
空也「そのまんまの意味。一週間の間、穂乃果の食事を管理してた」
この一週間ずっと穂乃果の食事を作り食べすぎず、カロリーが高くならないように計算して作っていた。それをしっかり穂乃果は食べていた。結果として穂乃果の体重がもとに戻り無理のないダイエットができたのだ。ただ、空也曰く料理のレシピは秘密、だそう。
そんな話をしていると真姫はことりのほうに行き、
真姫「ことりの言った通りね。4人、信頼しあってるんだな~って」
あの時に話していたことりの言葉がどういうことかを理解したという様子で話しかける。
幼馴染だから、というわけではない。お互いにいいと思ったところは褒めるし、ダメだと思ったことは注意する。そしてしり込みしている時はその相手に会う方法でやる気を出してあげる。そんなことができる中だからこそ、がみがみ言っててもずっと一緒にいるのだ。
ことり「うん。お互い良いところも悪いところも言い合って、ちょっとずつ成長できてるんだと思う」
そしてそれがことりの言いたかったこと。成長し、それを近くで見て自分もと頑張っていく。それが友人の親友の、そして幼馴染としてのあるべき姿。
今、穂乃果はダイエットが終わった嬉しさからパンを取り出し食べようとしている。それを必死になって止めようとしている海未の姿を見て、がみがみと注意をしているがそのやり取りを楽しいと思っている。そんな2人が、そしてそれを見ている空也とことりの姿がこの場にいる誰よりも青春をしている。そんな風に思えた。
穂乃果と海未のやり取りはμ'sの全員が見ている。そんな2人を見て、そしてさっきまでの話を聞いて希は1つの確証を持っていた。
希「生徒会、大丈夫そうやね」
もう、生徒会の仕事は穂乃果たちに完全に任せても大丈夫そう。そう、心から思っていた。
でも、そういう希の顔は羨ましそうに穂乃果と海未のやり取りを見つめていた。
絵里「えぇ、今日もパフェ食べに行く?」
それに気が付いた絵里は特に何も変化のないいつもの表情で、一週間前に希に提案されたことを提案し返す。
しばしの沈黙の後、
希「……そうやね」
了承を意味する言葉を発した希はやはりどこか羨ましそうに穂乃果たちのことを見ていた。
そんな様子の希に絵里以外に少しの違和感を感じた人がいる。
空也「…………?」
それが空也だ。いつもと雰囲気が明らかに違う希に何かあると感じたのだが、それがどういうことなのかは理解できていない。でも、きっと何かがある空也の心の中にはそんな感じが根強く残っていた。
その後、特に変わったこともなく最終下校時間を過ぎそうな学院から穂乃果たちは下校し、それぞれの帰る家に帰っていった。
空也と穂乃果は空也の家に戻ってきた。今まで穂乃果は短い期間ではあるが空也の家で過ごしていた。そのため着替えなどまだ空也の家にある状態であったから無理もない。
リビングで少しだけくつろいでいた穂乃果自身がが帰らないといけないということを思い出して会話を始める。
穂乃果「今日で穂乃果は自分の家に戻るんだね」
一週間だけとはいえ1日中同じ空間にいたため少しだけ居心地がよくなってきたタイミングのため少しだけ名残惜しく感じていた穂乃果は残念そうにつぶやく。
確かに穂乃果は帰らないといけない。いつまでもこの家で過ごしているなんてことは大丈夫とは言えない。一番は家族といることだから。
空也「あぁ。……だけど明日は休みなんだし今日くらいは泊って行けよ」
でも、少しくらい落ち着いてからでいいじゃないか。今日は会議で緊張して身体ともに疲れている。だから明日が学校ではないということもあって穂乃果に今日まで泊っていくように言う空也。
そんな提案を聞いた穂乃果は、
穂乃果「うん! そうする! ……でも、それ以外にも何かあるでしょ、空也君」
すぐに受け入れるがそのほかに何かがあるかもしれないという感じを覚えていた。
確かに返事の後に少しだけ間ができてしまった。共同生活が始まると言い出した時は堂々と言い出していたのに、今は何か意思を固めたそんな感じに聞こえてしまう。
空也「バレてたか……」
そしてそれは正しく、空也自身本当に何かがあって穂乃果に泊まってもらうように話を切り出したのだ。
こんな少しも間だけで、空也がどういったことをしようとしていたのかわかる当たり、長い時間を共にしていたんだと感じる部分がある。
穂乃果「当然だよ! 何年幼馴染やってると思ってるの?」
幼稚園の時にはもう一緒にいて、小学校と中学時代の2年間はずっと一緒にいた幼馴染。仕草だけでどういったことをするのかなんてわかってしまう。
穂乃果が切り出してくれたおかげで空也自身も話しやすい雰囲気ができた。ずっと一緒にいてあの時も支えてくれた穂乃果だからこそ話したいことを相談する。
空也「さすがだな。……じゃあ穂乃果、話がある。聞いてくれるか?」
今の空也の内心はきっと、幼馴染とは恐ろしいものだと嬉しそうにつぶやいていることだろう。でも、これから話すことは軽いことではない。空也の覚悟があるから話せることだから。
でも、穂乃果は頼られた。その事実は変わらないし、それをうれしいと思った穂乃果だった存在する。
穂乃果「勿論! 何でも話して」
重苦しい雰囲気ではあるがそれを理解したうえで力になると決めた穂乃果は話を聞く体制になる。
そして空也は語りだす。あの時のことを。
今こうして空也が人間として過ごせているのは穂乃果がかけてくれたあの言葉があったのだから……。
『もうひとりじゃないよ』と……。
最後にオリジナル要素が入りましたが今回で『なんとかしなきゃ!』回は終わりです。
次回はこの続き、空也の過去の回想シーンから始まりますので何があったのか知りたい方はお楽しみに。
新しくお気に入り登録をしてくださったKAI改さんありがとうございます!
次回『もうひとりじゃないよ』
それでは、次回もお楽しみに!
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