ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
ついに3人に名前が付きます。
これから折れることのない決意が固まる穂乃果たちを見ていってください。
昼に、生徒会長に言われたことを考え続け、気が付けば放課後になっていた。放課後になるまでの間に授業に身が入らないほど穂乃果は悩んでいた。
そしてようやくじっくり話すことができたのだが、穂乃果から出た言葉は、
穂乃果「私……、ちょっと簡単に考え過ぎだったのかも……」
マイナス思考のある意味穂乃果らしくない言葉だった。
海未「やっと気づいたのですか」
海未は、穂乃果の考えの甘さに少し呆れる。
穂乃果「でもふざけてやろうって言ったわけじゃないよ。海未ちゃんのメニュー全部こなしてるし、おかげで足は筋肉痛だけど……」
そう、穂乃果は少なからず本気であった。いつもならすぐに飽きてやる気をなくすことが多いのだが、まれに長く続くことがあるのだ。
空也は穂乃果の本気を身近で見ているため、すぐにそのことに気が付き協力しようと努力していた。
空也「確かに頑張ってはいる。でも、今回の絢瀬会長の言葉で少し考えることができたな」
空也はそれに気がついてもまだ少女の3人には、考えることそのものが難しいことだった。
今回の件に関していえば頑張るだけでは意味がないのだ。いい意味で目立って人気にならなければこの活動の最大の意味はなくなる。
海未「それは、どういうことですか?」
海未は、生徒会長の話に反対していた空也が、意見を参考にしていることに驚きながら空也に尋ねる。
空也「昼も言ったろ。どんなことにもリスクは付き物だって。そのリスクを乗り越えるかそれか今回は一回身を引くか、考えるチャンスができたってことだ」
この決断には必ず覚悟が必要になってくる。リスクを乗り越えることができるのか、失敗を恐れて何もしないのかをここで決めなくてはいけない。
難しい決断だけどこれは彼女たちが決めなければならないことで、覚悟を決めたならそれはきっと折れない心になるのだから。
穂乃果「そうだよね……。あと一か月しかないんだもんね」
そうはいっても今回のライブには、期間が短く何もできていないに等しい状況で、この決断は、かなり重いようだった。
そう空也が考えていると次々と問題点が出てくるようになっていた。
ことり「ライブをやるにしても、歌う曲は決めないと」
ことりはやはり曲の心配をしていた。無理もない、昼にあれだけ拒否され取り付く島もなかったのだから。
海未「今から作曲者を探してる時間はありません」
それは海未もわかっていたらしく不安げに口にする。
しかし、その状況を観察していた空也は、昼にある違和感を覚えていた。
空也「いや、いっそのこと西木野さんに頼むって手もある」
空也がそういうのには、ちゃんとした理由があった。それが違和感につながるのだが、
空也が言うその言葉に驚く3人、
ことり「え?」
そんな中でもことりが一番最初に声が漏れた。
空也「昼、俺の詩に曲を付けてくれって言ったとき、若干反応したんだよ」
空也の感じた違和感は、曲を作ってくれるように頼んだ時、最初に理由を聞いてきたことだ。
あの時、彼女には絶対に興味はあった。なのに断った。それはきっと彼女の環境がそうさせているのだろう。
じゃないと一人の少女があんな悲しい目をするはずがない。
穂乃果「そう、なんだ……」
そんな観察をよくしていた空也に驚きながらも気が付かなかった自分に廃校をどうにかできるのかと疑問がさらに出てきた。
そうした不安から穂乃果は、顔を下に向いてしまった。
そこで空也は、彼女たちには難しい選択を早めに迫ることにした。
空也「よし! 今から決断しろ。やるのか、やらないのかを」
今の彼女たち……特に穂乃果には、難しい選択になっているのだろう。すると4人の前にヒデコたちがやってきた。
ヒデコ「どう? 練習は」
穂乃果たちが悩んでることは知らないようだが、何やら勇気のもらえるその問いかけに穂乃果は顔を上に向けてヒデコたちを見ていた。
フミコ「ライブ、何か手伝えることあったら言ってね」
そしてフミコから出たのは、ライブのアシストの話。やめるとは言えなくなった空気になっているが、きっと今彼女たちの言葉は、穂乃果たちに届いているだろう。
ミカ「照明とかお客さんの整理とかいろいろやらなきゃいけないでしょ」
ミカは、空也たちが考えていなかったライブの演出についてついてきた。
曲にばっか気を取られてばっかだったためそこまで気が回らなかった。
それを気付かせてもらった彼女たちの力は、今後絶対に必要となってくる。そのことをわかって言ったのかは定かではないがその気遣いがとても助かっていた。
穂乃果は、3人の言葉に勇気をもらい、やる気を取り戻し、
穂乃果「ッ! うん! ありがと! 空也君 やっぱ私やる! そう決めた!」
大きな声でそう空也に宣言をした。
海未「私も、ここでやめるのは性に合いませんから」
ことり「ことりも穂乃果ちゃんの決めた道ならどこまでもついていくよ」
海未とことりも穂乃果の意志と3人の言葉に心を震わされ、続けていくことを宣言する。
空也「そうか……、じゃあ応援する。それと、ヒデコ、フミコ、ミカ、さっきの本当か?」
空也は、そのやる気を受け止め応援することを宣言した。そして、大事なことを確認した。
そうするとヒデコたちはあっさりと答える。
ヒデコ「うん。だって穂乃果達学校のために頑張ってるんだし」
学校のために頑張っているから。理由としては十分だけど、それだけで動けるこの子はすごいと思う。
きっと穂乃果のやる気がここまで人を動かせるんだと穂乃果の才能を改めて感心していた。
ミカ「クラスのみんなも応援しようって言ってるよ」
ミカの言葉で、もうこれは空也たちの問題だけではなくなった。その期待は大きいけど、それは、きっと彼女たちの力になる。
ミカの言葉を聞いてそう思った空也は、一層やる気を出し
空也「そうか…、ありがとな3人共」
ヒデコたちに感謝をしていた。それほどこの場面での彼女たちの言葉は重かった。
穂乃果「ほんとありがとう」
空也に倣い穂乃果も感謝する。きっと穂乃果は、この3人の言葉がなければ、まだ悩んでいる最中だっただろう。
話すことを話して満足したようでヒデコ、フミコ、ミカの3人は、その場を立ち去る。
フミコ「それじゃあね。私たちはもう行くから」
そして空也は、ここまで穂乃果たちのことを支えてくれた3人を送り出した。
空也「あぁ、じゃあな」
3人は、空也たちに手を振りながら正門のほうへと帰って行った。
そして明確にやることを絞った穂乃果の行動力は早く、
穂乃果「じゃあ穂乃果は、箱に手紙が入ってないか見てくるよ~!」
さっそく1人で行動するのだった。
空也「そうか。じゃあ俺たちは教室行ってるから」
空也は、一人で行動する穂乃果を送り出すのであった。
穂乃果「うん。じゃあまた後で」
穂乃果も空也に返事を返しそそくさと目的の場所に向かった。
穂乃果を送り出した空也たちは、肌寒いこの季節に外で待っているのはつらいので教室に向かうことにした。
空也「じゃあ俺たちも教室に戻るか」
空也の合図で海未とことりも行動に移した。
海未「そうですね。行きましょうか」
ことり「うん!」
そう言って空也たち3人は教室で穂乃果を待つのであった。
side out
穂乃果side
空也たちと別れ穂乃果は、自分たちが張ったポスターのところに向かった。
その下に箱を用意していたのだがその箱を開けてみると丁寧に折られた紙が入っていた。
穂乃果「あ! あった~!」
穂乃果は、ここで開けるより教室で待っている3人と一緒に確認しようと思い紙を開かずに教室へ急いで向かった。
side out
空也side
すごい勢いで穂乃果が教室に走ってきた。
空也「どうしたんだよ穂乃果」
慌てて教室に入ってくる穂乃果の手には、何やら小さい紙を持っていた。
穂乃果「あったんだよ! 手紙が」
穂乃果がそういうと同時に手に持った紙を空也たちに見せつけてくる。
海未 ことり「「それは本当ですか!(ほんと~)」」
その紙を見て数日で入っているとは思っていなかったことりと海未は驚きをあらわにする。
穂乃果はその言葉を聞いて嘘じゃないことを見せつけながら、
穂乃果「うん。ほら!」
空也に渡してきた。
突然穂乃果に紙を渡された空也は、驚きながら、
空也「なんだよ。なんで俺に渡すんだよ」
穂乃果の行動に真意を訪ねた。
穂乃果は、空也に聞かれたことを普通のことだと言わんばかりに答えた。
穂乃果「空也君に開けてもらおうと思って」
本来活動を見られるのは、穂乃果たちのはずなのに空也はそれでもいいのかと3人に聞く。
空也「いいのか? 俺で」
空也の問いかけに3人はそれは当たり前かのように、
ことほのうみ「「「うん(はい)」」」
三者三様の答えを空也に伝えた。
それを聞いた空也はほかの3人にも言えるように開ける。
空也「じゃあ開けるぞ」
紙をかけると『μ's』と書かれていた。
書いてある文字は、『u's』とも読むこともできたようで穂乃果は、
穂乃果「ユーズ?」
そう読んでいた。
その間違えに気が付いた海未は、本来の読み方を穂乃果に教える。
海未「多分μ'sじゃないかと」
穂乃果「セッケ……「石鹸じゃないぞ」……なんでわかったの空也君!?」
海未の口にした単語から身近なものを連想した穂乃果はそれを口に出そうとするがその答えを予想していた空也が途中で間違えをただす。
先読みされた穂乃果は、びっくりしながら空也に聞くと、
空也「わかるわそれくらい」
空也にとって簡単なことだったようでそっけなく答える。
そんな空也と穂乃果の会話に本題に入るかのように話題を変える海未。
海未「おそらく神話に出てくる女神からつけたんだと思います」
ギリシャ神話がもとになっている九柱の女神の名前なのだろう。
ことり「いいと思う! 私は好きだな」
ことりはグループ名に文句はないようですぐさま賛成する。
空也「あぁ、いいんじゃないかな」
穂乃果「μ's……。うん! 今日から私たちは『μ's』だ!」
海未「そうですね。いいのではないでしょうか?」
ことりにならい空也たちも文句はなく満場一致でグループ名が決まった。
しかし、単語の意味を分かっている空也には、ある疑問が残った。
空也「でも気になるのが……」
空也のその一言で海未が空也に声をかける。
海未「どうしたんですか? 空也」
首をかしげながら空也に尋ねる海未。それを空也は、何かを思い出しながら、海未たちに気になっていることを伝えた。
空也「いや、神話でμ'sだろ? 確か9人の女神って意味だと思うんだけど」
いまだ自信が持てない様子で穂乃果たちに告げる空也。
海未は、空也の言っていたことを理解できたようでそれを正しいことだと肯定しながら、
海未「そこまで知らずにつけたんじゃないんですか」
そこまで気にすることはないと空也に言った。
空也「そう、だよな」
空也は何かに引っかかりながら何とか納得したのだった。
やっと名前が付いた…。
そしてその名前の本当の意味に気が付いた空也。
親の元までたどり着けるのでしょうか? それはそうと実際の神話のほうのμ'sとアニメのμ'sって意外にリンクしてるんですね。
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次回『真姫の小さなウソと本当の想い』
それでは、次回もお楽しみに。
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