ラブライブ!~化け物と呼ばれた少年と9人の女神の物語~ 作:そらなり
今回は次回に起きてしまった不祥事についての回です。この状況を乗り切るためにみんなはどんな行動をとるのかお楽しみに!
それでは、今回も解決策を模索する彼、彼女たちの物語をご覧ください!
ヒデコがアイドル研究部の部室にやってくるとあることが伝えられる。それを解決するために場所を生徒会室に変えた。
穂乃果「えぇ!? 承認された!?」
そしてヒデコから告げられたことというのがあるものが承認されたという事実。
しかもその中身が、お金に関すること。この時期にお金が関わる生徒会の仕事といえば……
ヒデコ「うん……。美術部の人喜んでたよ」
部活の予算申請について。あの時に受け取った申請書がとおったということで美術部の生徒はかなり喜んでいたという。
それもそうだろう。
フミコ「予算会議前に予算が通ったって」
いくら予算申請書を出したところでそれが全部叶うなんてことはほとんどない。部活動の成果、現在残っているものを考慮したうえで会議をして決まるのだ。それを会議もなしにすべてが受け入れられたのなら喜ぶのも無理はない。
ただし、本来それは……
海未「そんなことありえません!?」
ありえない。生徒会がミスをしていなければ、絶対に。そしてあってはならないことなのだ。いくら来年度の入学希望者を募集するとはいえ、現在3学年を合わせて6クラスしかないこの学校では予算はかなり限られてくる。それを何の話し合いもなしに無条件に許可してしまうのは今後の生徒会の運営にも関わってきてしまう。
それにここにいる1人がなぜこんなことになっているのか見当がついていない。
空也「その前に美術部の申請書出してたことすら知らないんだけど」
美術部員が予算申請書を提出してきたときにその場に空也はいなかった。でもこの場で確かに起こってしまっているのだ。その事実はわからない。
その話を聞いて、生徒会室に帰ってきたらまず最初に承認ボックスの前にやってきたことりは震える手で紙を持ち上げる。
ことり「あぁ……。…………」
そこには理事長のハンコが押してある美術部の予算申請書。決定的な証拠に他ならなかった。
それをことり越し見た穂乃果たちは各々、
穂乃果「なんで!?」
海未「どうして承認されてるのです!?」
承認されていることにさらなる驚きをしてみせた。それもそうだ。何かの間違いだと心のどこかで思っていたから。
でも心当たりがある人だっている。あの時にどう行動をしたのか、それを思い返すと原因となったのは……
ことり「多分私、あの時……。ごめんなさい……」
自覚している通りことりが承認ボックスの中にこの書類を入れたことで理事長のもとに行き生徒会を信じた理事長がハンコを押した。きっとそんな経緯でこうなってしまったのだろう。そしてその先頭にいたのがことりだった。
しかし、起きてしまったことを悔やんでも仕方がない。時間は限られている。その中でどう解決するかを考えないといけない。
空也「とにかく起きたことは仕方がない。だから何とか改善策を……」
そう空也が口にした瞬間だった。
真っ先に今やるべきことを導き出した穂乃果はその方法を口にする。
穂乃果「とにかく美術部に話に行こう!」
一番原始的な方法。だけど話し合いで済むのならそれに越したことはない。簡単に済ませる1つの手段だ。
そんな穂乃果の案をみんなが受け入れて4人で美術部部長のもとに行く。そして話をしてみたのだが、『承認したのは生徒会だ』という言葉に反論することもできず説得は失敗に終わってしまった。
説得が失敗してしまったそんな状況で考えるべきは次の手だ。
希「面倒なことになったね」
それを考えるべく前生徒会の絵里と希に相談をしていた。
希の言う通りこれはかなり面倒なことになってしまった。予算という限られたものを何の相談もなしに許可してしまうのがどんなに大変なことか、生徒数が限られている音ノ木坂ではわかるだろう。
穂乃果「すいません……」
やってしまったことを反省する穂乃果たち。
穂乃果と海未、そして何よりことりが落ち込んでいる。
海未「注意していたつもりなのですが……」
確かに注意をしていた。だからこそ、予算申請書が来たときはしっかりとチェックをしてミスのないようにしていた。
そんな中一番落ち込んでいるのは原因を作ってしまったことり。
ことり「海未ちゃんが悪いんじゃないよ……。私が……」
自分のミスを気にしてどんどんと負のスパイラルに陥ってしまう。
なぜスパイラルなのか。それは……
穂乃果「ううん、私が悪いんだよ。仕事ためて、空也君たちに任せっぱなしだったし」
ことりを起点にどんどん広がり巡り巡っていってしまうからだ。
でも、今は誰が悪いかを決めることより、どんな方法で解決するかを考えることのほうが重要だ。
空也「その話は後で。今は承認された予算の取り消し、それだけを考えるぞ」
承認されたからには変更は難しい。でもいろいろと考えて行動してみないと解決はできない。
そんな中、全生徒会長である絵里が穂乃果たちに助言をする。
絵里「3年生に美術部OGの知り合いがいるから私からちょっと話してみるわ」
確かに今の部長は穂乃果たちの同級生の2年生。3年生の先輩からの言葉だと受け入れてくれる可能性はあった。
それに、元生徒会長であるという点がその可能性を強くする。
希「そうやね。元生徒会長のいうことなら協力してくれるかもしれないしね」
協力をしてくれれば比較的簡単に事が進む。これから最終予選が近づいてくるのだから練習にも時間をかけないといけない。練習もできるようになって予算の問題が解決するなら万々歳だ。
その言葉を素直に受け入れようとする海未。
海未「すいません……」
余程ショックなようで肩を落としながら絵里と希にお願いをする。
ことりも受け入れようとしている状況で、1人その提案を蹴ろうとしている人がいた。
穂乃果「でも……。私たちで何とかしなきゃ、だめなんじゃないかな」
それが穂乃果だ。確かに頼れば簡単に事が進むのかもしれない。でも今の生徒会は穂乃果たちであるという事実は変わらない。
未だこのようなケースを経験したことのないことりはどうすればいいのかわからないため頼ってみようという気になっているが、
ことり「穂乃果ちゃん……」
その言葉を聞いて少しだけ踏みとどまる。
穂乃果の言ったことはきっとこれから先に重要になってくることだ。
空也「俺も穂乃果に賛成。自分たちのミスを関係のない人に手伝ってもらうのはあまりよくない。これからの事を考えると、この4人で解決したほうがいい」
そう、これから生徒会の運営は生徒会長である穂乃果をはじめとする現生徒会のメンバーで行われる。自分たちの不祥事は自分たちでどうにかしないとこれから先しっかりと運営することができない。それに最初から何もせずに頼るのは生徒会の仕事を軽く見てしまいかねない事態にも発展するだろう。
そんな穂乃果と空也の言葉を聞いて絵里は、
絵里「でも」
心配になり、反論をしようとする。この中に生徒会の仕事を経験した人は誰一人としていない。穂乃果たちは絵里たちの姿を見ていたとしても経験したのは生徒会長についてからだ。空也も朝倉音姫というやり手の生徒会長と生活を共にしていたが運営自体に参加したことはない。そんな人たちしかいない状況でこの出来事を何とかできるのか。そういったことが絵里の脳裏をよぎる。
でもそんな絵里の肩に希が手を置く。まるで落ち着けと言わんばかりに。
絵里「希?」
振り返って見ていると、その表情は安心してことを見守ると決めた決意の目をしている希の姿があった。
今の望みの行動は空也たちにとってありがたいものだった。確かに経験はないのかもしれない。だけど何事も最初は初めてだ。それがこんな重大な件から始まるというのはハードルが高いがまずは……。
空也「希、ありがとな。大丈夫だ。それに何も考えがないわけじゃないしね」
とにかく行動してみなければわからない。
それに空也には考えがあるようでそのことが知れただけでも安心することができる。
希「ほな。がんばってな?」
最後に希は4人にエールを送り絵里と2人で生徒会室を後にした。これからしっかりと進み始める穂乃果たち新生生徒会の活躍を願って。
side out
絵里side
生徒会室を後にいて、外に出ると穂乃果たちのいるであろう生徒会室を外から見上げる。
絵里「…………」
穂乃果たちが自分たちに任せてほしいと言ったのは正直嬉しかった絵里だが、それと同時にやっぱり不安な面だって存在する。なぜなら穂乃果たちを生徒会に推薦したのは絵里自身。そして生徒会の先輩でもある絵里は穂乃果たちを支える役割を担っているようなもの。そんな彼女たちを見て心配するなという方が無理な話だ。
そんな絵里を見て希が一言声をかける。
希「気になる?」
こんな状況で不安そうに生徒会室を見上げているのだ。気になるであろうなんてことはすぐにわかる。
そう聞かれた絵里はとっさに言いよどんでしまうが、
絵里「いや……。まぁ……」
素直に肯定する。予算は限られたものでそれをやりくりしないといけないのが生徒会の仕事の一つ。それを失敗してしまったから起きている今の状況に不安な気持ちを抱かないわけがない。だから、絵里は穂乃果たちのことが気になるのだ。
でも、今はあの4人がやると決めて行動をしている。頼られていない人が手を貸したところでそれはただの邪魔だ。
希「帰り、パフェでも食べてこうか」
だからこそ、自分たちは気を紛らわせることをするしかない。その手段として希は絵里にパフェを食べに行くことを提案する。
それに対して急な申し出であったことから少し戸惑う絵里。
絵里「え?」
でもこうした行動を希がとるということはしっかりとした理由がある。
希「うちらが卒業したら、4人でやっていかなきゃいけないんやから。空也君はわかってたみたいやけどね。行こうか?」
それは先ほど空也が言ったことと同じようなこと。これからは穂乃果たち新生生徒会が運営をしていかないといけない。それなのに真っ先に前生徒会の人たちを頼ってしまえば、頼ることが癖になってしまい自分たちでは何もできない状況に陥ってしまう可能性だってある。
希の言葉を聞いた絵里はもう一度生徒会室のほうを見て見守ることを決意し、希についていった。
そう、これからの生徒会は穂乃果たちのもとでやっていかなくてはいけないのだから。
side out
空也side
絵里たちが帰ってからしばらく生徒会の仕事を片付けていた。これからは時間が惜しいという状況だ。何が何でも予算会議の時までには何かしらの手を打たなくてはならない。
穂乃果「ふぅ~。これで良し!」
そんな中穂乃果はとにかく本来の速さ以上のスピードで作業を終わらせていた。
単純な作業ではあるが量が多いのは間違いない。そんな作業を一番最初に終わらせたのが穂乃果だ。
ことり「終わったの!? すご~い!」
未だ作業を続けていることりは終えたという穂乃果の言葉に反応をしている。
ただ、穂乃果がやっていた仕事は予算のさほど関係したものではなく、今までたまっていたものだったというのが少し残念なことではあるのだが、穂乃果の手が空いたということは……
穂乃果「らんららんらら~ん! すっきり~! 予算のほうも手伝うよ。なにすればいい?」
自然に予算のほうに取り掛かる人数が増えるということだ。人数が増えれば一人の作業量が減り負担も軽くなる。さらには時間も短縮されるという良いことばかり。
何とか穂乃果が仕事を終わらせると海未が少しあきれたように口を開く。
海未「全く……。集中すればできるのに、どうして毎日少しずつできないのですか」
そう、穂乃果は集中すれば大抵のことはできる。それがラブライブ出場の条件のテストの時に証明されている。そんな彼女が普段からやっていないことに海未はそれを指摘する。
当然海未の言っていることは正しいし、それを穂乃果自身も自覚している。
穂乃果「そうだよね……。わかってはいるんだけど」
だからあははと笑いながらも反省している様子を見せた。
ただ、穂乃果が早く仕事をしてしまうと先ほどのように1人の仕事量が減ってしまう。
空也「それができたら俺のやる仕事減っちゃうじゃん。っと、ちょっと出てくる。しっかりやれよ?」
ということは空也の仕事量も減ってしまうわけでそうしてしまうと穂乃果たちの練習が遅れてしまう可能性だって出てくる。そうならないためにカバーしているという意味もあるため毎日のようにやってほしいかといわれれば空也は胸を張ってYESとは言えなかった。
そして空也は何かを思い出したかのように立ち上がる。
そんな行動をした空也に疑問を持った穂乃果が、
穂乃果「どうしたの?」
何があったのかを空也本人に尋ねる。
でも空也自身、これからやる行動を細かく話す気はさらさらないようで、
空也「すぐに戻るから。1分ぐらいかな。大丈夫、心配ないさ」
戻ってこれるであろう時間の長さを伝えそのまま生徒会室から出ていく。穂乃果たちには少し疑問が残るが今はそれよりも作業をすることが優先だ。だらか空也が出ていくと穂乃果たちは作業を再開した。
生徒会室を出た空也はそこにいる先生に向かって話しかける。
空也「すいませんね。ちょっと生徒会でミスがあったんで、予算会議の日まで少し遅れて下校したいんですが、いいですか?」
先生がこの場所に来たということはなんとなく何が要件なのか想像がつく。もう遅い時間帯、他の生徒はもう下校し終えているはずで部活動の活動時間ももう終了している。
だから早く下校しろとそう言いたいのだろうなんてことがすぐに考えることができる。
そう質問されることを考慮したうえで空也が口にしたお願い事。それが少しだけ遅くまで残ることを黙認してほしいということだった。
先生「あんな姿見せられてだめなんて言えないだろう。だが、問題が起きたらそれまでだからな」
きっと少しだけ生徒会室での出来事を見ていたのだろう。だからこそ、無理であろうお願いにも前向きに検討をしてくれる。
その言葉が聞けただけで空也は安心した。
空也「ありがとうございます。それでは俺は戻りますので」
これで一応少しの延長ができることが確定した。時間が増えることは本当にありがたい。少ない時間しかないこの状況では特に。
先生とそのようなやり取りをした空也は生徒会室に戻る。そうすると部屋の中には集中した穂乃果、海未、ことりの3人がまだ作業をしていた。
ことり「海未ちゃんそっちのは?」
会計であることりが金額関係のことがどうなったのかを尋ねている。きっと一番やる気になっているのはこの中では誰よりことりだろう。それだからこそ、いつもより積極的に行動をしている。
聞かれた海未は先ほどまでやっていた計算の結果を告げる。
海未「今計算合いました」
今までの使ったとされる予算と現状の備品の数々をデータ化して1年間にどれだけ必要であるかを計算した紙をことりに渡す。
そして穂乃果は今集まっている予算申請書に書かれている予算の合計金額を足し、どれだけ使える予算との差があるかを計算していた。これなら数学が不得意な穂乃果であっても確実にできる作業だ。
穂乃果「こっちももう少しで終わりそうだよ」
その作業ももう終わりになっているということを穂乃果が伝える。
そんな穂乃果の作業が終わったことを確認した空也は手をたたき3人を自身に注目させる。
空也「お疲れ。さて……今日はもう遅いから帰ろうか」
そう、先生が見に来たということはもうそろそろ時間だということに他ならない。少しだけ延長できるということが話付けることができたのなら今日はそこまで残っている意味はない。
でもそんな空也の言葉に生徒会長として責任感がある穂乃果は反論をする。
穂乃果「まだできるよ!」
確かにまだ穂乃果たちは作業ができる様子ではある。
ただし、先ほど先生から警告があったように何かが起きたらもう遅くまで残っていることができなくなる。生徒会室でしかできない作業もあることからそれは何としても避けなくてはいけない。
空也「無理して明日は休みますってことになったら、作業もさらに遅れるぞ。焦らなくてもあと一週間ある」
だからこそ、無理をして倒れてしまうなんてことはあってはならない。1人が休めば残りの3人の負担が増える。作業する人数が増えれば負担が軽くなるように人数が少なくなってしまえば負担は重くなってしまうのだから。
その空也の言葉は正しい。これからの本当に今日明日で終わるのならその心配はいらないのかもしれないが、予算に関してはかなり複雑であることから時間がかかる。その状況でいかに安定して素早く作業することができるのかを考えるとこの判断には従ったほうが今後のためになる。
海未「そうですね……。帰りましょうか」
だから海未も、
ことり「うん」
ことりも空也の言葉を受け入れて帰りの支度をする。
そしてそれと同時に空也が1つあることを宣言する。それは今までやったことを継続してくために大事なことで生徒会長と副会長が一緒にいればいざとなった時にすぐに作業ができるということを考えてのものだ。
つまり、何をしようとしているのかというと……
空也「それと、穂乃果はこの一週間俺の家に泊まれ」
穂乃果を空也の家で一緒に過ごさせるということだ。絵里と希に向けてこの言った考えというのがこのことみたいだった。
その言葉を聞いた穂乃果は一瞬その言葉を理解することができずに固まっていたが、その様子をことりは面白そうに、海未はやっとですかといいそうな表情で見守っていた。
そのあと、生徒会室内に穂乃果の驚きの声が駆け巡ったそうだが、空也が説得した結果、一週間の穂乃果と空也2人の同棲生活が始まった。きっと3食とも空也が料理を作るからこれ以上体重が増えるということにはならなそうだ。
またまた最後に物語がさらに動きだそうな予感! 希と絵里に対していったことはそういうことだったんですねー。さて空也にしたごことはあるのかな?
そんなことが起こった次回はいよいよ『なんとかしなきゃ!』回最終回!!
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あ、あと活動報告に今後のことについて投稿しました。よろしければ覗いてみてください。
次回『予算会議』
それでは、次回もお楽しみに!
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