Phantasy Star Fate    作:ラトヤ

5 / 17
遅くなりました!
すみません。
では第5話どうぞ!


第5話 ~アキと龍族~

「今日から……シロウの部屋に泊めてもらうことになったの。だから…その……よろしくね。」

 

「……なんでさ!!!」

 

「その…フィリアさんが…」

 

その時一通のメールが届いた。

 

『差出人:フィリア

  宛先:シロウ君

シロウ君、すでにわかってると思うけど、マトイちゃんを泊めてあげて欲しいんだよね。マトイちゃんから言ってもらうように言っておいたんだけど朝、君に言いそびれたらしいの。ならサプライズの方がいいという結論に至りました。』

 

なぜそうなる?!

 

『心配しないで。生活に必要なものはすでに私が買いそろえて君のマイルームに送ったから。』

 

いやそれよりなぜ俺の部屋なんだ。

 

『今、なぜ俺の部屋なんだって思ってるでしょ。』

「なっ!!」

『私のところに泊まってもらえたら良かったのだけど、夜勤とかあって部屋を明けることが多いのですよ。マトイちゃんも知ない人のところに急に放り込まれるのは嫌だろうし、だからマトイちゃんがなついてるあなたに白羽の矢が立ったわけよ。だからマトイちゃんをよろしくお願いします!」

 

「……」

 

展開が急すぎていまいち心の整理がついてないが

 

「事情は大体わかった。けどいいのかマトイは?こんな…俺の部屋で?」

 

「うん。他の人とは怖いから嫌だけど……シロウとだったらいいよ

…………シロウといたらとても落ち着くの。」

 

 

「それでもやはり男女が一緒に過ごすのはな。」

 

「シロウは…私と一緒にいるのはいやなの?」

 

マトイが上目遣いで聞いてくる。

 

「うっ、そんなことはないぞ!マトイがいいならいいよ。幸い部屋はいくつか空いてるし。」

 

「…ありがとう///」

 

 

マトイに部屋を案内することにした。

 

「ここがリビングでこっちがトイレでこっちが風呂場、そしてこっちが俺の私室、マトイは向かいのこの部屋を使ってくれ。」

 

「うん。わかった。」

 

その後、フィリアさんから荷物が届き、マトイの部屋に運びこんでいた。

 

「もうこんな時間か。そろそろ夜ご飯にするか。それにしてもすごい量だな、まだ全てマトイの部屋に運びきれてないぞ。女の子には必要なものがたくさんあるとは聞いたことがあるがこれほどとはな。」

 

そう言いながら俺はリビングの台所に向かい、調理を始めた。

 

料理が出来上がりに近づくと

 

「あっいい匂い。」

 

部屋で荷物の荷ほどきをしていたマトイがやってきた。

 

「もう少しでできるからな。悪いがマトイそこの棚から皿をとってくれないか?」

 

「うん…わかった。」

 

マトイが棚から皿を持ってくると、

 

「はいシロウ。きゃっ!!」

段ボールに躓いた。

「危ない!!!」

 

皿が割れる音が鳴り響く。

 

 

「マトイ、大丈夫か?」

俺は前からマトイを抱き抱えるようにこけそうになったマトイを支えた。

 

「うん…私は大丈夫。けど…ごめん…お皿割っちゃった。」

 

「そんなこときはする必要ない「あ~、任務疲れた。」」

 

アフィンがマイルームに入ってきた。

 

「悪いな相棒、腹へっちまって、またうまい飯くわして……えぇぇぇぇ?!マトイ?!」

 

アフィンから見たら俺たちは抱き合っているように見えるだろう。

 

「なんでマトイが相棒の部屋に?!それにそれは……もしかして…二人とも付き合っているのか?」

 

「「えっ、あ…」」

 

アフィンの言葉にマトイと俺は自分たち現状を理解するとすぐに離れた。マトイは恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にしてる。

 

「相棒…最近毎日マトイの見舞いに行ってると思ったら、そういうことだったんだな。しかし出会って数日で…相棒は手が早いな。」

「ちがっ、アフィンこれにはわけが!」

 

「ああ………相棒とマトイの関係を…今思えばそうだよな。同じく記憶を失った者同士、同じ境遇で心が惹かれ合わないわけがないよな。2人水入らずのところ邪魔して悪かったな。どうぞ続けてくれ。邪魔者は退散させてもらうよ。お幸せに!!」

そういうとアフィンは扉から出ていった。

「おい!待てアフィン!くっ!マトイ皿の破片には触れるなよ。すぐに戻る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、こけそうになったマトイを相棒が助けただけなのか。それにしても相棒を大変な頼まれごとをされたな。」

 

「え、大変な……………やっぱり……私がいると迷惑?」

 

「おいアフィン!そんなことないぞ。」

 

「でも……」

 

「マトイ……知ってると思うけど俺は料理を作るのが好きなんだ。けどそれには食べてくれる人がいない意味がないんだ。マトイがいてくれた方が俺は嬉しいよ。迷惑なんてない。マトイはここにいていいんだよ。」

 

「……シロウ」

 

「そうそう、マトイはここにいていいんだよ。」

 

「そういうことだマトイ。さて話も落ち着いたところで夜ご飯とするか。」

 

そう言って台所に向かった。

 

「それにしてもマトイがうらやましいぜ。」

 

「え…なんで?」

 

「シロウを飯はめちゃくちゃおいしんだ。それをこれから毎日食べれるマトイがうらやましいな~って。」

 

「それほどのものではないよ。」

 

「おっ相棒、またまた謙遜して。で今日の夜飯は何なんだ?」

 

「今日は森林アユのトマト煮とサラダとナベルダケのスープだ。」

 

「お~!うまそう!」

「おいしそう。」

 

「冷めないうちに食べてくれ。」

 

その後、3人で夕食を食べ、食べ終わるとアフィンは自分のマイルームに帰っていき、俺とマトイはフィリアさんからの荷物の整理に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

A.P.238 3/3

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の任務は惑星アムドゥスキアの火山地帯の調査だ。今回は同行者もいるそうだ。同行者とは現地で合流することになっている。

俺はキャンプシップに乗り、アムドゥスキアに向かった。

 

そして到着し、同行者との合流ポイントに向かう。

 

「火山地帯はやっぱりあついな。あれが今回の同行者か。」

 

「お、来たな。君がシロウ君だね。私はアキという。研究者をやらせてもらっている。この先の最深部の調査をしたいんだが、最近ダーカーの目撃情報が多くてね。一応私もアークスなんだが戦闘はあまり得意じゃないので、君についてきてもらうことにしたんだ。頼りにしてるよルーキー君」

 

「期待に添えるよう頑張ります。」

 

「うむ。では行こうか。」

 

俺たちは最深部に向かった。

 

 

 

 

 

 

その道中

 

「アキさんはなんの研究をしてるのですか?」

 

「私は龍族の研究をさせてもらってるよ。シロウ君は龍族についてどこまで知ってる?」

 

「龍族ですか。惑星アムドゥスキアに住む種族で、会話が可能な個体もそれなりにいて、彼らは独自でダーカーを撃退している。」

 

「そうだな、彼らは独自でダーカーを撃退できる。だからこそアークスは不要という方針なのだろう。彼らはアークスの協力を拒み続けている。私はそれは危険だと思っている。ダーカーを完全に滅ぼせるのはフォトンだけだ。彼らはそれを持たない。龍族がその屈強は力でダーカーを倒しても残り滓のようなものは残留してるはずなんだ。」

 

「戦いを続ければ、彼らはダーカー因子に侵食されるということですか。」

 

「そうだ。最近、ダーカーの目撃が増えているためその傾向は加速していると私は考えている。実際に彼らの協力を得られればいいのだが、さっき言ったように龍族はアークスを不要としている。昔から交流は少しあったが良好な関係ではないのだよ。今回は龍族との交流が目的だ。龍族と接触をし、彼らの信頼を得たいと思っている。交流は私がやるから君は護衛を頼むよ。」

 

そんなことを話していると

 

龍族の死体を発見した。体には大きな傷がある。

 

「すこし失礼するよ。」

 

そういうとアキさんは躊躇なく、手をその傷口に突っ込んだ。

 

「シロウ君、辛いようなら無理して見なくてていいぞ。」

 

「……ああ、そうさせてもらいます。あの岩陰で休んでいるので終わったら声をかけてください。」

 

「うむ。わかった。」

 

死体はもう見慣れている。しかしそれの中をいじるというのは………見ていて気持ちいいものではない。

 

そうして俺はその場から離れた。

 

 

 

 

数分するとアキさんが戻ってきた。

 

「やはり私の推測道理だったよ。」

 

「何かわかったのですか?」

 

「体内の調べさせてもらったらそこからダーカー因子が見つかったよ。やはり彼らはすでにダーカー因子に侵食され暴走している。しかもあの傷は龍族によるものだ。」

 

「つまり彼らは同族で殺し合っていると。」

 

「ああ、悲しいことにそうだろう。これは一刻も早く彼らをとめなければならない。」

 

 

「グォオオオッーーー!」

すぐ近くで雄たけびが聞えてきた。

 

俺たちはその声のもとに向かって走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそこにいたのは、龍族のディーニアンとダーカー因子に侵食されたヴォルドラゴンだった。

 

「あれはすでにダーカー因子の侵食が大分進んでいますね。」

 

「助かるかどうかは五分ってところだね。」

 

 

『ロガ様、静まりください。なぜ暴れるのですか。お答えください、ロガ様!!』

 

ディーニアンがヴォルドラゴンに訴えかけているようだ。

会話が頭に響いてくる。これが彼らの念話か。

 

「説得は無駄だ竜族のキミ!ダーカー因子の侵食を受けて正気を失っている。」

 

アキさんがディーニアンに声をかけた。

 

『アークスか、今貴様たちにかまっている暇はない。去れ!』

 

アークスと龍族の関係が良好でないのは本当のようだ。

 

「そうは言うが、目の前のそれをどうするつもりだね。」

 

『……ヒ族のロガ様は我らが標。だがこのまま暴れられるならば仕方がない。同族殺しは掟の侵犯。掟を破りしものはカッシーナの元へ…』

「…カッシーナ。竜族に伝わる神話でいうところ地獄龍か。なるほど、つまり殺すということか。」

 

『……賢しいアークス、何を考えている?』

 

「なに、ただ助かる命を見捨てられないだけだ。」

 

『貴様らならロガ様を鎮めることができると、そういうことか。』

 

「ああ、そうだ。だからここは私たちに任せてくれないか。」

 

『……わかった。ここは貴様たちに従おう。』

 

そして龍族に聞こえない声でアキさんが俺に

「これは一種の賭けだな。手を貸してくれシロウ君。」

 

助けられれば彼らの信頼を得ることができるが、しかし助けられるかは五分五分。

 

「はい。必ず助けましょう。」

俺は自分にも言い聞かせるようにその言葉に答えた。

 

『グオオオオオオオオオオーーー!!!』

ヴォルドラゴンが再び雄たけびを上げる。その雄たけびはとても痛々しくまるで助けを求めるようであった。

 

ダーカー因子の侵食は今も続いている。1秒でも早く浄化しなければ、助かる可能性が刻々と下がっていく。

 

腰からツインダガーを引き抜き、

 

ヴォルドラゴンに向かって走り出した。

 

侵食核が顔のすぐ後ろ、首の右側に見える。もうすぐ花が咲きそうだ。急がなければ。

ヴォルドラゴンとの距離が10mと迫ったとき、

 

ヴォルドラゴンが炎を吹いた。俺は咄嗟に左に避けてすぐに体勢を立て直して侵食核を潰すため再び走り出す。

 

 

侵食核までもう少し

 

 

 

しかしそう簡単にはいかない。真横から振り回された尻尾が迫っていた。身の危険を感じたヴォルドラゴンが敵を引かせるために己を中心に回転し尻尾を振り回したのだ。

何とかガードすることはできた。しかしあの巨体に遠心力がのった一撃だ。人間が耐えられるものではない。そのまま吹き飛ばされてしまった。

 

 

何度か地面を転がったあとどうにか体勢立て直し、立ち上がった。

 

 

「ゴァッ!」

ヴォルドラゴンがその顎で地面を叩いた。

 

何かくると思い、ヴォルドラゴンを凝視し、警戒を高める。

 

「前ではない!下だシロウ君!!」

 

下を見るとそこは赤く膨れ上がってきていた。

 

「ッ!!」

 

瞬時にそこから飛びのく。すぐにそこからはマグマが噴出した。

 

「大丈夫かね?」

アキさんが俺に駆け寄ってきた。

「はい!」

 

「一筋縄ではいかないね。何か考えるはあるのかい?」

 

「……はい。策はあることにはあるんですが、それにはアキさんの協力が必要になってきます。」

 

「私は研究者だがこれでもアークスの端くれ、戦闘もそこそこできるさ。それにキミに任せっぱなしというのも申し訳ないしな。」

 

「わかりました。では作戦を伝えます。」

 

俺はアキさんに手短に作戦を伝えた。

 

「それだけでいいのかい? それぐらいなら問題はない。」

 

「ええ、後は俺がやります。」

 

「では行くとしようか。彼もそろそろ我慢の限界のようだ。」

 

ヴォルドラゴンが口の中に炎を溜めていた。

 

「そのようですね。無理は禁物です。危険だと思ったらすぐに引いてください。」

 

「了解だ。」

 

ヴォルドラゴンが炎を吐き出した。炎は一直線に俺たちに向かってきている。

俺とアキさんは互いに左右に避けた。そしてそのまま二手に分かれて、ヴォルドラゴンを中心に円を描くように走る。

 

 

 

『まずアキさんはヴォルドラゴンが飛ばないように銃弾を撃ち続けて牽制してください。』

 

 

 

アキさんは走りながらヴォルドラゴンの羽に銃弾を浴びせ続けている。

 

 

 

 

そしてヴォルドラゴンを挟んで一直線になったところで俺たちは方向転換しヴォルドラゴンに向かっていっきに走る。

 

 

奴の尻尾での攻撃は攻撃力は高く、攻撃範囲も広く、とても厄介な攻撃だ。

しかし来るとわかっていれば対処できなくはない。

 

逆に他の攻撃手段、特にまだ見ていない攻撃手段で来られた方が時間が惜しい今は厄介だ。

ならば対処できるあの攻撃を出させればいい。

俺一人で突撃すればどんな攻撃が来るかはわからない。しかし2方向から攻めればあの攻撃が来る可能性が高くなる。

 

 

左右から走りこんでくる俺たちを見て、ヴォルドラゴンは……

 

 

己を中心に尻尾を振り回してきた。

 

よし来た!勝負はここからだ!

 

その瞬間アキさんは、走るのをやめて尻尾のリーチの外まで後退する。

 

俺は脚に力を込めてヴォルドラゴンの懐に飛び込む。

 

 

あの攻撃を避けて奴に近づくには二つの方法がある。一つ目の方法は上に避けることだ。

しかし上に避けてしまっては空中で身動きが取れず、恰好の的になってしまう。

 

ならば取るべき選択はただ一つ奴の懐に飛び込むことだ。

しかしこの方法にもリスクはある。タイミングを間違えればあの攻撃をモロに食らってしまう。

あれを食らえばただでは済まない。

 

さらに脚に力を込めて地面を蹴り加速する。

 

尻尾ぎりぎりのところで俺の後髪をかすめて通り過ぎた。

 

そして俺は一回転してきたヴォルドラゴンの侵食核に狙いを定めて踏み込み剣を振るう。

ヴォルドラゴンも自分を攻撃が失敗に終わったことに気づき、すでにその眼で俺をとらえている。その爪で切り裂くため前脚が突き出してくる。

 

『グオオオオオオーーー!』

「うぉぉぉぉぉぉーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の剣の方が奴の爪が届くより先に侵食核を切り裂いた。

ヴォルドラゴンは力なく倒れていった。

 

「さすがだねシロウ君。」

ヴォルドラゴンが倒れたのを確認して近づいてきた。

「問題はここからです。侵食核は浄化しました。間に合っていれば正気に戻るのですが…」

 

「間に合っていなければまた暴れ出すだろうな。その時はひと思いに素早く殺してやるのが彼のためだ。」

 

「……そうですね。」

 

 

 

ヴォルドラゴンが目を覚ました。

剣を持つ手に力を籠める。

 

『ぐ……。これ…は……。』

 

『ロガ様!正気に戻られましたか!』

 

「賭けではあったがうまくいったようだな。」

 

『賢しいアークス。何をした?』

 

「簡単な話さ、体内のダーカー因子をフォトンで浄化したのだ。」

 

『……アークスの力か。』

 

「安心するのはまだ早いぞ。これからもこれと同じことがもっと起るぞ。」

 

『貴様の目的は何だ。』

 

「キミたちと話しをさせてくれ。今アークスと龍族に必要なのは対話だ。」

 

『………………わかった。我はヒのエン。』

 

「私はアキ、そして彼がシロウ君だ。」

 

『アキにシロウ。無礼を詫びる。そして感謝する。ロガ様を救いしその力。この恩は決しては忘れない。』

 

 

その後アークスのアキさんと龍族のエンの対話は続いた。

ダーカーの脅威について、アークスの力について、龍族の現状について………

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ある研究室に男が残って一人研究を続けていた。

 

「なんだこの検査結果は?!」

 

男は一人研究室で検査結果の数値を見て驚愕していた。

 

「この数値は異常だ。ここ最近出始めただけではこうはならない。これではまるで………これはもう一度詳しく調査しなければならないな。」

 

 

 

 

 

 




投稿は週一を目指していたんですけどね。
リアルが忙し過ぎて…

これから投稿ペースが落ちます。
すみません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。