Phantasy Star Fate    作:ラトヤ

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みなさん久しぶりです。一か月振りの更新です。

いろいろ忙しくてこんなに間が空いてしまいました。

それでは第10話どうぞ。


第10話 ~ダーカーの襲撃~

的に向かって両足を踏み開き(足踏み)

上体を安静させる(胴造り)

 

弓を番え(弓構え)

弓矢を持った両腕を上に持ち上げる(打起)

 

|弓を押し弦を引いて両拳を左右に開きながら引き下ろす《引分け》。

 

的を狙い静止()矢を放つ(離れ)

 

姿勢を保ち、的を見据える(残心)

 

 

矢は的の中心をとらえている。

 

緊張を解き、一息吐く。

 

 

 

 

ここはシロウのマイルームの一部、改造し作った訓練部屋の弓道場である。

 

朝はいつもこうだ。ストレッチとランニングをした後、矢を射て剣を振る。

 

鍛錬の後かいた汗をシャワーで流し、普段着に着替えて朝食は何にするかを考えながら廊下を歩いていく。

 

 

 

そうして台所のある部屋につくとマトイがいた。

「シロウおはよう。」

「おはようマトイ。」

「今日は何からすればいい?」

「そうだな、今日は和風で行こうと思うからな。味噌汁を作るの手伝ってくれ。」

「うん、わかった。」

 

いつからかマトイはただ住まわせてもらうのは嫌、料理を手伝わせて欲しいと言ってきた。

シロウもそれを承諾し二人で台所に立つのが最近の常だ。

シロウは料理をして何か記憶が戻るきっかけになればと思ったがそれはなかった。もし記憶を失う前に料理をしていたならば体が覚えているのと思っていたのだが、その手つきを見る限りその可能性はなさそうだった。

 

それでもマトイは慣れないながらも一生懸命やっていた。

そんな姿を見てシロウは料理を前の世界で料理を教え始めた頃の後輩の姿と重ね、思い出していた。

 

 

 

「よし。そろそろ完成するからマトイ皿を出してきてくれ。」

「うん、わかった。ちょっと待っててね。」

皿に盛り付け、朝食が完成する。そしてマトイとシロウは朝食を食べた。

 

食べ終わると片付けをし二人はそれぞれの準備を始めた。シロウは任務でマトイは定期検診の日なのだ。

「じゃ行こうかマトイ。」

「うん。」

マイルームを出たシロウはマトイをメディカルセンターに送り届けてクエストカウンターに向かった。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「今日の任務はなんですか?」

「アフィンさんの今日に任務はナベリウス森林の生態調査ですね。」

 

 

 

ナベリウスか。修了試験の任務以来だな。

ナベリウスにはあれ以来ダーカーは現れたという報告はない。

だから今日の任務は安全で問題なく終わるはずである。

 

のだが、

 

「またあの時みたいに急にダーカーに囲まれりしないよな。」

あの時らかそれなりの時間が経ち、任務をこなしている。

その際、何度かダーカーと遭遇し戦闘になっている。それでも……怖いものは怖い。

 

 

「ダメダメだ!マイナスなことを考えちゃダメだよな!そうだ!ポジティブに行こう!」

俺は深呼吸し、

「ダーカーなんて怖くないぞ!いつどこらかかかってきても相手になってやる!全て俺の銃で消し炭にしてやる!」

シップ内に警報音が鳴り響く。

「な、なんなんだぁ?」

『緊急事態発生!!アークスシップの一隻がダーカーの襲撃を受けてます!出撃可能なアークスは至急現地に向かって下さい。』」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、………うそだろ……」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

任務に出る直前、一隻のアークスシップがダーカーの襲撃を受けているという通信がきた。

『緊急事態発生!!アークスシップの一隻がダーカーの襲撃を受けてます!出撃可能なアークスは至急現地に向かって下さい。 場所はアークスシップ第128艦【テミス】。

繰り返します。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。』

 

 

その通信を聞いたシロウはアークスシップ間転送装置ではなく、キャンプシップに飛び乗り現地に向かった。

アークスシップがダーカーに襲撃された際は他のシップへの被害をなくすためにアークスシップ間転送装置は使用出来なくなる。

 

キャンプシップで向かう最中に再び通信が入る。

『シロウさん。ダーカーの侵入を許してしまっています。最優先事項は逃げ遅れた市民の救出です』

「あぁ了解した」

その後担当区域の指示があった。

『---です。どうかご武運を』

通信が切れる。

「では行くとしようか」

キャンプシップが第128艦に近付いて来たので転送装置に転送先を打ち込み、起動させ、飛び込んだ。

 

 

 

転送が終わるとマップを開き、自分の位置を確認

正確にシロウの担当区域に転送されていた。

 

 

 

 

 

 

 

「相棒!」

後ろから声がしたので振り向くとそこにはアフィンがいた。

「アフィンお前もここの担当か。」

「あぁ、てっきり新人アークスはベテランと組まされると思っていたんだけどな。」

「なぁなんらかの事情があるのだろう。それよりまずは人命だ。行くぞアフィン!」

「おう!」

 

 

そこからシロウとアフィンはダーカーを殲滅しながら、担当区域は隈無く探察した。レンジャーであるアフィンとファイターながらレンジャーのアフィン以上の索敵能力を持つシロウがいるため危なげなく探索は問題なく続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで最後だな。」

「あぁ、ダーカーが山ほどいたな…」

「ことあとは次の指示が来るまでその場で待機だったよな。」

「あぁ」

「よし、じゃ連絡だ。」

 

アフィンが通信を入れる。そうすると次の指示が帰ってきた。

 

「相棒次は---うぉ!」

瞬間爆発音響いた。

「びっくりした。隣の地区からか?っておい相棒?!勝手なことしたらまずいって!!」

シロウはすでに走り出していた。

「すぐ戻る!!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

ダーカー襲撃の通信が入り、アークスシップ職員である私にも指示が下った。

 

アークスの後方支援それが私の任務だった。前線で戦うアークスに比べれば安全なものだ。

しかしヘリで移動している最中ダーカーからの攻撃により撃墜されてしまった。墜落していく最中、私は死を覚悟した。しかし私たちは助かった。ヘリの墜落するスピードが急に緩まり気づけばヘリは地上に着陸していた。操縦士もダーカーの襲撃を受けた時に頭を打ち、気を失っているが無事だ。

 

何とかヘリから抜け出し、操縦士をヘリから引きずり出した。すぐに後ろでは漏れ出したガソリンオイルに引火しヘリが爆発を起こし炎上している。

 

助かりはしたが状況は最悪、私たちは前線に放り出されてしまったのだ。

 

気を失っている操縦士を近くに寝かせて、

「こちらウルク!移動中にダーカーの襲撃を受け、操縦士が負傷!救援をお願いします!」

私は通信で助けを求めた。

「こちらウルク!誰か応答お願いします!」

しかし通信は何度呼びかけても誰からも応答がない。

 

「どうして通信が繋がらないの!」

 

 

そうしていると目の前の空中に黒い靄が発生し人型で羽をもったダーカー(ソルダ・カピタ)が3体現れた。

その手にはパルチザンが握られている。

 

その赤い眼が(標的)を捉える。

距離を少しずつ距離を詰めてくる。

 

目の前のダーカー(脅威)から逃げないと。

 

私の本能がそう叫んでいる。

 

私にアークスの適正はない。つまりダーカー因子に対する耐性がない。少しでも攻撃受ければその傷からダーカー因子が体内に侵入し、やがて私はダーカーなり果てるだろう。ダーカーの攻撃を受けることは私にとって死である。

 

怖くて怖くて仕方がない。足も手も震えて今もすぐでもこの場所から逃げ出したい。

私がここに残ったって後ろの彼が助かるわけではない。私が殺されたあとに殺されるだろう。それでも私はここで逃げたらいけないと思った。彼を見捨てることはできないと思った。

 

ダーカーがその右手に持つパルチザンを突き出し突進してくる。

 

覚悟を決める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を瞑ると瞼の裏に映るのは私を育ててくれた両親の顔、両親が亡くなってから施設で一緒に育った家族(仲間)たち

 

これが走馬灯なのかな。

 

今までの記憶が流れていく。

記憶の中でよく泣いている少年がいる。

私の弟のような存在。

 

私が死んじゃったらあいつ泣くんだろうな。

 

 

 

 

 

 

「ごめんね。テオ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい。いつになっても痛みが来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けるとそこにはダーカーおらず、一人の男が背中を向けて佇んでいた。

「全く君は無茶をする」

「シ、シロウ?!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

助けが来て安心したウルクは地べたに座り込んでしまった。

シロウが近くのダーカーをあらかた片付けると戻ってきた。

ウルクはこれまでの経緯を話した。

 

 

「そうか、救助の通信を入れたが応答がなかったと。」

 

「うん、そうなんだ」

 

「操縦士の方さっきみたが君の見立て通り気を失っているだけだ。今すぐ処置が必要なほどではない。そのうち目を覚ますだろう。だがここは危険だ。場所を移動しよう。」

良かったっとウルクは思い、腰を持ち上げ立ち上がろうとするが出来ない。

「ウルク?」

「あはは…ごめん腰が抜けちゃって立てそうないや。」

 

気を失ってた男性と腰が抜けて立てない女性の二人を担いで移動するの流石にシロウでも不可能だ。

それに気づいたウルクは、

「シロウ、私は後からでいいから彼を先に安全なところに連れて行ってあげて。」

自分を置いていくようにシロウに言った。

「ダメだ。それでは君が危険すぎる」

「でも……」

「心配するな。方法はある。あいつを呼んで正解だったな。」

「あいつ?」

 

シロウの言葉にウルクら首を傾げる。

そこから数分待つと

 

 

「ウルク~!」

 

「テオ?!」

 

テオドールが泣きながら走ってきていた。

 

「ウルク!!」

 

テオドールがウルクに泣きながら抱き着く。

 

「うわ!えっ?!ちょ?!テオなんでここに!」

 

「ぐすっ、ウルクがここにいるって聞いて」

ウルクがシロウを見る。

「あぁ俺がさっき教えた。」

 

 

 

 

 

「僕は………僕は君のことが…心配で…ぐす」

さらにテオドールが泣く。

「ごめん!ごめんテオ!心配させてごめん!ほら私はちゃんと生きているから」

そういいながらウルクはテオドールの頭をなでる。なでながらいつもテオが泣いている時はこうしてあげていたっけ、変わらないなと思っていた。

「ウルク~」

「だからほら泣き止んで、ね」

「うん。」

テオドール袖で目を擦った。

 

 

 

 

 

 

 

テオドールが泣き止むとシロウが口を開いた。

「そろそろいいか。俺は気を失ってっている操縦士を運ぶからでテオドール、お前はウルクを頼む。」

テオドールは頷きはウルクを背に担ぐ。

 

担がれているウルクはテオドールの耳元で呟く。

「その……テオ、ありがとうね。」

テオドールは操縦士を担ぎながら歩くシロウを見る。

「それはシロウに言ってあげてシロウがいなければ君は死んでいた。僕は……君が本当に危ないときに近くさえいれなかった。」

そういいながら俯く。

「そんなことないよ。シロウにも感謝してるけどテオが来てくれて私とっても嬉しかっ…たよ…」

背中から寝息が聞こえる。安心したのか疲れたのかウルクは寝てしまった。

「ウルク?」

肩あたりにある顔を見るととても安らかな寝顔だった。

「これからは必ず僕が君を守るからね。」

テオドールはその寝顔に約束をした。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

画面には様々な位置の監視カメラの画像が流れていた。

 

そこにはウルクとテオドールの姿が映っていた。

 

「予定通りに行かなかったか。」

 

男はテオドールの潜在能力に目をつけて実験体にするつもりだった。

ウルクを事故に見せかけて殺し、ダーカーに憎悪をいだいた彼を誘惑し取り込むつもりだったのだが失敗した。

しかし他にもやり方はいくらでもある。

 

それよりも問題は

「エミヤシロウ…」

自らの計画を瓦解させたこの男だ。

 

「まぁよい。今回のもう一つの目的は達成された。」

男は視線を移す。その見つめる先の画面には純白の杓を持った少女が走っている。

瓦解した計画はさほど大事なものではなかった。ただの遊びだ。その遊びを邪魔したからと言って排除するほど男も暇ではない。真の計画は滞りなく進んでいる。

 

そして画面の前から離れる後ろの水槽の前に立つ。

「今回新しい実験体(おもちゃ)が手に入らなかったのは残念だが、遊べる実験体(おもちゃ)はまだまだある。」

男は笑みを浮かべて、男は水槽の中の(おもちゃ)に目をやる。

 




今回でテオドールの闇落ちのフラグをおりましたww

エピソード2の最後はどうしよかな~

次回は「終わりの始まり」です。

更新はたぶん9月になると思います。



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