Phantasy Star Fate    作:ラトヤ

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Episode1 あなたと一緒に
第1話 〜移動と出会い〜


 

 

 

 

「よしっ!準備完了。士郎そろそろ行くよ。」

 

 彼女は俺の周りに魔法陣を描き、いくつかの宝石を置くとそう言った。

 

「遠坂、ホントにこれで成功するのか?」

 

「何、あんた私の腕を信用してないの?」

 

「冗談だよ。信用してるよ遠坂。」

 

「なら邪魔しないで黙ってそこに立ってなさい!」

 

「はいはい。」

 

 そう言うと俺は苦笑を浮かべた。

 今俺たちは第二魔法による並行世界への移動行おうとしている。

 

 

 

 第5次聖杯戦争のあと遠坂は時計塔にわたった。俺もその従者として同行した。

 遠坂はキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグに弟子入りし、卒業時には、二人目の第二魔法の成功者となっていた。俺も時計塔で魔術の基礎を学ぶことができた。

 

 時計塔を卒業後は苦しんでいる人を救うため世界中を回りあらゆる戦場に赴き苦しんでいる人々に手を差し伸べた。

 

 遠坂も時計塔に残って研究を続けないかという誘いがあったそうだが、

 

「お前まで俺の夢に付き合う必要はないぞ。遠坂は遠坂がしたいことをしろよ。」

 

「これは私の野望に関係するのよ。あんたが気にする必要はないわ。」

 

 などといい、それらをすべて蹴って俺についてきていろいろと力を貸してくれた。今ではとても感謝している。

 

 

 数年後、魔術を行使の影響であの弓兵のように髪は白くなりだし、肌は浅黒くなりはじめそれでも人々を救うため魔術を使い続けた。しかしそんなこと魔術協会が許すはずもなく俺はとうとう封印指定された。

 

 それからは多くの執行者たちが襲ってきた。しかしそれを全て撃退できるほど俺も力をつけていた。当然全てを撃退した。しかしこれ以上まわりに迷惑は掛けられない。

 遠坂だってまだ魔術協会から標的にされてないが俺と共に行動しているのだ。標的にされるのも時間の問題だ。

 

 俺のせいで遠坂が封印指定などされたら俺は俺を許せないだろう。そうなるぐらいなら俺は自らこの身を差し出す。

 

 しかしそれに遠坂は猛反対した。

 

 そして2人で話し合った結果、並行世界への移動という答えになり、現在に至るのである。

 

 

 

 

「あんた向こうの世界ではおとなしくしているのよ。」

 

「わかっているよ。向こうの世界からしたら俺は異物で目立ちすぎると世界の抑止力が働く可能性があるだろ。」

 

「わかっているじゃない。さぁ始めるわよ。」

 

 そういうと彼女は腰のホルスターから宝石剣を引き抜き前に突き出し呪文を詠唱始めた。

 

 呪文の内容はあまり分からない。

 

 しかし心配はない。

 

 時計塔において優秀な成績を残し、あの万華鏡ゼルリッチに教えを仰ぎ第二魔法の2人目の成功者までなった彼女が時間をかけて準備したのだ。失敗するはずがない。

 

 

 そして…

 

 

「―Anfang―!」

 

 魔法陣が起動はじめた。足の方から光の粒子となって消えていく。

 

「またな遠坂、元気でな。」

 

「ええ、こっちのほとぼりが冷めたら迎えに行くからそれまでおとなしく待ってなさい。」

 

 俺は忘れていた。遠坂の人間は…

 

「ところで遠坂、肝心の移動先の世界はどんな世界なんだ。」

「えっ!?」

 

 肝心な時にスキル『()()()()』を発動することを…

 

「あ!移動先の固定をしてない!!!」

「えっ?!それって「ごめん。士郎、どこに飛ばされるかわからないけど頑張って。健闘を祈るわ。」

 

 

 そういうと彼女は手を合わせて苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

  なんでさ!!

 視界が真っ白になった。

 

 

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

 そして俺は時空の狭間を流されていた。このまま流されてどこかの世界に到着するのだろう。そんなことを考えていると、

 

 

 

 

 

 急に何かに引っ張られていく。

 

 抗うことはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…誰か助けて……」

 そんな声が聞えた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして引っ張る力がなくなり、体の各部位の感覚が戻ってきた。移動が終わったようだ。

 

 目を開けると目前には天まで届きそうなビルが立並ぶ景色が広がっていた。

 

  並行世界への移動は無事成功したようだ。しかしまた文明が発展した世界にきたものだ。まずこの世界について調べる必要があるが、それより先にこの違和感の正体を確認しなければならないな。

 

 違和感というのはいつもより目線が低い。

 体が軽い。

 手が短い。

 地面が近い。

 

 近くにショーウィンドがあったのでそこに自分の姿を映してみた。

 

 

 白髪の頭。灰色の目。ここまでは移動前と変わりない。問題は……

 

 

  体が若返っている。8歳ぐらいの肉体だ。あの無理やり横から引っ張られたのが原因だろうか。まったく目が覚めたら体が縮んでいたとかどこの名探偵だよ。

 

 次に俺は魔術回路の確認を行った。

 

解析(トレース)開始(オン)

 

 ……魔術回路本数27本……損傷なし

 

  よし。魔術回路は問題なさそうだ。だがまだ投影魔術は使わない方がいいな。肉体がまだ魔術回路に馴染んでない。今、投影魔術を使えば肉体が耐えられないかもしれない。身体強化なら少しぐらい使っても問題はなさそうだ。

 

 

 遠くから人々の悲鳴と爆発音が聞こえてくる。

 

「なんだ!?」

 

 どうやら人が襲われているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すまん遠坂。やっぱり俺はおとなしくしてるなんてできない。

 

 

と俺は心の中で遠坂に謝り、爆発音のするほうに走り出した。 

 

 

 

 

 

 

     ◇  ◇  ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現場にたどり着くと人々が逃げまどっていた。その後ろからはみたことのない生物が迫っていた。

 

 なんだ?あの黒い生物は四本脚の蜘蛛のようなもの、血をたらふく吸って腹をパンパンにした蚊を何百倍したようなものなどいろんな形態したのがいる。しかしどの生物からも共通してとてもいやな感じがするな。

 

 

 

「きゃあ!」

 

 一人の少女が瓦礫につまずき転んだ。先行していた蜘蛛型の謎の生物の1匹がその赤い眼で少女をとらえて迫っていく。

 

「やだ!来ないで!」

 

 

 俺は足に身体強化をかけ走り出す。間に合うか。間に合っても何ができるのか……

 

 

 

 

 

 しかしここで動かなかったら必ず後悔する。頼む。もちこたえてくれよ俺の体!

 

 「投影・開始(トレース・オン)!!」

 

 

 蜘蛛型の生物が少女に目前に迫る。鋭利にとがった前脚を振り上げる。

 

 

 両手に干将莫邪を投影する。

 

「っ…!」

 体中に痛みが走る。肉体が投影魔術によって悲鳴を上げている。それでも走る。止まることはできない。

 

 

 

 前脚が振り下ろされた。

 

「いやっ!」

 

 

 

 

 

 

 前脚を右手の剣で弾く。

 何とか間に合った。

 

 俺は体を1回転させ蜘蛛型の生物の胴体に回し蹴りを放った。

 蜘蛛型の生物はそれにより10mほど飛び仰向けになり、脚をぴくぴくさせている。

 

 俺は後ろで体を震わせて泣いている少女に優しく話しかける。

 

「大丈夫?けがはない?」

 

 少女はうなずく。

 

「お母さんとははぐれちゃったの?」

 

 うなずく。

 

「お嬢ちゃん名前は?」

 

「……イオ」グスッ

 

「よし。イオちゃん立ってあの見えている人たちの集団のところまで全力で走って一緒について行くんだ。次はつまずいて転んだらダメだよ。生き残っていたら必ずお母さんと会えるから」

 

「本当?」グスッ

 

「うん」

 

「お兄ちゃんはいっしょに逃げないの?」グスッ

 

「俺は少しこいつらの相手をしてから行くよ」

 

「お兄ちゃんもあとから必ず来てね。」

 

「あぁ約束だ。さぁ立って」

 

 俺は泣き止んだ少女を立たして

 

「ほら行くんだ!」

 

 優しく背中を押してあげた。

 

 少女はこちらを向くと

 

「お兄ちゃん助けてくれてありがとう!!」

 

 それだけ言い、走り去って行った。

 

 

 初めて見るな。肌は白く角が生えていて眼の色が両方で違う。あれがこの世界の住民なのだろうか。いやしかし、逃げている集団の中にも彼女と同じような風体をした人もいれば耳の長い人もいた。そして彼女が俺を見て怯えてなかった感じ俺のような見た目のやつもいるってことか。そんなことより先にこっちだよな……

 

 ふりむくとさっき蹴り飛ばした蜘蛛型の生物が体勢をたて直してこちらを見ている。

 そしてそのまわりにはさっきまで後ろにいた謎の生物の集団がおいついてきたのだ。

 

  蚊型2体、蜘蛛型10体ってところか。蚊型は空を飛んでいるから厄介だな。まずは地上の蜘蛛型の先に片づけるか。

 

 

 そしてさっき蹴り飛ばした蜘蛛型が雄たけびを上げる。それを合図に謎の生物の集団が一斉にこちらに襲いかかってきた。俺も肉体に身体強化を施し謎の生物の集団に向けて走り出す。

 

 まず一番前の蜘蛛型の攻撃を左手の剣ではじき、胴体を右手の剣で切り上げる。蜘蛛型は悲鳴をあげて赤黒い粒子となって消えていった。

 

 そしてその奥にいるもう1匹の蜘蛛型の頭に向けて左手の剣を投擲する。

 

 頭の中心に的中した。

 

 それを引き抜き近くにいた蜘蛛型に突き刺し切り裂く。

 

 次の蜘蛛型に切りかかろうとしたとき、後ろから別の蜘蛛型がジャンプしてドロップキックを仕掛けてきた。

 

 おれはバク宙でそれをよけて着地と同時にその2匹を切り裂いた。

 

  これで5匹。こいつら単体ではそんなに強くない。これなら今の体でもどうにかできる数だ。問題はあの蚊型をどうやって仕留めるかだな。弓を投影できれば楽なんだがこれ以上の投影はあまり得策じゃ……

 

 まわりをみて違和感を覚える。

 

 

  さっきより蜘蛛型が増えてないか?5匹倒しから残り半分のはずだぞ。しかし今数えるだけで11匹はいる。なぜだ。

 

 答えはすぐに見つかった。

 蚊型が出した赤い球は地面着くとそこから蜘蛛型が生まれてきたのだ。

 

  そうかあの蚊型は蜘蛛型の卵の運搬係なのか。ならばやつらを先に片づけなければきりがないな。よし標的をあの蚊型に変更だ。前側はガードが堅そうだな。後ろ側を狙ってみるか。

 

 俺は目前の蜘蛛型の脚を切り落とし体勢を崩させてそれの土台に空中に飛び上がる。

 

 目標はその上を飛んでいた蚊型だ。

 

 まず俺は左手の剣を投擲する。

 

 蚊型はそれを避けて空中にいる俺に突進してきた。

 

 俺は右手の剣を両手持ちにしてそれを迎え撃つ。相手の頭に向かって振りかざした。

 

 蚊型はそれをガードした。

 

 だが俺の攻撃はこれで終わらない。この夫婦剣はお互いに引き合う性質がある。つまりさっき投げた剣は……

 

 さっき投擲した剣は弧を描いて戻ってき蚊型の臀部の赤い部分に突き刺さった。蚊型は悲鳴を上げている。

 

 やはりここが弱点か。

 

 俺は先ほど脚を切り落とした蜘蛛型に着地し剣を突き刺しとどめを刺した。

 

 蚊型が消えたことによって蚊型に突き刺さっていたもう1つの剣が落ちてき、それを片手で掴んだ。

 

 もう1匹を探す。

 

 もう1匹は運よく今こちらに背を向けている。

 

 10mはあるが剣を投擲し蚊型を仕留めた。

 

 剣を拾うために走る。

 

 その間にいた蜘蛛型を3匹切り倒しながら進んでいく。

 

 そして剣を拾う。

 

  よし。これでこいつらが増えることはない。残り12匹。お前ら覚悟しろ!

 

 

 

 

   ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 最後の1匹を切り伏せた。粒子となって消えていく。

 

 干将莫邪にひびが入り崩れていく。

 

  「はあ、はあ」

 

 

 瓦礫に背中を預ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  これは少しまずいな。

 

 

 

 遠くから別の謎の生物の集団が迫ってきている。

 

 

 普段ならこのぐらいの連続戦闘は問題ないのだが今この肉体は8歳のものだ。体力もそれ相応のものである。

 体力は先の戦闘で底をついている。このまま戦えばやられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことを考えている最中、集団は動きを止め来た道を引き返し始めて空間が歪んでその中に消えていった。

 理由はわからないが撤退したようだ。

 

 

 

  まだ安心はできない。とりやえず安全な場所に移動しないと

 

 

 そう思い体の動かそうとしたが……体に力が入らない。

 

 

 

  それに意識がもう……

 

 

 

 その消えかけの意識の中、声が聞こえる。

 

「おい!こっちにいたぞ。おい少年大丈夫……」

 

  どうやら助けが来たようだ。おれはそこで意識を手放した。

 

 

 

    ◇  ◇  ◇

 

 

  ここはどこだ?

 

 まわりには宇宙空間が広がっている。しかし息ができないわけではない。夢の中だろうか。

 

「…ようこそ…初めまして…守護者となる者…」

 

 声が聞えて振り向くとそこには黒髪で白衣のメガネをかけた女性が立っていた。

 

「……私は…シオン……この世界の■■■…」

 

「お前が俺をこの世界に連れてきたのか?」

 

「…私は…後悔している…自らの行いに…■■■1人に責任をおわせた…」

 

 会話は成立しそうにない。ところどころノイズで聞き取れないが聞くことに専念しかないようだ。

 

「…この世界…危機が迫っている…しかし…私は…今では…何もできない…

 ゆえに…貴方の助け…求める…世界と…彼女たち…救ってほしい…」

 

 そういうとシオンは消えていった。

 

 話からして彼女が俺をこの世界に引っ張ってきた張本人のようだ。この世界の危機っていうのはあの謎の黒い生物のことだろうか。彼女とは誰のことだろうか。

 

世界が変わり、肉体年齢が変わり、まわりの環境が変わり……

 

 

 

しかし変わらないものはある。

 

 

 

 

 

理想は元の世界と変わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『苦しんでいるすべての人を救いたい』

 

 

 

 

 




文才がない
文章力が欲しい
まぁそのうち力がつくことを望んで頑張っていきます。

メンタルがやられるの先か文章力が向上するのが先か……

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