ポケモン「絵描き」の旅【未完】   作:yourphone

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さざ波~女性たちの別荘地~

はい、ここはサザナミタウンだよ。ポケモンセンターで休憩中。

メイコさんたちに連れ去られたとはいえ、まだ全快していないしね。

 

それでね?

 

「マスコミが目の前を横切っていった………」

「あたしらからすれば事件ね。それも相当の」

「サザナミタウンは著名な方々のリゾート地ですから。マスコミもおいそれと手を出せないんですよ」

 

ふぅん。……あれ、サザナミタウンってなんか嫌な思い出が……あ。

 

「ん、どうしたの震えて」

「オンミョーン……オンミョーン……」

「レナ、これどうしたらいい?」

「さ、さぁ?」

 

ゲームでのオンミョーンが……ぶんしんどくどくぶんしんぶんしんぶんしん……。

 

「ったく。ほら、そろそろ海渡ってセイガイハに行くわよ」

「そうですねそうしましょうそうしましょうこんなところであれに会いたくなんかないです行きましょう」

「……そこまで必死だとむしろ気になるわね」

「あはは……」

 

レナさん、けっこう笑い事じゃ無いんだよ。

 

「さて……ねぇ、なんか視線を感じない?」

「はい? 僕にはさっぱり」

「うーん……私もです」

「ふーん? なら気のせいかしら」

 

メイコさんはベレー帽の上でキョロキョロしてる。

メイコさーん。多少のズレなら気にしないけど、けっこうズレてるんだよ?

 

ベレー帽の位置を直す。インクだけどね。

 

「ねぇ」

 

さてポケモンセンターから出ようとしたところで後ろから声をかけられる。

 

「あ、はい、なん」

 

固まった。メイコさんも動きを止めたしレナさんは失神しかけてる。

 

「サインくれるかしら? それとちょっとポケモンの調整に付き合って欲しいのだけど……」

 

うん、この人には会いたかったけど会いたくなかったよ。

流石に温暖地帯だから服装はラフなものだけど……長い金色の髪に、何かの黒い尻尾みたいな髪止め。スタイル抜群で見とれてしまうほど美人。

 

「どっちも断っちゃ駄目ですかシロナさん」

 

あ、レナさんが倒れた。泡吹いてるし。

かくいう俺も顔がひきつってるのが自分で分かる。

 

「え? ま、まぁ私も無理強い出来ないけど……ねぇ、本当に駄目?」

「…………」

 

そこで上目遣いって、どこまで計算してやってるのこの人。

 

「メイコさん、どうします?」

「アン? まずは慌てたらどーよ。なんかあんたらしくないわよ、やけに冷静なのは」

「成る程。……れ、れれれられ、レナさーん!?」

 

 

~○~○~○~○~○~

 

 

「う、うぅん……あれ?」

「大丈夫?」

「……し、しろろなろららん!? は、はははひ、はい!」

 

レナさん、シロナさんを目の前にしてこの慌てよう。全然大丈夫に見えないんだけど。

ちなみにここはシロナさんの別荘。けっこう汚ない。

 

「そう、それならよかったわ♪ で、ブール君。さっきの話は――」

「やります。さっきはちょっとビックリしただけですから……代わりに、このボールにサイン書けますか?」

「あら、良いわよ?」

 

ハッサンが入ってるモンスターボールを渡す。

するとシロナさんは胸元からペンを取りだし――って

 

「し、シロナさん! それ万年筆! ボール削れちゃう!」

「え……あ、あらぁ、ごめんなさい。つい癖で……」

「そーいや天然気質なんだったわね……」

 

メイコさん、その呟きが聞こえてなくて良かったね……ぼこされるよ?

 

「あー? ブールなんか言った?」

「ううん。はい、シロナさん。サインどうぞ」

「わぁ、ありがとう! ……上手ねぇ」

「まあドーブルですから」

「そうだったわね。テレビでたまに見てるわ♪」

「ありがとうございます」

 

ぐっ、駄目だ緊張する。え、待って今更だけどこの人シンオウ地方のチャンピオンだよね。

 

「え、とあ、ん、そ、その」

「ん?」

「その、ば、そう、バトルしましょう!」

 

んあぁぁぁぁぁぁあ! 俺はバトルジャンキーかよ!?

 

「ぶっはぁ! あはははは! ブゥルゥ! 緊張しまくってるわねぇ!? あはひゃひゃひゃひゃ! は、はら、腹痛い~!」

 

ぐ、むぐぐ、うぐぐぐ……。

 

「メイコさん笑いすぎですよ……ほら、ブールさんの顔が真っ赤に……真っ赤に……く、黒になってます!?」

「うひゃあ!? べ、ベレー帽が黒に!」

「あ、あら?」

 

良いよ、良いさ。やってやるやってやるヤってやる!

 

「バトルだ! ヤッテヤルヨ!」

「「 緊張で暴走してる!? 」」




1684文字です。
黒いブール。

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