じ、地獄のリハビリ、が、一週間、た……ち…がふ。
「お、ブールナレーターが戻ってきたわね」
「それに歩いたり喋ったりも出来るようになりましたしね」
「旅をするのはまだジョーイストップですけどね」
だってさ。と、リハビリ室にポケモンが入ってくる。
「ペァギュアァ」
「ギガァ」
「あ……ペティにギィカ。久し振り。ここのところリハビリのせいで会ってなかったね」
「ナットゥ?」
「うわ、レイカ。上から出てこないでよビックリするからさ」
久し振りの再開に三匹ともじゃれついてくる。うーん、ペティは柔らかいけど残りの二匹が硬すぎて硬すぎて。
「い、いた、痛い痛い!」
「バフゥ」
「ん……ムーランド? ジョーイさん、このムーランドは?」
「え?」
「ん?」
「バ、バウゥ!?」
ん? ジョーイさんは何を驚いてるんだ? メイコさんは呆れたように首振ってるし。
「ブールさん、その子、ハッサンです、けど」
「…………へ?」
い、いや待て。確か、ハッサンは進化した、とか、言っていたような。
「ハッサン?」
「バウ」
「……本当に?」
「バウバウ」
「………え~?」
「バウゥ!」
ムーランドが『とっしん』してくる。うわ、けっこう本気だ。部屋の端まで吹き飛ばされた。
「ババウバウバウ! バウババウゥッ!」
「わ、分かってる分かってるよハッサン。冗談だってハハハ」
「……バウゥ?」
信じてないな? だったらせめて俺の見てる前で進化してよ。そしたら見間違える訳無いのに。
「さぁて、それじゃあ旅に出れるわね」
「だからまだ駄目ですから!」
「ケチねぇ」
「ケチ? 私はジョーイとしては有り得ないくらい妥協しているのですけどね」
「まぁそうだけど」
そもそも患者室から連れ出しただけでも、ポケモンセンターから追い出されて仕方無いのにリハビリを手伝ってくれてるしね。
……まぁジョーイさんがつきっきりになるわけにもいけなくて、ジョーイさんが見てない時のメイコさんとレナさんが酷かったけど。
あぁ、レナさんがメイコさんにのせられて変な趣味が出来てたりしませんように……。
「ぶ、ブールさん……私をなんだと……」
「『う、ふ、うふふ』なんて不気味に笑いながら好きな相手の背中を押してたら、そりゃあ怖くなるでしょう」
「そ、それはメイコさんがくすぐるから……!」
「じゃあその時ぐらいマッサージ止めれば良いじゃない?」
「だって止めた瞬間メイコさんブールさんを取るじゃ無いですか!」
うわぁ、何これハーレムってやつ?
「バウ」
……なにさハッサン。肩に手を置いてさ。悲しそうに首を振らないでよ。
「ペァギュア?」
「ギッガァ、ギィガッ!」
「ナトゥ……!」
ちょ、いた、ペティギィカレイカなんで攻撃を、ペティ『メガホーン』は止めてギィカ『のしかかり』は覚えてないでしょレイカも『パワーウィップ』は止めてぇ!
「んにしても、ブール」
「はい?」
「次のジムは何処に……いや、どっちにするのよ。そろそろ時間が無くなってきてるわよ?」
…………忘れてました。