マスコミ逃れ
二人きり
じっと見つめる
その目は本気
by.ブール
「ったく。なーんでこうなるのかしらねぇ」
「……」スンスンスンスン
「は~~~~まったく」
「………………」スンスンスン
「ホーントコマルワー。ナーンデコウナッタンカシラネー」
「うるさいぞメイコ殿」
「だってつまんないのよー、ハッサン。よりによって何でブールたちとはぐれちゃったのかしら」
と、言うわけでメイコよ。ここはネジ山のどこか。
軽く説明すると、ネジ山入る➡マスコミ待ち伏せ➡逃げ出す➡謎の崖崩れ➡はぐれる(今ここ)
ボールから出てたハッサンと一緒だったのが幸いと言うかなんと言うか。今、ハッサンがブールたちの匂いを探ってる。
「何が問題かってブールとレナが一緒かどうか確認出来なかったってのが辛いわ」
「何故だ? レナ殿ならば主人が助けられるだろう。そもそも、レナ殿も十分強い」
「そうだけどそうじゃない。根本的に違うわよ、ハッサン。あたしが心配してるのはそうじゃないのよ」
「ふむ、ではなにか?」
「甘酸っぱい恋の予感」
「…………バゥ」
自分で言ってて恥ずかしいわね~。まったく。
「恋……か」
「そ。レナがブールにメロメロ♪ だけどブールはどんかんで♪ だけどこれは超チャンス♪」
「ふむ、その心は」
「ノリが良いのか悪いのか。要するにね、あたしらが見てない今、告白してるかも知れないわけよ」
「なんと」
「……あんまり驚いてないわね」
「俺は、レナ殿ならば良いと思っているからな」
「ふーん」
分かれ道に突き当たった。さぁて、右か、左か、後ろか。
「ハッサン、どれ?」
「暫し待て。スンスンスンスン…………どちらからも匂いがするが、右のが強い」
「んー、じゃあ右で」
念のために目印付けておくわ。そうねぇ……今抜けた方の道に傷でも付けておけば良いでしょ。
「爪で引っ掻いてーっと」
ふむ、これでよし。
「……それで、何をメイコ殿は心配しているのだ?」
「あ、続ける? 続けちゃう? そうね……うーん。一番はやっぱり、ブールがどんかんなことね。『ブールさんの事が大好きなんです!』って言われて『ありがとう』で済ましちゃいかねないわ、あいつは」
「むぅ……確かに」
「それと、無いとは思うけど、ブールが告白を断ったら、と考えるとこの先面倒な事になるわね」
「と言うと?」
「ぎこちない雰囲気って嫌いなのよねー、あたし」
「ふむ」
お、今度は三叉路ね。右か左か、真っ直ぐか。
「ハッサン、どれ?」
「左だ。かなり近付いてるぞ。」
「そりゃあ良いわね」
そーいや、コロモリとかクマシュンとか見かけるものの襲ってこないわね。どうしたのかしら。
「――――。――――!」
「お、噂してれば見付かるものね。ハッサン、良かったわね。ブールよ」
「む、では急ぐか。主人も俺とはぐれて悲しんでいるに違いない」
「それはどーかしらねー」
「ほざけ」
バウバウッとハッサンが走っていく。あんの馬鹿め。こういうのはこっそり行って盗み聞きするとこでしょうに。
仕方無く着いて行く。
「はぁい、ブール。生きてる?」
「ぁ…………ぅん………………」
ブールは顔を真っ赤にさせている。レナの姿は見当たらない。ハッサンはブールの足に体をこすりつけている。
あっ、ふーん。察したわ。
「…………んーと」
どうしようかしらねぇ。レナの居場所を聞きたいんだけど、『レナ』とか『ツインテール』とか言ったら余計に固まりそうだしねぇ。
「はぁ。ハッサン」
「なんだ?」
「
「『あれ』? ……もしかして、レナ殿の事か?」
「他に何があるのよ。ほら、探しなさい」
「バゥ」
ハッサンがレナを探して洞窟の奥に消える。
さぁて、と。
「ブール。みっちりむっつりぺちゃんこのべろべろになるまで詳しく教えて貰うわよ~?」
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あ、お久しぶりです。