お父さんが乗った飛行機が空の彼方へ飛んでいく。
大きく振っていた手を降ろす。
「……行ったね。」
「そうですね。」
「今のままだと親不孝。……チャンピオン倒せば親孝行、ね。さ、気分切り替えて行きましょう?」
「うん。」
そろそろマスコミも復活してくる頃だしね。
「えーと、次の目的地は? 二番さん。」
ピロンッ
[セッカシティです。行くためにはネジ山を越える必要がありますね]
「セッカシティ……うーん、いまいち記憶に無いわね。」
「セッカシティは氷の町、ジムリーダーのハチクさんは氷タイプの使い手にして映画俳優でもあるんですよ!」
「……あ、思い出した。あの変な仮面つけてる人だ。」
「ん? ……あ。今のでジムリーダーの姿は思い出したわ。ふーん。イッシュでもっとも影が薄いんじゃない? じいさんキャラならヤーコンさんが居るし。」
ピロンッ
[この地方の人の中では、じいさんキャラはハチクさんですから。むしろヤーコンさんのことを知ってる人の方が少ないと考えられますね]
だってさ。まぁ、鋼タイプじゃないだけ凄く楽なんじゃない?
氷タイプか。炎、地面、格闘、鋼に弱くて、ドラゴン、草に強い………虫もだっけ?
俺の手持ちでは、今度もギィカが頑張ってくれそうだね。次点でレィカ。
「ふーむ。そうね、そろそろ頃合いかしらね。」
「え、何がですか、メイコさん?」
「ハッサンの進化。未だにハーデリアじゃない、あのじじい犬。」
「バウバウッ!」
あ、ハッサンが勝手に出てきて吠えてる。
「それもそうですよね。基本的にポケモンは進化させた方が強いですし。」
「んー。でも、ムーランドかぁ。」
「何よ、なんか文句でもあんの?」
「そういう訳じゃ無いですけど。」
ムーランド……ゲームではすぐにでも進化させるところだけど、現実だとトロそうなんだよなぁ。
トロいというか、どっしりのっそり、みたいな?
「ははぁん。成る程ねぇ。……ハッサンなら大丈夫じゃない? 既にじいさんな今でもガンガン動いてるし。ねぇ?」
「ババウバウバウッ!」
「んー、まぁ、そうですね。動けなくなったらそれに合わせて指示すればいいし。」
「ババウッ!」
「あっ! ブールさん! あれがネジ山の入り口じゃ無いですか?」
レナさんが声をあげる。
あ、本当だ。おどろおどろしい入り口がある。
『ネジ山フキヨセシティ側入り口』
うん、看板にもちゃんと書いてあるね。
「そんじゃ、回復アイテムならあたしが無限に出せるし、ハッサンオンリーでネジ山を攻略よ!」
「バフッ! ババウ?」
「んー。……あ、あるわね。大丈夫、きのみでどうにかなるわよ。」
あ、そっか。ハッサン『きずぐすり』とかみたいな薬は嫌いなんだっけ。
「んーじゃ、改めて。」
メイコさんがアイコンタクトしてくる。
合わせろって事かな? よし。
「ネジ山出発!」
「ネジ山攻略!」
「頑張ります!」
「誰か一人ぐらい合いなさいよ!?」
1466文字です。
そういちろう、帰還。