ポケモン「絵描き」の旅【未完】   作:yourphone

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再出発~志、新たに~

告白された。嘘じゃない。『好きなんです!』と言われた。

まぁ、俺もそれなりに長生きだ。告白の二回や三回は受けてる。

その子も、告白してきたんだ。

 

もう一度言おう、『好きなんです!』と言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その前に『ブールのことが』が付いたけどな!

 

いや、いやいやいやまてまて。良く考えたら別におかしな事じゃ無い。相手方の父親に貴方のお子さんが欲しいですと言うのはぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!

 

誰がやるかぁ!と、言わなければいけなかったのか!?

 

いや、落ち着け。落ち着くんだ俺! そもそもあの様子、まだブールに告白していないんじゃないか?

すると、単に心の中を誰かに打ち明けたかっただけ……か。

ふむ。

 

「この俺を混乱に誘い込んできたんだ、あの子は強いんだよな?」

「そうかしらね? そもそんなつもりは無いと思うけど。後、なんでそれを今あたしに言うの、そういちろうさん?」

「……いや、そのだな。」

 

メイコ。珍しい色違いのペラップ。ブールのジム戦を横目に聞くところによると、彼女も転生者らしい。

 

『あたしにはあんたじゃ思いもよらないような過去を持ってるのよ』

『そうか。因みに俺はこの世界の生まれじゃない』

『……奇遇ね』

 

だったか。

 

「やはり、そういう相談は女同士でやるものじゃないか?」

「流石にそれは偏見だと思うけど。ま、一理あるわね。」

 

謎の多いペラップだ。未だに年齢を読めない。年上っぽく堂々としていると思ったらまるで子供のようにがなりたてる時もある。

 

「しかし……今のこの状況、なんなんだ?」

「そうね……久しぶり、って感じね、これ。」

 

ポケセンの前。始めはなにか事故でも起きたのかと思っていた。いわゆるマスコミが大量に居たからな。まぁ、事件ではあった。

ただ、まさかブール達がマスコミに追われているとは思っていなかったな。

 

「しっかし、なんで俺がブールと間違えられていたんだ?」

「人間にはポケモンの個体の違いなんて分からないわよ。」

「それもそうか。」

「しっかし、派手にやったわねぇ。はぁい、レナ。起きてる?」

「う、うぅん……」

 

急に殺到してきたんでつい攻撃してしまった。

うむ、正直、すまないと思っている。特にそこのレナとやら。巻き添えにしてしまった。

まさか『トンボがえり』使ったらレナとやらが前に出ていくとは考えもしなかったな、うん。

 

「見る限り死屍累々。しかもこれだけの騒ぎになってるのにジョーイさんどころかブールも出てこな……あ、ジョーイさん倒れてるじゃない!?」

 

メイコがジョーイとやらの元まで飛んでいき、その頭をバシバシ叩く。

 

「ほらほら! 起きなさい! 職務怠慢よ!」

 

「あ、あれ? これは……。」

「お、起きたのかレナとやら。すまなかったな。」

「………えぇ!? な、なんでこんなに大量の人たちが倒れてるの!?」

「む、レナ! 今のうちにブール探しなさい! ここはあたしが何とかするわ!」

「わ、分かりました! 行きましょう、ブールのお父さん!」

「おう!」

 

ポケセンの中へ入る。……部屋にはブールの姿は無かった。

 

なら外だな。外に出てちょいと空気の臭いを嗅ぐ。

ふむふむ、分かりにくいがあっちか。

 

「こっちだ。」

「え、え? 何処行くの?」

 

無論、ブールの場所だ。と、言っても伝わらないのだから行動で示すしかあるまい。

そして歩くこと少し。

 

「ん? ここは……。」

「フキヨセジム? まだ戻って無かったのかな……。」

 

うぅむ、分からんな。中へ入るしかあるまい。

 

「あれ、お父さんにレナさん。どうしたの?」

「あ、チャレンジャー?」

 

居た。それも意外とあっさり見付かった。まだフウロとかいう女性と一緒に喋っていたらしいな、まったく。

 

「どうしたのじゃないですよ! ポケモンセンターの前が酷いことになってるんですよ!?」

「えぇ!?」

「半分はお前のせいだからな、ブール。」

「僕何もしてないんだけど!?」

 

と、フウロの顔が青ざめていく。

 

「ね、ねぇ。酷いことって、も、もしかしてマスコミがいっぱい来てた、とか?」

「そ、そうですけど……。」

「正確にはそれを俺が倒したからだ。」

「お父さんのせいじゃんっ!?」

 

何を言う! と言う前に。

 

「ごめん、もしかしたら私のせいかも!」

 

フウロが手を合わせて謝ってきた。

 

~○~○~○~○~○~

 

要するに、フウロさんがポケッターに俺との写真を流しちゃったからって事なのかな?

うーん。そんなに悪いことはしてないように思えるけどなぁ。

 

で、お父さんはすぐに帰るらしい。

 

本来の予定なら明日のカロス行きを待ちたいところだったらしいけど、マスコミのせいで俺達はフキヨセシティから早々に立ち去る必要が出来たから。

 

……うーん。お父さんと静かに感動の別れ、とはいかないみたいだね。おのれマスコミ。

 

「はいこれ、メイコ特製、超高性能大陸間通信可能ポケギアよ。それとメイコ特製、中略、ホロキャスターよ。要するに携帯電話だと思ってくれていいわ。」

「ほほう。通話料金はいくらだ?」

「通常料金月々五万ポケのところ、なんと! メイコ特製製品に限り無料(ただ)よ!」

「安い! 買った!」

 

……なんか、ノリが、軽いのね。

 

「そんじゃ、さようなら、そういちろうさん。」

「じゃあな、メイコ。……………。」

「ん……またね。お父さん。」

「いや、最後にやることがある。ブール、『へんしん』を解いて後ろを向け。」

「う、うん。」

 

言われた通り『へんしん』を溶き、後ろを向く。

 

「うむ、では。」

 

ポスッと背中を押される。

 

「俺から贈る言葉だ。心して聞け。」

「……はい。」

 

すぅっ、と息を吸う。

 

「……お前が、立派になって帰ってくるのを待っている。バトルを楽しめ。仲間を慈しめ。己を見失うな。」

 

「はい。……必ず、元気な姿で帰ります。」

 

……行ってきます。






2288文字です。
ドーブルは大人と認められると、背中にマークを描いてもらえるそうです。

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