さて、ところ変わってポケモンセンターの部屋です。ブールだよ?
「えっと、その、それは、……トイレに、い、行き、」
「あ、いや、それなら仕方無いですし。」
何をしていたかって言うとレナさんが何で一回逃げ出したのか問い詰めてたよ。
何か凄い渋ったので無理矢理聞き出してみたけど……うん、まぁ、ね。
「んなことより、それは何なのよ。」
メイコさんがお父さんを指差す(羽差す?)
「こっちでのお父さん。右腕が無いでしょ?」
「あ……本当ですね。」
「厨二?」
「いやこれ、ミュウツーにぶったぎられたらしいですよメイコさん。」
「ふーん。」
ミュウツー、ねぇと呟くメイコさん。
いやでもアカさんのミュウツーじゃないかもしれないし。
「え、それって……ミュウツーって伝説のポケモン、ですよね? 十数年前にカントー地方で、えぇと、宇宙っぽい名前の悪者集団が産み出したって聞いたことがありますけど。」
「知ってるんだ、ミュウツー。」
「十数年前? へぇ、成る程ねぇ。成る程。そういう感じ?」
メイコさんは何か分かったみたいにしきりに頷いている。うーん? 何が分かったんだろう。
まぁ取り合えず。
「その宇宙っぽいのは多分ロケット団だよ。カントー地方を拠点として世界征服を目論んでた集団。」
リーダーはサカキ。確かゲームだとレッドに滅ぼされてたけど……アカさん、潰したのかな? どうなんだろう。
「えっと……ロケット団ですか。」
「レナ、あんまり大きな声で言わない方が良いわよ? 残党が何処に居るか分からないんだし。あたしたちはまぁどうにかできるけど。」
「え、出来るんですかメイコさん。」
「あんたねぇ……いや、いいわ。それより、そこのドーブル起きるわよ?」
「え? あ。」
「う~ん、ん、ここは?」
「おはよう、お父さん。ここはイッシュ地方、フキヨセシティのポケモンセンターだよ。」
「フム、知らない土地だな。確か……カロスから……ブールを探しに……そうだブール!」
「何?」
「探しに行かなくて……は?」
「どうしたのお父さん。」
フリーズ。静寂。お父さんはこっちを見詰めて……いや、品定めしてる。
「……いやいやいや、人間がブールな訳無いだろう。確かに俺と話せるのは人間としては珍しいが、それをもってブールとするのは可笑しい話だ。」
「それもそうだね。」
変身を溶く。お父さんの顔が驚愕に目を開く。
「はぁ!? ど、ど、どど、ドブドブ!?」
「言葉になってないよお父さん。」
お父さんがあまりのショックに気を失な「させるかぁ!」
で、出た! メイコさんの翼で打つ! 技じゃ無い癖にやけに痛い翼で打つだ!
「ドブッ!?」
「鬱陶しいのよ! 『へんしん』見せられたぐらいで失神しようとすんな! さっさと感動の再開に入りなさいよ!」
メイコさんが捲し立てる。
「う……む……しかし。」
「……ねぇブール、あんたのお父さんはこんな優柔不断だったの?」
「え?」
「!?」
メイコさんの質問には俺よりもむしろお父さんの方が驚いてる。
「うーん、どうだったっけ? 優柔不断……というよりは、頑固の方が似合う気がするけど。」
「あら、思いの外まんまじゃない。よし、じゃあそこなドーブル。名前は?」
「ブールだよ?」
「あんたじゃないわ阿呆。そっちの右腕が無い阿呆よ。」
「あほ……む……。そういちろうだ。」
メイコさんは一度理不尽にレナさんを叩く。
「えぇ!?」
「ボケッとしてんじゃないわよ。」
「り、理不尽……。だって私、ポケモンの言葉は分からないんですよ? 人の言葉を喋れるメイコさんがおかしいんですよ。」
「敬語。」バシィ
「忘れてたっ!」
メイコさんがなんだかんだでレナさんを部屋から追い出す。
……あれ? いつの間にか部屋の中には俺とお父さんだけだ。
「お前……本当にブールなのか?」
「そうだよ、お父さん。」
「……お母さんの名前は?」
「えぇと……あぁ、思い出した。シリル。シリルがお母さんの名前だよ。ちなみにお兄ちゃんたちとお姉ちゃんたちは上からカラキリクルケン」
「ブール!!!」
お父さんは、ようやく、行方不明の
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メイコさん、雰囲気はぶち壊しつつも他人を思いやれる性格。と、思わせる行動をたまに取るから憎めないピチピチ(さえずり)の女の子。