降り立ち一息
息を吸い
ふと前を見る
三人組だ
み、み、みなさん! おーはよーうございまー「じゃかあしい」あいたっ!
「朝の挨拶しろって言ったのメイコさんじゃないですか。」
「そうね。で、ツインテール。あんた敬語やめなさい。ブールと被って分かりにくいったらありゃしない。」
「理由が……いや、良いもん。だったら敬語なんて使わないもん。」
「ガキか。」
「酷い!」
時刻は朝の6時前。
眠いのもあって、よく分からないのも考えますよ。
えぇと、自分で言うのも恥ずかしいけど、私は公認のブールファンです。
でも、実を言うとメイコさんのことは全然知らなかった。
精々、ブールさんの手持ちの一体程度だと思ってた。
けど現実はどう?
メイコさんは高慢で、傲慢で、うるさくて、たまに意地悪で。
「では、第二回『ブールの起こし方会議』を開催します。」
変にリーダーシップがあって、強くて、えぇと。
「そこ、聞いてる?」
「あ、はい。ブールさんはそっと優しく起こせば良いと思います。」
「敬語。」
「あ。えーと、良いと、思う…よ?」
「却下。そんなつまんないのじゃつまんないわ。」
「勝手ですなぁ。」
よくもまぁ、ブールさんはこんな意地っ張りの人……じゃない、ペラップに着いていけますね。
「あんた、レィシー出しなさい。」
「え?」
「ここは一発ドカンと『インファイト』で起こすわよ。それぐらいのインパクトが無いといけないわよね。」
ダッシュでポケモンセンターから逃げ出した。
「逃がすか!」
三分で捕まった。
むぎゅう。
~○~○~○~○~○~
「レッ! ラララララララ! レラァッ!」
「フギュ! あばばばばばばば! ガフゥッ!」
お、おぉ……おはよう、ございま…ぐふっ。
「寝るな。」バシィッ!
「痛い!」
おはよう。連日の過酷な起こし方、そろそろ慣れたと思ったんだけどなぁ。ブールです。
「レィシー、ごめん、ありがとう。戻って。」
「な……レナさん、う、うう、裏切った…の?」
「っ!」
え? 半ば冗談だったのに、なんで顔を背けるの?
「ごめんなさい!」
「え、ちょっと。」
走ってっちゃった。え、しかも泣いてた気が、えぇ!?
「あーーらーらーこーらーらー。ブーールーがーなーかしたー。」
「懐かしい! じゃなくて!」
あーもう! メイコさん、嫌がらせ兼セクハラは程々にしてくださいよ!
「行くの?」
「はい。」
「なら、モンスターボール置いてきなさい。こっちで訓練しとくわ。」
「あ、お願いします。」
フキヨセシティを駆けようか!
「たく。レナは分かって無いのよ。ブールはまだ、ガキなのに。」
~○~○~○~○~○~
ありゃ? レナさんどこ行った?
「おーい。レナさーん。ツインテールー。」
うーん、見付からないなぁ。ここ、そんなに広くない……いや、思ってたよりは広いか。
まぁ、ゲームと現実は違うしね。なんだっけ、離着場? じゃなくて、港…も違くて、えぇと。
「だめだ、名前が出てこないや。えーと。」
これは看板を見に行くしかないかな。
すたすた。
あ、ついたついた。ジムもあるっぽいし、飛行機もあるし、ここだね。ふむふむ。
「あー、そうそう。空港だ。フキヨセ国際空港だって。」
ふぅ、すっきり。
・・・あれ? 何してたんだっけ?
あぁ、そうそう、空港がある港町なんだからお店とかお土産を売るお店が沢山あって当然だよねって話。
「おいっ! 待ちやがれ!」
「野生の癖に生意気だぞ、この野郎!」
「バチュル、『でんじは』!」
ん? 何か騒動が向こうからやって来るぞ?
「アブねぇ!」
「くそっ! あいつすばしっこいぞ!」
「有り得ねぇ!」
「『でんじは』をかわしやがっただと!?」
んん? いや、まさか。ここに居るわけ無いし。
「くそっ、回り込まれてたか!」
「お父さん!?」
三人組に追われていたのは一匹のドーブル。
右腕の肘から先が無くて、左手で泥棒が持ってそうな模様の風呂敷を掴んでいる。
あれは、俺のこの世界でのお父さん、そういちろうだ。
・・・えぇ!?
1559文字です。
そういちろう、ようやく本編に登場。
いやまぁ、まえがきとかにちょいちょい出てたけどね。