「ふ、ふふふふ、ふふふふふ」
電気石の洞穴。謎の人影が笑い出す。
「Beautiful !! Wonderful !! Marvelous !!」
どこで覚えたのか、英語を連発する。
「良い! 素晴らしくも荒々しい! さながら、磨かれる前の原石! 私が磨けば、きっと世界を照らす輝きを放つでしょう!」
「アクロマ君、あんまり叫ぶとポケモン逃げちゃうから。静かにね。」
「あ、はい。すみません。」
電気石の解析に戻る。
~○~○~○~○~○~
レイカを連れて歩くブールだよ!
「んー、駄目ね。鋼の上だと爪が痛むわ。やっぱり一番はブールの頭の上ね。」
「僕は歩かなくてすむから、レイカの上は楽チンですね。」
「ナッナッナッ!」
「じゃかあしい。捕まるのが悪い。」
「納豆……。」
「ねばねばー。」
少し訂正。レイカの上に乗るブールだよ!
レイカは触手を使って天井を移動してる。それに乗ってると、あれだ、新食感。
「食感はおかしくないかしら。」
「そうですねー。」
メイコさんが考えを読んでくるのは、もう馴れた。
メイコさんだしね仕方無いね。
「レナさ~ん。着いてこれてますか~?」
「大丈夫ですよー。」
良かった。レイカの大きさだと僕一人しか乗れないからね。レナさんには、悪いけど歩いてもらってる。
「ん、ブール。風が来たわ。そろそろ出口よ。」
「了解です。レイカ、ありがとう。」
レイカをボールに戻す。
自然、僕たちは落っこちるけどポケモンだしね。
「着地ぃ~~ったい!」
足が痺れそうだ。いや、痺れた。痺れました。
「馬鹿ねぇ。」
「あ、そこ、デンチュラの『エレキネット』張ってありますよ。」
「言うの遅いよ、レナさん。」
あー痺れる。シビレビレ。
痺れながらも歩いて、ようやく出口。
と、メイコさんが何かを見付けたようだ。
「ん? あれ、誰よ。」
「さぁ?」
「あ~~~~~!!!」
何か、ごく最近聞いた声がしたな。
「あなたたちさっきの! どうして止めてくれなかったの!?」
「あぁ、さっきの退いて少女。」
「違います~。私の名前はベルです~。」
ああ、そうそう。ベルだ。どんぐりっぽい帽子の「やめたげてよぅ」だ!
「はじめまして、僕はブールです。こっちがメイコさんで、そっちがレナさん。」
「メイコ様と呼びなさい。」
「ベルさん、はじめまして。レナと言います。」
「あ、はじめまして。」
うんうん、挨拶は大事だよね。
「それじゃあ、ベストウィッシュ。よい旅を。」
「あ、さようなら~。」
さぁて、ここを抜けたらフキヨセシティだ!
「自分でやっておいてなんだけど、ベルさん不憫過ぎない?」
「気にしたらまた来るわよ? 面倒だし良いじゃない。」
「ベルさん、ブールさんの事を知らなかったんですかね?」
口々に好き勝手言いながら洞穴を出る。
~○~○~○~○~○~
ようやっとあの忌々しい電気石の洞穴から出れたわ。
「さて、その後特に何もなくフキヨセシティのポケモンセンターに着いた訳だけど。」
「夜、ですね。」
「夜、だわね。」
「それじゃあ、寝ましょうか。」
「お馬鹿!」
バシィッ! とブールを叩く。
「あいたっ!」
「夜だからってすぐに寝てちゃあ、やることやれなくなるのよ!?」
「わ、分かりました。分かりましたから耳元で叫ばないで!」
ふぅ、スッキリしたわ。
そ れ で は。
「ブール、外行くわよ。レイカの実力を見なくちゃ。」
「はーい。」
「あ、それじゃあ私はお部屋を借りてきますね。」
「ん、頼むわ。」
ブールの頭の上に乗る。
「出てきて、レイカ!」
「ナットゥ。」
「んじゃ、あたしが相手をやるわ。自由にやりなさい。どうせ、あたしには敵わないし。」
「は? やる気? あたいに勝てるとでも?」
レイカがグダグダ何か言ってくる。ま、気にしないけどね。
「うーん…。それじゃレイカ、『パワーウィップ』。」
「うりゃあ!」
レイカが触手を伸ばして叩こうとしてくる。
飛んで避ける。
「はん。」
「くそっが!」
「レイカ、『10まんボルト』!」
「あばばばば!」
レイカが電撃を放ってくる。
んじゃああたしは『はねやすめ』。羽をたたみ、落っこちる。
「あばばばば。」
電撃があたしの体を駆け巡る。けどまぁ、飛行タイプが一時的に無くなってるから痛みは少ないわね。
羽を広げる。
「ほらほら、その程度!?」
「な……!?」
「レイカ『ラスターカノン』!」
「っ! ナーナッ!」
光の束が夜の闇を一直線に貫く。一直線だから軽く避けれるわ。
「んー、『ラスターカノン』は出が早いから重宝しそうね。ただ、今みたいにあっさり避けれるから気を付けなさい。」
「何よ上から目線で!」
気骨があるのは嫌いじゃないわ。言い負かすのが楽しそうね。
「うん。最後は……『ジャイロボール』!」
「ナッ、ナッ、ナッ、ナッナッナッナナナ」
回転が速すぎて ブゥーンッ って感じの音が鳴っている。あれね、掃除機みたいな音。
結構な速さであたしを追ってくる。
「おー、意外と速いわね。当たると痛そうだし、良いわね。うん。」
ま、全力で飛ぶあたしには追い付けないみたいだけどね。
さて、じゃあそろそろ反撃しますか。
「はて、とは言うもののどうやってやりましょうかね。」
『おしゃべり』か、『そらをとぶ』のどっちかでしょうね。
「夜だし、飛びますかね。」
大空高く、飛び上がる。夜空に満天の星ね。あの飛行機さえ飛んでなければ最高だったわね。
急降下。
「しねぃ!」
「ナトゥッ!?」
全身でレイカにぶつかる。トゲが痛いわね。
「レイカ、大丈夫?」
「もちろん!」
「終わり終わり! あー、疲れた。敵にすると結構厄介ね。」
さっさと寝よう。明日、他の奴らと一緒に特訓すれば良いでしょ。
2250文字です。
ブールの手持ち、鋼タイプにくそ弱いです。四天王及びチャンピオンに鋼タイプ使いが居なくて良かった。