プロローグ~夢~
ふと気づくと草原に立っていた。
辺り一面、草が風に揺れていた。
見たことのない花が生えていた。
知らない動物が走っていた。
未知の鳥が飛んでいた。
あまりに美しい世界に鳥肌がたった。
強い風が吹いた。
何かに引き寄せられるかのように歩き出した。
草原の端に着いた。
ダ○ブルドアのようなおじいさんが立っていた。
足元には、ピカチュウがいてこっちを見ていた。
「君は選ばれた。」
おじいさんはそう喋り出した。
「君の十二歳の誕生日に七階より高い建物から身を投げろ。」
そう言った。
何故?と聞き返した…はずだ。よく覚えていない。
そのおじいさんは
「そうすれば、この素晴らしい世界に…ポケモンの世界に転生させてやろう。」
そう言った。
わかった‼と叫んだところで目が覚めた。
俺が三歳のときに見た夢だ。
恥ずかしながら、その日はお漏らしをしていた。
この夢は今でもあまりに不自然過ぎるほどはっきりと覚えている。
草の匂い、おじいさんの深い海から響いてくるような声、澄んだ空。
今だからわかるけど、あの動物はルクシオだった。あの植物はチェリムだろう。あの鳥はムクバードのはずだ。(ピカチュウは三歳のときにはすでに知っていた)
あのおじいさんはきっと神様なのだろう。それも、ポケモンの世界で一番偉い。となるときっと彼は…いや、今考えることではないな。話を戻そう。
当時、親にこの事を話したが、相手にされなかった。
ただ、自殺は絶っっっ対にするなと言われた。
小学校で友達にも話してみた。
みんなバカにして信じてくれなかった。
それから他人にこの夢のことは話さなくなった。
ただ、一度も忘れたことはなかった。
転生のためにポケモンのことはあらかた覚えた。
ゲームも全てのカセットをやった。
アニメも全部見た。
映画も以下同文。
転生ものの小説もたくさん読み込んだ。
小説にはバットエンドのものもあったが、きっと大丈夫。根拠はないがそう思った。
準備は万端だ。両親への遺言は手紙に書いて残しておいた。周囲に人影はない。一応、学校の宿題も終わらせてある。
ふと、本当にただの夢だったらしに損じゃあないかという考えが頭をよぎった。定期的におきる思考だ。
だが、今更後戻りはできない。それに、あの夢のリアリティーが本当だとささやいている。不安は頭から振り払う。
今日は十二歳の誕生日。
20XX年7月16日、俺は、いまから、アパートの十階から、
空へ飛ぶ
さようなら、この世界!
こんにちは、ポケモンの世界!
そして、ひどく強い衝撃が来て意識はなくなった。
…これでいいのかな~?
とりあえずこれからよろしくお願いいたします❗
…誰か見に来るかな…
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