ブールの書いた手紙はフラべべとロゼリアにより、ようやく目的地に辿り着いた。
そしてマークを頼りに一瞬のうちに読んで欲しいポケモンの元へ届けられる。
ブールの父親である、そういちろうの元へ。
「おぉ、ギガイアス捕まえたのね。お疲れ様。」
「うん…。」
昨日は寝れなくてライモンシティをうろうろすることになったブールです。
ああ、寝れなくてと言っても物理的に寝る場所が無かっただけだから眠くなかった訳では無いから。。
「えっと、眠そうね?」
「うん…。」
「ペァギュアァァ。」
「昨日はね夜になってもね部屋に入れてもらえなくてねバトルで疲れていてねベンチも無くてね遊園地は閉まっててね暴走族に絡まれそうになるしね散々だったね」
「口に出てるわよ…。あー寝なさい、ね?あたしが悪かったから。」
「ペァギュア。」
「メイコさんが優しいなんて…実はもう寝てたりするのか…?そうか…これは夢なのか…夢の中でも眠いなんてなかなか無いんじゃない…?」
「余計なお世話よ…っていうかあんたの中であたしはどんなキャラなのよ。」
「そんなの…何時もうるさい人に決まっているよ…。」
「あはは、誉めるな!」バシィッ!
あ、目の前が暗く…。やっと寝られる…。
~○~○~○~○~○~
場所は飛んで、カロス地方七番道路の脇の森の中、ドーブルの里。
「これは…?」
「手紙じゃ。フラべべとロゼリアの子供たちが持ってきよった。お主のマークが描かれていたので、持ってきた。」
「そうですか…ありがとうございます、長老。」
「…その、奥さんの様子は?」
「…。絵を、描いています。まだ描き終わりそうに無いですね。」
「そうか…。済まんなこんな事聞いてしまって。」
「いや、大丈夫です。」
「そうかの?では、お元気で。」
ドーブルの長老 ドブドブは話を切り上げ、いつもの広場へ戻っていく。
今、家の中に子供たちは居ない。
ブールが消えたあの日から、家族は少なからずおかしくなった。
カラの笑顔には影ができた。
キリは狂ったようにバトルの練習を繰り返している。
クルは…以前より何処かに行く頻度が増えた。
ケンはあまり笑わなくなった。
シリルは…最愛の妻は…ただ、絵を描いている。
一心不乱に。描いて、消して。描いて、消して。
その姿は鬼気迫っていて、狂ってしまったようで。
俺は……不器用で。何も出来ないから、せめて子供たちの心の支えとなるように堂々と今まで通りに生きている。上手くできてるか分からない。本当に心の支えなんかになっているのか分からない。もしかしたら逆効果かもしれない。
「はぁ、こんな事考えても仕方無い…か。」
目下の所、この謎の手紙の確認だ。差出人は…
「はあ!?ブールだと!?」
まてまて落ち着け俺。目を擦り、あらためて見る。
ブールの三文字は変わらない。
誰かのイタズラか?だとしたら質が悪すぎる…こんな事をするような相手はここには居ない。長老が持ってきたんだ、それはないと考えて良い。
同名の別人か?違う。確かに知り合いはカロス中に沢山居るが、ブールという名前の相手は居ない。そもそもこれが出されたのはイッシュ地方らしい。…イッシュ地方!?
駄目だ分からない。これは、開けて中を確認するしかない。
机に置き、左手で手紙を開封する。
「…日本語と、漢字だと?」
思わぬ伏兵に、郷愁に駆られる。
この世界では文字はなんとも言えない記号で書かれている。何故か意味は分かるが、書くことは難しい。昔は旅をしながら仲間たちに教えてもらったものだ。
「……待てよ、ブールは俺と同じ転生者。しかもこの世界の文字を習って無い。」
体が震える。これは、確定だ。ブールは…ブールは!
「生きてるのか…!」
こうしては居られない。子供たちに…いや、先に教えるべき相手が居る。
「シリル、シリル!手紙だ!ブールからだ!ブールは!生きていたぞ!!!」
1489文字です。
いやぁ。そういちろうの事、覚えてますか?
ブールの父親で、ミュウツーに右肘から先を切断された転生者ですよ?強いよ?