ポケモン「絵描き」の旅【未完】   作:yourphone

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あの人の
ことを思うと
胸沸き立つ
これではまるで
恋する乙女


バトルへのカウント~一週間って短いよね~

「チュッ!チュリッチュリッ!」

「あ!こら逃げるな!」

 

あ、皆さんどうも。ブールです。現状ハッサンのレベルアップはほぼ不可能と判断して、新しいポケモンを捕まえようとしているところです。

 

「バ、バウ…。」

「いや、ハッサンのせいじゃ無いよ。はぁ。」

 

見ての通り、全く成果は挙がってないけど。

うーん…やり方を変えた方が良いのかな?

 

もうプラズマ団を捕まえたあの日から既に五日も経っている。

明後日にはアーティーさんとバトルしなくちゃいけない。

それも恐らくマスコミや他のトレーナーに見られながら。

 

「考えるだけで疲れてきた。ハッサン、一旦休憩。」

「バウッ!」

 

ちょうどいい切り株があったので腰掛ける。

そういえば、ここのトレーナーたちは見た目より弱かったなぁ。

ビリジオン、元気にしてるかなぁ。

・・・あ!

 

「そうだ、あのペンドラーを探そう。ここのトレーナーたちは使って無かったから、あれはきっと野生のポケモンだよ…ね?」

「バ、バウゥ…。」

「あ、そんな考え込まなくていいよ。独り言だから。さて、問題はあのペンドラーがどこに…いるか…って居たぁ!?」

 

というかわざわざのっしのっしと現れたよ!?

 

「ペァギュアアア!」

「え、えっとえっとハッサン!『とっしん』!」

「バウ。ババウバウ。」

「え?あれ、なんで『とっしん』しないの?」

「ババウバウバウ!」

 

あ、れぇ?なんだ?こんな状況、前にもあった…というかつい最近あった。

 

「あーはいはい。『へんしん』するよ。」

 

周りには人は居ない…ね。

ドーブルの姿に戻る。そこからさらにペンドラーの姿を正確に模写し、描いていく。

 

「はいはい、こんなんでどうかな?」

「あら、ワタシの姿になる必要は?」

「えっと、同じ種族じゃないと話が出来ないから。っていうか女性?」

「そうよ。この間はごめんなさいね?急に襲っちゃって。」

 

ペンドラーがペコリと頭を下げる。

 

「いや、良いんですけど…なんで?」

「ビリジオン様の偏見を少しでも直したかったの。あの方は聡明なのだけど、未だに人間を嫌っている。それは可哀想だなって少し思ったのよ。」

「あぁ、成る程。」

「貴方を送って正解だったわ。偏見は無くなってないけど、少なくとも一方的に嫌うなんて事は無くなったわ。」

「それは良かったです。」

 

伝説のポケモンだからこそ、人間を好きになって欲しいね。

 

「ね、お礼は何がいい?できる範囲で何でもするけど。」

「何でも…?」

 

来た!来た来た!

 

「じゃあ、僕のポケモンになってください!」

「…え?告白?」

「あ、いや、ええと、そうじゃなくて、いやそうかも…いやいやいや、えーとー。」

「フフフ。良いわよ。貴方と一緒に旅してあげる。」

「…え?やったー!」

 

思わず跳び跳ねる。

 

「でも、ちょっと待ってね。こっちにも生活があるの。…着いてきて。」

「あ、はい。」

 

一応人の姿になっておくか。

 

~○~○~○~○~○~

 

「ペァギュゥゥウア!」

「フシー。」

「きゅあああ?」

 

ここは…思索(しさく)の原!?

 

「あ、ビリジオンさん。ご無沙汰してます。お陰様でメイ…はぐれた仲間と会うことが出来ました。」

「きゅああ。きゅああ?」

「ペァギャア。」

「きゅああ。きゅあああ!」

 

・・・何を…言ってるんだ?

 

と、ペンドラーがこっちを向いて

「ペァギュアアア!!!」

威嚇してくる。

 

「バウ。バウバウ!」

「え?つまり…バトルしろと?」

「バウバウ!」

 

ハッサンが足をこっちに向けて、ペンドラーに向ける。

 

「・・・え。俺が戦わなきゃ駄目?」

「バウ!」

 

力強く頷かれた。

 

「分かったよ。」

 

ドーブルの姿になる。

 

「さあ!勝負だ!」

「ペァギュアアア!」

「うわ!」

 

紫の液体を飛ばしてくる。これは、トラウマの『どくどく』じゃないか!

飛んで避ける。

 

「ペァギュギュギュア!」

 

『どくどく』を連続で飛ばしてくる。

かわしてよけてさけて(ふところ)へ!

尻尾の色は赤!

 

「浄化しろ!『かえんほうしゃ』!」

 

尻尾のインクが吹き出て、炎になる。

 

「ペァギャ!」

 

よし!効果は抜群だ!

次は茶色!

 

「追い討ちの『ロックブラスト』だ!」

 

インクを飛ばす。インクは空中で固まり、岩となる。

 

「パッギュッアッ」

 

・・・三発しか当たらなかったか。まあいい。

 

「さあどう…!?」

 

ペンドラーの姿が消えた。

 

「え…ぐはっ!」

 

背中に痛み。空中(そら)に浮かぶ。

体制を立て直す前に『どくどく』が顔面にぶつかる。

 

「ぎゃっつい!!!」

 

不味い!あのペンドラーの特性は『どくのとげ』じゃ無いのか!あの速さ…まさか、『かそく』!?

 

「くそっ!それより目が!目がぁ!」

「ペァギュアアア!!!」

 

右から声が聞こえた。慌てて前に転がる。

 

ドガアァァァアン!

 

すぐ後ろで床がえぐれた轟音が響く。

今のは恐らく『メガホーン』。虫タイプ最強の技。

 

「うっ…くぅ!」

 

毒が・・・辛い・・・!

筋肉痛を十倍にしたような痛みが体を駆け巡る。

か、かくなるうえは…。

 

「『へ…んし…ん』…だ。」

 

前が見えなくても、一度描いたものは()()出来る。ペンドラーに『へんしん』する。

 

「はぁ…はぁ…。」

 

少し楽になった。毒タイプは毒にならない。

 

「なかなか、やるわね。」

「勝たなきゃ…仲間に…なってくれない…んでしょ?」

「ええ。だから、次で、決める!」

 

ペンドラーの角が光る。ちらっと地面を見る。

・・・あのクレーターを作った『メガホーン』 をくらったらひとたまりもない。

 

「ハアァァァ!」

 

ペンドラーが突進してくる。

勝つには…狡いけどやるしかない。

 

ペンドラーの体はドーブルに比べて大きく、長い。

そして、俺の『へんしん』は言ってしまえば特殊なインクによる()()()()

ここから導き出せる逆転劇への策。それは。

 

「ギュアッ!」

 

ペンドラーの『メガホーン』が俺の描いたペンドラーを、散らす。

 

が。

 

「ペァギュア!?」

 

そこには既に俺は居ない。

散ったインクがペンドラーへの目隠しになる。

 

「尻尾の色は赤!朱!アカ!」

 

背中に翼を描く。

右手を尻尾に突っ込む、引き抜く。

 

「感覚で使う『ブレイブバード』と!『ほのおのパンチ』!」

 

全身が赤く染まる。

『ブレイブバード』の推進力を持った『ほのおのパンチ』がペンドラーの顔面に突き刺さる。

 

「ペァギュアギギァ!!!」

 

ペンドラーは吹き飛び、壁に叩きつけられる。

目を・・・回している。

 

「か・・・勝った・・・!」

 

そして、目の前が真っ暗になった。




2540文字です。
ペンドラーの技は『どくどく』『メガホーン』『おいうち』『ベノムショック』です。
え、弱い?野生だから仕方ない。

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