森のざわめき
聞き咎め
襲いし狙いは
人たるドーブル
「ったく。ブールはどこに行ったのよ。」
「うーん。」
あたしたちは今、ヤグルマの森に居る。
さっきまで一緒にいたブールは突然現れたペンドラーに追いかけられたせいで完全にはぐれてしまった。
「あのペンドラー、何だったんだろう?なんか使命感に燃えていたけど。」
「使命感?となると…誘拐?」
ペンドラーはブールだけを狙って『メガホーン』を叩きつけ、ブールがボールを手に取ると『どくどく』放ってきて、たまらずブールが飛びすさると『おいうち』してくるとかいう初心者トレーナー殺しな連撃を撃ってきていた。
あれはかなりよく訓練されているポケモンね。
「それならトレーナーの声が聞こえるはずだよ。」
「いやいや、あらかじめ技を使うタイミングとかを教えておけば勝手にやってくれるわよ。ポケモンだって馬鹿じゃないんだから。ただ、誘拐だとするとなんでブールを狙ったのか分からないけどね。」
「そうだね…。お金ならあのペンドラーを使ってあのトレーナーたちを倒した方が効率がいい。なら、ポケモン目当て?」
「ならあたしかあんたを狙うわよ。」
「そうだよね。」
結局原因は分からないままスカイアローブリッジの前まで来てしまった。
~○~○~○~○~○~
あのなんで存在するのか分からない建物の中。
「ん~、やっぱり居ないね。」
「流石に勝手に先に行ってたりはしないはずよ。多分。」
「じゃあまだ森の中に?」
「そうなるわね。あるいは、ポケモンバトルに負けてシッポウシティのポケモンセンターに居たりして。」
「…戻るにはあのトレーナーたちを倒さないといけない…よね?」
「きばりなさい、N。」
「えぇ…。」
と、突風が吹く。
「うわっ!」「なんだなんだ!」「きゃっ!」
「ん?」
目の前を緑色のポケモンが通った…気がした。
「な、なんだったんだ、今の風は。」
ヤグルマの森…緑色のポケモン……伝説?
「ビリジオン…。」
「ビリジオン?なんで今その名前が?」
「ここを駆け抜けたのは…ビリジオン。…何故ここを通ったの?…確か、昔の戦争に関わった…。まさか。」
あり得ない。でも、こっ恥ずかしいけど、もしあたしかブールのどちらかが、
「メイコちゃん?」
「不味いわね。N、ヒウンシティに急ぐわよ。」
「え、何でだい?」
「今の風はポケモンによるものよ。」
「まあ、それ以外考えられないけど。」
「そして、そのポケモンは恐らくビリジオン。」
「え?そんなまさか。」
「あたしみたいな転生者が存在する時点で『
「それは…。成る程、不味いね。」
ヒウンシティに向けて走り出す。
~○~○~○~○~○~
「アウエイアワワ…。」
「きゅああ。きゅあっああ!」
「だ、大丈夫…ありがとう、ビリジオンさん。」
「きゅああ。」
ビリジオンに乗ること。
いい経験になるなー。後でメイコさんたちに自慢できるなー。なんて考えでやってはいけなかった。
「うわぁ。なんか、世界が、回る~。」
「きゅああ!?」
前世では乗り物に酔った事は無かったのになぁ。
「う、うぅ。…うえっ。」
「きゅああ。きゅあ~!」
うー。な、なんとか、治って、きた。
…気持ち悪くて吐きそうだけど、それだけだ。
「うん?なんかざわついてる…。」
『ココハ、ヒウンシティデス。』
ああ、あの絶対迷う町か。…え?
「ビ…ビリジオンさん。」
「きゅあ?」
「えっと…ここまで運んでくれてありがとうございます。だから、その…ここに居ると危ないと思うから…。」
「きゅああ?きゅああああ!」
辺りを見渡す。…うわ、人だかりが。写真撮るなよ。
「きゅああっきゅあ!」
ビリジオンさんが走り去る。
さーて、どうやって逃げ出すか。
「ん~?君は…ああ!例の!」
なんだ?人だかりが分かれて、ひょろっとした男の人が歩いてきた。…ってこの人は。
「アーティーさん?」
1563文字です。
ストーリーが進んだようでほとんど進まない。