木々に囲まれ
八車の
虫を払い
前に行く
「えっと・・・ココハドコ?」
『ココハ、ヤグルマノ森デス』
あ、二番さんお久しぶり。あと、それは知ってる。
どうも皆さん、『旅するポケモン』のブールです。
まあ、分かるよね?迷子。迷子ですよ。
普通の道はなんか目をギラギラさせたトレーナーが沢山いて怖かったんだ。だから無理を言って横道に入ったんだけど
「メイコさ~ん!Nさ~ん!どこ~!」
何故かペンドラーが俺だけを追ってきて、逃げ続けたらメイコさんたちとはぐれてました。
うーん…どうするか。二番さん、道分かる?
『情報取得中…取得完了。道案内ヲ開始シマス』
おお!さすが二番さん!
~○~○~○~○~○~
で、二番さんの道案内でヤグルマの森を抜けたけど。
「…ここは?」
『
「成る程。」
目の前でビリジオンがこっちを睨み付けている。
・・・どうしてこうなった。
「ききゅああああああ!!!」
「うわっ!」
ビリジオンが頭から光る
「ちょっ、待ってよ!」
紙一重でかわす。
「きゅいあああ!」
「あーもう!ハッサン!」
ボールからハッサンを出す。
「バウッ!」
「ハッサン、『ふるいたてる』だ!」
「アオーーン!」
ハッサンの体が少し赤くなる。
「きゅああ!」
ビリジオンが叫ぶとハッサンの体から緑色の何かが出ていこうとする。
「『ギガドレイン』!?ハッサン、『まもる』!」
ハッサンの周りに緑のバリアが張られる。緑色の何かはバリアにはばまれて、ハッサンの体に戻っていく。
「きゅぅうあ!」
「ストップ!待ってよ!僕はただの迷子なんだってば!」
「ききゅああああああ!!!」
ああ、全然聞いてくれない。と、ハッサンが何かしゃべり始めた。
「ババウッ!」
「きゅああっ!」
「バウッ!ガウゥ…。」
「ききゅああ?」
「バウッ!」
ん?こっちを見て何が言いたいの?
「バウッ!ババウッ!バウバウ!」
「え、ええと?」
「バ↑ウ、バ↑ウ!」
「へ、ん、し、ん?『へんしん』しろって?」
「バウッ!」
当たりらしい。じゃあ、何に『へんしん』するかだけど…。
「ビリジオンに『へんしん』すれば良いかな?」
「バウッ!」
良いらしい。じゃあ、とりあえず一回『へんしん』を解くか。
「きゅ、きゅああ!?」
「
そう言えばドーブルの姿に戻るのは久しぶりな感じがするな。そうでもないはずだけど。
ビリジオンの姿を自分の周りに描いていく。
「はい、『へんしん』終了。」
「む、まさか本当にお仲間だったとは。」
「お仲間?」
「バウバウ。」
「えぇ。勿論謝りますよ。すみません、まさかお仲間が人間どもに『へんしん』しているとは思っていなかったのでつい襲いかかってしまいました。」
に、人間ども!?
「い、いえ、大丈夫ですよ。」
「それにしても、何故人間なんぞに『へんしん』していたのです?」
「ええと、人の姿になって旅をすることで人間について理解を深めようと…」
「理解?人間のような愚かな生き物を理解したいと?」
「愚かって…そんなに悪くは無いですよ、人間も。」
これは元人間として言い返さないとね。
「いいえ、愚かです。何かいさかいがあればすぐ戦争します。そこまでいかなくても、気に入らないことがあればすぐケンカになります。」
「それは、まあ。」
「あまりにも愚か。故に私たちは人間に戦いを挑んだのです。」
「あー。聞いた事はあります。」
確かにゲームでは『人間に戦いを挑んだ』的な感じの説明があったな。
「コバルオン、テラキオンと一緒に仲間たちを守る為に戦ったんですよね?」
「そうです。その結果を知っていますか?」
「え?」
流石にそこまでは覚えてない。
「・・・悔しい事に、相討ちです。私たちの制裁のお陰で、人間たちは戦争を終わらせました。しかし、私たちは死にかねない大怪我を負いました。」
「お、大怪我…。」
「ええ。百年間はそれぞれのすみかから動けなくなるくらい酷い怪我でした。タブンネの方々が居なければどうなっていたか…。」
ビリジオンは遠い目をしていたが、ふっと俺を見据える。
「ですから、人間たちと共に過ごすなど諦めた方が良いのです。今からでも遅くありません、家に帰るべきです。」
「家…ですか。ん~、ちょっと帰れませんね。」
「なんですって?家出してきたのなら早めに謝った方が」
「あ、そうじゃなくて。遠すぎるんです。カロス地方ですから。」
「は、はい?」
あ、今さら過ぎるけどお父さんとお母さんとカラお姉ちゃん、キリお姉ちゃん、クルお兄ちゃん、ケンお兄ちゃんたちは元気にしてるかな?手紙出さないとな。
「カロス地方からどうやってこの地方へ?」
「えっと、メイコさんが言うにはフーパの仕業らしいです。」
「フーパ…聞いたことの無い名前ですね。」
「そうですか。」
・・・沈黙が重い。
「バウッ!バウバウ!」
「え?…しかし、人間は。」
「ババウッ!バウゥ!」
「そうですか。貴方ほどのポケモンが信頼を寄せる人間たちですか。ならば安心です。」
ハッサンとビリジオンが何か話している。
「ブールさん。」
「は、はい。」
「貴方を人間の元へ送ってあげましょう。」
「い、良いんですか!?」
「ええ。ただ、貴方と共に旅をすることは出来ません。」
「う…。」
密かに狙っていた事を読まれてる!?
「まあ、何か私の力が必要な時はこれを吹きなさい。すぐに駆けつけます。」
ビリジオンが肩の葉っぱを一つ引き抜く。
「これは、草笛?」
「そうです。吹き方はポケモンの本能で分かります。では、人の姿に『へんしん』しなさい。乗せて行きます。」
「ありがとうございます!」
人の…元の姿に『へんしん』する。
2257文字です。
伝説は、伊達に伝説という肩書きを持っている訳ではない。by.神のおじいさん