テストの始まり
なんだって!?
「うわっ。きもっ!」
博物館に急行した俺たちは有り得ない物を見ることとなった。
「何あれ。カイリュー?」
「違う。あれは…ポケモンですらない。」
見た目はカイリュー!頭脳はゾンビ!その名も!
「名探偵、キョンシー!」
「頭大丈夫、ブール?」
「あ、変なこと考えてただけです。ブールは正常です、メイコさん。」
「いけ。ピカチュウ。」
「ビッカ~!」
あ、戦うんだ。じゃあ、俺も。
「ハッサン!お願い!」
「バゥ!…ウガゥ!?」
「驚いてる暇は無いわよ!皆耳塞いで!」
パーーーバーーーラーーー!!!
メイコさんの『ばくおんぱ』が炸裂する。
「グギィ…」
が、全く効いてない。というか、聞いてない。
「はぁ!?防音かなにかなの!?」
「メイコさんはNさんを探して!ハッサン!『ふるいたてる』!三回!」
「アオーーーン!」
「ピカチュウ、『こうそくいどう』。」
「ピッ!カッ!チュッ!」
ゾンビカイリューは奥へ奥へと進んでいく。ああ、博物館が!色々見たかったのに!
「あ!居たわよ!」
「分かった!ハッサン!『とっしん』!」
「ピカチュウ、『10まんボルト』。」
「ババゥ!」
「ピカ~~チュ~!」
ゾンビカイリューの気をそらす。
「Nさん!大丈夫ですか!」
「そこで待ってなさい、お坊っちゃん!!!」
「ブール君!メイコちゃん!」
良かった!Nさんは無事だ!
「いや!僕も手伝うよ!いけ!ギギギアル!」
「ギッガリッガ!」
「ゲリュラリバンチャー!」
三対一!勝てる!
ゾンビカイリューが右腕で薙ぎ払う。
「ハッサン、『まもる』!止めて!」
「ガガゥ!」
ハッサンが緑のバリアを展開して右腕を受け止める。
「ピカチュウ、もう一度『10まんボルト』。」
「カチュー!」
「ブゲァー!」
よしっ!効いてる!
「ギギギアル、『チャージビーム』だ!」
「ギッギッガーー!」
「ガウリニャー!」
効いてる、けど…。
「ちょっと!どんだけ固いのよ、あいつ!」
「グ・・・ゲア・・・!」
あれ、なんか溜めてるぞ?
「ま、不味い!ギギギアル!『じゅうでん』!」
「ピカチュウ、『かげぶんしん』。」
「えっ、え?ハ、ハッサン!『まもる』!」
「ちっ!頑張ってて!」バサバサッ
「バァーーーーーーー!」
これは!『はかいこうせん』!?
ギギギアルは『じゅうでん』のとくぼう上げ+タイプ相性でなんとか耐える。
ピカチュウは『かげぶんしん』のお陰でそもそも当たらなかった。
ハッサンは間一髪で『まもる』に成功した。
けど、後にくる凶悪な爆風に耐えたトレーナーはレッドさんだけだった。
「ウヒャア!」
「うわっ!」
俺とNさんは吹っ飛んだ。
「ピカチュウ、『でんこうせっか』。撹乱して。」
「ピカッ!」
ピカチュウがゾンビカイリューの周りを回る。
「グギャア!ガベルゥリャ!」
ゾンビカイリューが両腕を振り回すが、ピカチュウにはかすりもしない。
「大丈夫?」
「は、はい。ありがとうございます。」
なんとか立ち上がる。
「な、なんて威力なんだ…!だ、大丈夫かい?ブール君。」
Nさんがこっちに来る。
「はい。でも、倒れ無いですよ、あれ。」
「…倒れるまで戦うだけ。」
おお。レッドさんは前向きだ。…アカさんよりレッドさんのが好きかな、俺は。
「ピカチュウ、『10まんボルト』。」
「ギギギアル、『ミラーショット』!」
あ、指示しなきゃ!
「ハッサン、『とっておき』!」
ハッサンがゾンビカイリューの頭を強打して、下を向かせる。そこに『10まんボルト』と『ミラーショット』がぶつかる。
「ガウリラバレラルサコリバッシャー!!!」
な、なに言ってるの?怖いんだけど!
「…苦しんでる。」
「え?」
「あのカイリューは望んであんな姿になったんじゃない。…楽にさせてあげなきゃ!」
Nさんが四角いアクセサリーを掴む。が、レッドさんに止められる。
「それは、ダメ。…僕のポケモンが、やる。」
「で、でも!」
「問答無用。」
レッドさんはピカチュウをボールに戻し、新しいボールを取り出す。
「二人とも、ポケモンを戻して。」
う…。レッドさんが言うなら。
「戻って、ハッサン。」
「…ありがとう、ギギギアル。」
「うーーー、ラッシャア!」
あ、メイコさんが上から降ってきた。ゾンビカイリューの頭にぶつかる。
「あたた。ふー、疲れた。」
「あの人も戻して。」
「え、あ、はい。メイコさーん!こっち!こっちに来てー!」
「あ、そっち!?今行く!」
「ウゲラバグゲゾリヨヂャリバッダー!」
ゾンビカイリューが両腕を振り上げ、メイコさんを狙って降り下ろす。
「メイコさん!」
「メイコちゃん!危ない!」
「はい!?」
駄目だ!避けられない!思わず目を塞ぐ。
「ミュウツー。」
「ふん!」
ブオンッ!
「ブ…ガベラレラ!?」
…おそるおそる目を開ける。
「ばぁっ!!!」
「うわあっ!」
目の前でメイコさんがおどかしてきた。
「び、びっくりさせないでよ!」
「死んだと思った?死んだと思った?ざーんねん、生きてるよ!どっこい、イキテル!」
「よ、良かった…!」
本当に良かった!
「それより、あれ、ミュウツーよね?」
「え?」
あ、ほんとだ。…えぇ!?
「『サイコブレイク』。」
「はあぁっ!」
ゾンビカイリューの腕が吹き飛ぶ。
「ゲバリャッ!?」
「…。」バサバサッ
「ごめんね。こうするしか無いんだ。『サイコブレイク』。」
「はぁっ!」
翼が崩れた。そこでNさんに目を覆われた。
「Nさん?」
「これ以上は…教育に悪いからね。」
グチャンッ バキンッ ボカンッ
…自分で耳をふさいだ。
~○~○~○~○~○~
こっそり隠れて情報収集していましたが…。
「ふふふ。素晴らしい!ミュウツーですか!あの時の、ミュウツーですか!!」
あれは手痛い失敗だった。そのせいでフレア団から追放されて、カロス地方からイッシュ地方まで逃げることになった。
「失敗は成功の母とはよく言った物です。お陰で、なかなか良い情報が取れました。」
「へーっ。どんなの?」
「フフフ!ポケモンを骨から作り上げる方法!そのポケモンの強さ!ついでにあの時出来なかったミュウツーの強さ!全て!このパソコンに入っています!」
「成る程~。」
これを応用すればミュウツーより強いポケモンを作ることができるはず。ミュウツーより速く、ミュウツーよりタフで、ミュウツーより大胆な!
「そう、言うなればミュウスリーの作成!人類の夢!」
と、パソコンが取られる。
「何する…の…です…。」
「させないわよ。」
パソコンを取ったのは、体の赤い、ペラップだった。
「これは没収。抵抗するならこの場で壊す。」
滑らかな発音!スベスベしたとさか!!美しい羽根!!!
「び」
「び?」
「
「はぁ?」
「あなたのようなポケモン、見たことありません!ぜひ、是非とも、研究したい!」
「嫌よ。」
ばっさり断られる。
「な、何故です!?」
「もうされたから。」
「な、なんと!先を越されていた!?ど、どこで、誰に!?」
「アララギ博士。女の方ね。」
あ、あの人か!
「こうしちゃいられません!今すぐにアララギ博士に情報を渡してもらわないと!あ、パソコン返してください!」
スカッ。手が空を切る。
「パ、パソコンを…。」
「没収って言ったでしょ?」
「な、せ、殺生な…!」
命より大事なパソコンを!
「そこに座りなさい。言うこと聞かなかったら壊す。何処かに連絡したら壊す。ここにあんたの仲間が来たら壊す。良いわね?」
「く、グググ…!人質とは…卑怯です!」
「ん?今すぐに壊しても良いのよ?」
慌てて座る。
「良い子ね。さーてと。」
このペラップはパソコンを開いてなにかしだした。
「な、何を!」
「安心しなさい。データを消すことはしないから。」
カタカタカタカタ…
「よしっ、送信完了。」
「送信…?」
「お膳立てしてあげたわ。あんたは今すぐにアララギ博士の研究所に行きなさい。匿ってくれるはずよ。」
「…はい?」
「アララギ博士に情報を聞きに行くんでしょ?だからプラズマ団に退団届け出して、アララギ博士にあんたの研究結果の一部と逃亡届けを出したわ。ほら、さっさと行きなさい。」
なんて強引な…。だが、それが良い。
「…いつかあなたに仕返ししますから。では。」
このペラップは約束を守りました。なら、私も誠意を見せましょう。
3302文字です。
アクロマは強制的に足を洗いました。