終わりに始まる
G-WEEK
他の人の
更新はかどる
~休みは休むyourphone~
私はアララギ博士と呼ばれているわ。専門はポケモン生態学とポケモン言語学(とくに音韻学)。そんな私が何をしているかと言うと、
「迷った…。」
さっきね、森の方からね、大きな音がしたの。
だからまた何かやらかしたかと思って大急ぎで研究所を飛び出したの。
そしたらね、何もなかったの。
…本当よ?伝説のポケモンが落ちてきた訳でももないし、何かの遺跡が出てきた訳でもない。
「しかも慌てて来たからコンパスもポケモンも持ってきてないし、現在地が分からないから地図も意味をなさないし、ライブキャスターは置いてきたし…。」
もうやだ。このまま帰れなかったらどうしよう。
食べ物がないから餓死?それとも凶暴なポケモンに食べられる?
「~~!」「~~。」
ん?人の声?いやいやまさか。
「あ……?い…。」「だ……。…?……い。」
…空耳よね。でなければ幻覚、幻聴。あらら、私もボケたのね。もう年なのね。
あらら~♪ぼーけちゃーったー♪
「しっ。隠れて‼」「え?でモゴモゴ」
まだボケるには早かったようね。でも、いつボケ始めるかと思うと…。
「いやいや、それどころじゃないわね。出てきてくれる?じつは私かくれんぼで誰かを見つけられたためしがないのよ。」
しばしの間。
「それは…なんというか…。」「あ、バカ。」
「そこね。」
近くのしげみに手を突っ込む。
「さっきのは嘘。ほんとは見つかったことがないの。」
服と羽のようなものをつかみ、引っ張り出す。
「悪い子だーれd」
この両手につかんでいたのは
「この陰湿BBA!手ぇ離しやがれ!」とさけぶ赤いぺラップと、
「俺の同情を返せこの年増!」とすごむ小さな
~○~○~○~○~○~
ドーモ、ミナ=サン。ブールです。
「あらら、助けてもらっちゃったわね。」
「いえ、当然のことをしたまでです。」
「十割あたしのお陰だけどね。」
まさかアララギ博士とエンカウントするとは。
あ、人の姿なのは『へんしん』のおかげです。正確には前の世界の姿を描きました。詳しくはあとがきで。
…何いってんだ俺? まあいいや。
「手伝うとは思わなかったよ、メイコさん。」
「あたしだって人助けぐらいするわよ。それに少し言い過ぎたし?」
「そうだね。」
俺たちに悪口を言われたアララギ博士はめにみえて落ち込んだ。そしてなんかぶつぶついい始めたのであわてて、ね?
決してじとっとした目で見られたり、チクチク痛いところを突かれたからじゃないんだからね!
「色違いのぺラップ、ねぇ。ね、あなたたち。私の研究所に来ない?」
「え?」
博士からのお誘い…なんだろう?
「あたしを実験台にするなら遠慮したいけど。」
そうメイコさんが言うと、
「あ、そ、そうよね。あなたたちにも予定とかあるもんね。そうよね。私なんかのお誘いよりも大事よね。来るわけないわよね。あ、あ、さっきの提案は忘れてくれていいわよというか忘れてちょうだい。」
「暗い!」「わたモテか!」
結局アララギ研究所に行くことになった。
~○~○~○~○~○~
ほへー。これが研究所かぁ。うわ、本がぎっしり。スゲー!
「思ってたんと違う。」
「そうなの?」
「うん。もっとなんかよく分からない機械があったり、白衣の人たちがなんか難しいことを話し合ってるとか、そんなのを想像してたんだけど……これじゃあただの本好きが住む家じゃん。」
「ああ、心にグサグサくるわね。あなたのぺラップは、すごいわね。えーと、」
「あ、ブールっていいます。」
「あたしはこいつのポケモンじゃないわよ!あと、メイコって名前よ。メイコ様って呼びなさい!」
「あらら、なかなかグイグイくるわね、メイコ様?」
「うむ。それがあたしのアイデンティティーだからね。」
・・・何、なんなの?圧倒的なレベルの差を感じる。
これが…ポケモンワールド…!
「ところでメイコ様。」
「なにかしら?」
「色々調べていいかしら?」
「いつもなら駄目だけど、今は凄く気分がいいわ。」
「じゃあ」「だが断る。」
「問答無用。」エイッ
「なん…だと…」バタンキュー
「な!?メイコさん!?」
な、なにをするだーー!許さん!
「ふっふーん。アララギ博士特製の睡眠薬には敵わないわね!!」
「ちょ、アララギ博士!?何をするんですか!?」
キャラが変わってますよ!いや、これが
「ふっふっふ。あんたみたいな子供にはこれよ!」
「な、そ、それは! 」
「一目みたときからあんたたちがお腹を空かせているのは分かっているのよ!!」
アララギ博士が両手でもっているのは!カレーの入った鍋だ!!
「く、メイコさん…ごめん…!」
カレーには勝てなかったよ・・・。
~○~○~○~○~○~
ふうー、くったくった。メイコさんもしっかり食べました。まる。
メイコさんはレントゲンとって、採血されて、起こされて、怒って、なだめられて、問診をしました。内容は知らない。
解剖とかされなくて良かった良かった。
「ごめんなさいね…。私、定期的にテンションが高くなる病気らしいの。驚かせちゃったよね。ビックリしたよね。…でも自分でもどうしようもないの。」
「躁鬱病ね。あたしの知り合いにもいたわ。躁鬱病の説明は……要らないわね?」
「うん。」
実例を目の前で見ましたから。あと、アララギ博士、そっちが基本ですか。
「あー。トレーナーカードほしい?」
「え?」
トレーナーカード?まじで!?
「あたしはもらえるもんは貰っとくわ。」
「ごめんなさいね、ポケモンはトレーナーにはなれないの。」
「あ、それなら僕も無理です。」
「あらら?どういうこと?」
「ちょっと『へんしん』ときますね。」
体のまわりのインクを落とす。
「見ての通り僕はドーブルd」
肩を掴まれた。
「研究させてもらうわ。」
目が怖いです、アララギ博士。
ブールの『へんしん』は体を変形させるのではなく、自分のまわりにへんしん対象の絵を描きます。
まあ、そんなに気にしなくていいです。ドーブル族の能力で絵は一瞬で書き終わりますし。
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