ポケモン「絵描き」の旅【未完】   作:yourphone

109 / 109
バトル AND アセプト~アセプトって『認める』ってこと~

「準備は良いでしょうか?」

「はい!」

 

フィールドを挟んでタツヤさんと向かい合う。既にお互い、ボールを手に持っている。

 

「ルールは一対一! 先にポケモンが戦闘不能になった方の負けです! では、ポケモンを出してください!」

 

審判のレナさんの声と同時に、二つのボールが投げられる。

 

「ハッサン!」

「バッチャ!」

 

俺が選んだのはハッサン。このバトルは大袈裟に言えば、レナさんを賭けた戦い。だったらここで出すのはエースであるハッサンしか居ない。

そしてタツヤさんは……デンチュラ、か。

 

「では……バトル開始!」

「さぁ、君の力を見せてくれ! バッチャ、『かみなり』!」

「『まもる』!」

 

緑色のシールドに電撃が弾かれ、周りの地面をえぐる。

初めから倒しにかかってきてる……これは、隙を見せたら負けるな。

 

「『とっしん』!」

「『かみなり』です!」

 

ハッサンは強力な電撃に怯まず頭から突っ込み、そのままデンチュラの体にぶつかる。

 

「そのまま『かみくだく』だ!」

「『エナジーボール』で振り払ってください!」

 

ハッサンが噛み付こうとするけど、大きく開いた口の中へ『エナジーボール』が着弾する。

 

「ハッサン!」

「攻め手は緩めません!『かみなり』!」

「『まもる』だ!」

 

『かみなり』が当たる直前に緑色のシールドが張られる。あ、危ない……。

 

「流石にやりますね」

「まあ、トレーナーですから」

「……プ……クックックッ、アハハハハ! 成る程、『トレーナーだから』ですか!」

 

な、何か俺今面白いこと言った? チラッとレナさんを見るけど、首を横に振られた。

 

「良いですね! ポケモンの眼にも力がある! 良いトレーナーですよ、君は! バッチャ、『むしのさざめき』!」

「ハッサン『とっておき』だ!」

 

デンチュラが嫌な音を出してくるが、ハッサンの姿が消える。

瞬間、デンチュラが上から叩き付けられていた。痛そう。

 

「なっ……バッチャ!?」

「……バッチャ、戦闘不能! よって勝者、ブールさん!」

 

ふぅ~。やっぱり『とっておき』が強すぎるね。擬似的に回避できる訳だし。……まぁ、使えるようになるまでに時間がかかるけどさ。

 

「ブールさん!」

「うわっ!」

 

ハッサンをボールに戻したら、レナさんが抱き着いてきた。

 

「凄い、凄いです! 私じゃお父さんに勝てなかったのに!」

「あ、あはは……待って。それって多分相性の問題じゃない?」

 

レナさんって今でこそツービー(ツンベアー)が居るけど元々はサナ(サーナイト)レィシー(エルレイド)しか持って無かっし……だったらむしタイプを持ってるデンチュラはかなりきついよね。

 

「それもありますけど……」

「いや~、久し振りにポケモンバトルに勝てると思ったんですけどね。……ごほん」

 

ニコニコと笑っていたタツヤさん。だけど咳払いすると雰囲気が変わった。笑うのを止めて鋭い眼で俺を見てくる。

 

「ブールさん」

「は、はい」

「……レナとどこまで行きましたか?」

 

へ?

 

「お父さん!?」

「レナ、今はブールさんと話しているんだ」

「っ……」

 

えーと。どこまで……かぁ。どこに行ったかな?

 

「まず、ホドモエシティで出会って、フキヨセシティとか、サザナミタウンとか……まぁ、色んな所に行きました」

「……成る程、成る程。まだ汚れてない、と」

「? ホコリまみれになった時もありますよ?」

「ブールさん……」

 

えっ、なんだろうこの疎外感というか呆れたような雰囲気は……。

 

「ふふ、これなら大丈夫だね」

 

あ、ニコニコし始めた。だけどレナさんからジトッとした視線が来てる……。

 

「私はレナとブール君が付き合うのに異論は無くなったよ。むしろ良くこんないい人を見付けたね、レナ」

「う、ん……」

 

……えぇと。良く分からないけど、一件落着?

 

「一難去ってまた一難だったりしてねー」

「あ、メイコさん……と、誰ですか?」

 

メイコさんは女の人の肩に留まってる。女の人はレナさんと同じ水色の髪をまとめずに流している。

 

その女の人は、まじまじと俺を観察してくる。

 

「ふぅん? んー。あら……」

「あー、その、何ですか?」

 

っていうか近い近い。寄らないでよ。

 

「……複雑ね。このままだとレナの相手がポケモンになってしまう。だけど、タツヤが認めちゃうんだったら私がごねても意味ないし」

「……」

 

あ、分かった。この人ってもしかしなくてもレナさんのお母さんだね?

 

「仕方無いわね、お義母(かあ)さんと呼ばせてあげるわ」

 

ごめん、それはまだ速いと思うんだけど。




1785文字です。

スマブラはピカチュウに緑はちまきさせるのがフェイバリット。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。