「準備は良いでしょうか?」
「はい!」
フィールドを挟んでタツヤさんと向かい合う。既にお互い、ボールを手に持っている。
「ルールは一対一! 先にポケモンが戦闘不能になった方の負けです! では、ポケモンを出してください!」
審判のレナさんの声と同時に、二つのボールが投げられる。
「ハッサン!」
「バッチャ!」
俺が選んだのはハッサン。このバトルは大袈裟に言えば、レナさんを賭けた戦い。だったらここで出すのはエースであるハッサンしか居ない。
そしてタツヤさんは……デンチュラ、か。
「では……バトル開始!」
「さぁ、君の力を見せてくれ! バッチャ、『かみなり』!」
「『まもる』!」
緑色のシールドに電撃が弾かれ、周りの地面をえぐる。
初めから倒しにかかってきてる……これは、隙を見せたら負けるな。
「『とっしん』!」
「『かみなり』です!」
ハッサンは強力な電撃に怯まず頭から突っ込み、そのままデンチュラの体にぶつかる。
「そのまま『かみくだく』だ!」
「『エナジーボール』で振り払ってください!」
ハッサンが噛み付こうとするけど、大きく開いた口の中へ『エナジーボール』が着弾する。
「ハッサン!」
「攻め手は緩めません!『かみなり』!」
「『まもる』だ!」
『かみなり』が当たる直前に緑色のシールドが張られる。あ、危ない……。
「流石にやりますね」
「まあ、トレーナーですから」
「……プ……クックックッ、アハハハハ! 成る程、『トレーナーだから』ですか!」
な、何か俺今面白いこと言った? チラッとレナさんを見るけど、首を横に振られた。
「良いですね! ポケモンの眼にも力がある! 良いトレーナーですよ、君は! バッチャ、『むしのさざめき』!」
「ハッサン『とっておき』だ!」
デンチュラが嫌な音を出してくるが、ハッサンの姿が消える。
瞬間、デンチュラが上から叩き付けられていた。痛そう。
「なっ……バッチャ!?」
「……バッチャ、戦闘不能! よって勝者、ブールさん!」
ふぅ~。やっぱり『とっておき』が強すぎるね。擬似的に回避できる訳だし。……まぁ、使えるようになるまでに時間がかかるけどさ。
「ブールさん!」
「うわっ!」
ハッサンをボールに戻したら、レナさんが抱き着いてきた。
「凄い、凄いです! 私じゃお父さんに勝てなかったのに!」
「あ、あはは……待って。それって多分相性の問題じゃない?」
レナさんって今でこそ
「それもありますけど……」
「いや~、久し振りにポケモンバトルに勝てると思ったんですけどね。……ごほん」
ニコニコと笑っていたタツヤさん。だけど咳払いすると雰囲気が変わった。笑うのを止めて鋭い眼で俺を見てくる。
「ブールさん」
「は、はい」
「……レナとどこまで行きましたか?」
へ?
「お父さん!?」
「レナ、今はブールさんと話しているんだ」
「っ……」
えーと。どこまで……かぁ。どこに行ったかな?
「まず、ホドモエシティで出会って、フキヨセシティとか、サザナミタウンとか……まぁ、色んな所に行きました」
「……成る程、成る程。まだ汚れてない、と」
「? ホコリまみれになった時もありますよ?」
「ブールさん……」
えっ、なんだろうこの疎外感というか呆れたような雰囲気は……。
「ふふ、これなら大丈夫だね」
あ、ニコニコし始めた。だけどレナさんからジトッとした視線が来てる……。
「私はレナとブール君が付き合うのに異論は無くなったよ。むしろ良くこんないい人を見付けたね、レナ」
「う、ん……」
……えぇと。良く分からないけど、一件落着?
「一難去ってまた一難だったりしてねー」
「あ、メイコさん……と、誰ですか?」
メイコさんは女の人の肩に留まってる。女の人はレナさんと同じ水色の髪をまとめずに流している。
その女の人は、まじまじと俺を観察してくる。
「ふぅん? んー。あら……」
「あー、その、何ですか?」
っていうか近い近い。寄らないでよ。
「……複雑ね。このままだとレナの相手がポケモンになってしまう。だけど、タツヤが認めちゃうんだったら私がごねても意味ないし」
「……」
あ、分かった。この人ってもしかしなくてもレナさんのお母さんだね?
「仕方無いわね、お
ごめん、それはまだ速いと思うんだけど。
1785文字です。
スマブラはピカチュウに緑はちまきさせるのがフェイバリット。