「ごめんってハッサン。僕が悪かったからさ」
「ウバウッ!」
うーん、怒ってる。どうしよう。
「ほら、オボンのみあげるから」
「……」
今耳がピクッて。ちょっとピクッてしたよね?
「……オボンとオレン」
「……」
ちらっちらっとこっちを見てくる。
「……それとメコブのみ」
「バウッ!」
じゃれついてくる。もー、いつの間にそんな腹芸覚えたの?
「それじゃ行こうか。う~ん……もう町中には居ない?」
「スンスン……バウッ」
「そっか、じゃあ海岸にでも行ってみよう」
サザナミタウンは海の町。海岸も広いから、誰か居る可能性はあるよね。
ってことで海岸沿いに歩く。ギィカはボールに戻してある。水は苦手だろうし、悪いけど歩くの遅いし。
「あっメイコさん―――行っちゃった」
メイコさんは何してるんだろう。レイカと喋ってたみたいだけど、俺を見た瞬間どっか飛んで行っちゃったし。
「……今度は気付かれないようにしてみよう、うん」
「ナットゥ?」
それよりレイカだよね。
……でも正直、レイカって良く分からないんだよね。ナットゥとしか喋らないし、表情が無い―――ってそれはギィカも同じじゃん。分かるじゃん。
「あー、レイカって僕の事どう思ってる?」
「ナトッ!? …ナッ……ナトッナッ……トゥ……」
そっぽを向かれた。そ、そんなに嫌われてるの……!?
「ナッ…ナッ…ナッ…ナッ…!」
うっわ、『パワーウィップ』を砂浜に叩き付けてる。これはショックだな……そっかぁ……嫌われてるんじゃなぁ……。
「バウ」
「うーん。いやでも、レイカ」
「ナトッ?」
「僕を嫌ってても良いから、いや良くないけど―――強くなりたくない?」
「ナッナトッ? ナッナトッ、ナットゥ!?」
「なりたいよね。ただね?技を変えて持ち物を持つだけなんだけど、かなり……イヤらしい技を覚える事になるんだ」
「ナトゥ?」
「具体的には、『やどりぎのたね』『まもる』『ステルスロック』『パワーウィップ』。持ち物はゴツゴツメットかたべのこし」
岩残して『やどりぎのたね』と『まもる』で時間稼ぎ。そしてたまに『パワーウィップ』。
……アタッカーを捨てて完全にサポートに回る感じになる。
「もちろん、嫌なら違うのを考えるけど……」
「ナットゥ!」
触手がウネウネと俺の肩を叩いてくる。えっと、これで良い、のかな?
「良いならそれで早速……と言いたいんだけど。メイコさんに色々貰わないといけないんだよね」
「ナトッ? ナトッナトッナットゥ!」
レイカが元気に動き出す。そんなに素早くないけど、なんていうか無邪気で楽しそう。
「あはは、待ってよレイカ」
「ナットゥ……」
急にレイカのテンションが下がった。うーん。やっぱり良く分かんないや。
1088文字です。
更新遅いのに短いなぁ。