「それじゃあ、行こっか」
「バウッ」
ハッサンに乗っかって移動開始。ハッサンにはあらかじめギィカ、レイカ、ペティたちのうち近い所から立ち寄るように伝えてある。自分で探すより速いしね。
「……あ、ギィカだ。ハッサン」
「バウ」
ギィカは近くの広場に居た。朝早くでも無いのに周りに人は居ない。
ハッサンがゆっくりギィカのそばに歩いていく。
っていうかギィカ何してるんだろう。何処かに向かって歩いてるみたいだけど。
「お~いギィカ! 何してるの?」
「ギッガァ? ギガギガァ………ギッガアァァァ!」
ギィカは立ち止まって俺たちが追い付くのを待ってくれる。少しも経たず、追い付く。
「よっと。ハッサン、ありがとう」
「ウバゥッ」
ハッサンをボールに戻す。次はギィカによじ登る。
「ギガ?」
「散歩かな? 一緒に行こうよ」
「ギ……ギガッギッガア!」
あれ、怒っちゃったったっとうっ!?
「うわっとと……振り落とさなくても良いじゃん」
「ギガアァァァァ!」
「え、ちょ、うわっ!」
急に『パワージェム』を撃ってきた。とっさに横に転がってかわす。
「ギィカ! ストップ! 待ってってぅわっ!」
今度は『うちおとす』を連射。ぐっ、流石に避けきれない……。
「いたっ!」
顔面に岩石が当たる。頭が揺さぶられて動きが止まる。
―――そのまま『うちおとす』で蜂の巣にされた。
しかもぶっ倒れた俺の上に足を乗せてきた。
「むぎゅう……酷いよギィカ……」
「ギガ」
ドスッドスッと何度か踏まれる。お、重いよ、ギィカ。
「ギガァ……!」
立ち上がり、服に着いた砂を払い、ギィカと向かい合い、
ギィカが発光していた。
「っ!?」
嫌な悪寒が走り横に飛び
一瞬前まで立っていた場所を凝縮された『パワージェム』が通りすぎ、轟音と共に広場が弾け飛ぶ。
「ちょっギィカ! 危ないじゃん! 近くに人が居たらどうするの!」
「ギガァ!」
こっちの言葉も聞かずに、ギィカは片足を踏み鳴らして『じしん』を起こす。
「うわっとっだから近所迷惑なんだよ! それ以上は怒るよ!」
「ギッガァ? ギガギガァッ!」
足を踏み鳴らして挑発してくる。
「……なら僕が直々に止める!」
ボールが付いているベルトを外して放り投げる。
『へんしん』を溶き、即座に走り出す。
「先手必勝! 『アクアテール』!」
「ギガッ!」
尻尾がギィカに当たる前に青いバリアに阻まれた。
だけどさ。
「ここまで近付かれたら何も出来ないでしょ!」
インクの色は茶色!
「『マッドショッ――」
ふと、凍ったギィカの姿が頭の中をよぎった。
「ギガッ!」
「うぐふぅっ!」
鳩尾に『うちおとす』がめり込み、技の効果で地面に落とされる。
なんで今このタイミングで。さっきのシロナさんとのバトルではそんなこと無かったのに。
「う、ぐぅ……」
「ギガァ? ギガギガァッギッガアァァァア!」
あ、なんか体が重い。なんでか分からないけど動けない。
「ねえギィカ」
「…ギガ?」
「僕の負け。動けないや。だけど他人に迷惑かけるような事はしちゃ駄目だよ」
「……ガ? ギッガァ?」
あ、そういえば………ギィカって俺に負けたから仲間になったんだったっけ。俺に勝ちたいが為だけに自力で進化までしたんだよね。
ってことは、俺に勝ったから、仲間でいる必要が無い?
「ギガァ、ギッガァ? ……ギガッギガァッ!?」
「……あ、何とか起き上がれそう」
足が震えてる。呼吸が辛い。……無いとは、思うけど。聞いてみる?
「ギィカ、僕に勝ったけど……まだ一緒に居てくれるよね?」
「ガ? ギガァ。……ギガッ、ギガガァ」
「そっか。良かった」
まだ一緒に居てくれるみたいだ。
うん? 何か忘れてるような。……あぁ。
「そうそう、ギィカ。僕のことどう思う?」
「ギガ?」
首をかしげられた。
「そのまんまだよ。僕のイメージとかなんとか」
「ギガ……ギガァ」
全身を揺らして伝えてくるところによると……つまり……
「壁?」
「ギガ。……ギガァ、ギガギガギガァ」
「ライバル?」
「ギッガァ」
「……でも、僕たちは仲間だよね?」
「ギッッッッッッッッガァ!」
全力で肯定してくれた。力強いね。
「……あ、ハッサン放りっぱだった」
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半端な終わり方かな?