IS 不浄の箒   作:仮登録

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11.予感

 朝日が眩しい。箒は時間を確認しようとして、時計をいつもの場所へ置いていない事に気がついた。

 

「そうだ、部屋を移動したんだ……」

 隣のベッドをみると、鷹月静寐が行儀良く眠っている。規則正しく動く布団を見て、箒は音を立てないようにベッドから降りた。

 

 いつもなら、一夏を起こす。いつまで寝てるんだ、と言って一夏を、朝の稽古に付き合わせることも有った。

(そう言えば、稽古の後のシャワーは必ず先に譲ってくれたな)

 今になって、一夏の心配りに気付く。箒は自身の不甲斐なさにため息をつくと、部屋を出た。

 

 朝の稽古を終え部屋に戻ると、静寐が寝間着で部屋を歩き回っていた。

「篠ノ之さん! 先に学校へ行ったのかと思ったよ」

「すまない。書き置きを残せば良かった、失念していた」

 どうやら静寐は、箒が先に学校へ向かったと思ったらしい。反対の立場なら、少し不安になることが箒にも分かる。箒が頭を上げると、静寐が笑顔で挨拶してきた。

「篠ノ之さん、おはよう」

「お、おはよう」

「じゃあ、用意できたら食堂へ行こ?」

「ああ」

 

(一夏無しで、クラスメイトと挨拶ができた!)

 

 箒は急いで着替えた。鏡を見ると、その顔にはニヤニヤと不気味な笑顔が浮かんでいた。

 

 

 教室の扉を開けると、一気に女性達の話し声が広がった。いつもなら、一夏がこれを無視して挨拶をする。箒は唾を飲み込み、口を開こうとする。

 

(誰も此方を見てない……)

 

 この状況で挨拶するのか? いや、無理だ、無理だ。声を出すのが怖い。

(誰も反応してくれないのではないか?)

 箒がそんなことを思っていると、静寐が後ろから声をかけてくれた。

「どうしたの、篠ノ之さん。座らないの?」

「あっ、はい。座ります」

 

 箒は項垂れながら、自分の席で小さくなった。

「あらっ、篠ノ之さん。体調でも悪いのかしら」

その声に箒は顔を勢い良く向ける。セシリア・オルコットが首を傾げながら、箒を見ている。

「いや、大丈夫だ。おはよう」

 セシリアはいつでもキラキラしている。箒の目にはそう写っていた。優雅に歩く姿から、ISの操縦まで、常に気を張っていることが分かる。

(羨望しているだけでは駄目だ。セシリアは初めてのライバルなんだ。クラスメイトに挨拶が出来ないからって、落ち込んでてはいけない)

 

「それにしても、皆さん。何の話をしているのでしょうか?」

「いや、私にも分からない……」

 クラスの話題は、ボッチを卒業したばかりの箒にとって、鬼門だった。

 

「おはよ、何で盛り上がってんだ?」

 一夏がいつもより遅くに、教室へ入ってきた。

 セシリアが一夏へ近づこうと移動を開始したが、千冬が教室へ入ってくるのを見て、そのまま席へ座った。

 

「席につけ、お前ら。今日はいつもより早く、ホームルームを始める」

 

 

 山田先生が壇上に立ち、いつものように笑顔で挨拶をする。

「今日はなんと! 転校生を紹介します!」

 教室がざわめく。あちこちから、「転校生?」「聞いてない」といった声が流れる。

 

 教室の扉が開き、その転校生がゆっくりと歩いてくる。誰もが、その姿に驚いた。

 

「シャルル・デュノアです。皆さん、よろしくお願いします」

 一夏と同じ男子の制服。顔は柔和で、その優しそうな笑みが女性達の心をつかんだ。

 髪はセシリアよりも濃いブロンドで、背の高さもセシリアに近い。

 顔が整っており、まるでおとぎ話に出てくる王子様だった。

 

「このクラスにボクと同じ男性IS操縦者が居ると聞いて、フランス本国より」

 

 黄色い悲鳴が教室を揺らす。千冬が教師だと分かった時よりも大きな声だった。

 

「騒ぐな。静かにしろ。一限目のIS実習は、二組と合同で行う。速やかに着替え、第二グラウンドへ移動しろ。織斑はデュノアの面倒を見てやれ。解散!」

 

 千冬と山田先生が教室を出て行き、一夏とシャルルもそれに続く。

 残されたクラスメイト達が、物憂げな溜息をつきながら、扉を眺めている。

「ああ、いいなぁ」

「格好良いよぉ」

「これは、号外だわ」

「デュノアってもしかして、デュノア社かな? フランスだし!」

「もしかして、御曹司なの!」

「本当に王子様みたい!」

「ガサツな男とは違うね!」

「織斑くんも良いけど、シャルルくんも良いなぁ!」

 

 笑い声が響く。箒は着替えながら、自分の感情に戸惑っていた。

 

(男が来たのに、怖くなかった)

 

 自分の胸に手を当てて、いつもと違う思いがあることに、箒は悩んだ。

 

 

「今日からIS実習を開始する。凰(ファン)、オルコット、前に出ろ。最初に戦闘の実演を行う。お前達の目指すべき目標だ。しっかりと観るように」

 千冬が号令をかけ、生徒への訓示を行う。

「うへぇー。なんで私が」

「見世物のようで、気が進みませんわ」

凰・鈴音(ファン・リンイン)とセシリアが渋々ながら前に出る。千冬が何かを囁くと、一気にやる気を見せた。生徒がヒソヒソと声を交わす。

「買収された」「何を言ったんどろう?」

 

(セシリアと鈴がやる気になっている。少しでも技を盗まねば!)

 箒は集中しようとして、物が落下する風切り音に気づいた。

 

 ISが落下してくる。操縦者が何か言っているが、聞こえない。クラスメイト達が一斉に避難するが、一夏が棒立ちになったままだ。

 

(あっ、一夏が死んだ)

 箒は何も出来なかった。あまりにも唐突で、手を伸ばすことも出来なかった。頭の理解が追いつかない状態だった。

 粉塵が高く舞い上がり、箒は最悪な状況を想像する。

 

 恐る恐る、箒はクレーターの中を見る。

 一夏とISに乗った山田先生が居た。二人共、生きている。もしかしたら、一瞬でISを展開し、解除したのだろうか? そしてなぜか、一夏が山田先生に乗っかっており、山田先生が照れている。

 ISの尖った指先で器用に眼鏡の位置を直す山田先生を見て、箒は扱い慣れていると感じた。

 恐らく、咄嗟に山田先生が一夏に衝撃が来ないように受け止めたのだろう。それ以外、考えられない。

 

 一夏は立ち上がると、ビーム砲撃が一夏の隣を通って行った。

 そのビームの発射元を見ると、セシリアのISであるブルー・ティアーズが六七口径特殊レーザーライフル<スターライトmk2>を向けている。

 

(あれは死ぬ)

 一夏の特訓で、セシリアと放課後に戦ったことがある箒は、あの兵器の怖さを知っている。一夏は動けないだろう。ISを纏わずに、武器の射線にいる怖さが身を竦めるのだ。

 

「残念です。外してしまいましたわ」

 セシリアの笑い声が、まるで死神のように聞こえた。

「一夏あぁ!」

 鈴のISである甲龍、その武装の青龍刀<双天牙月(そうてんがげつ)>が一夏に向かって投げ出された。

 

(これは……死んだな)

 箒がそう感じた瞬間、射撃音が聞こえ、青龍刀が地に落ちた。今のは、一発目の射撃で青龍刀の軌道を逸らし、二発目で停止させた。

 箒が音の方向を向くと、山田先生のISの対物ライフルの銃口から煙が出ていた。

 火薬の臭いが鼻につく。呆然と見ていただけの頭が、回転し始めた。

「織斑くん、怪我はありませんか?」

「はい、ありがとう、ございます」

 腰を抜かしたいる一夏が、なんとか山田先生に声を返した。

「山田先生は元国家代表候補だ。今くらいの射撃は当たり前にできる」

 千冬が何でもないと言った風に、解説を始める。

 代表”候補”であの射撃が当たり前。箒は目を見開く。認識の甘さを修正する。山田先生の射撃は凄い。そして、その凄さでも代表”候補”なのだ。

 

「それではお前らは二人がかりで山田先生を倒せ。一分は持たせてみろ」

 千冬がセシリアと鈴に向かって指示を出す。

「はぁ? 舐めすぎでしょ」

「二対一だと、弱い者いじめになりそうですわ」

 セシリアと鈴は山田先生を心配するが、千冬に笑われた。

 

「安心しろ。お前達の実力では、すぐ負ける。では、始めろ!」

 

 三機のISが空へ舞い上がる。

 

(あっ、これ。よく見えない……)

 

 箒は後で映像を確認しようと決めた。

 

 

 空中で大きな爆発が起きた後、落ちてきたブルー・ティアーズと甲龍が地面にクレーターを作った。

 

「教員の実力は分かったな。では、次にグループになって実習を行う」

 

(グループに別れて、実習だと!)

 

 箒が恐れていた事態になった。さり気なく、しかし勢い良く一夏の側へ近づく。

 

「専用機持ちがリーダーとなって、IS操縦を教えろ」

 千冬の言葉と同時に、一夏とシャルルへ人が集まる。箒は自然に一夏のグループへ参加した。

 

(やはり、白式の造形が一番だな)

 他のグループのISと一夏のISを見比べる。箒の姉が作った最初のISである白騎士。白式はそれを意識した作りとなっていると、箒は思っている。

 

「そうそう、上手い上手い」

 一夏は相川清香へIS操縦を教えている。そのIS機動はぎこちなく、顔の表情が固まっている。

 

(そうか、普通なら本格的にISに触れるのは、今日が始めてなんだ)

 

 放課後、一夏とISの訓練をしたことがある箒にとって、練習用の機体は慣れた物だった。

 

「次、誰だ?」

「私だ」

 

 箒はコックピットまでよじ登る。視点の高さが一夏と同じになった。

「起動と歩行をしたら、交代だ。……箒はもう出来てるよな?」

 一夏が首を傾げながら、尋ねてくる。

「お前の訓練に付き合わせて貰ったからな。それでも、ISには乗りたいんだ」

 危なげなく、ISが動く。自分の手足のような感覚。なんでもできると思える万能感。今なら、やったことがない前宙だって出来そうだ。

「おお、流石だな」

 ひと通りの動きを試し、箒はISを停止させる。

 

 箒はISを座らせながら、一夏に尋ねた。

「そうだ、一夏。今日の昼は予定あるのか?」

「いや、無いが。どうした?」

「弁当を作ったんだが、昼に味を見てくれないか?」

「おう、今度はちゃんとした味だろうな」

「前みたいな物にはなってないから安心しろ」

「分かった、期待してる」

 

 箒はコックピットから出る。地面に着地し顔を上げると、周りが箒を見ている。

 

「なに! 今の自然な流れ!」

「これが正妻の余裕、威厳か!」

「篠ノ之さん、恐ろしい子っ!」

「ずるい! 幼馴染、ずるい!」

 同じ一夏グループの女子達が箒を囲む。

「うえっ、えっと、その」

「おい、次は誰だ?」

 箒がしどろもどろになっていると、一夏が声を掛け、そちらに注目が移った。

 

(せっかく話しかけられたのに、返事できなかった。こんなことじゃ駄目だ。返事を返す。これを次の目標にするんだ。よし!)

 

 箒が体育座りで反省していると、いつの間にか授業が終わっていた。

 

 

 昼休み、箒は屋上に来た。屋上の中心部には芝生がしかれ、その中央によく分からないモニュメントが浮いている。風が通りぬけ、五月の暖かな日差しが心地良い場所だった。

 一夏はセシリアと鈴、そして転校生のシャルルを連れてきていた。

 

(男性なのに、今日会ったばかりなのに、なぜ、怖くないのだろうか?)

 箒がシャルルを訝しげに見ていると、彼は居心地悪そうに一夏へ尋ねた。

 

「ボクが同席して良かったの?」

「男同士、仲良くしようぜ。部屋も同じだしな」

「な〜に、いちゃいちゃしてんのよ」

 鈴がシャルルの肩を抱く一夏を見て、呆れた声を出した。

 

「いちゃいちゃしてないって。おっ、酢豚か」

「そうよ、ご飯はこっちね」

「一夏さん! 私はイギリスの美味しい物をお教えしますわ」

「へぇ、サンドイッチか。美味しそうだな」

 一夏がセシリアのサンドイッチを手に取り、口にした。

「いかがかしら、遠慮無く召し上がって欲しいですわ」

「……うん、後でな。ほ、箒はどんなものを作ったんだ?」

 

(あの反応は、もしかして腐っていたのか? そして、鈴を後回しにするのは、確かな物を最後に食べたいという事だな。だが、今の私はチャーハン作りに失敗した私とは違うぞ、一夏!)

 

「私の弁当の主菜は、鶏もも肉の竜田揚げだ!」

「へぇ、頂きます」

 一夏がゆっくりと口へ運ぶ。他人が食べるときは、緊張してしまう。美味しいと言ってくれるだろうか。

「うん、美味い!」

 一夏の笑顔に胸が一瞬、高鳴る。それを誤魔化すように、箒は咳をした。

「この唐揚げみたいなもの、結構、手間がかかってるだろ」

「唐揚げではないが……良かった。デュノアさんは、ご飯を食べないのか?」

 箒は此方を見ているだけのシャルルが気になっていた。

 

「えっ、ボク? た、食べるよ」

「もしかして、弁当を忘れたのか?」

「買ってきたのがあるよ、ほら」

 シャルルはそう言って、幾つかの菓子パンを取り出した。

「日本は色々なパンがあって面白いね。その場で焼いているお店は少ないけど」

「あれ、菓子パンばっかりだな。フランスパンは買ってないのか?」

「バゲットやバタールは、やっぱりできたてじゃないと! ちぎった時の小麦の香りが無いとやっぱり……」

 シャルルが一夏に詰め寄り、そして我に返ったのか恥ずかしがっている。

 

「しかしそれだけでは、野菜や肉が足りないのではないか? これを、……食べてみるか?」

 そう勇気を出して、箒は弁当を差し出す。

「確かに男がそんな小食じゃあ大変よね。酢豚も食べなさいよ」

「サンドイッチとパンが被ってしまいましたわ」

「いや〜、被ったならしょうが無い。セシリアのは置いておこう」

 一夏がセシリアの弁当箱を横に置き、酢豚を受け取る。その自然な動作で誰も不思議に思わなかった。

 

「わぁ、弁当箱って良いなぁ。綺麗だなぁ」

「ちょっと、私の酢豚は味が移らないように、分けてるだけだからね!こっちのご飯の方の弁当箱は綺麗にしてるわよ!」

「分かってるって、鈴。おっ、鈴の酢豚も美味いな」

「うん、美味しいよ、篠ノ之さん。この卵焼き」

 

 箒はシャルルに話しかけられたが、いつもと変わらず対応できると思った。始めて会う男性は殴らないと気が済まないはずなのにだ。そして、確かめたくなった。

 

「デュノアさん、ちょっと触っても良いか? 殴ったら、すまん」

「えっ、箒。アンタ」

「箒さん、シャルルさんも狙うつもりですの! いけませんわ、そんな事!」

「いやいや、殴るってどういうことだよ。箒」

 一夏が箒を止めに入る。シャルルは殴ると聞いて不安な表情をしている。

「えぇ、殴るの?」

「だ、大丈夫だ! きっと、殴らない! 確かめたいんだ!」

 箒は右手を空中に出し、彷徨わせる。ゆっくりとだが、シャルルに近づけていく。

 

「その、優しくしてね?」

 

 箒はシャルルの左手に右手を重ねる。

 不快感はない。相手を殴ろうという気も起こらない。

 

「デュノアさん、今度は私を触ってくれないか!」

「ええ! どういう事、一夏!」

「いや、全く分からん。何がしたいんだ、箒は?」

「まあまあ、デュノアが良いって言うなら、やってみてよ」

 一夏が首を捻るが、鈴がそれを抑える。

 

「どこを触れば良いのかな?」

「ど、どこ? 手、手でお願いする!」

 

「噛まれないように、気をつけろよ」

 一夏がシャルルに囁く。

「ただ、触るだけなのに、こんなに緊張するなんて」

「なんだかドキドキしますわ」

「ホラー的なドキドキじゃないの」

 

 シャルルがゆっくりと手を下ろす。

 箒の手に、シャルルの手の暖かさが伝わる。

 

「だ、大丈夫だ……。きっと治ったんだ、男性を殴ってしまう衝動が、無くなった!」

「ちょっと、そんな実験をボクでしてたの?!」

「箒のあれは、衝動だったのか……」

 シャルルは驚き、一夏はしみじみと呟く。

 

「一夏、お前のおかげだ! これでもう、一夏に殴りかかったりしない」

「そっか、俺が何をしたか知らないが、俺に殴らないのなら良かったよ」

 箒は一夏に抱きついた。セシリアと鈴に直ぐ剥がされたが、箒は笑顔でセシリアと鈴にも抱きついた。

 

 

「篠ノ之箒さん、でしたっけ。ちょっと、貴方に用があるんですけど」

 放課後、久しぶりに剣道部の活動に参加しようと道場へ向かっている途中のことだった。箒はIS学園に入ってから始めて呼び止められ、驚いていた。

 

「わ、私に用が有るのか、一夏では無くて?!」

「ええ、そうよ」

 箒はその呼び止めた人物に覚えはなかった。首元に同じ青いリボンを付けていることから、一年生だと分かる。

「すまない、どこかで会ったか?」

「いいえ、始めてです」

 ますます理由が分からない。箒は首を傾げる。

 

「私、シャルル様の親衛隊を作ることにしましたの。隊員は今、急激に増えていますわ」

「はぁ、そうですか」

 その親衛隊の人が、一体どんな用事があるのだろうか。箒は思いつかなかった。

 

「貴方、本日の昼休みに、シャルル様の手を触り、それだけでなく、自分の手を触るように強要したとか」

「強要、たしかに、そうなる」

 箒は昼休みを思い出し、確かにあれは性急すぎたなと反省する。

「認めると。つまり、貴方は一夏様だけでなく、シャルル様も狙うつもりですですね!」

「狙う? あれ、一夏の親衛隊は無いのか?」

「一夏様は……作った翌日に、ある教師の手で……」

 どうやら、箒の目の前にいる彼女は、あの人の逆鱗に触れてしまったらしい。

 

「そんなことはもう良いのです! 今は、シャルル様のことです! 貴方はシャルル様が好きなのですか!」

「いや……私は別に、そういうことじゃない」

 親衛隊の彼女に詰め寄られ、箒は首を振った。それを確認した彼女は、優しく笑う。

 

「そう、そのように身の程を知るべきです。これからは出来る限り、一夏様にもシャルル様にも近づかない様にお願いします」

 

「それは困る!」

 箒は直ぐ様、反論した。

「なぜですか!」

「それが出来ないから困っているのだ!」

 箒は息を深く吸う。

 

「私が一夏達から離れられる訳が無いだろう!」

 

「うわっ、すごいところに遭遇しちゃった」

 箒が振り向くと、シャルルが額に汗を出しながら、壁に手をついていた。


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