インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ   作:ラ・ピュセル

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第6話

「どういうことだよ、千冬姉!?」

 

パコンッ!!

すかさず頭部に衝撃が走る。

 

「織斑先生だ。何度も言わせるな。生徒になれと言ったのは事態を大きくさせない為だ。『ISではない。しかしほぼISと同じ物』、そんなものが世の中に知れ渡ってみろ。各国が何をしでかすか知れたもんじゃない。それなら、ISの研究の一環という名目で保護し、それの使用者としてこいつを生徒にするのが、一番の得策だ」

 

千冬は箒の方を見ながら、

 

「それに、アイツが絡んでくる可能性は低いとは言えない」

 

成る程、束さんのことか。確かにこんな状況を知ったら絶対飛んでくる。いや、多分もう情報を掴んでるかもしれない。

 

「というわけだが、一応本人に了承を得なくてはな。」

 

ヴィクターも頷きながら言う。

 

「重ねて感謝を申し上げます。私も貴方方に協力いたしましょう」

 

ヴィクターが手を出し、千冬も同意するように握手をする。

 

「さて、さっそくだが関連機関への報告として、黄金獅子のデータ収集をさせてもらいたいが大丈夫か?」

 

「構いませんよ。ですが、次元跳躍のシステムに関わるデータだけは秘匿として頂きたいのですが…」

 

「わかった、それは保証しよう。それと…、ボーデヴィッヒ」

 

千冬が唐突にラウラを呼ぶ。

 

「はい、何でしょうか?」

 

「少し、ヴィクターと手合わせしてみろ」

 

ラウラが納得したように頷く。

 

「機動性能のデータ取りですね」

 

「ああ、強い相手とならデータが取りやすいが、更識だと差が大きすぎるだろうからな」

 

「じゃあアリーナの準備をしてきますね」

 

山田先生がそう言って部屋から出ていく。

 

「あの、摸擬戦て言っても戦闘は大丈夫なんですか?」

 

俺は少し心配になってきた。さっきの話からだと、戦闘は苦手な様子だったが…。

ヴィクターは気楽に言う。

 

「それなら大丈夫です。少し矛盾した話ですが、私は非戦主義でありながら、それなりに戦えますよ」

 

「どういうことですか?」

 

「私が戦う時は、結果として人命が失われることが無い。もしくは、逆に私が戦って人命が救われる場合という話です。私が関わって人が亡くなるのは、私の主義に反します」

 

成る程、つまり相手を殺さない摸擬戦なら戦えるって話か。

 

「さてと、そろそろ私達も準備しないと。すみませんが、摸擬戦の場所まで案内して頂けませんか?」

 

ヴィクターがベッドから出る。

俺は思っていたことを言う。

 

「敬語じゃなくていいですよ。貴方の方が年上ですし、これから一緒にいる仲間ですから」

 

ヴィクターは少し驚いた反応をしたが、すぐに笑みを浮かべて手を差し出す。

 

「わかった。これからよろしく、一夏。私の方も同じようにして欲しい」

 

俺は頷きながら手を握る。

 

「ああ、わかった、ヴィクター。こちらこそよろしく」


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