インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ   作:ラ・ピュセル

2 / 25
第1話

アリーナに到着して、一夏と箒はその光景を目の当たりにする。アリーナの中央、直径50メートル程のクレーターができている。更にその中心に横たわる機体がある。全身が黄金色のカラーリング、モチーフはライオンだろうか?動物のような曲線的なフォルムをしている。

 

 

程なく、他の専用機持ちのメンバーも集合する。全員が揃ったことを確認し、千冬が話を始める。

 

「お前たちに集まってもらったのは、見ての通りこの機体の対処をしてもらう為だ」

 

するとセシリアが

 

「先生、あの機体について判明していることはありますか?わたくしはあのような機体は存じ上げませんが」

 

続けて鈴、シャルロットも言う。

 

「アタシも知らないわ」

 

「ボクもあの機体は知らないよ」

楯無も同様に

 

「んー、私も思い当たるとこは無いわね」

 

「知らなくて当然だ。なにせISではないからな」

 

その言葉に一同が驚愕する。

 

「ISではないとは、どういうことなのですか?ISのひとつにしか見えませんが」

 

ラウラの発言はもっともだ。確かに見たことのない機体だが、基本的なデザインは自分達が使うISに酷似している。

 

「出来る限りのスキャンをした結果、ISのコアの反応がなかった。ステルスに対応したスキャンをしても結果が同じだ。機構等は殆どISと変わらないがな」

 

その瞬間、謎の機体が光りだした。全員が警戒したが、機体は光の粒子となって消え、1人の男と1匹の猫が残っている。両方とも意識を失っているだけのようだ。

 

「武装の類が無いか確認し、医務室に運べ。猫の方も、ケージを用意して入れておけ」

 

「一夏、その人の方お願い」

 

「あぁ、わかった」

 

「では私が手伝おう」

 

俺とラウラで男を医務室へ運んでいく。その男は見たところ、自分達と年が近いくらいの外見だった。細身の長身、白い短髪、つなぎを改造したような白衣という見た目。そして、運ぶ為に彼に触って気付いた。左腕が無いのだ。流血していないため、ここに来た時に無くなった訳ではないのだろう。いったい、彼がどのような経緯でここに来たのかが気になるが、彼が起きなければ始まらない。今は医務室へ運ぶことが最優先だ。

 

 

 

3時間程して再び召集がかかった。あの男性が目を覚ましたらしい。教室にいた為、他の面子と共に医務室へ向かう。

 

医務室に入ると千冬と楯無、その二人の隣のベッドに先程の男性が、上半身を起こした状態でいる。医務室に入ってきた自分達に気付くと穏和な感じの笑みを浮かべる。その瞳は赤色だった。赤といっても真紅という言葉が一番近い表現だと思える紅い瞳をしていた。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。