インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ 作:ラ・ピュセル
ヴィクターと箒の模擬戦から一夜が明けた今日、クラスの話題はヴィクターについての話で盛り上がっていた。
「昨日の模擬戦、凄かったね!篠ノ之さんが追い詰めたと思ったら、すぐに形成逆転して反撃に入るんだもん」
「ねぇねぇ、更識会長とどっちが強いかな?」
「流石に会長の方が上じゃない?」
「私はヴィクターさんだと思うなぁ」
「私もー!」
こんな調子で会話が聞こえてくる。
「すっかり有名人になったな、ヴィクター」
俺がそう言うとヴィクターは、
「あんまり目立つのは本意じゃないんだけどなぁ」
と、ぼやきながら頬を掻いている。
「何を言っている。強いというので恥を掻くことなどないだろう。もっと素直に喜んだらどうだ」
不思議そうな顔をしながら、ラウラがそう言ってきた。
「私は目立つのが嫌いなんだよ。この状況が仕方ないものだとしても。一度痛い目をみているからね」
「?それって、お前のいた世界のことか?」
俺がそう聞くと、ヴィクターは慌てたように言葉を返す。
「え?ああいや、気にしないでくれ」
あまり他人に聞かせたくない話なのだろう。これ以上は突っ込んだ話はやめておこう。
「ところで一夏、明日の予定は決まっているのか?」
ここで箒が俺に話しかけてきた。そういえば明日は土曜で休日か。必要な用事や、どこかに行きたいというのも無いため、特に予定はないな。
「俺は予定ないなぁ。特に用事とかもないしな。ヴィクターはどうだ?」
「いや、私の方も特に用事はない。せいぜい本屋に行くか、フランの散歩に付き合おうかと思っていたくらいだ」
それを聞いてふと思ったことがある。
「なあヴィクター、お前って服あれしかなかったよな」
そう、今着ているIS学園の制服ではなく、ヴィクター自前の服のことである。
「ああ、あれが2着だけど、それが何か?」
「明日、一緒にショッピングモールまで行かないか?お前の私服買いにさ」
ヴィクターがここにやってきた日に、必要なものは買っていたが、生活必需品ということで私服に関しては考えていなかった。だから明日買いに行こうと考えたのである。
「成る程、確かにあの服で出歩くのは少々目立つな。今後のことも考えて、買っておいた方がいいだろうな」
確かにあの時は、だいぶ人の目が集まっていた。その点でも早めに買った方がいいだろう。
「よし、決まりだな。そういえば、他の皆は予定が決まってるのか?」
そう言っていつものの面子の方を向く。何故か箒が少し悔しそうにしているがどうしたのだろうか。
「僕も用事はないんだけど、一夏達について行ってもいいかな?」
「おう、むしろ来てくれると助かる。言い出したくせに服に関しては疎い方だからな」
するとシャルの発言を皮切りに、一斉に詰め寄ってきた。
「じ、じゃあ私もついて行くとしよう。元々、用事がなければどこかに行こうと誘うつもりだったしな!」
「私も行きますわ。いいお店を知ってますの」
「アタシも!服選び手伝ってあげるわ!」
「無論、私も行くぞ。私の嫁の用事に付き合うのは当然だからな」
こうして明日は、ヴィクターの私服コーディネートをするために、皆でショッピングモールへ行く事となった。