インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ   作:ラ・ピュセル

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第13話

気付くと、いつの間にか俺はレクチャーを受ける側になっていた。

何故かというと、ヴィクターが午前の授業において、自分達と同じ段階までをあっさりと覚え、更にその先を、配布されていた教科書から自力で学習し、教師陣と遜色ないレベルまで理解していた。

流石に束さんや、束さんと共に初期からISの開発に携わっていた千冬姉には及ばないものの、物事の教え方が上手いためか、その様子が教師のように見えていた。

そのため、女子生徒への操縦方法のレクチャーをヴィクターが行い、同時進行で俺は、他人への教え方のコツを教えられている状況だった。

 

「なんか、情けないなぁ…」

 

ボソッと呟くと、ヴィクターが反応する。

 

「そんなことはない。確かに、一夏は人に物事を教えるのは苦手な様子が見える。だが普段の人の接し方を見ていればわかるが、一夏は常に他人の事を考慮しながら行動している。それは教え方が上手い事よりも大事な事だと、私は思うよ」

 

こういうことをさらっと言うため、人間性も完璧、欠点なんて1つも無いと思ってしまう。

そんな事を考えていると、千冬姉から号令が掛かる。

 

「ではこれより、模擬戦をおこなう。組み合わせはロットウェル・ヴィクター、ならびに篠ノ之箒」

 

成る程、前回のラウラは中~遠距離型の戦闘スタイルだった。しかし今回、箒の紅椿はあらゆる状況に対応できる万能タイプ、更に箒自身が剣術のエキスパート故にラウラとは違った展開になるという考えだろう。

 

「今日はよろしく頼む、ヴィクター」

 

「ええ、こちらこそよろしくお願いします、箒さん」

 

「そんな、敬語なんて使わないでください。貴方の方が年上なんですから…」

 

「いえ、女性には礼儀正しくが教えですから」

 

そんな状況を見て、周りの女子生徒が口々に「紳士だ…」「紳士よね…」と話している。

 

「では2名は準備、他は片付けの後アリーナ席に移動だ。作業開始!」

 

 

 

5分後、訓練機であるラファール・リヴァイヴ、打鉄の片付けを終え、アリーナの中央には箒とヴィクターの2名が立っている。

 

「この模擬戦、どう見る?シャルロット」

 

ラウラがシャルに話しかける。

 

「そうだね、前回のを見る限りヴィクターは遠距離・近距離共にかなり強い。箒も格闘戦では、僕たちの中で一番強い。接近戦になれば互角か、箒の方が有利になると思う」

 

そこに鈴も加わってくる。

 

「でもわからないわよ。アイツ、まだ奥の手を隠してる感じがしたもの」

 

鈴のこういう直感はかなり当たりやすい。実際に俺も、前の模擬戦では一割程度しか力を出していないように見えた。

千冬姉が右手を挙げる。

 

「始め!!」

 

合図とともに、両者が激突した。




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