インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ   作:ラ・ピュセル

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第12話

何度も言うようだが、ヴィクターのスペックが段違いとしか思えない。

ここでは、授業といっても一般科目の他に、ISについての授業もあるのだが、その授業を初めて受けるのに、基礎知識から自分達が今やっている内容までを、30分程度で全て理解している。本当に、同じ人類とは思えない。

 

 

 

昼休み、今日はいつもの面子+ヴィクターで昼食をとっている。昨日のように質問攻めはされてはいないが、周りの視線はこのグループに向けられている。

 

「すごいね、ヴィクターは。僕なんか基礎を覚えるとき半日掛かったのに」

 

シャルがそう言う。ちなみに俺の場合は3日である…。

 

「いや、私自身のスペックではないよ。心臓部が黄金獅子とリンクしている影響で、常に思考が高速処理されている状況でね。考え事をすると、5分程度でも体感時間が30分ということがよくあってね」

 

単純計算で6倍の体感時間、つまりさっきの授業もヴィクターからすれば、理解するのに3時間掛かっていたことになる。それでも十分早いと思うが、やはりヴィクター本人が天才ということなのだろう。

そこに、歩み寄ってくる人物がいる。

 

「やっほー、少し話聞かせて貰ってもいいかな?」

 

歩み寄ってきたのは、新聞部副部長の黛薫子先輩だった。

 

「貴方が噂の転入生ね?私は新聞部の黛薫子。いろいろとインタビューさせてもらいたいんだけど」

 

「構いませんよ。私はロットウェル・ヴィクター、ヴィクターと呼んでください」

 

こうして、結局今日も質問攻めされるヴィクターであった。

 

 

 

午後の授業、今日はISの実習訓練の時間になった。

 

「まず、専用機持ちをリーダーに6グループにわかれろ。ヴィクターは…、一夏のグループでサポートにまわれ。今日は前半、グループごとにISの操作訓練、後半は専用機持ちに模擬戦をしてもらう」

 

また模擬戦をやるのか。おそらくヴィクターのことだろう。

 

「では専用機持ちは機体の準備を始めろ」

 

千冬姉に促され、起動を始める。

 

「それでは私も。フラン、頼むよ」

 

「ニャ~」

 

ヴィクターも、黄金獅子を起動する。

 

「スゴーい!あの猫ちゃんも一緒になってるの!?」

 

「綺麗な機体だね」

 

そういえば、専用機持ちと千冬姉、山田先生以外は、黄金獅子を初めて見るんだった。グループの女子生徒が珍しそうに、黄金獅子に触れている。

 

「よし、それではこれより操作訓練を始める」

 

千冬姉の号令で、訓練が始まる。

それにしても、模擬戦か…。前回はラウラだったが、今回は誰がヴィクターとやるのだろうか?


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