インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ 作:ラ・ピュセル
何度も言うようだが、ヴィクターのスペックが段違いとしか思えない。
ここでは、授業といっても一般科目の他に、ISについての授業もあるのだが、その授業を初めて受けるのに、基礎知識から自分達が今やっている内容までを、30分程度で全て理解している。本当に、同じ人類とは思えない。
昼休み、今日はいつもの面子+ヴィクターで昼食をとっている。昨日のように質問攻めはされてはいないが、周りの視線はこのグループに向けられている。
「すごいね、ヴィクターは。僕なんか基礎を覚えるとき半日掛かったのに」
シャルがそう言う。ちなみに俺の場合は3日である…。
「いや、私自身のスペックではないよ。心臓部が黄金獅子とリンクしている影響で、常に思考が高速処理されている状況でね。考え事をすると、5分程度でも体感時間が30分ということがよくあってね」
単純計算で6倍の体感時間、つまりさっきの授業もヴィクターからすれば、理解するのに3時間掛かっていたことになる。それでも十分早いと思うが、やはりヴィクター本人が天才ということなのだろう。
そこに、歩み寄ってくる人物がいる。
「やっほー、少し話聞かせて貰ってもいいかな?」
歩み寄ってきたのは、新聞部副部長の黛薫子先輩だった。
「貴方が噂の転入生ね?私は新聞部の黛薫子。いろいろとインタビューさせてもらいたいんだけど」
「構いませんよ。私はロットウェル・ヴィクター、ヴィクターと呼んでください」
こうして、結局今日も質問攻めされるヴィクターであった。
午後の授業、今日はISの実習訓練の時間になった。
「まず、専用機持ちをリーダーに6グループにわかれろ。ヴィクターは…、一夏のグループでサポートにまわれ。今日は前半、グループごとにISの操作訓練、後半は専用機持ちに模擬戦をしてもらう」
また模擬戦をやるのか。おそらくヴィクターのことだろう。
「では専用機持ちは機体の準備を始めろ」
千冬姉に促され、起動を始める。
「それでは私も。フラン、頼むよ」
「ニャ~」
ヴィクターも、黄金獅子を起動する。
「スゴーい!あの猫ちゃんも一緒になってるの!?」
「綺麗な機体だね」
そういえば、専用機持ちと千冬姉、山田先生以外は、黄金獅子を初めて見るんだった。グループの女子生徒が珍しそうに、黄金獅子に触れている。
「よし、それではこれより操作訓練を始める」
千冬姉の号令で、訓練が始まる。
それにしても、模擬戦か…。前回はラウラだったが、今回は誰がヴィクターとやるのだろうか?