インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ   作:ラ・ピュセル

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第11話

食事を終え、部屋に戻ってきた俺達は部屋の整理をしていた。散らかしていた訳ではないが、今までこの部屋を1人で使っていたため、スペースを広く使っていた分を本来の1人分のスペースに収まるように整理をする。

 

「よし、後は自分でやっとくから、ヴィクターはシャワー浴びてこいよ。早く休みたいだろ?」

 

「じゃあお言葉に甘えて…。おいで、フラン」

 

フランが尻尾を振りながらついて行く。一般的な猫って、水が苦手でそれに関連してシャワー等も嫌いと聞くが、フランは違うらしい。

 

 

数分後、ヴィクターがシャワーを終え、入れ替わりに自分もシャワーを浴びる。シャワールームから出ると、ヴィクターの姿がない。代わりにテーブルの上にメモがあり、そのメモには『少し散歩してくる』と書かれていた。

 

 

~Regret~

 

 

ヴィクターはフランを抱きかかえながら、月を眺めていた。逆の手にはペンダントがある。そのペンダントの蓋は開いていて、曲が流れている。少し悲しくなるような曲調だが、どこか安らぎを得る曲である。

 

「この曲好きだったよな。お前も、あの人も…」

 

そう言うと、フランがこちらを見上げてくる。

 

「ここでなら元に戻せるかもしれないな、フラン」

 

その頬には、一筋の涙があった。

 

 

 

~School~

 

 

 

次の日。支度を整え今は教室にいる。ヴィクターは黄金獅子のメンテナンスをしてから行くと言っていたため、一人で教室に来ていた。

 

「一夏、ヴィクターはどうした?」

 

箒が訪ねてくる。経緯を説明すると納得したように頷く。

 

「成る程、いい心掛けをしているんだな」

 

そんなことを話していると、教室の扉が開きヴィクターが入ってくる。生徒ということで、俺が着ているのと同じ制服を着用しているのだが、元々の服装が白を基調にしていたこともあってか、違和感なくかなり似合っていた。

教室に入るなり、女子生徒がヴィクターに殺到する。

 

「なんか、前の自分を見てるみたいな気分だ」

 

こう言うと、セシリアが応じる。

 

「本当ですわね。入学当初の一夏さんもこのような感じでしたものね」

 

よく見ると、廊下の方にも殺到している。他のクラスの生徒が、転入生の噂を聞きつけ集まっているのだろう。

 

「おはようございます、皆さん」

 

相変わらず、殺到する集団に冷静に対応している。

 

「ニャー」

 

ん?今何か聞こえたような…。するとヴィクターの肩の上にフランが乗っかる。

 

「フランを連れてきたのか!?」

 

「許可はもらっているとも。コイツがいないと左腕が使えないからな」

 

よく許可が出たものだ。

チャイムが鳴り、今日の授業が始まる。


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