インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ 作:ラ・ピュセル
食堂での一件の後、俺達は午後の授業を受けていた。ヴィクターは編入手続きやら何やらで、千冬姉、楯無さんと共に別行動をとっている。
ヴィクターは俺と同じ部屋で過ごすことになったため、授業が終わったら寮の説明と部屋の案内をするように言われた。
そういえば、あの寮って猫とか大丈夫だったんだろうか?
~traveler~
「さて、お前とはもう少し話がしたい。まだ話していないことがあるのだろう?べらべら喋る馬鹿はいないから聞かせて欲しい」
目の前の女性、織斑千冬は開口一番そう言った。今、部屋には千冬、楯無、ヴィクターの3名だけがいた。
「気付いてましたか。出来ればあまり、話したくなかった事ですが…。わかりました、話しましょう」
~roommates~
今は寮の自室にいた。ヴィクターに部屋の案内をし、近くのショッピングモールに必要なものを買いに行き、帰ってきたところだ。ちなみに寮にペット関係のものがいるのは問題ないらしい。
時計を見ると、時刻は午後6時だった。
「よし、そろそろ飯食いに行くか」
そう言って立ち上がった時に、ふと気づいた。昼休みのときのように質問攻めになり、ゆっくり食事できないのではないか?
そのことをヴィクターに聞くと、
「構わないよ。素性に関わるのは答えられないが、一緒に生活していくなら、出来るだけ自分の事を相手に知ってもらうのが大切だからな」
それもそうだ、と相づちをうち、ヴィクターと共に食堂へ向かう。
食堂に来るや否や、女子生徒が俺とヴィクターのもとに殺到する。さすがにヴィクターも困惑するだろうと思った。すると、
「ええ、では食事を取りながらお話しましょう。あまり多くは答えられないかもしれませんが、できるだけお答えしましょう」
…前言撤回。余裕で対応していた。あの状況でよく冷静でいられるものだ。4つも年が離れていると対応の仕方がこんなにも違うものなのか…。
今、自分のいるテーブルにはいつもの面子の6人が同席している。ヴィクターはというと、「一夏達がゆっくり食事できないだろう」と言って別のテーブルで質問攻めに答えている。
「正直、ヴィクターのことはどう思う?」
こう切り出したのはラウラだった。それに対しシャルが答える。
「経歴については、包み隠さず話してくれたみたいだけど、まだ気になる部分はあるよね。例えば、いくら戦闘に心得があるって言っても、初見の相手に対してあの強さは異常過ぎるよ。ラウラのAICも、知らなかったはずなのに受けてから一瞬で理解してたし」
その言葉に全員が頷いた。
本当に彼は、いったい何者なのだろうか?