インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ 作:ラ・ピュセル
今俺達は食堂にいる。千冬姉と山田先生は関連組織への報告、ヴィクターの編入手続きで職員室に向かった。俺達は何をしていたかというと、ヴィクターにIS学園を案内していた。
「他の生徒が騒がしくなるから」と千冬姉に言われ、教室はまだ案内していないが、あらかた案内は終わったため食堂に移動してきたところだった。
摸擬戦のことで不機嫌だったラウラも、フランがすり寄って来るや否や、すぐに機嫌を直し一心不乱に愛でている。箒達、他の6人も順番にフランと触れあっている。
そんな中、俺とヴィクターは色々と話をしていた。
「成る程、一夏と千冬さんは姉弟関係か。道理で目元が似ていると思った」
「似ているって言われると、なんか照れくさいな。まぁたった一人の家族だから、そう言われるのは嬉しいけどな」
「家族、か…」
ヴィクターはそう言って、窓の外を見つめる。
どうしたのかと思うと同時にチャイムが鳴る。昼休みを知らせる鐘だ。
「あ、ちょっと移動したほうがいいかも」
「どうした?一夏」
ヴィクターは状況がわからないようだ。
すると声が聞こえてきた。
「ねぇねぇ、お昼どうする?」
「昨日は和食だったから、洋食にしよっかなー」
午前の授業を終えた女子生徒が、ぞろぞろと食堂に来る。その中の数名がこちらに気付く。
「あ!織斑君たちだ!」
「ホントだ!途中から教室にいなかったけど、どうしたの?」
そういえば、授業の途中で抜けてきたんだった。
「あぁ、ちょっとな…」
どう説明しようかと考えていると、ヴィクターの存在に気付き視線を向ける。
「え!?誰この人!?一夏君の知り合い!?」
「ていうか、ここにいるってことは、もしかして転入生!?2人目の男子!?」
あー、やっぱりこうなった。本来女子しかいないから、ここでの男の存在はイレギュラーなのだ。なにせISは女性にしか扱えない筈だからだ。そんな中に男がいれば、当然こういう反応をするだろう。実際自分がそうだった。
「何を騒いでいる、馬鹿者が!」
騒ぎを聞きつけた千冬姉が一喝する。すると途端に静まり返る。
「まったく。顔合わせは明日にするつもりだったが、まぁいい。今やるか。
こいつはこれから、お前たちとここで生活することになった。おい、お前からも自己紹介しろ」
千冬姉に促され、ヴィクターが皆の方に向き話す。
「皆さん初めまして。ロットウェル・ヴィクターと言います。お好きなように呼んでください。ご迷惑をかけるかもしれませんが、これからよろしくお願いします」
こうして、IS学園生徒とヴィクターの顔合わせは終了したのだった。