インフィニット・ストラトス ワールド・オブ・イフ 作:ラ・ピュセル
~unknown~
周りは何もかも赤かった。夜が来ることを告げる夕陽の赤、燃え盛る炎の朱、そして地を染める鮮血の紅。その中に佇む男が一人。その男もまた赤く染まっていたが、彼の血ではない。彼が抱いている女性の血であった。
「すまない、フィリス…。私のせいだ…すまない…」
彼は彼女に話しかけるが反応はない。既に息絶えている。しかし彼は続ける。
「必ず、君の願いを成就させる。戦いの終焉を成就してみせる…!」
彼は歩き出す。彼女を抱き抱え何処へと。
~students~
いつも通りに目が覚める。いつもと変わらない朝、変わらない部屋。そして、ほぼ毎日起きるとベッドの中に潜り込んでいるもの。一応と思って中を覗くとやはりいる。長い銀髪に赤い瞳、眼帯を左目に着けた少女。
「なんかもう、慣れてきちまったな。慣れちゃいけない気もするが」
ただいつもと違う。珍しいことにラウラがまだ眠っているのだ。普段なら先に起きているか、自分が起きて動き始めるとラウラも起きるのだが、起きる気配がない。ふと時計を見ても、平均の起床時間より1、2分早いくらいだ。電波式なのでずれてもいない。
「そういえば、今日は朝の鍛練をする予定だったな」
熟睡しているラウラを、わざわざ起こすのも申し訳ない。それにいつものパターンになりそうだ。ラウラを起こさないように、静かにベッドから起き支度を整える。部屋の鍵は…、起きて俺がいないと気付くとすぐ出るだろう。
支度を整え廊下に出ると丁度、見慣れたポニーテールの少女が歩いてきたところだった。
「い、一夏!?き、今日は珍しく早いな!」
「ん、そうか?まぁ平均より1分くらい早く起きたのは確かだけど、そこまで驚くことか?箒」
すると箒は慌てて返事をする。
「い、いや、そんなことはない!ただいつもなら、部屋に入った時点でもお前がまだ寝ているのに、今日は準備をして部屋から出てきたから気合いが入っていると思っただけだ」
「大袈裟だなぁ、偶然早く起きただけだ。さ、早く鍛練しようぜ」
「ああ、そうだな」
そうして、歩き出そうとした瞬間、爆発音のような音と軽い振動が辺りに響き渡った。
「何だ今のは!?」
「アリーナの方からしたぞ」
同時、彼らの教師・織斑千冬から連絡が入った。
『専用機持ちの生徒に通達する。専用機持ちは至急アリーナに集合しろ。一般生徒は寮、又は校舎内に避難および待機。以上だ―』
「急ぐぞ、箒!」
「解っている!」
とにかく、アリーナへ急がないと!