Dies irae ~Unlimited desire~   作:ROGOSS

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騎士たちは闇夜に集い

どう形容するのが最も正しいのだろか。

否、それは不可能であった。

円卓が中央にそびえ、13個の椅子が配置されていた。

それぞれの椅子の後ろには長い通路がある。

光源は一つとしてなかった。

必要がなかった。

ここに来る者たちにとってそんなものは邪魔としかなりえない。

 今、姿が確認できるのは2(ツヴァイ)3(ドライ)4(フィーア)8(アハト)10(ツェーン)の椅子に腰かけている者のみだ。

だが、空席とはいえ1(アインス)7(ズィーベン)9(ノイン)12(ツヴェルフ)の席からは異様なまでの殺気が放たれており、目視で確認するのは困難であるものの黒い影がうごめていた。

逆に、13(ドライツェーン)の席からは気配すら感じることはできなかった。

それでも、3(ドライ)の席に座っているもの以外全員がその席へ向けて殺意のこもった目線を向けていることから、彼がどのような人物なのかを想像することはそう難しいことではなかった。

 

「リザがいないのは仕方がないとして……シャルロットとキルヒアイゼン卿がなぜいないのかについて知りませんか?」

 

「知るかよ」

 

「わかんなーい」

 

「存じていませんね」

 

「そうですか……カイン、あなたは?」

 

「僕が知っていると思っているのかい?いいから、始めよう」

 

「それもそうですね」

 

 そういうとヴァレリハ会議を始めた。

2人が出席していないことに不信感をもっているものの、大した問題ではないと判断したのだ。

 

「ベイ中尉とマレウスは知っていると思いますが、少々問題が起きました」

 

「問題? あの程度で?冗談だろ」

 

「そうねぇ。とてもじゃないけど、私たちに勝てそうにないと思うけど?」

 

 ヴィルヘルムとルサルカがそれぞれ所見を話す。

確かに初日の戦闘を行った彼らからしてみれば、士郎など眼中にないのだろう。

だが、彼はあの副首領閣下(メルクリウス)が連れてきた人物。

警戒するに越したことはなかった。

 

「みなさん、お忘れではないですよね? 彼はあの副首領閣下(メルクリウス)がお連れした人物ですよ?」

 

 メルクリウスという名が出た瞬間、再び全員の視線が13(ドライツェーン)の席へと向けたられた。

 

「おやおや、私は嫌われているのですかな獣殿。いやはや、それはそれで結構」

 

 声が聞こえた気がした。

ヴァレリアは円卓騎士たちに集中するように促した。

 

「今、スワスチカは3つ開かれています。残り5つ。必ず成功させましょう」

 

 それぞれが思い思いに返事をする円卓を去っていった。

残ったのはヴァレリアと妙に手足の長い男だけであった。

 

「聖餐杯猊下」

 

「どうしましたかシュピーネ」

 

「ぜひ、次の機会は私に接触させていただきたい」

 

「ほぉ、珍しいですね。あなたは戦闘はあまり好きではないのでは?」

 

「私とてたまには()ってみたいものなのですよ」

 

 シュピーネとヴァレリアの視線がぶつかる。

彼が何かを企んでいることは予想ができた。

だが、せっかくの申し出も無下に断る理由はなかった。

ヴァレリアは深呼吸をするとシュピーネに告げた。

 

「わかりました。頼みますよ」

 

「お任せください」

 

シュピーネはそういうと皆と同じく通路へと向かっていった。

ヴァレリアはため息をつくと椅子にもたれかかる。

首領代行など彼にとっては足枷としかなっていなかった。

叶うのであれば、誰かに譲ってしまいたいほだった。

それでもヴァレリアは勤めを怠ることはしなかった。

彼にもまた、願いがあるからだ。

 


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